本文
利根川・渡良瀬川合流域の水場景観
(一級河川谷田川 板倉町)
本計画は、河川法第16条の2に基づき、邑楽館林圏域の一級河川において今後30年間に行う整備の具体的な内容を、学識経験者、地域住民及び関係市長の意見を聞いて定めたものであり、平成16年2月に国の認可を受けた計画を掲載するものです。なお、適宣その内容について点検を行い、必要に応じて変更するものとします。
邑楽・館林圏域河川整備計画(平成16年2月27日認可) (PDF:1.52MB)
第1節 河川の概要
第2節 洪水による災害の発生防止又は軽減に関する事項
第3節 河川の利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項
第4節 河川環境の整備と保全に関する事項
第1節 計画対象区間及び計画対象期間に関する事項
第2節 洪水による災害の発生の防止又は軽減に関する事項
第3節 河川の適正な利用及び流水の正常な機能の維持に関する事項
第4節 河川環境の整備と保全に関する事項
第1節 河川工事の目的、種類
第2節 河川の施工の場所及び設置される河川管理施設の機能の概要
第3節 河川の維持の目的、種類及び施工の場所
第1節 河川情報の提供に関する事項
第2節 地域や関係機関との連携等に関する事項
邑楽・館林圏域は、群馬県の南東端に位置し南北を利根川、渡良瀬川に挟まれた県内で最も標高が低い地域で、太田市の一部と館林市、大泉町、邑楽町、千代田町、明和町、板倉町の2市5町で構成されている。
圏域内を流れる河川としては、利根川、渡良瀬川、矢場川など国が管理する河川と、これらに流入し県が管理する谷田川、板倉川、多々良川、休泊川など21の河川がある。
当圏域の地形は、洪積台地と沖積低地の二つに大別される。洪積台地は、邑楽館林台地と呼ばれ、大泉町から板倉町まで東西に延びる内陸砂丘を基盤として堆積したロ-ム層台地で圏域の脊梁を形成している。所々で利根川や渡良瀬川の変流で浸食された低湿地・池沼が分布し、それが圏域の水系の幹線をなしてきた。概ね台地の西半は平坦な地形が広がっているが、東半は沖積低地に囲まれて比高差のある舌状台地を形成している。洪積台地の地質は、主として礫・砂・粘土の互層であり、その上部を関東ローム層が被覆している。沖積低地は、主として水田として利用されている地域で利根川、渡良瀬川の氾濫堆積作用で形成され、未固結の細礫・砂・粘土からなり、泥炭や黒泥土などの有機層もみられ、軟弱な地盤となっている。
気候は、内陸性の気候で年間降水量は、約1,200ミリメートルであり全国平均の約1,750ミリメートルより少なく、県内でも降水量の少ない地域である。また、年平均気温は約15度で、前橋の平均気温約14度より高く比較的温暖な地域である。
月毎の降水量は、梅雨期の6月と台風期の9月が多く、冬期は降雪も少ないため、降水量はかなり少なくなっている。
当圏域には、行人沼、多々良沼、城沼、茂林寺沼などの池沼、湿原や水田が多く、県内でも特色ある低湿地性の自然環境を有しており、「茂林寺沼及び低湿地湿原」が県の天然記念物に、「ビワ沼のオニバスと水生植物群」、「行人沼の水生植物群」「肘曲池と水生動植物群」が板倉町の天然記念物に指定されている。また、これら池沼や周辺の湿原の豊かな自然環境を保全するために、さまざまな地域指定が為されている。行人沼周辺が自然環境保全地域として、茂林寺沼周辺が緑地保全地区として、そして城沼周辺及びハクチョウの集団飛来地としても有名な多々良沼周辺が鳥獣保護地区として、それぞれ指定されている。
洪積台地と池沼地が織りなす自然環境は、人々の生活活動の場として恵まれているため、原始・古代から板倉町の板倉沼周辺貝塚群、大泉町の古海古墳群、板倉雷電神社、千代田町光恩寺など多くの遺跡や史跡・文化財が残された。近世になると、徳川幕府の要地として、利根川、渡良瀬川の築堤事業が進められ、農業を始めとして諸産業が発展し、近代地域社会形成の礎となった。
