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第6回 ぐんま子ども・若者未来県民会議会議結果の概要

更新日:2022年9月30日 印刷ページ表示

1. 日時

2022(令和4)年8月2日(火曜日)13時00分~15時00分

2. 場所

県庁29階第1特別会議室

3. 出席者数

委員15名、事務局等11名(計26名)

4. あいさつ

(上原生活こども部長)
 新型コロナウイルス感染症の影響により、子どもや地域の環境などが変化してきた。雇用環境も厳しく、出産控え等により出生率も下がってきており、いろいろな面で行政や各機関が力を入れていかなければならない状況にある。
 国では、こども家庭庁が来年4月に設置されることになり、現在様々な準備を進めている。県では、すでに子ども分野は健康福祉部から独立をしており、計画についても、複数に分かれていた子育て支援や若者のサポート等の計画を「子ども・若者未来ビジョン2020」に一元化している。これを着実に推進していこうと考えている。
 新・群馬県総合計画でも、「すべての県民が、誰一人取り残されることなく、自ら思い描く人生を生き、幸福を実感できる自立分散型の社会」というスローガンを掲げ、一つ一つの政策に取り組んでいるところであるので、総合計画とビジョンを合わせて、子ども達に明るい未来を提供できる県行政を進めて参りたい。
 本日はビジョンに加えて、今後県として取組を充実させたいと考えているヤングケアラー支援について、いろいろな立場からご意見をいただきたい。

5. 審議事項及び会議結果

(1)ぐんま子ども・若者未来ビジョン2020の令和3年度取組状況及び評価検証(案)について

ぐんま子ども・若者未来ビジョン2020についての評価検証案について、質疑等を行った。

(事務局)

