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本文

決算特別委員会議事録(その3) 平成28年10月31日(月曜日)

1.開催日時

平成28年10月31日(月曜日)10時00分開始 15時35分終了

2.開催場所

本会議場

3.出席委員

委員長:南波和憲、副委員長:岸善一郎
委員:関根圀男、委員:中沢丈一、委員:腰塚誠、委員:黒沢孝行、委員:松本耕司、委員:久保田順一郎、委員:須藤昭男、委員:織田沢俊幸、委員:狩野浩志、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:岩上憲司、委員:萩原渉、委員:星名建市、委員:伊藤祐司、委員:角倉邦良、委員:井田泉、委員:あべともよ、委員:水野俊雄、委員:後藤克己、委員:中島篤、委員:大手治之、委員:臂泰雄、委員:井下泰伸、委員:酒井宏明、委員:金井康夫、委員:原和隆、委員:金子渡、委員:安孫子哲、委員:清水真人、委員:藥丸潔、委員:小川晶、委員:高橋正、委員:金井秀樹、委員:本間惠治、委員:伊藤清、委員:山崎俊之、委員:荒木恵司、委員:大和勲、委員:川野辺達也、委員:本郷高明、委員:穂積昌信、委員:井田泰彦、委員:加賀谷富士子

4.欠席委員

なし

5.議事(その3)

再開(総括質疑)

南波委員長
 休憩前に引き続き決算特別委員会を再開し、総括質疑を続行いたします。

南波委員長
 角倉邦良委員、質問者席へ。

角倉委員
 リベラル群馬を代表して質問させていただきます。
 電力自由化に伴う企業局の発電と売電のあり方について質問いたします。群馬県は水力の発電量、また売電の売り上げが日本一であります。水力発電は再生エネルギーと位置づけられていて、今後、電力の小売りの自由化、また2020年の発送電の分離ということも踏まえ、県民にとってより価値を生む可能性があると思います。企業局の発電と売電状況について、売電収入が年間60億円を超えると言われているが、平成27年から過去5年間の企業局の発電量と、売電収入の推移について伺います。

関企業管理者
 企業局の電気事業は、群馬県の豊富な水資源を活用した水力発電を主に、複合ごみ発電や風力発電、更には、平成25年度からは太陽光発電にも取り組み、現在、36発電所を運営しています。年度毎の発電量は、ウェイトの大きい水力発電が特に降雨あるいは降雪量による河川流量の影響を大きく受けるほか、発電を停止して行う分解点検など、計画的には行っているものの年度によって実施する発電所数に増減があるため、変動しております。
 過去5年間の発電量及び売電収入の推移であるが、平成23年度の供給電力量は、9億7千4百万キロワットアワー、売電収入は70億2千6百万円、24年度については、それぞれ8億8千1百万キロワットアワー、62億9千5百万円、25年度は、7億2千2百万キロワットアワー、62億5千2百万円、26年度は、9億4千8百万キロワットアワー、67億4千6百万円、27年度は、7億4千7百万キロワットアワー、66億5千8百万円となっており、各年度増減があります。

角倉委員
 聞くところによると、平成27年は企業局として純利益が14億円くらいあり、10億円を県の会計に繰り入れることができたということです。県民にとっても、この10億円というのは大変な額でありますので、これからどうなっていくのかについては注目が集まっているわけです。
 そのような中で電力の自由化が始まりつつあるわけですが、売電契約の方法について伺います。地方公共団体が行う売電契約については、地方自治法第234条第1項及び第2項の規定により、一般競争入札によることが原則とされている一方で、随意契約も例外的に可能とされてきた。最近の電力自由化の法整備や改革が進む中で、これまでのように売電契約を随意契約で行うことは法的にどうかと思っております。実際上、新エネルギー庁が「卸電力取引の活性化に向けた地方公共団体の売電契約の解消協議に関するガイドライン」あるいは、総務省の「地方公共団体が行う売電契約について」ということで、電力の自由化の中で市場拡大してやっていくことについて、一般競争入札が望ましいとの通知が総務省から出ているわけですが、この契約のあり方について見解を伺います。