そうしたなかで、特に板倉町を中心とする低地地域では、洪水時に備え、屋敷の一部に高く土盛りして建物(倉庫が主)を建てた「水塚」や避難に使用する舟を軒下に吊す「揚舟」を備えるなど、洪水時に備える生活の知恵を育み、現在に伝えている。
稲作が盛んなこの地域の用水路の開削は、16世紀末の休泊堀が、その始めとされ、その後も新田開発のために三栗谷用水、利根加用水などの用水路が相次いで整備され、現在では渡良瀬川の太田頭首工、邑楽頭首工、利根川の利根大堰(邑楽用水路)により安定的な取水が可能となり、県内有数の穀倉地域となっている。
産業構成としては、穀倉地域の中心である板倉町、明和町、千代田町は、第一次産業の比率が高く、大きな自動車、電器工場がある太田市、大泉町は、第二次産業の比率が高くなっている。
土地利用状況は、農地が全体の約46パーセントと大部分を占めており、宅地が約23パーセント、山地は約4パーセントを占めている。経年的な変化をみると、各市町とも宅地の増加および農地の減少が見られる。
人口は太田市全域を含めて、約33万人であり、太田市の人口が最も多く、次いで館林市、大泉町、邑楽町、板倉町、千代田町、明和町と続いている。全域の人口・世帯数ともに、わずかに増加の傾向であるが、太田市、館林市を除き近年は、頭打ちの傾向である。
当圏域からは、東武鉄道、東北自動車道により、東京に1時間程度でアクセスでき、また、東武鉄道、国道、県道によって、栃木県、埼玉県、茨城県とも有機的に結ばれていることから、首都圏や他県へ通勤、通学する住民も多く、県内でも他地域との関係が最も深い地域となっている。これらの発達した交通網により、工業団地、住宅団地の造成、誘致が行われている。特に、板倉町の「板倉ニュータウン」では、緑あふれる快適な住環境を目指した街づくりが行われている。
利根川、渡良瀬川に挟まれ平坦で多くの池沼や豊かな緑に恵まれた当圏域は、県内有数の工業集積地であるとともに米や野菜などを中心とする農業も盛んで、近年では、幹線交通網の整備や住環境整備の進展も伴い、これらをバランス良く発展させる地域づくりが望まれている。
邑楽・館林圏域には県が管理する河川が21あり、国が管理する利根川、渡良瀬川、矢場川に注いでいる。
当圏域は、昔から多くの水害が発生し、堤防の築造や水防に腐心してきた。
一方、新田開発のため、相次いで用水路を建設整備し、治水・利水の両面から対策を行ってきた。近年では、国が利根川、渡良瀬川に大きな堤防を築造し、また、数多く整備された用水路の一部が地域排水の必要性から一級河川となっている。このため県が管理する河川は、利根川、渡良瀬川の堤防に囲まれた低地を流れているため、洪水時に利根川や渡良瀬川の水位が高く自然に排水できない場合には、ポンプによる強制的な排水が必要となっている。また、平常時に利根川、渡良瀬川から取水された水は、有機的に結びついた河川や用排水路網の間を複雑に流れている。
谷田川は、流域内の農業用水や排水などを集め、途中新谷田川、五箇川、新堀川、近藤川、鶴生田川を合流しながら千代田町、明和町、館林市、板倉町を流れ渡良瀬川に注ぐ流路延長約20.3キロメートルの一級河川で、当圏域で最も大きな流域面積を持つ河川である。
谷田川、新谷田川、五箇川、新堀川、近藤川の流域は、大部分が水田で広い田園風景の中を流れる河川となっている。谷田川の河床勾配は、非常に小さく平常時の流れは緩やかで、また洪水時には、渡良瀬川の水位が高く自然に合流できない場合には、国が管理する谷田川排水機場、谷田川第一排水機場、谷田川第二排水機場、新堀川排水機場によって利根川及び渡良瀬川に排水している。