 ぐんま子ども・若者未来ビジョン2020について、資料により令和3年度の取組状況に係る評価検証案を説明。

(会長)
 評価検証にあたっては、事前に群馬県青少年健全育成審議会から取組状況に関する意見を伺っている。審議会での意見を踏まえ、この会議で評価検証を行うこととなっている。審議会長である委員から説明をお願いする。
(委員)
 群馬県青少年健全育成審議会から報告をさせていただく。主に進捗が芳しくない評価目標について、審議会では主担当である第一部会で点検評価の意見を集約した上で、本会議を開催し議論を行った。資料は本会議で出された意見等を要約したものである。
 まず、基本方針1-1「朝食を食べない子ども」にかかる問題には多くの意見が出された。子ども食堂の活用や子どもの間で差別が生じないような配慮の必要性、子どもの問題ではあるが、親をはじめとする大人へのアプローチの重要性などが述べられた。
 基本方針1-3「高校におけるインターンシップ」の問題は、本当によい取組であるので、継続推進すべきだと、そのためにはどうしたらよいかという議論がなされた。
 基本方針2-1「合計特殊出生率」については、大変重要な課題であるという認識のもと、雇用、ジェンダー、子育て支援、キャリア教育、予算の問題などについて議論された。
 基本方針3-2「生活困窮世帯等への学習支援」の取組であるが、貧困の連鎖を断ち切るのも大人の責任だという意見が印象的である。この取組に、多くの子どもがアクセスできるようにという観点で、意見交換がなされた。
 基本方針3-4「外国人生徒の進学率」の問題は、解決策というよりも、まずは課題感の共有が重要であるが、孤立を防ぐ多文化共生の観点からの施策が必要であると意見が集約された。
 その他の項目についても、様々な評価や意見交換をして、集約した。審議会からの報告は以上である。
(会長)
 資料によると、計画期間2年目の達成度は60.0%、初年度は53.3%であり、コロナ禍のなかでも進捗しているといえる。事務局としては、どのような課題を持ち、また評価をしているか。
(事務局)
 コロナ禍に関しては、令和2年度から丸2年続く状況の中で、対面による事業実施が困難であるなど、中止や縮小となった事業もあるが、コロナとの付き合い方がわかってきて、オンラインの活用など実施方法を工夫することで進捗が図られたという側面はあると思う。
(会長)
 計画策定の段階で、事務局が目標を高めに設定していたところではあるが、コロナ禍の中でも事業を進めてきていると考えている。
 続いて各委員から意見をいただきたい。
(委員)
 基本方針1-1「朝食を全く食べない小中学生」について、食育指導の不足や朝起きられない問題等が挙げられたが、小児科医の立場からすると、食べたくても食べられない子ども達もいると考えている。自律神経の機能がかなり悪くなり、朝なかなか起きられず、起きられても午前中は調子が悪く食事を取れる状況ではなく、午後から登校するといった子ども達も目立ってきている。場合によっては、朝調子が悪いが登校できている子どもに対しては、学校に着いたら食事の準備をする等の視点も必要であると考えられる。この指標の割合は、ゼロにするのは難しいと思うが、子ども達を支援していくにあたり、そのような視点も入れていただけたらと思う。
(会長)
 難しい深刻な問題だと思う。コロナ禍だからという訳ではなく、従前からそういった傾向があったのか。
(委員)
 特にこのコロナ禍でのストレスを受けた結果として、自律神経の機能が大分悪くなり、起立性調節障害と診断名の付く子どもが少なからずいる。ちょうど小学6年生から中学生くらいが一番影響の出る年齢である。
(会長)
 特にコロナ禍の中で、こういった子ども達をどのように支援するかは難しい問題だと考えるが、県の担当課ではどう考えるか。
(関係課)
 この指標は全国学力テストの調査項目である。先日、令和4年度の結果が報道されたが、小学生は1.0%から1.1%、中学生は1.7%から1.8%と、0.1ポイント高くなっている。10年単位で見ると、毎年少しずつ高くなってきており、御指摘のとおり、数字には現れない部分で、コロナ禍によるプレッシャー等により、学校に行きにくいこともあるのかと思う。
 他の調査項目の中では、「毎日同じくらいの時刻に起きていますか」という質問に対して、小学校で1.3%、中学校で1%と、ほぼ同じぐらいの割合の数字が出ているので、生活習慣やコロナなど理由は様々であり、こうしたらいいというのは難しいが、食への関心を高めたり、親への働きかけを行うなど、何らかの対策を講じていきたいと思っている。
(会長)
 調査結果をどこまで掘り下げられるかということもあるが、大きな課題として検討していただきたい。
(委員)
 県の取組方針で、食に関する指導にICTを活用するとあるが、具体的な活用方法のイメージについて説明いただきたい。
(関係課)
 食育の活動については、学校の栄養教諭等が各クラスを巡回したり、現地見学や外部講師を招いたりといった、直接人と関わるものが多い。例えば、給食センターに見学に行き、今日食べる給食の調理の様子を見て、学校に戻ってきたら給食が出てきているという、そういう新鮮な驚きというものを感じるような活動が、コロナでできなくなっている。そこで、給食センターをオンラインで結んだり、読み聞かせのボランティアがオンライン読み聞かせをしたり、産地との交流もオンラインで行うなど工夫しながら、ICTを活用した食育を行っているところである。
