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7 グローバル化時代における関東圏の発展について
少子・高齢化と急激な人口減少が進む中、国では、「地方創生」を我が国の将来を左右する重要な課題と捉え、地方と一体となって地域の自立的発展と持続可能な社会の構築を目指している。
一方で、我が国の経済発展をけん引してきた関東圏、とりわけ人口の集中する東京圏では、今後、企業の地方への移転や人口の分散を誘導するための税制度の見直しなどが検討されており、関東圏としても新たな視点から、活力の維持を考えていくことが求められる。
来るべき人口減少社会においても、関東圏において地域の活力を維持していくためには、海外に目を向け、振興著しいアジア諸国をはじめとした海外との交流が不可欠である。
おりしも、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてグローバル化の機運が高まっており、開催地及び多くのキャンプ候補地を擁する関東圏において、世界各地域とともに発展することはもちろん、国内・世界に向けて、サステナブルな成長のモデルを積極的に発信していくべきである。
グローバル企業や高度外国人材等が暮らしやすい、魅力あるまちづくりを進め、海外と国内、都市と地方、地方都市間など多様な地域を結ぶネットワークを強化し、新しい価値の創造を促して、新たな成長の原動力を生み出していかねばならない。
ついては、このような状況を踏まえ、次の事項について特段の措置を講じられたい。
1 外資系企業の進出を促進する環境の整備
外資系企業の進出を促進するため、税制や財政支援策の見直しを図るなど企業が活動しやすい環境を整備するとともに、地方公共団体が国やジェトロなど関係団体と連携して行う誘致について支援すること。
また、国際会議を始めとするMICE誘致の推進やシティセールス等を展開する地方公共団体への支援の充実・強化を図ること。
2 高度外国人材等にとって暮らしやすい環境の整備
外国人対応の医療機関、教育など生活の基礎となる環境の充実、日常生活に不安を感じさせない多言語に対応した支援体制の構築とその人材の育成・確保など、宗教や食文化への配慮も含めて外国人が滞在、生活しやすい環境の充実と整備の促進を図ること。
3 魅力ある観光地づくり等の促進
海外で高まる日本の関心を、実際の訪日旅行に結実させるため、美しい自然、海洋資源、豊かな農山漁村、魅力ある食文化等の観光資源を活かした地域づくりに対する支援を促進するとともに、短期滞在ばかりでなく、長期滞在も可能とする仕組づくりなど多様な観光振興政策を展開すること。
4 活力を広げるためのネットワークの強化
- (1)年間発着容量75万回が実現した成田・羽田両空港を最大限活用するとともに、空港施設の改善や人員の増加など出入国審査手続きの更なる円滑化・迅速化を図ること。
また、今後も拡大が見込まれるLCCやビジネスジェット等の航空需要に対応し、国際線ネットワークを更に充実させるため、航空機騒音等が地域に与える影響にも最大限に配慮しつつ、交通政策審議会航空分科会基本政策部会等でとりまとめた、将来的に首都圏空港の年間発着容量拡大を目指す基本的な方向性に従い、首都圏空港機能の更なる強化に向け検討を進めること。 - (2)「人」と「もの」のスムーズな流れを確保し、地域間交流の拡大を図るため、首都圏中央連絡自動車道や東京外かく環状道路等の高速道路ネットワークの整備を加速すること。
また、我が国の玄関口である成田国際空港から都心及び関東各地の産業・観光拠点等への快適なアクセスの実現のため、これらを結ぶ首都圏中央連絡自動車道の大栄・横芝間等の未開通区間や北千葉道路等の道路整備を加速するとともに、圏央道へのアクセス道路の機能強化や京葉道路等の渋滞対策についても早期に実施すること。
さらに、高速道路ネットワークをより賢く使い、その機能を最大限に発揮できるよう、首都圏三環状道路の整備状況、これまでの料金施策及び地方の意見などを踏まえ、一体的で利用しやすい新たな料金体系を構築すること。 - (3)都心と成田・羽田両空港間の鉄道アクセス改善に向け、国の責任において国家プロジェクトとして「都心直結線」の検討を進めること。
また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な運営を見据え、JR京葉線と東京臨海高速鉄道りんかい線の相互直通運転の実現など、都市鉄道のネットワークの拡大、利便性の向上を図ること。
さらに、長期的視点に立ち成田・羽田両空港に同一空港並みの利便性を実現させるため、国策として両空港間を結ぶリニアモーターカーの検討を開始すること。
5 治安対策、防災対策の更なる強化
日本が世界に誇る世界最高水準の治安を維持するため、警察活動における人的・物的基盤の強化を図るとともに、テロやサイバー空間の脅威への対策を強化すること。
また、犯罪の抑止に直結する住民の防犯意識の向上や街頭防犯カメラの設置促進と効果的な運用など、犯罪の起こりにくい環境づくりを進めること。
さらに、地震・津波、洪水などの大規模災害に備え、災害時における対策の強化を図ること。