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13 再生可能エネルギーの固定価格買取制度の見直し等について
更新日:2014年12月15日
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再生可能エネルギーの導入拡大は、原子力発電への依存度の低減、エネルギー自給率の向上、地球温暖化防止、地域経済の活性化や雇用の創出、災害発生時の非常用電源の確保などの観点から極めて重要である。
今般、太陽光を中心とする再生可能エネルギー発電設備の電力系統への接続申込みが急速に増加したことにより、一部の電力会社においては、電力の安定的な供給に支障が生じるおそれがあるとして、接続申込みに対する回答を保留するという事態が生じており、また、東京電力管内においても一部の地域では「連系制約エリア」が設定されている。
こうした事態が長引くと、高まりを見せていた再生可能エネルギー普及拡大の機運が、一気に勢いを失うことになりかねない。
また、再生可能エネルギー発電設備の設置を進めている地域の事業者においては、今後の事業計画が見通せないことから混乱が生じているだけでなく、企業経営の不安が広がっており、ひいては地域経済再生の足かせになることも危惧される。
さらに、現在、総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会において、固定価格買取制度の在り方が検討されているが、その議論の行方によっては、導入拡大に向けた自治体の施策の推進にも影響が生じることが考えられる。
よって政府は、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要請する。
- 再生可能エネルギーの導入拡大に向け、エネルギー基本計画で示した水準(約2割)を大きく上回る導入目標値を設定し、必要な対策を計画的に実施すること。
- 固定価格買取制度における再生可能エネルギー賦課金の検討に際しては、国民負担の増加という側面だけでなく、地球温暖化防止、地域経済の活性化や雇用の創出、災害発生時の非常用電源の確保など、社会的な便益も総合的に勘案し、国民全体の理解のもとに検討すること。
- 固定価格買取制度における買取価格は、1で設定した導入目標値を中長期的に達成するために必要な価格設定を検討すること。また、買取価格の設定時期や適用時期については、発電設備の市場価格の動向を迅速に反映させる観点から見直しを検討すること。あわせて、設置費用を詳細に調査し、設置形態や設備の規模に応じた区分を細かく設定すること。
- 電力系統への接続可能量の検証に当たっては、再生可能エネルギーを最大限導入することを前提とした条件を設定すること。
- 系統連系制約が生じている現況に鑑み、電力会社への再生可能エネルギー発電設備の接続申込みの状況、電力系統別の接続可能量及び発電実績を早急に公表すること。また、事業者の事業計画策定における必要性等に鑑み、設備認定や接続申込みの状況及び発電実績を定期的に公表する制度を整備すること。
- 中小水力発電、バイオマス発電及び地熱発電は、発電出力が比較的安定していることから、系統運用上の制約も少なく、かつ、地域活性化に資するものであることを踏まえ、系統連系制約を早期に解除するとともに、導入までに必要な手続きの短縮など、早急に普及促進のための対策を検討すること。
- 運転開始前の太陽光発電設備に対する設備認定の報告徴収においては、土地利用に関する規制や地方公共団体との協議状況など詳細な報告を求め、要件の充足が確認できない場合は、厳正かつ迅速に認定を取り消すこと。また、電力会社に対して、認定を取り消した発電設備の系統連系接続契約を解除するよう指導することにより、系統連系制約の早期解除を図ること。
- 新たな接続可能量増強対策の検討に当たっては、送電線増強工事の入札など、試行的に実施している対策の結果をしっかりと検証し、公開すること。
- 電力系統への再生可能エネルギー発電設備の接続可能量を拡大するため、地域内や周波数変換設備などの地域間の電力系統の増強、既存の揚水発電の活用、大容量の蓄電池の導入と技術開発の推進、水素の蓄電機能の活用に向けた実証事業の実施など効果的な対策を早期に検討すること。また、その費用負担については、発電事業者に負わせるだけでなく、社会インフラを整備するという視点で、国の支援も含めて負担のあり方を検討すること。