(委員)
 朝食を提供する側の親の問題と、朝食を受け入れられる身体であるかという子どもの問題があると思う。
親が食事を用意できるだけの時間的、経済的ゆとりがない場合もあり、そこへのアプローチはやりやすいと思う。
 一方で、子どもが朝食を受け入れる身体を作るとなると、幼児期から関連しているのではないかと考える。母親同士で会話していると、幼稚園の時点ですでに起立性調節障害が起きているのではないかと思われる子どもがいる。日が高くなれば起きてくるのが自然の姿だと思うが、起きられない子どもはいる。当然、起きた直後では朝食が食べられない。何が原因かと考えると、そもそも寝る時間が、乳幼児の時期から9時や10時になっていて、そこに対しての親側の危機感が全然ない。知識不足により、親の生活に子どもを合わせるということが割と多くの家庭の中であって、分泌されるべき成長ホルモンが十分に出ていないまま小学生になり、小学生でこのような調査があり、食べられない子どもがいることが分かる、そのような側面もあるのではないかと思った。
(会長)
 朝食が食べられない裏にあるいろいろな要因を把握しなければならないと感じた。
(委員)
 自律神経の問題があるとすれば、食ではなく睡眠に対するアプローチが考えられるのではないかと感じた。
(委員)
 御指摘のとおり、睡眠を取ることは大切である。ただ、起立性調節障害という身体的な病気の場合は、自律神経機能も乱れてくるので、朝起きた段階で立ち上がると、もうそこで機能不全に陥っており、血圧が低くなったり、心臓がバクバクする、気持ちが悪いなどの症状が出る。それでも時間とともに大分楽になってきて、夕方から夜には調子がよくなるので、夜型の生活になってしまう。
 子ども達には、早い時間に眠れる体制を作り、朝はカーテンを開けて日の光を浴びるようにしてリセットし、朝食を食べないと自律神経機能が回復しないと言っている。治療の第一歩として、しっかり睡眠時間を確保することは非常に大切である。いったん発症すると、治療が長くかかる場合もある。
(委員)
 朝食を食べない小中学生は、私の感覚ではもっといるのではないかと思っている。実績値は非常に優秀だと思うが、全国と比べてどうか。また、目標設定がゼロというのは難しいのではないか。
(関係課)
 高くなった0.1%を具体的な人数で見ると小学6年生は1万5千人いるので、15人となる。人数が少ないから良い、悪いという問題ではないが、目標としては、限りなくゼロに近づけることが良いと考え、ゼロに設定している。
 なお、全国と比べると群馬県の方が若干良いが、全国的にみてもあまり地域差は見られない傾向にある。
(委員)
 基本方針1-3高校生のインターンシップについてである。産業界の立場からすると、説明があったとおりコロナ禍により、企業側もなかなか受け入れ体制が取れなかった。現状でもインターンシップは夏休みに実施される事が多く、大変厳しいところだとは思う。
 群馬大学理工学部では、今年度から、PBL(Problem Based Learning)教育を行うこととなった。これはインターンシップと似た取組である。今年度は200人の学生が受ける予定となっており、桐生市では産業界が連携して、1企業あたり5~30人位の学生を断続的に受けながら、課題解決を行っていくものである。このように、多数の学生を企業に送り込めるということもあるので、県の公立高校のインターンシップのスケジュールを組むのであれば、ぜひ産業界に要請をいただき、どのぐらい受入れる企業があるのか、あるいはその企業が生徒を受け入れるキャパシティがどのぐらいあるのかという調整を具体的に進めた方が、効率的で効果が上がるのではないかと考えているので、参考にしていただきたい。
(会長)
 指標を見ると、令和2年が51.5%、令和3年で29.2%と大きく下がった要因はどういったことが考えられるか。
(関係課)
 この指標は、高校3年間のうちでインターンシップに参加した生徒の割合を把握するものなので、コロナ禍の影響が丸2年続いていることが要因となっている。今後御意見も踏まえて、さらに検討しなければならないと考えている。
(会長)
 産業界では人材の確保も課題。福祉人材も不足しており、現場での体験や実習が重要であるが、実施が難しい状況にある。オンラインによる施設紹介など工夫して行っている。
(委員)
 関連して、経済同友会の幹事として次世代育成委員会の副委員長をしている立場から申し上げる。インターンシップ事業や社会人講師派遣事業を展開している。インターンシップは本当に素晴らしい取組であり、今まで実業高校中心であったが、普通高校でもやっていくという方向性もよいと思っている。同友会にも高校から依頼がある。また高校によっては、探究型インターンシップという形で、単に働くというだけではなくて、先程御紹介いただいたような課題探究をしながらインターンをする取組も出てきており、非常にいい方向だと思っている。
 ただ一方で、全ての高校生がインターンシップを受けることを目指した場合、県内企業が全て受け入れられるかということと、各高校から個別の依頼に対応し、早いもの勝ち的な状況になっているところが課題と考えている。現段階では何とか対応できると思うが、この先割合を上げていこうとするならば、組織的に産業界と県が連携して、全高校での参加希望者数とそれに対する企業側の受け入れ状況について調整する連絡会議的なものを作るなど仕掛けていってもよいのではないかと思う。
