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邑楽・館林圏域河川整備計画(変更)

更新日:2018年10月26日 印刷ページ表示

揚げ船ツアー風景写真

利根川・渡良瀬川合流域の水場景観
(一級河川谷田川 板倉町)

 河川法第16条の2に基づき、邑楽館林圏域の一級河川において今後30年間に行う整備の具体的な内容を、平成16年2月に定めました
 河川整備計画策定後は、板倉川、多々良川、鶴生田川などの整備を進めてきたところですが、平成23年7月の台風6号などにより洪水氾濫被害が発生したことから、流下能力不足箇所対策等を新たに河川整備計画に位置づけるため、今回、計画を変更したものです。また、堤防強化対策や排水機場等の長寿命化など、これまで整備した河川管理施設の機能維持や、近年の社会的な変化を踏まえた各種政策への取り組みを適切に推進するために計画に位置づけました。計画対象期間は、今後おおむね20年間です。
 本ページでは、学識経験者、地域住民及び関係市長の意見を聞いた上で策定済みの河川整備計画の一部を変更し、平成30年10月に国の認可を受けた計画を掲載するものです。なお、適宣その内容について点検を行い、必要に応じて変更するものとします。

邑楽・館林圏域河川整備計画(変更)(平成30年10月5日認可) (PDF:5.64MB)

目次

第1章 圏域の概要

第2章 河川の現況と課題

 第1節 洪水による災害の発生防止又は軽減に関する事項
 第2節 河川の利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項
 第3節 河川環境の整備と保全に関する事項

第3章 河川整備計画の目標に関する事項

 第1節 計画対象区間及び計画対象期間
 第2節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項
 第3節 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項
 第4節 河川環境の整備と保全に関する事項
 第5節 河川の維持に関する事項

第4章 河川整備の実施に関する事項

 第1節 河川工事の目的、種類及び施行場所並びに設置される河川管理施設の機能
 第2節 河川の維持の目的、種類及び施行の場所

第5章 河川情報の提供、地域や関係機関との連携に関する事項

 第1節 河川情報の提供に関する事項
 第2節 地域や関係機関との連携等に関する事項

第1章 圏域の概要

(1)河川の概要

 邑楽・館林圏域には県が管理する河川が23あり、国が管理する利根川、渡良瀬川、矢場川に注いでいる。
 当圏域は昔から多くの水害が発生し、堤防の築造や水防に腐心してきた。一方、新田開発のため、相次いで用水路を建設整備し、治水・利水の両面から対策を行ってきた。近年では国が利根川、渡良瀬川に大きな堤防を築造し、また、数多く整備された用水路の一部が地域排水の必要性から一級河川となっている。このため、利根川、渡良瀬川の堤防に囲まれた低地を流れている県管理河川は、洪水時に利根川、渡良瀬川の河川水位が高く自然排水できない場合には、ポンプによる強制的な排水が必要となっている。また、平常時に利根川、渡良瀬川から取水された水は複雑に結びついた河川や用排水路網の間を流れている。

谷田川流域

 谷田川は、流域内の農業用水及びその還元水や流域の排水などを集め、途中で新谷田川、五箇川、新堀川、近藤川、鶴生田川と合流しながら、千代田町、明和町、館林市、板倉町を流れ、渡良瀬川に注ぐ流路延長約20.3キロメートルの一級河川であり、当圏域で最も大きな流域面積をもつ河川である。
 谷田川、新谷田川、五箇川、新堀川、近藤川の流域は大部分が水田であり、広い田園風景の中を流れる河川となっている。谷田川の河床勾配は非常に小さく、平常時の流れは緩やかである。洪水時、渡良瀬川の水位が高く自然流下により合流できない場合には、国が管理する谷田川排水機場、谷田川第一排水機場、谷田川第二排水機場、新堀川排水機場によって利根川及び渡良瀬川に排水している。
 館林市の市街地を流れる鶴生田川は都市河川の様相を呈しており、ツツジで名高い城沼は浚渫により洪水調節機能を確保している。近藤川は鶴生田川の上流部の洪水を導く放水路として整備を行い、一部はトンネル河川となっている。また、鶴生田川には多々良沼から水質浄化を図る浄化用水を導いている。
 なお、谷田川の水位が高く、宮田川などの準用河川が自然流下により合流できない場合には、宮田川排水機場、千津井(せんづい)排水機場、蛇沼川排水機場、佐貫排水機場(いずれも県管理)によって谷田川に排水している。

板倉川流域

 板倉川は、流域内の農業用水や排水などを集めながら板倉町を流れ渡良瀬川に注ぐ、流路延長約4.5キロメートルの一級河川である。周辺の大部分が水田であり、広い田園風景の中を流れているが、その一方で「板倉ニュータウン」の整備により下流部においては、街の中を流れる川となっている。
 板倉川を始め泉野川、朝日野川、海老瀬川は、「板倉ニュータウン」の造成に合わせて整備を行っている。また、渡良瀬川の水位が高く自然に合流できない場合には、邑楽東部第一排水機場、邑楽東部第二排水機場により渡良瀬川に排水している。

