本文
群馬県文化審議会(第4回)の概要(通算4回目)
1 開催日時
平成26年2月10日(月曜日) 午前10時00分~12時00分
2 場所
群馬県庁29階 第1特別会議室
3 出席者
委員12名
4 議題と主な意見
(1)美術品の購入について
事務局から文化振興基金による美術品の購入について説明を受けた後、意見交換を行った。
(2)各部会の開催状況について
美術館・博物館運営検討部会及び文化振興指針推進・評価部会からの報告の後、意見交換を行った。
【美術館・博物館運営検討部会に対する主な意見】
<連携事業について>
・委員
スタンプラリーやカレンダーも良いが、人に集まってもらうための連携だけでは足りないように思う。例えば、美術館に興味のない人たちを引き込むための連携は考えつかないか。
・委員
部会でコノドント館と大間々銀行が絹産業をテーマに連携した展示を行った報告があったが、こうしたテーマでの連携にはもっと可能性がある。美術の面から見る歴史や、土地と水といった自然史の観点からみる富岡製糸場など、テーマや地域の共通性をもっと意識してほしい。
これまでは各館が自分たちの予算でどうにか融通しようと考えてしまいがちだった。同じ敷地内であっても近代美術館と歴史博物館がコラボレーションすることは無く、周りの森も使えていなかった。それぞれ管理者が異なるが、今後、施設の使用などが滑らかに協働できるようになれば状況は良くなるのではないか。
・委員
歴史博物館に来た児童・生徒たちに隣にある近代美術館にも立ち寄ってほしい。多感な少年時代にであった1枚の絵が、時には人生を変える原動力にもなり得る。本物の美に日常的に触れてこそ、感性が磨かれる。
<指定管理者制度について>
・委員
美術館、博物館というのは、本県が持っている県固有の資源・資産を深く研究することを通じて県民に還元していく場所である。地域に即した専門性をしっかりと持っていなければ課題に答えることは難しい。単に入館者数が多いとか、お金がどうこうという問題ではない。少なくとも本県の美術館、博物館に指定管理者制度は似合わないというのが、美術館・博物館運営検討部会委員の共通した意見である、当面は直営館として維持するという位置づけを明確にした方がよい。
・委員
美術館、博物館というのは、いろいろなものを収集・発掘し、それを整理し点検して充実させていくもの。単に経済的な動機だけでは運営するのは難しい。博物館、美術館の本来の在り方を見据え、指定管理者制度については慎重に検討されたほうがよい。
・委員
指定管理者制度について、専門性の確保は非常に大切だが、それだけになってしまうと一般の鑑賞者と距離ができてしまう。部会でも専門性の確保という論点だけでなく、鑑賞者である県民の目線から見たときに公の施設がどうあるべきかというところを論理立てる必要がある。
・委員
公立の美術館、博物館として、その件が持っている資産に対してどう専門性を発揮できるかということが重要になる。学芸員には、自身が好きな分野だけでなく、まず件の職員であるということを念頭に置いた上で専門性を発揮してほしい。
・委員
指定管理者制度については、在り方についてもっと研究する必要がある。なんでもかんでも指定管理者というのが馴染まないのはそのとおりと思う。学芸員などには職員という立場にあった上での研究者なのだということをしっかりと認識してもらいたい。
【文化振興指針推進・評価部会の主な意見】
・委員
文化事業については数字で表しづらいポイントや工夫というものが大変重要になるが、それに対する評価の基準がなかなか出せない。ポスターデザインの視認性がちょっとわるいのではというような主観的に気になる点は今までもあったが、評価の上ではそういったことを指摘するのは難しい。現在の評価の枠組みで有効性や必要性を評価するのは難しいのではないかという気がするし、効率性のみを一人歩きさせることも避けたい。
・委員
他部所で事業評価をしたとき、評価をするのに一つの数値的な目標を挙げていたが、途中で方向性だけ評価するやり方の方がよいのではないかと課題になった。決められた枠の中で評価することが文化の評価方法として本当によいであろうか。数値目標は分かりやすいが、数値では文化の振興を果たせないこともあり得る。関係課とよく話をして、方向性を出すような目標設定に変えることも含めて検討してほしい。
・委員
ポスターデザインの話があったが、評価や改善すべき点など、人から言われないと分からない時もある。正直な感想が、担当者への批判ではなく、意見として言いやすい、風通しのよい組織の在り方が必要ではないか。
・委員
評価の難しさはだれもが感じていることと思うが、評価することが次の活動の活力になってくれるとよい。実施する側は一生懸命やってきたことを分かって欲しいと思って詳細に記述したいが、読む側としては単純化されている方がやりやすい。なかなか難しい。