それから、もう一点は、各高校の先生が、その生徒が将来の希望と合致するような企業を探さなければと思い込んでいる節があるが、例えば銀行に勤めたいと思っているならば、中小企業の町工場にインターンに行った方が多分よいだろうし、職業適性を発見するインターンシップというよりも、資質能力を高めるためのインターンシップという観点に立って、どこの企業に当たってもそこで頑張ってくる、チャレンジしていくのだという位置付けでしていかないと、数は増えていかないのかと思う。人気の業種ばかりになっても、事業者は限られている。インターンシップの意義の捉え直しと組織化を、そろそろやる時が来たのではないかと感じている。
(委員)
 インターンシップについては毎年、教育委員会にどのぐらいの進捗事情かを問い合わせをしていて、ここ数年で、専門高校では、8~9割を超えているが、全日制普通科の方が少し低いと認識している。
 インターンシップは、将来群馬や日本を背負っていく若者にとって非常に重要な取組と私共の組織でも位置付けており、進めていただきたいと強く思っている。
 コロナ禍になり、進捗が悪いということだったので、ICT等活用して進めていただくことと、事業所だけではなく、もっと細かく職、例えば医療職、看護師の職であれば、その看護師の実際、医療職で就職して、今まさに働いている人の話を高校生に聞いてもらうということもとても重要だと思っている。
今、医療介護現場には行けないので、例えばオンラインや動画などにより、この職はこういう魅力があるのだと知ってもらうことも重要であると思う。
 目標達成に向けた取組方針で、引き続きインターンシップ推進事業を実施するという方向性しか書かれていない。目標達成に向けて具体的に何か考えがあればお聞かせいただきたい。また働いている人については紹介できる。
(関係課)
 学校によっては社会人講師に、オンラインを活用して話をしてもらう等の事業も取り組んでいると思う。
 引き続き御意見を参考にさせていただきながら取組を進めて参りたい。
(委員)
 看護協会では、看護の仕事を知ってもらうために、出前授業等を行っている。今年は看護の日にラッピングバスで高校に赴き、医療職希望の生徒達に仕事の内容等を説明した。生徒からは前向きな質問や意見が出た。こういった取組もしているので活用してほしい。
(会長)
 福祉人材について、中学生には福祉現場の魅力を知ってもらうためのDVDを制作し配布している。高校生にはYouTubeで動画公開している。こういった各業界からの取組も必要であると考える。
(委員)
 合計特殊出生率の低下の問題について、国が男女共同参画白書を公表したが、その中で、20代の男性の4割が、デート経験がないことが明らかになった。群馬県も同様の傾向であると思う。その原因の探究をしていただけるとありがたい。
(事務局)
 原因の一つに出会いの場が少ないということはあると思う。市町村や民間団体が行う結婚支援事業について、県が広報等で協力する事業を実施しているので、引き続き、出会いの場を作る取組は必要だと思っている。
(委員)
 人為的でない自然な出会いの場が好まれる傾向にあると聞くが、コロナ禍の状況にあっては自然な出会いの場を提供することが難しい。県立高校が共学になれば自然な出会いが増え、同級生同士の結婚や社会人になってからも異性の同級生の友達と出会う機会も格段に増えると思う。
(副会長)
 基本方針2-1の、家族を持つことに夢を持てるような、前向きな姿勢が持てるような取組と支援が必要であると思った。分析のなかで、コロナ禍による不安から、出産が控えている影響が考えられ、希望する人が安心して結婚出産、子育てができる環境整備の中で、子育て世代包括支援センター設置市町村の数については、コロナ禍でも達成されたというのは非常によかったと思っている。特に女性健康・妊娠SOS相談事業、夜間電話相談及びSNS相談を実施し、必要に応じて直接支援を行ったということは、大変いいことではないかと思う。この先、こうした対応がますます必要になると考える。また、ワクわく子育てトーキング講座等進めていただければ、もっと夢のある子育て支援が出来ると思った。
乳幼児健診の未受診者への対応について、具体的にどのように把握しているのか教えてほしい。
(関係課)
 未受診者への対応状況については、各市町村で保健師が家庭訪問を行い、漏れることなく把握をしていると聞いている。
(副会長)
 状況を把握することは、虐待防止の早期発見にも繋がるので、ぜひ対応してほしい。
(委員)
 先日、若者から、雇用環境など生活が不安定であり、将来の見通しが立たないので、家庭を持つこと、結婚すること、恋愛することについて、全体的に非常に消極的であるという意見をもらった。
 行政、国や県が、しっかり旗を振ってもらい、この状況を打開できなければ、恋愛すること自体に夢が持てなくなってしまう。それは、合計特殊出生率への対応にあるように、雇用との関係が非常に大きいと思っている。正規職員でないと安定しないため、家族を持つことに踏み切れない、会社の状況が不安定なので、今はもう少し様子を見るといった、先の見通せないところが問題なのではないかなと感じた。
(会長)
 前半の議題を終わりにする。合計特殊出生率の問題は、何をすればという手立てが難しいなかで、長期的に取り組む必要がある。また、コロナ禍を見据えた施策が必要と考える。これまで出された意見を参考に、取組をお願いしたい。
 資料の修正等があれば会長と事務局とで整理することで一任願いたい。
<異論なし 了承>