館林市の市街地を流れる鶴生田川は、都市河川の様相を呈しており、ツツジで名高い城沼は、浚渫により洪水調節機能を確保している。近藤川は、鶴生田川の上流部の洪水を導く放水路として整備を行い、一部はトンネル河川となっている。また、鶴生田川には、多々良沼から水質浄化を図る浄化用水を導いている。
なお、谷田川の水位が高く宮田川などの準用河川が自然に合流できない場合には、宮田川排水機場、千津井排水機場、蛇沼川排水機場、佐貫排水機場(いずれも県管理)によって谷田川へ排水している。
板倉川は、流域内の農業用水や排水などを集めながら板倉町を流れ渡良瀬川に注ぐ、流路延長約4.5キロメートルの一級河川である。周辺の大部分が水田であり、広い田園風景の中を流れているが、その一方で「板倉ニュータウン」の整備により下流部においては、街の中を流れる川となっている。
板倉川を始め泉野川、朝日野川、海老瀬川は、「板倉ニュータウン」の造成に合わせて整備を行っている。また、渡良瀬川の水位が高く自然に合流できない場合には、邑楽東部第一排水機場、邑楽東部第二排水機場により渡良瀬川に排水している。
多々良川は、渡良瀬川の太田頭首工から取水している農業用水や流域の排水などを集めて邑楽町を流れ、多々良沼に流入し、その多々良沼で、邑楽町の市街地を流れる孫兵衛川を合流し、さらに多々良沼から矢場川に注ぐ流路延長約9.5キロメートルの河川である。なお、木戸堰より下流が国が管理する区間となっている。
藤川は、太田頭首工から取水している農業用水や流域の排水などを集めて邑楽町北部を流れ矢場川に流入する流路延長約4.6キロメートルの一級河川である。
休泊川は、太田頭首工から取水している農業用水や流域の排水などを集め太田市、大泉町の市街地を流れ、利根川に注ぐ流路延長約6.9キロメートルの一級河川である。
流域の都市化による流出増対策として、洪水を富士堰で分流し新谷田川放水路により利根川に排水している。また、新谷田川放水路は、利根川の水位が高く自然に合流できない場合には、国が管理する休泊川排水機場により排水している。
邑楽・館林圏域における、過去の大きな水害は、昭和16年、昭和22年、昭和41年、昭和57年、昭和61年、平成3年、平成10年に発生している。
なかでも昭和22年のカスリーン台風は当圏域だけでなく群馬県全域で未曾有の大災害をもたらした。また最近では、昭和57年の台風18号において大きな被害が発生したことは記憶に新しく、昭和61年の台風10号、平成3年の台風12号、及び、平成10年の豪雨においても家屋浸水被害が発生している。
当圏域の水害で特徴的なのは、利根川、渡良瀬川に挟まれていることから、これら河川の築堤が進んだ近年では、内水氾濫の被害形態を示すことである。
邑楽・館林圏域における県による治水事業は、昭和21年から谷田川の河川改修に始まった。谷田川は、築堤による河道拡幅を行い昭和40年代後半には、現在の形態となった。
その後、谷田川の支川である新堀川、鶴生田川及び休泊川、多々良川についてそれぞれ河川改修に着手した。特に鶴生田川、休泊川は、人家密集地域を流れ河道拡幅が困難なことから放水路による治水対策も行った。また、鶴生田川については、城沼で洪水調節機能を持たせるための浚渫にも着手している。
その後更に、新谷田川、藤川、孫兵衛川、五箇川についても河川改修に着手し、孫兵衛川は、洪水調節池による治水対策も併せて実施している。また、板倉川については、「板倉ニュータウン」建設を契機に、ニュータウン及びその周辺の治水対策として、河道拡幅、洪水調節池、排水ポンプによる治水対策を実施している。
これらの治水事業のうち、休泊川の放水路(新谷田川放水路)、鶴生田川放水路(近藤川)、については、事業が完了している。