矢場川流域

 多々良川は、渡良瀬川の太田頭首工から取水している農業用水及びその還元水や流域の排水などを集めて邑楽町を流れ、多々良沼に流入し、その多々良沼で邑楽町の市街地を流れる孫兵衛川と合流し、さらに多々良沼から矢場川に注ぐ流路延長約9.5キロメートルの河川である。なお、木戸堰より下流は国が管理する区間となっている。
 藤川は、太田頭首工から取水している農業用水及びその還元水や流域の排水などを集めて邑楽町北部を流れ、矢場川に流入する流路延長約4.6キロメートルの一級河川である。

休泊川流域

 休泊川は、太田頭首工から取水している農業用水及びその還元水や流域の排水などを集めて太田市、大泉町の市街地を流れ、利根川に注ぐ流路延長約6.9キロメートルの一級河川である。流域の都市化による流出増対策として、洪水を富士堰で分流し、新谷田川放水路により利根川に排水している。また、新谷田川放水路は、利根川の水位が高く自然流下により合流できない場合には、国が管理する休泊川排水機場により排水している。

歳川流域

 歳川は、渡良瀬川の左支川で主に栃木県を流下し、館林市下早川田町の一部、右岸0.25キロメートルを群馬県が管理している。

(2)圏域の地形・地質

 圏域の地形は洪積台地と沖積低地の二つに大別される。洪積台地は、邑楽台地と呼ばれ、大泉町から板倉町まで東西に延びる内陸砂丘を基盤として堆積したロ-ム層台地で圏域の脊梁を形成している。所々で利根川や渡良瀬川の偏流で侵食された低湿地・池沼が分布し、それが圏域の水系の幹線をなしてきた。概ね台地の西半は平坦な地形が広がっているが、東半は沖積低地に囲まれて比高差のある舌状台地を形成している。洪積台地の地質は、主として礫・砂・粘土の互層であり、その上部を関東ローム層が被覆している。沖積低地は、主として水田として利用されている地域で利根川、渡良瀬川の氾濫堆積作用で形成され、未固結の細礫・砂・粘土からなり、泥炭や黒泥土などの有機層もみられ、軟弱な地盤となっている。

(3)圏域の気候

 圏域の気候は内陸性の気候で、年間降水量は約1,200ミリメートルであり、全国平均の約1,720ミリメートルより少なく、県内でも降水量の少ない地域である。また、年平均気温は約15度であり、前橋の平均気温約14度より高く、比較的温暖な地域である。月毎の降水量は梅雨期の6月と台風期の9月が多く、冬季は降雪も少ないため、降水量はかなり少なくなっている。

(4)圏域の歴史

 洪積台地と池沼地が織りなす自然環境は、人々の生活の場として恵まれているため、原始・古代から板倉町の奥東京湾最奥の貝塚群、大泉町の古海(こかい)古墳群、千代田町の堂山古墳などの遺跡や、板倉町の雷電神社、千代田町の光恩寺などの寺社が数多く残された。近世になると、徳川幕府の要地として、利根川、渡良瀬川の築堤事業が進められ、農業を始めとして諸産業が発展し、近代地域社会形成の礎となった。また、谷田川の下流部では、両岸の堤防の距離が広がっている箇所があり、かつて洪水時に遊水地としての役割を果たし、越流堤を越えて板倉沼(現在の板倉工業団地付近)へ排水出来るような構造になっていた。その他、押堀(おっぽり)や、行人沼岸の堤防補強杭などが現存し、洪水にまつわる史跡も多数見られる。
 そうしたなかで、特に板倉町を中心とする低地地域では、洪水時に備え、屋敷の一部に高く土盛りして建物(倉庫が主)を建てた「水塚(みつか)や、避難に使用する舟を軒下等に吊るす「揚舟(あげふね)」を備えるなど、洪水時に備える生活の知恵を育み、現在に伝えており、河川とあわせて「利根川、渡良瀬川合流域の水場景観」として、国の重要文化的景観に選定されている。
 稲作が盛んなこの地域の用水路の開削は、16世紀末の休泊堀がその始めとされ、その後も新田開発のために利根加用水などの用水路が相次いで整備され、現在では渡良瀬川の太田頭首工、邑楽頭首工、利根川の利根大堰(邑楽用水路)により安定的な取水が可能となり、県内有数の穀倉地域となっている。
 また、圏域河川の下流に位置する渡良瀬遊水地は、日本最大の遊水地であるが、洪水調節や生活用水の補給のために整備された河川管理施設であり、当時の谷中村の廃村などを経て現在の形となった。

(5)圏域の自然環境

 圏域には行人沼、多々良沼、城沼、茂林寺沼などの池沼、湿原や水田が多く、県内でも特色ある低湿地性の自然環境を有しており、「茂林寺沼及び低地湿原」が県の天然記念物に、「行人沼の水生植物群」、「肘曲池(ひじまがりいけ)と水生動植物群」が板倉町の天然記念物に指定されている。また、これら池沼や周辺の湿原の豊かな自然環境を保全するために、さまざまな地域指定がされている。行人沼周辺が県自然環境保全地域として、茂林寺沼周辺が館林市特別緑地保全地区として、そして城沼周辺及びハクチョウの集団飛来地としても有名な多々良沼周辺が県指定鳥獣保護区として、それぞれ指定されている。また、渡良瀬遊水地は、国指定渡良瀬遊水地鳥獣保護区として指定され、更に自然環境の保全、湿地と池沼の再生、地域の発展に資する利用機能の向上等が評価され、現在はラムサール条約湿地に登録されており、非常に貴重な文化・自然資源となっている。