(2)ぐんま子ども・若者未来ビジョン2020の推進について 意見交換テーマ「ヤングケアラー支援について」

 令和4年度の重点課題の一つであるヤングケアラー支援を中心に、意見交換を行った。

(会長)
 子ども・若者未来ビジョン2020推進のために、毎年度作成している事業実行計画について、令和4年度の計画については資料を参照いただきたい。今回は、その中から重点課題の一つとして取り組むヤングケアラー支援について、意見交換を行うこととする。まず事務局から説明をする。
(事務局)
 ヤングケアラーについては、ここ数年、マスコミで取り上げられ、厚生労働省でも全国調査を行い、大学や各自治体でも調査が始まってきた。
 ヤングケアラーと呼ばれる若者達はかなり以前から存在していたが、学校や介護、医療等の現場でも、子どもたちの把握が難しかった。ヤングケアラーの特性としても、自分の家族の面倒を見るという家庭環境の中で育ってきているので、大変だとは思っても、それが問題であるとは思っていないところがある。
 県としては、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちを、なるべく多くの関係者との関わりのなかで把握し、支援につなげることが重要と考えている。
 支援も、いろいろな困難を抱えている家庭であるので、学校や児相、地域の民間団体、医療、福祉介護など、総合的に連携をしながら行っていかなければならないと考えている。
 県では、昨年度から社会的認知度の向上や、教育委員会でのアンケートによる把握、県庁内で支援の検討会議を立ち上げるなどしてきた。今年度は、引き続き認知度向上を進めつつ、県内の実態調査を関係団体に協力いただきながら行い、ヤングケアラーの把握をしたいと思っている。その上で、どのような支援ができるかを検討し、新規事業を立ち上げたい。
 本日は関係団体のそれぞれの立場から様々な意見をいただき、どのような連携体制を作っていけばよいか、また支援の具体策等、今後の事業につなげて参りたい。
(会長)
 それでは、ヤングケアラー支援について、各委員の皆様、どのように把握し、支援に繋げていくかについて御意見をいただきたい。
(委員)
 県内に民生委員は4,143人いる。その中に主任児童委員が367人いるが、ヤングケアラーにとても関心を寄せており、もっと深く学習をしていこうということで、委員全体で動画による研修等を行っている。
 民生委員の活動において、行政との協力は不可欠である。県内でもいくつかの市町が非常に関心を持って取り上げてくれている。
ただ、ヤングケアラーを把握することにおいては、民生委員の支援活動だけでは、発見は難しいのではないかという意見が多く出ており、ぜひとも行政等と連携してやっていかなければならないと感じている。
(委員)
 青少推では、子どもの健全育成に関わるということで、いろいろなことを考えながら活動しているが、ヤングケアラーとなると、家庭の中に踏み込まなくてはならない。私たちは学校とのチャンネルを持っているので、子どもに何か少し問題があったりする場合に、まず民生委員の方から私どもに伝えていただいて、それを学校へ繋げたり、そういうことは可能である。
 民生委員、青少推、地域づくりの団体など、個々の団体は一生懸命活動しているが、他の団体との連携が必要だと思う。何かの時にはこの団体と連携すると決めておくなど、各団体が常に連携を意識しながらいろいろ活動していくことが重要となる。そして、行政の方へもつなげていくことで問題提起ができると思う。そのような連携体制について考えていけたら良いのではないかと考える。
(会長)
 他機関との連携について、福祉の分野では、社会福祉法人が県内に約500法人ある。県社協で進めているのは、社会福祉法人が各地域と連携してもらい、いろいろな地域課題の解決に取り組むことであり、ヤングケアラーへの対応はその大きな柱になると思う。
 いろいろな団体が地域で連携を図ることが大きな流れとなってくるのかと思う。
(委員)