邑楽・館林圏域は、利根川、渡良瀬川の堤防に囲まれた内水氾濫の地域であることから、浸水被害を軽減するためには、排水ポンプによる強制的な排水が不可欠であり、排水機場の整備も行われている。これまでに、利根川、渡良瀬川に排水するポンプとして谷田川で4箇所合計88.1立方メートル毎秒、板倉川が2箇所合計で24.8立方メートル毎秒、休泊川が1箇所20.0立方メートル毎秒が完成している。また、宮田川など準用河川から谷田川に排水する施設として、小規模な排水ポンプを4箇所合計9.0立方メートル毎秒を整備している。
このような治水施設の整備により大きな洪水被害は減少したが、依然として多々良川、休泊川上流部の未改修区間での溢水による浸水被害、及び利根川、渡良瀬川の水位上昇に伴う内水氾濫による浸水被害が発生しており、さらに今後、圏域内における宅地化の進行も予想されることから、浸水被害軽減のための治水対策が今後とも必要である。
邑楽・館林圏域における河川の水利用は主に農業用水である。そのほとんどが、利根川、渡良瀬川に水源を求めており、渡良瀬川から太田頭首工、邑楽頭首工により圏域北部に、利根川から利根大堰の邑楽用水路等により圏域南部に用水供給を行っている。取水した用水の一部は、休泊川、藤川、多々良川、新堀川などの河川に流入させ再び取水する形態となっている。
このような河川の水利用の状況において、圏域の各河川の平常時の流況は、利根川、渡良瀬川からの用水供給が多い夏期においては、比較的良好であるが、用水供給が減少する冬期においてはあまり良くない状況である。
今後の邑楽・館林圏域の河川の水利用は、農地の増加は予想されず、また工業用水、生活用水などの都市用水についても、利根川、渡良瀬川に求めていることから、大きな変化(用水の増加)は期待できない。
邑楽・館林圏域において、水質について類型指定され環境基準が定めてある河川は、休泊川、谷田川、鶴生田川の全域でC類型(BOD値5ミリグラム毎リットル以下)となっている。休泊川、谷田川、鶴生田川での水質を河川の汚濁の代表的な指標であるBOD値で見ると何れも10ミリグラム毎リットル程度であり、環境基準を達成できていない。これら3河川は、ここ数年の水質調査の結果が常に群馬県のワースト5に入っている。また、他の河川についても水質調査の結果は、BOD値であまり良くない状況である。このため地域住民は、河川の水質に対して関心が高くなっている。
鶴生田川では、「水環境緊急行動計画(清流ルネッサンス21)」を策定しており関係機関や市民と連携を図った水質浄化対策を行っている。河川事業としては、多々良沼からの浄化用水の導水や礫間接触浄化施設の整備を行っている。
一方、その他の河川では特に対策を行っておらず、関係機関と連携した水質浄化対策が必要である。
自然環境としては、多くの池沼、湿原や河川に豊かで特色ある生態系が存在している。圏域東部の谷田川下流部や海老瀬川には、エノキ、アカメヤナギなどの河畔林が見られ、水際などには、ヨシ、オギが繁茂し動物や昆虫の生息基盤を形成している。また、河川に隣接する、肘曲池(ひじまがりいけ)、蛭田池(びるたいけ)、天神池(てんじんいけ)などの池沼は、河川と一体となった動植物の生息・生育環境となっており、肘曲池には、サンショウモが群生し、水郷公園付近の谷田川のヨシ群落の中にはタチスミレも点在している。谷田川の中流部から上流部や新谷田川、近藤川、新堀川沿いには、水田が広がり田園風景となっている。それら河川のほぼ全域に、オギ、セイタカアワダチソウが見られ、大きな群落も形成している。圏域中央部の邑楽台地を流れる鶴生田川の一部である城沼は、夏季には、アオコの発生がみられる富栄養化した沼である。かつて治水対策として垂直な護岸や沼の浚渫を実施したが、近年では、自然豊かな水辺とするため、多々良沼から浄化用水を導水し、護岸の緩傾斜化を行い、ヨシ、ガマ、マコモなどの植物が復元されつつある。