(6)圏域の社会環境

 邑楽・館林圏域は群馬県の南東端に位置し、南北を利根川、渡良瀬川に挟まれた県内で最も標高が低い地域で、太田市の一部と館林市、大泉町、邑楽町、千代田町、明和町、板倉町の2市5町で構成されている。
 人口は太田市全域を含めて約40万人であり、太田市の人口が最も多く、次いで館林市、大泉町、邑楽町、板倉町、千代田町、明和町と続いている。平成22年から27年において、全域の人口は太田市、大泉町を除いて減少傾向である。世帯数は全域で増加傾向である。
 産業構成としては、穀倉地域の中心である板倉町、明和町、千代田町は第一次産業の比率が高く、大きな自動車、電器工場がある太田市、大泉町は第二次産業の比率が高くなっている。
 土地利用状況は、農地が全体の約46%と大部分を占めており、宅地が約23%、山地は約4%を占めている。経年的な変化をみると、各市町とも宅地の増加及び農地の減少が見られる。
 当圏域からは、東武鉄道、東北自動車道により、東京に1時間程度でアクセスでき、また、東武鉄道、国道、県道によって、栃木県、埼玉県、茨城県とも有機的に結ばれていることから、首都圏や他県へ通勤、通学する住民も多く、県内でも他地域との関係が最も深い地域となっている。これらの発達した交通網により、工業団地、住宅団地の造成、誘致が行われている。
 利根川、渡良瀬川に挟まれ平坦で多くの池沼や豊かな緑に恵まれた当圏域は、県内有数の工業集積地であるとともに、米や野菜などを中心とする農業も盛んで、近年では幹線交通網の整備や住環境整備の進展も伴い、これらをバランス良く発展させる地域づくりが望まれている。

第2章 河川の現況と課題

第1節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項

 邑楽・館林圏域における過去の大きな水害は、昭和16年、昭和22年、昭和41年、昭和57年、昭和61年、平成3年、平成10年に発生し、その中でも昭和22年のカスリーン台風は当圏域だけでなく、群馬県全域で未曾有の大災害をもたらした。また、昭和57年の台風18号、昭和61年の台風10号、平成3年の台風12号、及び平成10年の豪雨においては、圏域内にて数十棟から数百棟に及ぶ家屋浸水被害が発生している。
 近年では平成18年、平成20年、平成21年、平成23年、平成27年に家屋浸水が発生している。
 平成29年の台風21号では、昭和57年と同様の降雨があり、流域一帯で農地の浸水が発生したが、家屋浸水被害は限定的で、特に河川改修の効果等から市街地の浸水被害はほぼ発生しなかった。
 邑楽・館林圏域における県による治水事業は、昭和21年から谷田川の河川改修に始まった。谷田川は築堤による河道拡幅を行い、昭和40年代後半には現在の形態となった。
その後、谷田川の支川である新堀川、鶴生田川及び休泊川、多々良川について、それぞれ河川改修に着手した。特に、鶴生田川、休泊川は人家密集地域を流れ河道拡幅が困難なことから、放水路による治水対策も行った。また、鶴生田川については城沼で洪水調節機能をもたせるための浚渫も実施した。
 その後さらに、新谷田川、藤川、孫兵衛川、五箇川についても河川改修に着手し、孫兵衛川では、洪水調節池による治水対策も併せて実施している。また、板倉川については、「板倉ニュータウン」建設を契機に、ニュータウン及びその周辺の治水対策として、河道拡幅、洪水調節池、邑楽東部第二排水機場等の治水対策を実施している。
 邑楽・館林圏域は、国管理の利根川、渡良瀬川の堤防に囲まれた地域であることから、それらの河川の水位が高く、自然排水出来ない場合には、排水ポンプによる強制的な排水が不可欠であり、排水機場の整備も行われている。これまでに利根川、渡良瀬川に排水するポンプとして、谷田川で4箇所合計88.1立方メートル毎秒、板倉川が2箇所合計40.5立方メートル毎秒、休泊川が1箇所20.0立方メートル毎秒が完成している。また、宮田川など準用河川から谷田川に排水する施設として、小規模な排水ポンプを4箇所合計9.0立方メートル毎秒整備している。
 このような治水施設の整備により大きな洪水被害は減少したが、未改修である休泊川上流部、新堀川・逆川周辺では浸水被害が頻発している。また、多々良川上流部では十分な河積断面が確保されておらず、板倉川流域においても内水被害が発生するなど、圏域全体で引き続き、河道拡幅や排水ポンプ能力の向上が必要とされている。
圏域河川の堤防は、谷田川など古い年代の整備箇所もあることから、堤防の浸透に対する安全性の点検を実施しており、対策を要する箇所を確認している。
 加えて、排水機場や水門、堰などの河川管理施設が多数あることから、その機能を適切に維持していくことが重要な課題の一つとなっている。
 多々良沼周辺には県立公園もあり、環境保全、環境学習の拠点となっていることから、豊かな自然環境の保全を行っていく必要がある。