 地域のことであるが、区を挙げて、災害対策として弱者を把握しようという、各種の地域団体がどういうふうに把握をしたらよいかという話し合いを昨年から進めている。やはり地域に一番詳しい人たちが把握するのがいいだろうと。もちろん民生委員も中心になるが、一人暮らしであると重点的に把握ができるが、家族がいる場合などは、なかなか把握ができない場合もあるのではないかということで、ぜひ皆でやろうと、組織を作り上げている。子どもが世話をしなければならない方は弱者になるので、そういったところでリストアップができるのではないかと思った。お年寄りとか、そういう目に見える部分だけではないところも、手が届くといいと思う。
(会長)
 災害対策という観点から話があったが、要支援者の個別支援計画の取組が遅れており、計画ができている自治体が少ない。一世帯毎の状況を把握し、更新しながら、災害時に支援を行うという地域の力は重要である。
(委員)
 ヤングケアラーの問題については全国的に話題となっており、非常に関心がある。弁護士となり10年以上経つが、ヤングケアラー自身からの相談を受けたことがない。当事者にアクセスすることは非常に難しいと思う。
 我々の立場としては、子どもとして生活することが子どもの人権を守ることだと思うので、問題点としては、自分らしく生きる権利があるのに、学校生活が疎かになったり、本来なら青春を楽しめるような年代であるが、それができない等、おそらく自覚があまりないのだと思う。
 また、ヤングケアラーを把握して、子どもとして生活を送らせるために、例えば誰が代わりに家族を世話してくれるのかが課題となる。高崎市は全国でも対応が早く、ヘルパー派遣事業を間もなく始めるという。そういった具体的な取組は非常によいかと思う。
 当会としてできることを考えていたが、教育委員会で出前授業をやっているので、そういった授業の中で、子どもとして生活を送る権利があるということを教えたい。学校の先生が全部聞いてそれをすくい上げるのはなかなか難しいと思う。
 また、子どもの権利について非常に熱心に活動している元同僚が、成年後見になっている例があった。例えば、片親であって、若年性認知症であるなど親としての機能が果たせない場合、親権者の代わりが必要となった時に、弁護士がその職務を担って金銭管理をするであるとか必要であれば助言することができればいいかと思った。
 当会としても協力できることがあればしていきたいと考えている。
(会長)
 高崎市は教育委員会が主体となって9月から開始すると聞く。実績がどのように出てくるのか関心がある。
 また、ヤングケアラーは当事者として、なかなか相談がしにくい。SNSなど当事者の子どもが相談しやすい手段を使っていくことも必要と考える。
(委員)
 先日、ヤングケアラー支援に取り組む自治体の担当者に聞いたことを参考にお話ししたい。ヤングケアラーについては、国の調査結果、何人や何%という数字の部分がクローズアップされて、独り歩きをしている。国では調査はしたが、まだ具体的支援にまでは至っていない中で、その自治体では独自に方針を立てたところであるという。子どもの問題なので、当然福祉の所管ではあるが、学校抜きにしては進められないということで、学校と福祉でお互いに連携を取っていく。それぞれから子どもにアプローチしていき、どちらで対応するのかを判断していくとしている。
 なお、子どもに直接ヤングケアラーであると伝えた場合、レッテルを貼られてしまい、いじめに繋がるなどにもなりかねないと推測されるので、慎重さが必要であると考えている。
 具体的な支援事業については、ヘルパー代行事業はよいが、予算的な問題もあるので、国・県・市町村で連携して何かやっていければよいと話していた。
 まだ具体的事例が少ない中、県の方で情報共有をしていただければありがたい。
(委員)
 地域で防災、高齢者、ヤングケアラー等に対応するため、情報を得ようとすると、必ず、個人情報の壁にぶつかってしまう。社会福祉協議会や民生委員しか持っていない情報もあるが、守秘義務があるため出せないとなると、その家庭の中の状態までは、詳しく分からない。地域全体で見守っていくようにしようとしても、活動がストップしてしまう。個人情報は大事なのだが、取り扱いが難しい。
(事務局)