また、邑楽台地のもう一つの沼である多々良沼は、多々良川の一部であり、東毛地域最大の池沼である。多々良沼から逆川沿いの南側の台地は、古砂丘が形成されていて、アカマツ林と共に独特な景観を示している。多々良沼は、かつて水生生物の宝庫と呼ばれ、タタラカンガレイなどの地域固有の植物や淡水海綿類、ムジナモなどの生育地として知られていた。最近では、ハクチョウの集団飛来地として有名である。市街地を流れる休泊川、孫兵衛川、鶴生田川は、コンクリートによる2面張の護岸が整備されており、動植物の生息・生育環境としては厳しい環境となっているが堆積土砂には、ヨシやマコモが生育している。生息魚類としては、圏域内のいずれの河川も傾向は同じで、コイ、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、モツゴなど温水性(冷水性)の魚種が多く確認されている。本圏域の特徴的な魚種として、スズキやボラといった回遊魚、県内の減少魚種であるキンブナやメダカ、及び捕食性の外来種であるブラックバスやブルーギルが確認されている。また、本圏域は県内でも多くの魚種が生息している地域で、圏域内では29種が確認されている。
河川の利用としては、谷田川の水郷公園、城沼のつつじが岡公園、多々良沼公園など、貴重な自然空間やオープンスペースとして市民の利用のみならず、観光名所ともなっている。また、谷田川、城沼、多々良沼などでは漁業権も設定され、多くの釣り人たちで賑わっている。
また、河川への市民の関心も高く、多くの市民団体が河川美化、水質保全などを目的とした活動を行っている。
計画対象区間は、邑楽・館林圏域の県が管理する一級河川のうち、下表に示す区間とする。
計画対象期間は、今後30年間とする。なお、社会状況、災害の発生状況等に応じて、適宜見直しを行うこととする。
河川名 | 計画対象 | 区間延長 |
---|---|---|
板倉川 | 昭和橋(町道)から二ツ橋(町道)まで | 約2,400メートル |
海老瀬川 | 大杉橋(町道)から渡良瀬川合流点まで | 約600メートル |
休泊川 | 泉大橋(国道354号)から榎戸橋(県道)まで | 約3,800メートル |
多々良川 | 堀田橋(県道)から簀の子橋(町道)まで | 約2,900メートル |
孫兵衛川 | 中野橋(県道)から篠塚橋(国道354号)まで | 約1,780メートル |
鶴生田川 | 尾曳橋(市道)から2号橋(国道122号)まで | 約2,600メートル |
新堀川 | 導水路利根川合流点から谷田川合流点まで | 約1,570メートル |
谷田川 | 八間樋橋(町道)から蛭田橋(町道)まで | 約1,700メートル |
邑楽・館林圏域の河川において、昭和57年9月の台風18号及び昭和61年8月の台風10号と同程度の降雨(概ね10年~20年に1回程度発生する降雨)により発生すると予想される浸水被害を軽減することを目標とする。ただし、下表に示す市街地については、概ね30年に1回程度発生すると予想される浸水被害を軽減することを目標とする。
流域名 | 河川名 | 対象地域 |
---|---|---|
谷田川 | 鶴生田川 | 館林市街地 |
休泊川 | 休泊川 | 大泉市街地 |
板倉川 | 板倉川、海老瀬川 | 板倉ニュータウン |
邑楽・館林圏域の河川の流量は、利根川、渡良瀬川から取水する各用水の供給に影響されることから、各用水の取水量や取水系統等を調査し、また河川においては、流量観測を継続して実施し、河川の水利用、景観、水質、動植物の生息・生育を配慮した流量を定めるため今後慎重に検討して行く。
湿地性の動植物が生息・生育している水辺を可能な限り保全・再生することとし、自然を活かしながら水質浄化にも効果のある植物(ヨシ、柳など)の植栽や粗朶工など水辺環境の整備を行う。なお、施工する工法及び実施区間については、地域住民や専門家と協議しながら実施する。
