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12 平成27年9月関東・東北豪雨による被害への対応について
平成27年9月関東・東北豪雨により、茨城県及び栃木県においては6名の方が犠牲になったほか、両県において住家被害が13,000棟を超えるなど、甚大な被害が発生した。
河川、鉄道・道路等の公共施設、医療機関、社会福祉施設や学校施設、社会教育施設、農作物や農林業用施設にまで被害がおよぶとともに、多量の災害廃棄物が発生するなど、極めて深刻な被災状況にある。
国においては、去る10月7日、農地等の復旧事業に対し、全国を対象とする激甚災害を指定するなど速やかな対応がなされたが、地域住民の安全・安心な日常生活が一日も早く取り戻せるよう、次の事項について特段の措置を講じられたい。
1 被災者の生活再建支援について
被災者生活再建支援法の適用にあたっては、市町村の区域にとらわれることなく、同一災害の被災者が等しく支援を受けられるよう、制度改正を行うこと。
また、支援金の支給にあたっては、近年における住宅建設費用等の増加を踏まえて限度額を引き上げるとともに、対象となる被災世帯を「全壊」、「大規模半壊」に限定せず、半壊から対象とするほか、適用の基準に半壊世帯数を含めるなど、日常生活に大きな支障が生じる世帯にも拡大すること。
これらの財源を確保するため、被災者生活再建支援基金への国庫補助の割合を引き上げるなどの措置を講ずること。
さらに、災害救助法に基づく住宅の応急修理について、「半壊」の場合に求められる所得要件を撤廃し、被災者が等しく支援を受けられるよう特例措置を講ずること。
災害援護資金貸付金に係る被災者への貸付利率や償還期間などについて、被災者の負担軽減を図ること。
住宅金融支援機構の災害復興住宅融資制度について、住宅再建に係る被災者の負担軽減を図るため、現行制度よりも融資利率を引き下げるなど、特段の配慮を行うこと。
2 被災した農林業者への支援について
農林業用ハウス等の施設の再建及び修繕、農業機械の再取得等に対し、「被災農業者向け経営体育成支援事業」を早期に適用すること。
なお、同事業の適用にあたっては、倒壊した農林業用ハウスやハウス内に流入した土砂等の撤去及び農業用機械の修繕や耐用年数を超過した機械に対する特例を設けること。
農業共済制度の対象とならない収穫後の米についても、特段の救済措置を講ずること。
また、被災した農林業者が速やかに経営を再開できるよう、加入している農業共済の補償割合の嵩上げ措置や、災害関連資金の無利子化を図ること。
3 被災中小企業に対する支援について
被害を受けた中小企業に対し、事業再開に向けた施設・設備等の復旧に係る助成制度を創設するなど、必要な支援策を講ずること。
また、被災中小企業が融資を受ける際に、中小企業信用保険法において、セーフティネット保証の要件緩和や保証料の負担軽減、保証枠の拡大が図られるよう、早急に制度の充実を図ること。
さらに、被災により過大な債務を負った中小企業の事業再生を支援するために、中小企業再生支援協議会の支援体制の充実や中小企業再生ファンドへの出資の増額など、状況に応じた特段の配慮を行うこと。
4 公共土木施設等の災害復旧について
河川・橋梁をはじめ、砂防、道路等の災害復旧事業及びがけ崩れ等の災害関連緊急事業の早期採択と予算の確保を図るとともに、水道施設などのライフライン、医療機関、社会福祉施設、学校施設、社会教育施設等の復旧について、特段の支援策を講ずること。
また、山腹崩壊地や荒廃渓流、被災した治山施設、林道等を早期に復旧するため、必要な予算を確保するとともに、採択基準の緩和や事業対象の拡大を図ること。
なお、災害復旧事業の採択にあたっては、原形復旧にとどまらず、再度の災害発生を防止するため、必要な改良工事も事業対象に含めること。
5 洗掘された宅地部の復旧制度の創設について
今回被災した個人住宅部における洗掘箇所の復旧については、既存の補助制度では対応できない状況にあり、個人はもとより市が復旧するには、大きな財政負担を強いられるため、新たな支援制度を創設するなど、特段の措置を講ずること。
6 関東鉄道常総線に対する財政支援について
通勤・通学など地域住民の身近な交通手段である関東鉄道常総線においては、鬼怒川の決壊により線路設備等に深刻な被害が生じていることから、早急な全線復旧に向けて十分な財政支援など、特段の配慮を行うこと。
7 災害廃棄物の処理について
被災地域においては、今回の災害により大量の廃棄物が発生しており、その撤去のために過大な負担を強いられることから、必要な費用の全額を国が支援すること。
8 保健衛生対策について
感染症の発生・まん延を防止するため、被災地における消毒や害虫駆除等の感染症予防に係る財政措置について特段の配慮を行うこと。
また、避難所における健康管理などに従事した保健医療専門職の人件費等に係る財政措置について特段の配慮を行うこと。
9 激甚災害の指定について
公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助、中小企業に関する特別の助成等の措置について、早期に指定すること。
10 災害復旧に係る地方財政措置について
被災地方公共団体が被災者支援などのために必要な財政需要に柔軟かつ的確に対処できるよう、特別交付税の増額について特段の配慮を行うこと。
11 社会資本整備財源の十分かつ安定的な確保
国及び地方の社会資本整備財源を十分かつ安定的に確保することにより、災害に強い国土づくりを着実に進めること。
特に、今回の災害において国や県が管理する河川管理施設の多くに被害が生じたことから、鬼怒川をはじめとする各河川において治水安全度を高めるため、河川改修の迅速化を図ること。