第2節 河川の利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項

 邑楽・館林圏域における河川の水利用は主に農業用水である。そのほとんどが利根川、渡良瀬川に水源を求めており、渡良瀬川から太田頭首工、邑楽頭首工により圏域北部に、利根川から利根大堰の邑楽用水路等により圏域南部に用水供給を行っている。取水した用水の一部は休泊川、藤川、多々良川、新堀川などの河川に流入させ、再び取水する形態となっている。
 圏域の農業用水の取水に関し、直近10年では利根川で3回、渡良瀬川で6回の取水制限が行われる渇水に見舞われており、平成24年には排水路から仮設ポンプでの再利用などの対策を余儀なくされるなどの影響が出ている。
 このような河川の水利用の状況において、圏域の各河川の平常時の流況は利根川、渡良瀬川からの用水供給が多い夏季においては比較的良好であるが、用水供給が減少する冬季においては水質の悪化が生じるなど十分に確保されていない。
 なお、水利用にかかる堰などの施設が多数あることから、その機能を適切に維持していくことも重要な課題となっている。

表 邑楽・館林圏域水利権内訳
  農業用水 水道用水 工業用水 その他 合計
取水量(立方メートル毎秒)

16.86立方メートル毎秒

0.43立方メートル毎秒 0.00立方メートル毎秒 0.00立方メートル毎秒 17.29立方メートル毎秒
割合 97.5% 2.5% 0.0% 0.0% 100%

第3節 河川環境の整備と保全に関する事項

(1)自然環境

 邑楽・館林圏域は、多くの池沼と水路があり、湿地性の良好な自然環境を有した地域で、圏域内の河川についても、国や県の絶滅危惧種が見られるなど、動植物の生息・生育・繁殖場所として貴重な場となっている。

1)植生

 圏域内の河川における植生については、谷田川下流部には、自然生のマルバヤナギ(アカメヤナギ)群落やタチヤナギ群落などの河畔林が見られるが、柳山のマルバヤナギ(アカメヤナギ)群落は燃料源等としての植栽を起源としている。また、水際などには、ヨシ群落やマコモ群落、カサスゲ群落などが生育し動物の生息、繁殖の基盤を形成している。谷田川の中流部から上流部や新谷田川、近藤川、新堀川沿いには、水田が広がり、河川のほぼ全域に、ヨシ群落やオギ群落が見られるほか、新堀川ではオオフサモなどの外来種が侵入している。圏域中央部の邑楽台地を流れる鶴生田川の一部である城沼は、夏季には、アオコの発生がみられる富栄養化した沼である。かつて治水対策として垂直な護岸や沼の浚渫を実施したが、近年では、自然豊かな水辺とするため、多々良沼から浄化用水を導水し、護岸の緩傾斜化を行い、ヨシ、ガマ、マコモなどの群落が復元されつつある。一方でハス、ヒシなどの水生植物の大量繁茂により漁業に支障が生じている事例もある。また、邑楽台地のもう一つの沼である多々良沼は、多々良川の一部であり、東毛地域最大の池沼である。多々良沼から逆川沿いの南側の台地は、古砂丘が形成され、植栽を起源とするアカマツ林と共に独特な景観を示している。

2)魚類等

 圏域内ではこれまでにコイ、ギンブナ、モツゴ、タモロコ、ナマズなど46種の魚類が確認されている。特徴的な種としては、鶴生田川のカネヒラは、魚類調査(平成29年度河川水辺の国勢調査)において県内で初めて確認されており、再生産していると考えられる。圏域内には、特定外来生物であるコウライギギやチャネルキャットフィッシュなどの在来種への影響が懸念される種も確認されている。
また、国内移入種を除いた圏域内ではこれまでにコイ、ギンブナ、モツゴ、タモロコ、ナマズなど46種の魚類が確認されている。特徴的な種としては、鶴生田川のカネヒラは、魚類調査(平成29年度河川水辺の国勢調査)において県内で初めて確認されており、再生産していると考えられる。
圏域内には、特定外来生物であるコウライギギやチャネルキャットフィッシュなどの在来種への影響が懸念される種も確認されている。
 また、国内移入種を除いた重要種としては、ニホンウナギ、ミナミメダカ等10種が確認されている。

3)鳥類

 圏域内ではこれまでに144種の鳥類が確認されており、このうち39種が重要種に該当する。圏域に広く分布する池沼ではカモ類をはじめ多数の水鳥が見られ、多々良沼ではハクチョウ類が毎年飛来し、越冬している。その他、市街地等ではキジバト、スズメ、ムクドリ、カラス等が増加しており、猛禽類のオオタカやツミの繁殖も確認されている。

4)両生類、爬虫類、哺乳類

 圏域の両生類は、重要種のトウキョウダルマガエル、ニホンアカガエル、ツチガエルを含む7種が確認されており、いずれもカエル類である。爬虫類については、重要種のクサガメ、ニホンスッポン、ニホンヤモリを含む11種が確認されている。哺乳類については、重要種のニホンイタチを含む11種が確認されており、いずれもネズミ類、タヌキ、キツネ等の小型~中型種である。

5) 昆虫類(トンボ類)