・委員
効率性ばかりになってしまうという話がででているが、現場でも同じようなことが議論されている。中之条ビエンナーレでは外に発信していく上で、言葉とデザインを非常に重視している。それが中之条ビエンナーレというブランドを作ると考えているし、ひいては中之条のブランド力アップに繋がれば良いと思っている。しかし補助金などを受けると、デザイン費の高さや必要性がどうしても指摘されてしまう。中之条ビエンナーレに対する群馬県内の期待感も高まっているので、群馬のブランド力アップにも繋げていきたいと考えている。経済的な指標ばかりで、そうした想いが評価から抜けてしまうとしたら寂しい。
・委員
実践者は文化を作り上げ、継承していくために必要だと思うからやっている。その活動に対して、デザインにお金を掛けすぎだといわれても突っぱねる。しかし県の事業としてやるのであれば、県民に対して開かれたものにしなければならない。専門性をとるか、県民の理解をとるか、そのすりあわせが難しい。評価する上では、事業の目的が何で、最終的にはどう持っていきたいのかをはっきりさせた方が、評価基準をもっと具体化して落とし込めるのではないか。
・委員
評価基準で一番分かりやすいとなると、どうしても数字になってしまう。入館者数などは基本的なデータとして極めて重要だと思う。例えば中之条ビエンナーレであれば、今回初めてパンフレットを有料にしたが、それによって来場者数が前回と比べてどう変化したかという検討をするためにも重要になる。しかし一番重要なのは満足度。これは数値ではなかなか図り切れない。いろいろな評価の視点があるので、良い点、ダメな点を総合的に評価して改善策につなげて行くしかないと思う。
(3)平成26年文化関連予算について
事務局から予算及び新規事業について説明を行った。
〔主な意見〕
<富岡製糸場と絹産業遺産群の世界遺産登録について>
・委員
富岡製糸場と絹産業遺産群が世界遺産になることで、大勢の人が大挙して訪れることになれていない地域が世界遺産になるという、日本で初めての経験を私たちはこれから積もうとしている。文化的に研究したい人はどんなところでも来てくれるが、世界遺産観光を目的に来た人はそうではない。まだ楽しく観光できる基盤が整っているとは言えないので、本当に大丈夫なのかと怖くて仕方がない。世界遺産登録になった後をどうするかという危機意識をみんなで持っていかなければならない。
・委員
富岡製糸場だけがクローズアップされがちだが、関連する絹遺産となると50~60箇所もある。その中の蚕影碑の近くに住んでいる人から、観光客から碑について聞かれるがどう答えてよいか分からない。世界遺産に登録された場合、近所の者としてどうすればよいか困っているという話を聞いた。皆さんどうにか対応してくれているが、県でも対応を考えてほしい。
・委員
先日、出雲に旅行する機会があり、石見銀山にも立ち寄ったが、あまりに人がいなくてびっくりした。お土産屋さんで話を聞いたところ、登録から2~3年経ったら誰も来なくなったということだった。石見銀山は街並みも美しく、回遊性を持たせたり、他の地域資源も使うなどして複合的な魅力をアップさせているようだったが、それでもそんな状況だった。群馬でもいろいろ知恵を出して頑張っていると思うが、3年後のこともきちんと見据えていかないといけないと感じた。
<新規事業について>
・委員
新規事業の中で、ぐんま総合芸術推進というのは大変楽しみな企画だと思っている。メディア芸術推進というのは大変楽しみな企画だと思っている。メディア芸術祭ということで、多様な年齢層を取り込むために、若者を惹きつける取組に期待を寄せている。これからの文化の担い手となってもらう年代の取り組みが手薄になっているので、一層工夫してほしい。
(4)今後の審議会運営について
事務局から来年度の開催予定等について説明を行った。
審議会及び3つの部会について、平成26年度は下記のとおり開催することとした。
また、平成26年7月26日で委員の任期が満了となるため、改選を予定し、事務局で選任の手続きをとることとなった。
文化審議会 9月及び2月に各1回
文化振興指針推進・評価部会 12月
文化振興基金活用検討部会 6月~7月の間の1回
県立美術館・博物館運営検討部会 5月
5 会議資料
資料1 基金による美術品購入 (PDFファイル:115KB)
資料4 平成26年度文化関連予算 (PDFファイル:178KB)
資料5 今後の審議会の運営について (PDFファイル:85KB)
- 資料2は「県立美術館・博物館運営検討部会(第4回)」と同じ
- 資料3は「文化振興指針推進・評価部会(第1回)」と同じ