景観や親水性など調和のとれた河川空間の整備を行い、人と河川とのふれあいの場を整備するものとする。特に人々が集まる施設が隣接する河川においては、施設と一体となった利用が行えるように施設管理者や地域住民と連携した河川整備を行う。
河川の水質や河川空間を良好に保つため、下水道、環境部局などの関係機関及び地域住民やNPO、ボランティア団体及びそれらで構成する協議会などとの連携を図り、河川の浄化対策、住民の意識啓発のための施策、環境美化活動の促進等を行う。
洪水時における河川の水位を低下させ、目標とした流量を安全に流下させるため、河道を拡幅するとともに、洪水調節池を整備する。また、内水による浸水被害を軽減させるため、国、関係市町、関係機関と連携して、排水機場や洪水調節池の整備、河川、水路の拡幅を図るものとする。なお、渡良瀬川流域の農地への溢水、湛水被害を防止する国営総合農地防災事業渡良瀬川中央地区計画との整合を図っている。
また、工事の実施に際しては、河川の水利用の現状を調査し支障なく適正な水利用ができるよう、また水辺環境に配慮し、人々が川とふれあうことのできるよう考慮する。
河川工事の施行の場所及び設置される河川管理施設の機能の概要は次の通り。
板倉ニュータウン建設等流域内の開発が進んでおり、新たに形成される市街地の浸水被害を軽減するため、河道の拡幅及び排水機場の整備を実施する。
改修断面は、親水性や植物の生育等に配慮した2割勾配の土羽を基本とし、護岸は構造物付近等必要な箇所のみとして自然豊かな水際の整備に努める。
板倉川
海老瀬川
休泊川では、河積(川の断面積)が小さく、宅地・農耕地等に浸水被害が発生しているため、関連する道路事業とも連携を図りながら河道の拡幅を実施する。
なお、整備にあたっては既設のポンプ施設と整合を図りつつ整備計画断面を段階的に整備する。
改修にあたっては、地被植物が生えやすい多孔質なブロック等を使用するとともに、みお筋をつくるなど自然豊かな水際の整備に努める。
多々良川の堀田橋(足利邑楽行田線)より上流は、河積(川の断面積)が小さく、宅地・農耕地等に浸水被害が発生しているため、河道の拡幅を実施する。
改修断面は、親水性や植物の生育等に配慮した2割勾配の土羽を基本とし、護岸は構造物付近等必要な箇所のみとする。また、みお筋をつくるなど自然豊かな水際の整備に努める。
孫兵衛川の中野橋(足利邑楽行田線)より上流は、河積(川の断面積)が著しく狭小で住宅地、農耕地等に浸水被害が発生しているため、河道の拡幅を実施する。
改修断面は、中野橋から上流約230メートル間は住宅団地内であるため、地被植物が生えやすい多孔質なブロック等を使用するとともに、上流部は邑楽町の公園整備事業等と連携し、親水性や植物の生育等にも配慮した3割勾配の土羽を基本とし、護岸は構造物付近等必要な箇所のみとする。また、みお筋をつくるなど自然豊かな水際の整備に努める。
鶴生田川流域では、宅地や農耕地等に浸水被害が頻発していたため、昭和40年代より河道の拡幅や放水路建設、城沼の浚渫による治水容量の確保等を実施してきたが、さらに河道の河床掘削を実施することにより河積(川の断面積)を拡大する。
また、河床掘削により併せて川底に堆積している底泥を排除して、本川及び流入先の城沼における水質改善を図る。
館林市の市街地を流下し、本圏域のなかでも特に水質汚濁の著しい鶴生田川において、関係機関や市民と連携を図りながら水質浄化対策を実施していきている。
河川事業としては浄化用水の導入、鶴生田川の礫間接触浄化施設、城沼の底泥浚渫等を実施してきており、さらに鶴生田川本川の底泥浚渫、城沼の植生浄化施設等を実施する。
鶴生田川における水質浄化対策
(河川事業)