 圏域内では水辺の代表的昆虫であるトンボ類が52種確認されている。圏域には、多くの池沼が存在し、トンボ類の重要な生息地となっている。その中では、ベニイトトンボなどのほか、特定県内希少野生動物種に指定されているオオモノサシトンボなどの重要種が含まれる。
 このような圏域内河川や池沼における多様な動植物の生息・生育・繁殖場所を適切に保全していくため、過去の河川改修による水際植生の喪失や画一的で単調な平瀬化などの改善が重要な課題となっている。

(2)水質

 邑楽・館林圏域では、休泊川、谷田川、鶴生田川において水質の環境基準が類型指定されており、全域でC類型(BOD値5ミリグラム/リットル以下)に指定されている。休泊川、谷田川、鶴生田川での水質を河川汚濁の代表的な指標であるBOD値で見ると(図2.16)(※注1)、休泊川は近年環境基準を達成することもあるが、谷田川、鶴生田川は環境基準を達成できていない。これは流域の汚水処理の普及が途上にあることなどが要因と考えられる。また、図2.14、図2.15(※注1)の月別BOD平均値で見ると用水供給が多い夏季は環境基準を達成するが、用水供給が減少する冬季は達成出来ていないことが分かる。
 このような状況のもと、鶴生田川では多々良沼からの浄化用水の導水や礫間接触酸化浄化施設の整備を行っており、これらの施設の適切な維持管理とともに、流域全体で今後も関係機関や市民と連携し、生活排水対策等の水質浄化対策が必要である。
(※注1)図2.14、2.15、2.16については計画本文PDFをご覧ください。

(3)河川利用

 河川の利用としては、谷田川の水郷公園、城沼のつつじが岡公園、多々良沼公園など、貴重な自然空間やオープンスペースとして市民の利用のみならず、観光名所にもなっている。また、谷田川、城沼、多々良沼などでは漁業権も設定され、多くの釣り人たちで賑わっている。河川への市民の関心も高く、多くの市民団体が河川美化、水質保全などを目的とした活動を行っている。
 治水対策として整備した板倉川及び孫兵衛川の調節池、また城沼については、親水性に配慮した整備を行い、一部は公園利用されるなど、地域の憩いの場となっている。

(4)景観

 圏域内には大小多数の池沼があり、群馬県の天然記念物に指定されている茂林寺沼をはじめとして、良好な自然景観が形成されている。
 また、圏域下流の板倉町では、「利根川、渡良瀬川合流域の水場景観」が国の重要文化的景観に選定されている。これは、古来より水害多発地帯である当該地域において、大河川の合流域で形成された水と共生する生活生業の文化が、価値の高い文化的景観として選定されたものであり、その構成要素として谷田川下流域が含まれており、貴重な景観の保全が必要とされている。
 なお、近年は、谷田川下流域にて「群馬の水郷揚舟谷田川めぐり」として、水害時の移動手段として使われていた揚舟を用いた谷田川の周遊イベントが定期的に行われるなど、地域文化としての水辺景観の保全、継承が進められている。

第3章 河川整備計画の目標に関する事項

第1節 計画対象区間及び計画対象期間

 計画対象区間は邑楽・館林圏域内河川において県が管理する一級河川全てとする。
 計画対象期間は邑楽・館林圏域内の一連の河川事業の完成によって効果が期待できる今後おおむね20年間とする。

第2節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項

 邑楽・館林圏域の河川において、昭和57年9月の台風18号及び昭和61年8月の台風10号と同程度の降雨(おおむね10~20年に1回程度発生する降雨)により発生すると予想される浸水被害を軽減することを目標とする。
 人口及び資産が集中する休泊川については、おおむね30年に1回程度発生すると予想される浸水被害を軽減することを目標とする。
 圏域内に発生する内水による家屋の浸水については、関係する市町と連携を図って被害の軽減に努める。
 これまで整備してきた治水施設の調査及び点検結果に応じて、必要な対策を実施することにより、その機能の向上を目指すとともに、適切な時期に適切な整備を実施することにより、長期にわたり施設の有効活用を図る。
 なお、社会状況、災害の発生状況等に応じて、おおむね10年ごとに河川整備計画の見直しを行うこととする。

第3節 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項

 邑楽・館林圏域の河川の流量は、利根川・渡良瀬川から取水する各用水供給量に大きく影響を受けることから、流水の正常な機能の維持に必要な流量については、取水量・系統の把握、河川流量観測を実施し、河川の流量把握を十分に行った上で検討していくものとし、現況の流量が流域内に安定的に確保できるよう努める。

第4節 河川環境の整備と保全に関する事項

 治水、利水及び流域の自然環境、社会環境との調和を図りながら、自然環境の保全と秩序ある利用の促進を目指す。
 自然環境の保全と再生については、圏域の特徴である湿地性の動植物が生息・生育・繁殖している水辺を可能な限り保全・再生する多自然川づくりを行う。
 水質については、地域住民や関係機関等と連携を図り、その改善に努める。
 人と河川とのふれあいの確保については、親水性を考慮して整備した空間の保全に努める。
 景観については、地域住民や関係機関等と連携を図り、沿川と調和した地域文化としての水辺景観の保全、継承に努める。

第5節 河川の維持に関する事項

 堤防、護岸、床止め、堰、樋門、排水機場等の河川管理施設に関して、定期的に点検、巡視等を行うとともに、異常を発見した場合には、速やかに修繕等の必要な対策を行うなど、洪水時等にその機能が確実に発揮されるよう、適切に維持管理を実施する。