 個人情報は一番大きな課題であると思う。連携をしていく上で、同じ情報が行き渡っていかないと、その家庭への支援ができない。個人情報を関係団体に行政でどこまで共有できるかという問題が一つあるのと、家庭にいろいろな人が入ってしまうと、「何でうちのことをそんなに知っているのか」ということにもなってしまうので、まず家庭に、アウトリーチ的な取組をしていく支援員の役割が必要と考えている。民生委員の方が難しいとすれば、新たな役割を持った支援員を行政で育成し、委嘱のもと携わってもらうというのが一番の理想かと思うが、様々なハードルもあり、まだまだ解決していかなければならないことがある。
 そのような中、埼玉県や佐賀県などは、NPO団体が支援員を自ら養成している。佐賀県の事例では、100人規模の支援員を抱え、委嘱をして問題のありそうな家庭にそれぞれ本当に細かく入っていっていただいているという。そういう事例も参考にしながら、いろいろと考えていきたいと思っている。
(委員)
 2022年度の診療報酬改定で、患者を介助している人が、いわゆるヤングケアラーである場合には、それを支援に繋げると診療報酬が得られるようになったとのことである。そうすると資料のヤングケアラー支援全体像に医療現場等職員とあるが、医療機関を使い、側面からの情報収集ができるのではないかと考えた。そして、例えば薬を取りに来るのがいつもお孫さんである、処方箋を出すのがいつも本人と、高校生くらいの子だということが分かると、たまたまその子が取りに来たのか、それともいつもなのかというような、そういう情報から少しずつ得られて医療関係機関と繋げれば、そこから支援が始まるのかと思う。そこで、個人情報の壁はあるかもしれないが、支援している子どもの学校と連絡を取り、部活をしていないとか、結構早く帰るとか、遅刻や早退が多いとかいう情報と突き合わせればマークができて、その支援につなげられるのかと考えた。
 今おっしゃられたように、いわゆる縦割りと言われるところで、横串を刺すということが難しいというのは分かるのだが、横串を刺さない限り、支援には繋がっていかないので、先程意見が出たようにたくさんの関係機関を繋げていき、把握をして支援していく。まずは把握なので、個人情報の壁がとても大きいのかもしれないが、困っているという意識のない人を支援しようと考えている訳なので、そこは組織の工夫が必要と思った。その一つに、医療関係があると思う。例えばヤングケアラーの診療報酬を請求した医療機関は必ず、県の関係機関に連絡をするといったシステムを構築していくのも一つの手なのかとも思う。
(副会長)
 貧困が根底にあると考える。その中で、家庭の貧困と家族がどうなっているのかということが大事なのかと思う。
 そのために世帯の把握と、個人情報もあるが、学校で本人の生活状況を把握することによって、教員が、福祉事務所と連携しながら、この子どもを守るという方向性も見えてくるのかと思う。
 子ども本人が本当のことを説明できるかどうか。ここが一番大事で、ケアや生活をどのようにしたいのかということをまず本人が語り、それを守ることが必要である。そこから医療、病院が必要であるか、金銭的な問題も含まれてくる。それらが行政の支援と一本に繋がるようなサポート支援を作ることが必要であると思う。本人がどのような状況か、本当のことを説明できるということが、問題の解決につながる。大人がそれを聞くことがとても大事なのだと思う。
 家庭の貧困と家族がどのようになっているのかというとてもつらい状況の中で、本人はやっている訳である。そこを守り、人権の問題や子どもの権利擁護も考慮しながら、医療の問題、経済的なことも含めた行政と学校と福祉事務所、民生委員の連携する流れがこれから必要かと思う。
(委員)
 産業界の取組事例を紹介する。先月、埼玉縣信用金庫と埼玉県、さいしん福祉財団、社会福祉協議会が連携を結んだ。広報啓発を各店舗等で行う。また支援体制についても、ネットワークを組んだことを発表することで、それぞれの認識を深めてもらう取組である。県には参考にしてもらいたい。
 ケアラーについて、私の会社が10年前から行っているのは、毎年社員の家庭訪問を行い、家庭の状況を把握している。訪問して初めて、社員が育児と介護で大変な状況であることが分かり、相談窓口を設けるなど対応した事例がある。
 県が行う実態調査についても、どうしても家庭に踏み込まなければいけないので、非常に大変な作業である。その作業を受け入れていただくために、広報や啓発が大切なので、広く様々な媒体を使い対応することが必要であると思う。