関企業管理者
 ご指摘のとおり、地方公共団体の契約については、一般競争入札により締結することが原則とされておりますし、政令で規定する事由に該当する場合のみ、随意契約とすることとなっております。売電契約についても同様であり、総務省から平成24年と26年の二度に渡り、「地方公共団体が行う売電契約について」の通知が出され、改めて一般競争入札が原則である旨の注意喚起はなされております。なお、企業局は平成21年に東京電力との間で15年間の電力受給基本契約を随意契約の方法で締結したが、これは、公営電気事業の現実的な売電先が一般電気事業者、これは東電含め全国に10ありますが、当時の電気事業法の「卸供給事業者」となって安定的に供給先を確保するため、関東地方で唯一の一般電気事業者である東京電力と長期の電力受給基本契約を締結したものであります。なお、地方自治法施行令第167条の2、あるいは地方公営企業法施行令第21条14に、随意契約の要件のひとつである、「その性質または目的が競争入札に適さないものをするとき」に該当するわけであり、この契約は平成28年4月1日施行の電気事業法一部改正後も引き続き有効であり、特に法的な問題はないと認識しております。
 なお、契約満了などで、今後、新たに契約を行う場合は、当然ながら原則一般競争入札になると認識しております。

角倉委員
 そうしますと15年くらいの長期契約を結ぶということで、平成36年3月までとなり、あと7年ほどあるわけです。ただしそれ以降は電力自由化により、何年か前まではこちらが売ると言っても電力会社が数社しかなかった中で、今は300も400も売電会社が出来ているということなので、今後契約が切れた時には一般競争入札になるという認識でよろしいですか。

関企業管理者
 基本的にはそうなります。

角倉委員
 基本的というのは、また例外もあり得るということですか。

関企業管理者
 原則基本的にと申し上げましたのは、今現在、電気事業法改正に伴い、固定価格買い取り制度も変更になっております。いわゆる固定価格買い取り制度ですと、例えば水力の千キロワットアワー以上はいくら、と決まっております。今までは小売り事業者に買い取り義務があったが、電力システム改革の法律改正を進める中で、今度は分社化が進む送配電事業者に固定価格買い取り制度に基づく電気の買い取り義務が生じるという方向が、今出されています。例えば八ッ場発電所がもし出来たら、その電気は送配電事業者に売らなければならないという規定になってしまうと、それは入札というのには馴染まなくなるかという意味で、あくまで原則と申し上げました。

角倉委員
 固定価格買い取り制度で買い取ってもらう率は、八ッ場発電があったとしても1割にも満たない状況かと思っています。大半が20年以上前に出来た発電なので、普通に一般競争入札をやれるという認識を共有しました。その上で企業局の売電の今後の取り組みについてです。県民の大切な資産である企業局発電による売電収入をより高く安定的に確保するために今後どのような選択肢があるのかについてです。私が考えるに、まずひとつは、東電との話し合い。15年契約ですが、2年に一度、契約について話し合いをするということで、来年3月でその2年契約が終了するわけで、今後について話し合いが始まると思うんです。そのような中で、一つ目は東電との交渉の中で買い取り単価を上げてもらうということがあると思います。二つ目は、東電との契約を解除して新たな契約を別会社と結ぶという選択肢もあると思います。三つ目、今般、中之条町が自分たちで売電会社をつくったわけですが、群馬県自らが発電し売電する会社をつくる。この三つの選択肢があると思っておりますが、企業局として今後どのように取り組まれるのか、伺います。

関企業管理者
 企業局としては「売電収入をより多く、安定的に確保」し、且つそれを県民に還元していくことが県民福祉の向上につながると考えており、少しでも増収につながるよう最適な売電方法、あるいは売電先を含めて検討しております。加えて東京電力との電力受給基本契約の解約も含めて検討しております。しかしながら、基本契約を解約した場合には、多額の補償金の請求が見込まれることから、現時点では、基本契約の解約の是非については、結論を見いだすことができていない状況にあります。ただ、今年度進める、東京電力との基本契約に基づいた2年毎の受給条件や電力料金を決めている電力受給契約の見直しにおいて、より多くの売電収入を安定的に得られるよう、市場価格などを踏まえた売電単価の引き上げを求めていくほか、契約の解約も念頭において交渉を進めなければならないと考えております。