第4章 河川整備の実施に関する事項

第1節 河川工事の目的、種類及び施行場所並びに設置される河川管理施設の機能

 本整備計画の目標は、洪水による災害の発生の防止又は軽減、河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持並びに河川環境の整備及び保全としている。

(1)洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項

 河川整備計画の目標を達成するための方策として、氾濫域の資産の集積状況、土地利用の状況等を総合的に勘案し、流量配分図に示す目標流量に対して、河道掘削や堤防の整備等により、洪水を安全に流下させるための対策等を実施する。
実施にあたっては、河道・施設計画の最適化に向けた計画の見直しや効果的な整備の時期等について、国、関係市町、関係機関と調整を図りつつ、引き続き検討を行い、計画的に整備を進める。
 特に、近年浸水被害が頻発している地区については、早期効果発現の観点から上流側であっても下流状況に応じて優先的に整備を行う。
 その際、動植物の生息・生育・繁殖環境、水質、景観等の保全に配慮するとともに、河川の水利用の現状を調査し、支障なく適正な水利用が行えるよう、また、人々が川に親しむことができるよう考慮する。
 また、工事期間中、長期にわたる濁水の流出により、魚類等に影響を与えることが懸念される場合には、関係機関と連携し、必要な措置を講ずることに努める。
 なお、内水による浸水被害を軽減させるため、国、関係市町、関係機関と連携して、排水機場の整備、河川、水路の拡幅を図るものとする。特に内水被害が著しい板倉川については、流末の排水機場の操作運用の調整を管理者と行い、あわせて流入する新タライ堀に排水機場を整備する。
 
河川工事の施行場所は次頁以降のとおりである。

1) 洪水を安全に流下させるための対策

 河積の不足している区間や、堤防が整備されていない区間、堤防の高さが不足している以下の区間において、河道掘削や堤防整備等を実施し、流下能力の向上を図る。

表 整備を予定する区間
河川名 番号 整備を予定する区間 延長
休泊川 1 泉大橋(県道綿貫篠塚線)~榎戸橋(県道鳥山竜舞線) 約3,800メートル
多々良川 2 堀田橋上流~簀の子橋(町道) 約2,900メートル
新堀川導水路 3 利根川合流点(新堀川排水機場)~谷田川合流点 約1,570メートル
新堀川 4 谷田川合流点~逆川合流点 約3,890メートル
逆川 5 新堀川合流点~多々良沼 約2,590メートル

※今後の詳細な測量・設計の実施により、整備を予定する区間の延長が変更することがある。
※今後の状況の変化等により、必要に応じて本表に示していない場所においても施行することがある。

各河川の整備区間、延長、整備内容等については次頁以降に示す。

1 休泊川

 休泊川では河積が小さく、宅地・農耕地等に浸水被害が発生しているため、河道内の掘削、護岸整備を実施し、流下能力の向上を図る。
 なお、整備にあたっては既設のポンプ施設と整合を図りつつ整備計画断面を段階的に整備する。

  • 施工区間: 泉大橋(県道綿貫篠塚線)~榎戸橋(県道鳥山竜舞線)
  • 延長: 3,800メートル
  • 整備内容: 河道掘削工、護岸工、橋梁架替
2 多々良川

 多々良川の堀田橋(足利邑楽行田線)より上流は、河積が小さく、宅地・農耕地等に浸水被害が発生しているため、築堤河道の拡幅を実施する。

  • 施工区間: 堀田橋上流~簀の子橋(町道)
  • 延長: 2,900メートル
  • 整備内容: 築堤工、河道掘削工、護岸工、橋梁架替
3 新堀川導水路

 新堀川導水路は、導水能力が不足し、新堀川上流部で農耕地等に浸水被害が発生していることから河道内の掘削、護岸整備を実施し、流下能力の向上を図る。
 なお、改修は既設のポンプ施設と整合を図りつつ適切に進める。

  • 施工区間: 利根川合流点(新堀川排水機場)~谷田川合流点
  • 延長: 1,570メートル
  • 整備内容: 河道掘削工、護岸工、橋梁架替
4 新堀川

 新堀川中下流部(谷田川合流点~逆川合流点)は河積が小さく、宅地・農耕地等に浸水被害が発生しているため、河道の拡幅を実施する。
 なお、改修にあたっては、上流(逆川合流部)で発生している浸水被害の軽減について、早期に効果が発現するよう、計画的に実施する。また、可能な範囲で侵入した特定外来生物(オオフサモ)の駆除に努める。

  • 施工区間: 谷田川合流点~逆川合流点
  • 延長: 3,890メートル
  • 整備内容: 築堤工、河道掘削工、護岸工、橋梁架替
5 逆川

 逆川は、河積が小さく、宅地・農耕地等に浸水被害が発生しているため、河道の拡幅を実施する。

  • 施工区間: 新堀川合流点~多々良沼
  • 延長: 2,590メートル
  • 整備内容: 河道掘削工、護岸工、橋梁架替

2) 堤防強化対策

 これまで実施してきた堤防点検結果で、背後地の資産状況等を勘案し、堤防強化の必要性が確認された表4.2に示す箇所において、堤防の浸透による破壊の対策工事(堤防強化対策)を実施する。
 また、今後の堤防点検結果を踏まえ、必要に応じて堤防強化対策を実施する。