 支援体制についてであるが、私の会社では4市2町と高齢者の見守りサービスをしている。郵便局でも行っている。実際に、例えば新聞がたまっている家を見つけたら、報告をするといったサービスをしている。これと同じような形で、ヤングケアラーについても、たくさん見守りをする目が重要なので、多くの団体と連携をとりながら、それぞれが自分の目で見たことをきちんと報告できるような、相談できるような体制を、県には1日も早く作ってもらい、県民全体で見守りをするというイメージを進めてもらうことが大切である。会議だけでは実際に現場に行くわけではないので、あまり意味がない。実際に見守りをする人をたくさん増やせば、散歩や買い物に際して、そういう人を見かけるなど、把握するさまざまなチャンスがあると思うので、具体的に人を動かすようなことをしていただきたい。
 最後に、当社でもフードバンク事業に協力しており、2か月に1度、社員から集めた食材を、市のフードバンクに届けている。子ども食堂の現場のお手伝いもしているが、ヤングケアラーと思われるような人が結構来ており、必ずお弁当を自分の分以外にも家族の分を持って行く子どもがいる。ヤングケアラーとは決まっていないが、そういう兆候があるのかなと感じる。県も子ども食堂の情報は持っていると思うので、そういう所のネットワークを組んでいただくと、より実効性があるのではないかと感じる。
(会長)
 参考になる取組だと思う。社会福祉協議会でも企業と連携して事業を行っている。SDGs、社会貢献について非常に熱心であり、見守りや災害支援など協力をいただいている。地域で支えるという点は参考にしてほしい。
(委員)
 どうすくい上げるかについてである。医療業界に携わっているのだが、ジェネリック薬品がなかなか普及せず、15年程かかりようやく8割位の使用率になった。
 ヤングケアラーという言葉について、どこまで浸透しているか、認知されているのか。自分はヤングケアラーである、という人が出てくるのか。最後は啓発活動が重要になってきて、自分がその立場であるのかと若い子どもが少しでも分かるようなアプローチが必要であると思う。
(会長)
 中高生の8割以上が「ヤングケアラー」を聞いたことがないという調査結果が出ている。
(委員)
 どのように発見するかというところについて。ヤングケアラーの定義は、家庭の中で大人がすべき、例えば介護、保育、病院の世話を、子どもが担っている場合と認識している。だとすれば、介護計画を立てる時、家では誰と過ごしているのかと一言確認するステップを入れるのでも随分違うのではないか。災害時にどうやって逃げるかを聞かれるのも、とても無理のない聞き方だと思う。夜間の場合にはどういうふうになっているか、昼間子どもだけで留守番している時はあるか等、とても自然に聞ける。皆同じように聞く方法は、とてもいいと思う。またそれを聞くにあたっては、イギリスのニートプロジェクトというひきこもり対策の事例を紹介する。イギリスではひきこもりが場合によってはドラッグの問題があるなど、日本よりも深刻である。行政が、民間の団体にその地域のひきこもりリストを渡し、学校に行っていない、働いていない25歳以下を対象として1件ずつ訪問していく。そして、学校や社会なりに戻した実績があがった団体に、継続して補助金や助成金が出るというもの。確かに「個人情報を何故この人に言わなくてはならないのだろう」というのは訪問される側からすると、自然に起こる感情だと思う。そこに対して、ちゃんと行政と連携しているというのがあると、とてもスムーズに行くのではないかと思った。
 また、ヤングケアラーへの意見ではないが、今回、この会議では実績、達成率に対して、進捗が芳しくないものだけが取り上げられたが、「10代の自殺者数」は人数に関係なく、とても深刻なことだと思う。子どもが生まれてきて死にたいと思うような社会であってはいけないと思うので、ここは達成率に関係なく、常に議題の中にあってもいいのかなと感じた。
(会長)
 ヤングケアラーの問題は、まさに地域共生を進める中で一番の課題である。子ども・若者を地域社会全体で支えていくために、本日の意見を参考にしていただき、しっかりとした対応をお願いしたい。
(以上)

6. ダウンロード

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