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3.育児のしおり
(1)育児のポイント
育児の上で保護者の方に心得て頂きたい各時期のこどもの成長に合わせた育児のポイントを記したものです。
ゆったりとした気持ちで
赤ちゃんの成長や発達は個人差が大きいです。ほかの赤ちゃんとの違いをあまり気にしすぎないようにしましょう。毎日の育児は、身体的にも精神的にも負担がかかります。お母さん、お父さんにとっても、心と体の健康が一番大切です。休養をできるだけとって、何より健康であるよう心がけましょう。
体罰等によらない子育てのための具体的なポイント
子育てにおいて、しつけと称して、叩いたり怒鳴ったりすることは、こどもの心身の成長・発達にさまざまな悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。以下の点などを意識し、いろいろな人の力を借りながら、こどもを健やかに育みましょう。
- こどもの気持ちや考えに耳を傾けましょう
- こどもの成長・発達は一人ひとり異なります
- 環境を整え、こどものやる気に働きかけてみましょう
- 良いこと、できていることを具体的に褒めましょう
- 親自身は自分なりのストレス解消法を見つけましょう
※こども家庭庁ホームページ「体罰等によらない子育てのために」~みんなで育児を支える社会に~<外部リンク>
心配な時は相談を
健康診査は、赤ちゃんの健康状態を定期的に確認し、気になっていることを相談する機会です。特に1歳6か月と3歳の健康診査は全ての市区町村で実施しています。きちんと受診し、赤ちゃんのこと、育児のことでわからないこと、不安なことがあれば、遠慮せずに、医師、保健師、助産師などに相談しましょう。こども家庭センターや保健所、市町村保健センター等では電話相談も受け付けています。保健師、助産師、子育て経験者などによる家庭訪問や出産・子育て応援ギフト申請時の伴走型相談支援の面談等の機会も利用してみましょう。
共に子育てを
日本は、国際的に見ても、父親の家事・育児関連時間は低水準にあります。お父さんとお母さんがよく話し、二人で協力しあって育てていくという意識を持つことが大切です。
乳児期 (1歳まで)
泣くことは赤ちゃんのコミュニケーション
1~2か月頃の赤ちゃんが、おむつの汚れ、空腹以外で泣いたりぐずっているときは、だっこして十分なだめてあげましょう。赤ちゃんはお母さん、お父さんに抱かれると安心して泣き止みます。抱きぐせがつくと心配する必要はありません。6か月頃から夜泣きをする子がふえてきます。おなかがすいている様子があれば、夜中でも母乳やミルクをあげてかまいません。話しかけたり、抱いたり、ときには遊んであげたりすることも必要です。
赤ちゃんはだっこが大好き
赤ちゃんはだっこが大好きです。赤ちゃんがこわがったり、 不安そうにしたりしているときは、だっこしてよくなだめて安心させてあげましょう。
赤ちゃんに話しかけましょう
3~4か月になると、あやすとにっこり笑ったり、赤ちゃんから話しかけるような声を出したりするようになってきます。赤ちゃんの顔をのぞきこみ、話しかけて遊んであげましょう。
食べること
赤ちゃんは指をしゃぶったり、おもちゃを口に入れたりして遊びます。口の発達が促されますので、おもちゃなどは清潔にして与えましょう。9~10か月頃になると、自分で食べたがるようになります。
人見知りも成長の証拠
人見知りは、こどもによって時期や程度はまちまちですが、家族と見慣れない人の区別ができるようになった証拠です。同じくらいの年の子と一緒にいる機会も、少しずつ作ってあげましょう。
幼児期 (1歳頃)
自我が芽生えてきます
自分でできることが増えるにつれ、なんでも自分でやりたいという気持ちが芽生えてきます。思うとおりにできずに、泣いたり、怒ったり、大声をあげたりすることもありますが、うまくできたときはほめてあげて、やる気を育てましょう。
絵本を読んだり、お話ししてあげましょう