表4.2 堤防強化対策箇所
河川名 番号 整備を予定する区間 延長
谷田川 1 右岸1.3k~2.75k 1,830メートル
谷田川 2 左岸0.8k~2.75k 1,900メートル
谷田川 3 左岸2.75k~3.75k 1,310メートル

3) その他(排水機場・監視装置等)

 邑楽・館林圏域内の排水機場については、谷田川流域に8箇所、板倉川流域に3箇所、休泊川流域に1箇所設置されている。施設を管理する国等と連携しながら、河道掘削や堤防の整備とあわせて、施設の増強等により流域の排水能力を向上させる。
 また、県管理の排水機場や水門等、治水に係る河川管理施設について、洪水時の確実な操作体制を確保するため、稼動状況、水位、カメラ映像等を一元監視するシステムを構築する。

4) 長寿命化対策

 河川管理施設の機能を適切に維持していくために、群馬県河川構造物長寿命化計画(平成28年7月)に基づき、点検、巡視等を行い、施設の状態把握に努め、必要に応じて補修や更新を行い、長寿命化を図る。
 邑楽・館林圏域における長寿命化対策の対象となる県河川管理施設は以下のとおりである。

表 長寿命化対策対象施設(排水機場)
河川名 施設名 設置年度 位置 備考
大箇野川 邑楽東部第二排水機場 平成18年度 邑楽郡板倉町大字海老瀬  
泉野川 北調整池排水機場 平成13年度 邑楽郡板倉町大字海老瀬  
谷田川 蛇沼川排水機場 平成2年度 館林市赤生田本町十二社橋上流300メートル  
谷田川 宮田排水機場 平成元年度 館林市堀工町本郷橋上流400メートル  
谷田川 千津井排水機場 平成4年度 明和町上江黒十二社橋下流150メートル  
谷田川 佐貫排水機場 平成2年度 明和町南大島町青柳橋下流250メートル  
表 長寿命化対策対象施設(水門・堰等)
河川名 施設名 設置年度 位置 備考
谷田川 茂林寺川樋管 昭和59年度 館林市堀工町、本郷橋上流150メートル  
鶴生田川 谷越堰 昭和63年度 館林市赤土町  
鶴生田川 首洗堰 平成10年度 館林市楠町、楠木神社西裏  
鶴生田川 岩田暗渠(入口ゲート) 昭和33年度 板倉町岩田 注)
鶴生田川 鶴生田1号樋門 昭和26年度 板倉町大字岩田斗合田橋下流800メートル  
鶴生田川 鶴生田2号排水樋門 平成2年度 板倉町飯野字車口  
孫兵衛川 上池・下池樋門 平成10年度 邑楽町光善寺  
新谷田川 新谷田川ファブリダム 昭和53年度 明和町大輪19番地  
大箇野川 大箇野川除塵機 平成4年度 板倉町大字下五箇地先  
休伯川 富士堰 平成2年度 大泉町富士2丁目  

注)地下河川付属施設

(2)河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項

1) 長寿命化対策

 邑楽・館林圏域の河川の流量は、利根川、渡良瀬川から取水する各用水の供給に影響される。河川の水利用、景観、水質、動植物の生息・生育に配慮した水循環を確保するため、関連する河川管理施設の機能を適切に維持する対策を実施する。
 群馬県河川構造物長寿命化計画(平成28年7月)に基づき、関連する河川管理施設の点検、巡視等を行い、施設の状態把握に努め、必要に応じて補修や更新を行い、長寿命化を図る。
邑楽・館林圏域における長寿命化対策の対象となる県河川管理施設は以下のとおりである。

表 長寿命化対策対象施設(水利用関連施設)
河川名 施設名 設置年度 位置 備考
鶴生田川 浄化揚水ポンプ場 平成8年度 館林市松沼町  
新谷田川 新谷田川統合堰、取水ゲート 昭和61年度 千代田町新福寺  
休伯川 富士堰 平成2年度 大泉町富士2丁目 再掲

(3)河川環境の整備と保全に関する事項

1) 多自然川づくり等

 河川環境の整備と保全を図るため、動植物の生息・生育・繁殖環境、景観、河川利用等について配慮し、自然と調和を図った整備と保全を行う。

  1. 動植物の生息・生育・繁殖場所については、設計段階や工事着手前など段階ごとに専門家の意見を聴くとともに必要に応じて調査を行い、それをもとに対応策を検討・実施するなどして保全に努める。 
  2. 河岸保全のためコンクリートによる護岸整備を行う場合でも、川の流れを固定化しないようにするなど、河川の自然の営みを活かした川づくりにより、地域の河川景観を活かし、動植物の生息・生育・繁殖に適した水辺環境の創出に努める。併せて、地域の暮らし、歴史及び文化との調和並びに多様な河川風景に配慮し、沿川と調和した河川景観の保全及び形成に努める。
  3. 水辺に近づけるよう、緩傾斜護岸、斜路、階段など降りられる施設を整備する。特に、市街地を流れる河川や公園など人々が集まる施設がある河川では、地域の住民の意見を聴きながら、人と河川とのふれあいの場となるよう整備する。
  4. 水辺景観の保全及び河川利用推進の観点から、河川の豊かな水量を保持するため、農業用水等の利水者と調整を図るとともに、関係機関の環境部局及び地域の住民と連携して河川の水質の改善に取り組む。

