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10 地域の実情に応じた大都市制度の見直しについて
人口減少が進行する中で、わが国が将来にわたって安全で快適な地域を維持し、世界的な都市間競争の中で、豊かで魅力的な地域を形成するためには、行政の効率化・最適化を図っていくことが重要である。
全国の指定都市市長会は、政令指定都市と道府県との二重行政の解消のため、これまで一貫して、道府県から独立した権限を有する「特別自治市」を求める提案を行ってきた。
国は、この課題に対処するため、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」を導入し、同法律に基づく「大阪都構想」の住民投票が実施されたところである。また、国は、地方自治法の改正により、平成28年4月から「指定都市都道府県調整会議」を設置することとし、併せて「総合区」の設置を可能とするなど、新しい動きも見られる。
道府県においても、大阪都構想のほか、中京都構想や新潟州構想の提起に見られるように、とりわけ、道府県庁所在地が政令指定都市である場合に、地域の魅力づくりや広域的な行政等において、道府県と政令指定都市との一体的な政策推進を図る大都市制度が模索されている。しかしながら、現行の「大都市地域における特別区の設置に関する法律」では、200万人以上という人口要件があり、対象となる政令指定都市は限定されている。
そこで、その限定要件を緩和し、地域の実情に応じた大都市制度の選択が可能となるよう、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」を改正し、「道府県庁が所在する指定都市」を対象とすることを検討されたい。