1歳6か月頃になると、動物やものを指差して教えてくれるようになります。一緒に絵本などを見て遊んであげましょう。 親子のふれあいの時間を増やし、言葉の発達を促すためにも、テレビ、DVD、 スマートフォンやタブレットなどを長時間見せるのはやめましょう。
生活リズムを整え、体をたくさん動かしましょう
早寝早起きの生活にすると、こども自身も元気よく遊べ、親も余裕を持って楽しく子育てができるようになります。歩いたり走ったり、体を十分に動かして、いきいきと楽しめる機会を作ってあげましょう。
幼児期 (2歳頃)
遊びは危険のない場所で
走ったり、体を動かしたりすることがますます好きになります。なるべく外遊びや友だちとの遊びの機会を作り、危険のない場所で自由に遊ばせてあげましょう。クレヨンなどでなぐり書きを楽しんだり、積木やブロックでなにか意味のあるものを作ったりして遊ぶようになってきます。一緒に遊んであげましょう。
自立心が強くなります
食事や着替えなど、自分ひとりでしたがるようになります。うまくできずに泣いて怒ることも多いのですが、少しずつほめながら、できることを増やしていきましょう。こわいことや、新しい体験に出会ったりして、お母さん、お父さんを求めてきたときには、だっこなどして優しく受け入れ、なぐさめてあげましょう。
少しずつ、 おむつを取る練習を始めましょう
「おしっこが出た」「うんちが出た」と言えるようになり、「出たら教えてね」という言葉も理解できるようになります。できたらほめる、失敗しても叱らないようにしていると、いつの間にかできるようになるものです。 夜のおむつが取れるのはまだ先です。
むし歯予防に取り組みましょう
むし歯ができやすい時期です。おやつの回数や時間を決める、仕上げみがきをする、フッ化物塗布を行うなど、むし歯になりにくい環境を整えましょう。甘味食品を食べ始めるとむし歯の原因菌が歯に付着しやすくなります。歯科医院を定期的に受診し口腔内の環境を整えていきましょう。
幼児期(3歳頃)
まだまだ甘えたい時期です
お父さん、お母さんは笑顔でこどもを抱きしめてあげましょう。
自己主張が始まります
好き嫌い、自己主張、自分本位な要求をすることがあります。一方的に拒否しないで、まず耳を傾けて、優しく対応しましょう。自分のことは自分でやりたがる時期です。ちゃんとできなくても、ちょっとだけ手を貸しながら、できることはやらせましょう。
上手に叱りましょう
危ないことやしてはいけないことについては、感情的にならず、なぜいけないのかを丁寧に伝えて、やめさせましょう。わかるようになったらほめてあげましょう。
家族で食事を楽しみましょう
家族そろった楽しい食事をとり、団らんの場を大切にしましょう。3 歳になって乳歯が生えそろうと、かむ力も育ってきます。歯ごたえのある物もゆっくりかんで食べることに慣れさせていきましょう。口を閉じて、よくかんで、健やかな顎の成長発育を促していきましょう。
幼児期(4歳)
友だちと遊ぶ機会を積極的に
4歳頃になると、役割を持った「ごっこ遊び」(ままごと、ヒーローごっこ、自動車ごっこなど)を楽しむようになります。友だちと遊ぶ機会を積極的に作ってあげましょう。
お手伝いしてもらいましょう
家庭で、手伝いの役割を持つことは良いことです。食事の準備や調理など、できることを少しずつ手伝ってもらいましょう
良いところをほめてあげましょう
こどもの良いところを探して、ほめましょう。忙しくても、おこさんの話に耳を傾けましょう。
デンタルフロスをつかいましょう
乳歯が生えそろうと、歯のかみ合わせの面だけでなく、歯と歯の間にもむし歯ができやすくなります。特に奥歯はデンタルフロスも使いましょう。
優しい気持ちで接しましょう
こどもは親のまねをします。親が優しく接することで、こどもも優しく育ちます。
親子でふれあい遊びを
手先の細かな動きが発達し、はさみや鉛筆も上手に使えるようになります。 家にある様々な材料を利用して、親子で何か作ってみてはいかがでしょうか。ボール遊びもできるようになります。
ひとりで着替えをさせましょう