2) 長寿命化対策

 河川の景観、水質、動植物の生息・生育に配慮した水循環を確保するため、関連する河川管理施設の機能を適切に維持する対策を実施する。
 群馬県河川構造物長寿命化計画(平成28年7月)に基づき、関連する河川管理施設の点検、巡視等を行い、施設の状態把握に努め、必要に応じて補修や更新を行い、長寿命化を図る。
 邑楽・館林圏域における長寿命化対策の対象となる県河川管理施設は以下のとおりである。

表 長寿命化対策対象施設(河川環境関連施設)
河川名 施設名 設置年度 位置 備考
鶴生田川 浄化揚水ポンプ場 平成8年度 館林市松沼町 再掲
鶴生田川 礫間接触酸化浄化施設 平成12年度 館林市成島町  
新谷田川 新谷田川統合堰、取水ゲート 昭和61年度 千代田町新福寺 再掲
休伯川 富士堰 平成2年度 大泉町富士2丁目 再掲

第2節 河川の維持の目的、種類及び施工の場所

 河道に堆積した土砂や繁茂した草木等が河川管理上支障となる場合は、河川環境に配慮しつつ、堆積土の除去、立木の伐採、草刈り等の必要な対策を行う。
 堤防の変状、異常、損傷等を早期に発見することを目的として、適切に堤防点検、巡視等を実施する。堤防が不等沈下、法崩れ、ひび割れ等により弱体化した場合は、堤防の嵩(かさ)上げや腹付け等の必要な対策を実施し、堤防の機能が維持されるよう努める。
 護岸の亀裂等、河川管理施設の異常を早期に発見するため、定期的な河川の巡視を行うとともに、異常を発見した場合には、速やかに修繕等の必要な対策を行う。なお、修繕、改築等を行う場合にも、河川環境の回復及び保全に努める。
 取水堰や橋梁(きょうりょう)などの占用施設で、河床及び河岸の洗掘や流下断面の阻害など河川管理上支障となるものについては、施設管理者と調整し、適切な処置に努める。また、施設の新築や改築に当たっては、施設管理者に対して、治水上の影響及び河川環境の保全について指導する。
 調節池及びそれに係わる施設等を常に良好に保つために必要な点検を行い、その機能の維持に努める。
 地域の住民と協力して良好な河川環境を維持するため、草刈り、河川清掃等の河川愛護活動を積極的に支援する。また、環境調査や保全活動の情報を共有するなどして、地域との協働による環境保全に努める。

第5章 河川情報の提供、地域や関係機関との連携に関する事項

第1節 河川情報の提供に関する事項

 河川整備目標の実現までには長期間を要すること、また、計画を上回る規模の降雨が発生する可能性もあることから、河川整備によるハード対策と併せ、情報提供等のソフト対策を実施する。降雨の状況や河川水位の情報をリアルタイムで収集し、関係機関や地域の住民に提供することにより、水防活動等の対策の支援を迅速に行い、洪水被害の軽減を図る。
 ホームページへの掲載、パンフレットの配布、イベントの開催等により、河川に関する様々な情報の提供を行い、河川整備に関し広く理解を得られるように努める。
 洪水時の住民の的確な避難行動につながるよう、水防災意識社会再構築ビジョンに基づき、洪水監視カメラの整備や、市町による洪水ハザードマップ作成支援のため、洪水浸水想定区域図の作成及び更新を行う。
 住民の防災意識の向上を図るため、洪水や被害の記録を残し、これを周知するとともに、地域に伝わる歴史的な治水の技術や水防の知恵が継承されるように努める。

第2節 地域や関係機関との連携等に関する事項

(1)常時の連携

 河川整備の実施に当たっては、河川事業、排水事業等の関連事業を実施する国や関係市町と連携を図る。
 洪水時の連携強化のために、また、防災情報伝達演習や重要水防箇所の点検などを関係機関と実施する。
 圏域全体を視野に入れて適正な河川管理を行うために、開発行為や土地利用について関係市町や関係機関と連携を図る。
 良好な河川環境の保全を継続するために、地域の住民の理解を求めるとともに、地域の住民との連携及び協力体制の確立に努める。
 水質事故による油等の流出が発生した場合は、事故状況の把握、関係機関への連絡、被害の拡大防止措置、河川や水質の監視、事故処理等を原因者や関係機関と協力して迅速に行う。

(2)洪水時の連携

 流域住民の避難判断が速やかに行われるよう、水防災意識社会再構築ビジョンに基づき、水害ホットラインや水害対応タイムライン等を構築するなど、さまざまな手段により国、市町、報道機関、消防、警察等の防災関係機関との連携を強化し、防災情報の共有や情報伝達体制の充実に努める。また、排水機場等の運転状況等の情報を、関係市町に速やかに伝達する連絡体制を構築する。

(3)渇水時の連携

 渇水対策が必要となる場合は、関係利水者等で構成する利根川水系渇水対策連絡協議会等を通じ、関係利水者による円滑な協議が行われるよう、情報提供に努めるなど、関係機関と連携して被害の軽減に努める。

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