角倉委員
 日本一の水力発電量と売り上げですから、単価が1円上がるだけで10億円前後の増収になるわけです。そのような意味で、東電との話し合いで、どのくらい単価が上がるかについては、私どもも注目せざるを得ない。実際上、7円ちょっとくらいで売っていると思いますが、それが世の中に出ると1キロワットアワーあたり27~8円で我々は買っているので、1円でも高く買い取ってもらうことは非常に重要なことであります。
 三番目、県が自ら会社をつくる構想、これは非常に夢があると思います。午前中の質疑の中で、エネルギーの地産地消が望ましいとの部長答弁がありました。そのような中で自ら売電していくとなると、今は東電買い取り価格が7円ちょっと、市場の価格は8円ちょっとと言われているが、それを群馬県が会社をつくって売るとなると28円を例えば20円にしたとしても大変な利益。今、60数億円ですから、21~2円にしたとしても3倍、単純に計算しても60億円が180億円に膨らむ可能性があるわけです。そしてそれを県民に売っていく。利益は上がって県民に還元できるし、売る電力は、今、一般に我々が買っている価格よりも安く県民に提供できるので、まさに地産地消含め一石三鳥であります。そういったことも可能になるわけです。このようなご時世なので、群馬県が新たな三セクをつくるなどというのはなかなか難しい面もあるかもしれないが、中之条が一歩踏み出したり、全国の自治体が発電事業に関わろうとしている中で、こういった可能性について、企業局の見解を伺います。

関企業管理者
 その前提となる条件として、今、群馬県で使われている電気のうち、企業局の発電というのは5~6%に過ぎません。またこの電気の特徴ですが、同時同量、いわゆる瞬間的に売買しなくてはならないわけだが、現在、企業局が持っている力は、発電する力は全国でも有数の規模を誇っているが、売電をするとなると県内全域を対象に考えざるを得ない。しかし残念ながら料金徴収機能といいますか、そこまで会社の規模を大きくせざるを得ない。そこが大きな課題としてあり、やはり地域ごとに、市町村ごとの狭い中では成立しやすい部分があるが、広域対応となると現在の企業局の組織では難しいところもあるのかなと。しかし当然ながら売電事業を続ける中で、利益を少しでも多く獲得して、それを県民にどう還元するかについては企業局の存在意義そのものにかかってくると思っています。そういうことも含め、検討しなくてはと考えております。

角倉委員
 これは民間との協力ということになると思うので、ぜひ、これも含めて研究してやっていただけると有りがたいと思います。
 四つ目、解約補償金についてです。平成25年、東京都が東京電力との売電契約を解約し合意され、東京電力に補償金として52億円が要求されました。結果的に平成26年に東京地裁で和解し、都が東電に13億8,000万円支払うこととなった。そして過日の電力システム改革特別委員会で、今と同じ質問をしましたら、群馬県が解約した場合、推定だが150億円ほど掛かるのではないかとの答弁をいただきました。群馬県が東京電力との解約により生じる、東京電力の補償金の推定額と積算根拠を、改めてお示し願います。

関企業管理者
 売電契約の解約に伴う補償金については、平成27年3月に経済産業省資源エネルギー庁から公表された「卸電力取引の活性化に向けた地方公共団体の売電契約の解消協議に関するガイドライン」で、「代替調達コスト」という考え方が示されています。これは既存契約が解約された場合、売電先の一般電気事業者、簡単に言うと東電が、地方公共団体からの調達に替えて、他の取引先から代替電力を購入する際に発生するコストであり、「契約の解消によって他から調達する代替電力の価格」と「現行契約での調達価格」との差額という形で算出されるものであります。
 しかしながら、この代替調達コストを算定するに当たって、具体的にどのような条件や数値を用いて算出するかは、先ほどの「ガイドライン」でも明確とはなっておりません。こうした条件下ではあるが、電力のスポット市場である日本卸電力取引所の公表されている直近の取引価格は、キロワットアワーあたり9円台前半で推移しており、この取引価格を用いて契約の残存期間が7年間の場合の代替調達コストを試算すると、約100億円から110億円という金額が算出されます。
 また、東京電力は、補償金の請求に当たっては、この代替調達コストに加えて、東京都が解約したときと同様に、東京電力が従来の卸料金算定規則に基づく総括原価方式で算定した売電価格に含まれていたと考えている、将来の設備改修や修繕費用のための積立金等に相当する額を加算するとしており、代替調達コストにこれを加えれば補償金の総額は約150~160億円という額が算出されます。
 また、安定電源である水力発電についての代替調達コストは、この試算額よりも高くなることも想定され、東北電力との契約期間が満了し、直近の平成28年3月に一般競争入札を実施した新潟県企業局の水力発電の契約単価であるキロワットアワーあたり13.02円を用いて代替調達コストを試算すると、約310億円という金額となり、補償金の総額は約360億円という額が算出されます。
 このように、条件設定の仕方で代替調達コストに大きな差が生じるため、現時点で東京電力からどの程度の額が補償金として請求されるかは不明確であります。