時間がかかっても、励まし、出来たらほめてあげましょう。
家の中で役割を持たせましょう
食器を並べたり、片付けたりするお手伝いなどを楽しくさせましょう。遊んだ後のおもちゃの後かたづけも、自分でできる習慣をつけましょう。
言葉や想像力が発達します
5歳になると発音がはっきりし、きれいになってきます。タ行とサ行が混乱したり、言葉がつかえたりするときは、大人はむりに直そうとせず正確な発音でゆっくり話を聞いてあげましょう。絵本の続きのお話を一緒に考えるなど、こどもの想像力につき合ってあげましょう。
約束やルールを大切に
仲良しの友達ができて、よく一緒に遊ぶようになってきます。友達とさまざまな体験をするなかで社会性を身につけていきます。約束やルールを守り、自分の好き嫌いだけで行動することから卒業するように、励ましてあげましょう。
永久歯が生え始めます
一生使う大切な歯ですので、自分から歯みがきをする自主性を養いましょう。奥歯は大変むし歯になりやすいので、仕上げみがきを続けましょう。
※文部科学省ホームページ「子供たちの未来をはぐくむ家庭教育」<外部リンク>
※文部科学省ホームページ「家庭教育手帳-乳幼児編(ドキドキ子育て)」<外部リンク>
(2)乳幼児健康診査
3~4か月やその他の乳児期、1歳3か月及び3歳のお子さんに対して、問診・身体測定・診察・保健指導等の健康診査を行っています。1歳6か月児及び3歳児の健康診査では、歯科健診・歯科保健指導も受けられます。忘れずに受けましょう。
*乳幼児の健康診査は、受けられる年齢や回数が市町村により異なります。
(3)こどもの目の発達と弱視について
視覚は、生まれてから3歳頃までに急激に発達し、5歳頃には視力1.0以上となります。視覚の発達は6~8歳くらいまでとタイムリミットがあるため、この期間に、目の病気・異常などによって物をくっきりと見ることが妨げられると、視覚の発達は十分に進みません。異常があれば早期に発見し治療を開始することが大切です。
弱視の子どもは50人に1人といわれています。弱視とは、めがねやコンタクトで矯正しても視力が1.0に満たない状態のことです。子どもは弱視であっても自覚症状がなく、家族も全く気付かない場合がほとんどです。3歳児健診では視力検査や屈折検査をしますので、異常を指摘された場合は、必ず眼科医療機関で精密検査を受けましょう。3歳児健診で弱視を発見し、治療を継続することができれば、ほとんどの子どもは、小学校入学までに矯正視力が十分成長します。
- 屈折検査とは遠視・近視・乱視の度数を調べる検査です
- このようなときは早めに眼科医療機関を受診しましょう
- ひとみの奥が白く光ってみえる
- 黒目が白く濁ってみえる
- 生後1か月を過ぎても目が開かない
- 目つきがおかしい
- 黒目が揺れている
- 片目を手でさえぎるとひどく嫌がる
- 頭を傾けたり、横目で見たりする
- 物を見るときに異常に近くに寄ったり目を細めたりする
(4)耳のきこえと言葉の発達チェックリスト
赤ちゃんは 1歳前でも、色々な音を聞いたり、声を出したりして、話し始めるための準備をしています。出生後すぐに、聴覚検査ができますが、これにパスした場合でも、中耳炎やおたふくかぜなどによって、後から聴覚障害が起こることもあります。日頃からお子さんのきこえとことばの状態に注意をしていくことが、健やかな成長のためにとても大切です。
個人差もありますが、月齢ごとにチェックした項目が半分以下の場合は、念のため、医師やお住まいの保健センター等の保健師に相談してください。
家庭でできる耳のきこえと言葉の発達のチェックリスト (田中・進藤式)
[0か月頃]
( ) 突然の音にビクッとする
( ) 突然の音にまぶたをぎゅっと閉じる
( ) 眠っているときに突然大きな音がするとまぶたが開く
[1か月頃]
( ) 突然の音にビクッとして手足を伸ばす
( ) 眠っていて突然の音に目を覚ますか、または泣き出す
( ) 目が開いているときに急に大きな音がするとまぶたを閉じる
( ) 泣いているとき、または動いているとき声をかけると泣きやむか動作を止める