(河川事業以外の取り組み)
新堀川導水路は、新堀川流域等の浸水被害を軽減するため新堀川排水機場とともに整備されたが、導水能力が不足することから新堀川上流部で農耕地等に浸水被害が発生している。このため、既設のポンプ施設と整合を図りつつ整備計画断面を段階的に整備する。
改修にあたっては、地被植物が生えやすい多孔質なブロック等を使用する。
谷田川の下流部は、過去の改修により築堤が実施されており、これに腹付け盛土を行い堤防の強化を図るとともに、谷田川河川敷の水郷公園など周辺と一体となった、やすらぎある水辺空間をつくるために側帯(桜づつみ)の整備を板倉町と連携して行う。
邑楽館林圏域内の維持管理は、河川のもつ特性や沿川の土地利用状況を踏まえつつ、「災害の発生の防止」、「流水の正常な機能の維持」、「河川の適正な利用と保全」、「河川環境の整備と保全」の観点から総合的に行う。
ア 災害発生防止のための管理
(ア)河川管理施設の維持管理
邑楽・館林圏域の河川において日常的に以下のとおり維持管理を行う。
(イ)河川情報の管理
河川の水位・流量や流域内の降雨などの河川情報を観測・収集して、洪水時の避難や渇水時の節水などを判断する基礎情報とする。
イ 洪水管理
平時から、水防団をはじめ地域住民に対し、洪水氾濫危険箇所を周知するとともに、災害関連情報の提供による水防意識の高揚を図るための広報活動を実施し、防災関係機関(報道機関、消防、警察、通信、電力等)との協力体制の維持強化を図る。
ウ 地震対策
気象庁が発表する震度が所定の値以上の場合には、速やかに震度や災害の規模に応じた体制を確保し、河川管理施設等の点検を行う。また、河川管理施設等に被害が発生した場合には、速やかに応急復旧作業を実施する。
エ 水量、水質への対応
(ア)水質、水量の監視
地域住民や関係県部局との連携のもと水量、水質の監視を行う。
(イ)啓蒙活動
関係機関と連携を図り、節水意識の向上や生活雑排水を直接河川へ流さないよう呼びかけるなど啓蒙活動を行う。
(ウ)水質事故への対処
有害物質が河川に流出する水質事故は、生息・生育する動植物のみならず、水利用者にも多大な被害を与える。そのため、日頃から関係機関との連携に努め、事故防止への注意を喚起するとともに、事故発生時には迅速に対応し、被害の軽減に努める。
オ ゴミ、土砂、車両等の不法投棄の防止
関係機関と連携を図り、地域と一体となった一斉清掃等の河川美化運動の実施、河川巡視の強化、警告看板の設置等により、ゴミや土砂、産業廃棄物、車両、船舶等の不法投棄の未然防止に努めると共に、不法投棄を発見した場合は、ただちに原因者に撤去させる。
インターネット、パンフレット、イベントの開催等により、河川に関する様々な情報の提供を行い、河川整備に関し広く理解を得られるように努める。
河川整備目標の実現までには、長期間を要すること、また、計画を上回る規模の降雨が発生する可能性もあるため、降雨の状況や河川水位の情報をリアルタイムで収集し、関係機関や地域の住民に提供することにより水防活動等の対策の支援を迅速に行い浸水被害の軽減を図る。
河川整備の実施にあたっては、国の河川事業、総合農地防災事業、下水道事業、流域市町の排水事業等の流域内の関連事業と連携を図る。さらに、流域全体を視野に入れて適正な河川の管理を行うため、開発行為や土地利用について流域市町や関係機関と連携を図る。
また、良好な河川環境を保全して行くために、流域の住民の理解と協力がなくてはならないことから地域住民との連携、協力体制の確立に努める。
油等の流出による水質事故が発生した際は、事故状況の把握、関係機関への連絡、被害の拡大防止措置、河川や水質の監視、事故処理などを迅速に原因者や関係機関と協力して行う。
河川管理者と防災関係機関(報道機関、消防、警察、通信、電力等)との防災情報伝達に努める。