角倉委員
 こんな契約が本当にあるのかと思うくらい不平等契約のように聞こえるんですが、実際、市場調達をするとなると8円ちょっとという中で、代替調達価格の算出もよく分からない状況ですよね。東電は、正式に群馬県が契約解除を申し入れない限りは、補償金がいくらになるのか算出できないと、聞いております。しかしそれは、群馬県と東電の電力需給の基本契約に書いてある条項からすると、明らかに誤り、違法ではないか。この契約について、この契約に拠り難い事情が生じた場合は、その都度、及びその相互に誠意を持って協議し、その処理にあたるものとする、と電力需給基本契約書、また他の契約書にも書いてあるわけです。そうであるならば、正式に群馬県がやめると言わない限り算出できないというのは、全く誠意ある対応ではない。こちらとしても、契約してどのくらいのメリット・デメリットがあるかを知り、どちらが優位かを比較しなければならないのに、契約解除を通告しなければ算出しないというのは、誠意を持ってという態度から外れていると思うので、これはしっかりと東電に言っていただきたいと思います。
 いずれにしても、水力発電とは再生可能エネルギーであります。これは野菜で例えるなら、農薬使用と無農薬・有機栽培のものに価格差があるように、原子力発電あるいは化石燃料の発電と、再生可能エネルギーの発電では、価値が変わる可能性がある。よりクリーンなエネルギーを買いたいという人が増える可能性は十分にある。その中で電力の自由化を見据えながら、ぜひ群馬県として、独自の道、より良い利益が上がる道、県民に還元できる道を探っていただくことを要望して、終わります。
 県内の指定廃棄物について、3.11の福島原発事故により発生した県内指定廃棄物の現状及び今後の方針についてですが、県内の状況をかいつまんでご説明願います。

井田環境森林部長
 現在9箇所の公共施設で保管されており、その保管形態についてはフレコンバッグに入れた上で建屋内で保管しているところや、コンクリート製のピットの中に入れその上を覆土しているところなどがあります。いずれの場所においても、指定廃棄物を処理する方法を定めた国のガイドラインに従って適正に保管されております。
 指定廃棄物については、放射性物質汚染対処特措法にもとづき、国が責任を持って処理することとされています。国の方針では、指定廃棄物が多量に発生した本県を含む5県において、国が長期管理施設を各県に設置し、指定廃棄物を集約して管理するようになっているが、現在、群馬県においては、そのようにはなっておりません。

角倉委員
 関係各県の中でも、一箇所に集めることについての合意がなかなかとれないということだが、まず県内において、9市で一時保管がされているが、シートで覆って地中に埋設をしているところは安全性は大丈夫なのか。またフレコンバッグについても、私ども会派も何度も指摘してきたが、今後一箇所に集めていくことが現実問題として難しい中で、このままの状況が続いた時に、コンクリートで遮蔽されているところ、あるいは倉庫に入っている所はまだ良いが、そうではない所も、県内の幾つかの市で散見される中で、今の方法で良いのかということについては問題があると思うが、いかがか。

井田環境森林部長
 7市村、9箇所において保管されているのが現状です。現在の保管状況は国のガイドラインに従っているものと認識しており、主に建屋内、そうでなければシート等を掛けて劣化等を防ぐよう対処されており、安全は確認されていると認識しております。

角倉委員
 数値は随時、県として掌握しているという理解でよろしいですね。
 いずれにしても、放射能はどんどん減っていくと思うが、このままで良いのかという問題はいまだに残っていると思います。県内の一箇所に集めるというのはなかなか難しい状況ですから、現状の7市村でより安全に保管して放射能の減衰を持つのがいいかと。そのためにはフレコンバッグでいいのかという問題については、群馬県としてもきちんと考えてすすめていただくよう、強く要望いたします。
 次にしいたけのほだ木についてです。放射性物質の影響により使えないほだ木が約300万本発生しました。実際これがどうなったのかについての確認です。これを再利用していると聞いていますが、放射性物質の影響により使用を控えた約300万本のほだ木ということで、放射性物質があるかどうかも分からないが、これを再利用しているというのは事実ですか。

井田環境森林部長
 ほだ木については、事故発生直後、1キログラム当たり200ベクレル以下でないと使えないとの基準値が示されました。実際に使えなくなったほだ木が300万本あったが、それについては200ベクレルを若干上回った程度の数値で使えなくなったものが大多数であります。経年変化により放射線量は減衰しているので、その中で主におが粉として再利用されているのは事実です。