( ) 近くで声をかけると(またはガラガラを鳴らす)ゆっくり顔を向けることがある
[2か月頃]
( ) 眠っていて急に鋭い音がすると、ビクッと手足を動かしたりまばたきをする
( ) 眠っていて子どもの騒ぐ声や、くしゃみ、時計の音、掃除機などの音に目を覚ます
( ) 話かけると、アーとかウーとか声を出して喜ぶ(またはニコニコする)
[3か月頃]
( ) ラジオの音、テレビの音、コマーシャルなどに顔(または眼)を向けることがある
( ) 怒った声や優しい声、歌や音楽に不安げな表情をしたり喜んだり嫌がったりする
[4か月頃]
( ) 日常のいろいろな音(玩具・テレビ・楽器・戸の開閉)に関心を示す(振り向く)
( ) 名を呼ぶとゆっくりではあるが顔を向ける
( ) 人の声(特に聞き慣れた母の声)に振り向く
( ) 不意の音や聞き慣れない音、珍しい音にははっきり顔を向ける
[5か月頃]
( ) 耳元に目覚まし時計を近づけると、コチコチという音に振り向く
( ) 父母や人の声などよく聞き分ける
( ) 突然の大きな音や声に、びっくりしてしがみついたり泣き出したりする
[6か月頃]
( ) 話しかけたり歌をうたってやるとじっと顔をみている
( ) 声をかけると意図的にさっと振り向く
( ) ラジオやテレビの音に敏感に振り向く
[7か月頃]
( ) 隣の部屋の物音や、外の動物の鳴き声などに振り向く
( ) 話しかけたり歌をうたってやると、じっと口元を見つめ、時に声を出して応える
( ) テレビのコマーシャルや番組のテーマ音楽の変わり目にパッと振り向く
( ) 叱った声(メッ、コラなど)や近くでなる突然の音に驚く(または泣き出す)
[8か月頃]
( ) 動物のなき声をまねるとキャッキャ言って喜ぶ
( ) きげんよく声を出しているとき、まねてやると、またそれをまねて声を出す
( ) ダメッ、コラッなどというと、手を引っ込めたり泣き出したりする
( ) 耳元に小 さな声(時 計のコチコチ音)などを近づけると振り向く
[9か月頃]
( ) 外のいろいろな音(車の音、雨の音、飛行機の音など)に関心を示す(音のほうにはってゆく、または見まわす)
( )「オイデ」「バイバイ」などの人のことば(身振りを入れずにことばだけで命じて)に応じて行動する
( ) となりの部屋で物音をたてたり、遠くから名を呼ぶとはってくる
( ) 音楽や、歌をうたってやると、手足を動かして喜ぶ
( ) ちょっとした物音や、ちょっとでも変わった音がするとハッと向く
[10か月頃]
( ) 「ママ」、「マンマ」または「ネンネ」など、人のことばをまねていう
( ) 気づかれぬようにして、そっと近づいて、ささやき声で名前を呼ぶと振り向く
[11か月頃]
( ) 音楽のリズムに合わせて身体を動かす
( ) 「…チョウダイ」というと、そのものを手渡す
( ) 「…ドコ?」と聞くと、そちらを見る
[12~15か月頃]
( ) となりの部屋で物音がすると、不思議がって、耳を傾けたり、あるいは合図して教える
( ) 簡単なことばによるいいつけや、要求に応じて行動する
( ) 目、耳、口、その他の身体部位をたずねると、指をさす
(5)ほめる育児
群馬県では、ほめて育てるコミュニケーション・トレーニング(通称:ほめトレ)の取組を行っています。ほめトレは、良好な親子関係を築き、しつけを効果的に行うためのコミュニケーションを学ぶ、群馬県のオリジナルプログラムです。ほめトレでは、誰でもできる子どもへの接し方を学習できます。
時に、子育てに悩んでいらいらして、子どもをどなったり、たたいたりしてしまうこともあるかもしれません。しかし、どなったり、たたいたりすることは、親子関係を悪化させることにつながります。
日常生活の中で、子どもをほめたり、気持ちに共感したりすることで、子どもの自己肯定感を高め、自主性と自信を育む効果が期待できます。
群馬県ホームページ「ぐんまの親子 仲良しこよし 子育て講座「ほめて育てるコミュニケーション・トレーニング」(ほめトレ)について」