角倉委員
 では、農産物をつくる上でおが粉を再利用しているという認識でよろしいか。

井田環境森林部長
 そのような理解で結構です。

角倉委員
 相当厳密にやっていただかないと、ほとんどの消費者は知らない状況だと思います。どの農産物であるかは敢えて指摘はしませんが、おが粉を再利用する以上は県としてもしっかりと、そうではないということが分かるようにしていただくことが重要だと思います。強く要望いたします。
 群馬テレビの「みんなの時間」という県内の小中学校を紹介する番組について、我々会派ではこの事業が立ち上がった何年か前に、放送の効果はどうなのか、またこれは群馬テレビの救済策ではないのか、ということを指摘しました。毎年9,000万円ほどのお金をかけているわけです。特徴ある小中学校を紹介するということで約4年間放送してきたが、年間40回ほど放送があり、県内小中学校が約500校あるうち160校くらいを紹介してきたわけだが、この番組はいつまでやるのか。群馬県の社会教育費予算が年間約10億円程度、そのうち「みんなの時間」が占める割合が9,000万円強、9パーセント以上を占める中で、全校を紹介するつもりなのか。一度立ち止まり、番組終了という選択肢も含め、この事業を位置づけようとしているのか、見解を伺います。

笠原教育長
 教育テレビ番組「みんなの時間」の平成24年度から27年度までの4年間放送しており、27年度末までに、小学校は104校、中学校は43校、それぞれ全公立小学校の32%、全公立中学校の26%を番組で取り上げてきた。また学校の紹介だけに止まらず、特別編として「いじめ防止」や「東国文化の学習」また「交通安全教育」など、全県の学校で取り組んでいる課題についても、学校関係者だけでなく、広く県民の方々にも理解していただくための放送もしております。
 核家族化など、家族形態の多様化や地域の繋がりの希薄化などに加え、経済格差による貧困問題等、家庭を取り巻く環境は大きく変化しております。また子育てに対する不安や問題を抱え、孤立化する保護者も増加しており、家庭の教育力の低下も指摘されています。そのような中、学校現場には様々な課題が持ち込まれており、それらの解決には学校だけではなく地域や関係する団体の皆さん方と連携を図りながら取り組みをすすめているところであります。それを更に広げていくためには、多くの県民が観ることの出来る県域テレビを活用し、県民の方に学校現場、あるいは通学している子ども達に起きている課題を広く知っていただくことが必要と考えており、この番組の内容を工夫しながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。

角倉委員
 これは全部やるという理解ですか。460~500校だと思うんですが、全校やるという認識だと、当初は、特徴ある学校の個性を他の学校にも観てもらうというわけが、このまま続けるとなると、趣旨がだいぶ変わってきますが、いかがですか。

笠原教育長
 全ての学校をひとつひとつ取り上げていくということではなく、学校と地域がいろいろ連携していかないと、解決が図れない課題等が子ども達に今たくさん起きていますので、そのような中で先進的あるいは特徴的な取り組みをしている学校や、あるいは県教委として、たくさんの皆さんに知っていただきたい取り組み、課題を番組で取り上げていくなど、内容の工夫をしっかりと考えながら今後は対応したいと考えております。

角倉委員
 教育長の立場からの答弁も分かるんですが、社会教育費が厳しい状況の中で、これが9,000万円も占めているというのは優先順位が違うのではないかという思いがあります。今までのように9,000万円全額ではなくて、額を絞るという方法もあるかと思いますので、ぜひそういったことも検討していただくことを要望して、終わります。

南波委員長
 以上で、角倉委員の質問は終了いたしました。

南波委員長
 次に、福重隆浩委員、質問者席へ。

福重委員
 公明党の福重です。会派を代表し順次質問させていただきます。
 午前の萩原委員の質疑でも財政上の懸念される問題について質されましたが、私も2点伺います。臨時財政対策債についてですが、県の借金である県債残高に占める通常債は、年々縮減されていますが、一方で臨財債については平成13年の導入以降、一貫して増え続け、27年度末時点の累計額が5,121億円となり、これを通常債6,848億円と合わせると実に1兆1,969億円になり、これを県民一人当たりに換算すると約61万円の借金となります。臨財債については本来国が、地方自治体に手当てすべき交付税の不足分について地方財政法第5条の特例として、特別に発行が認められたものです。臨財債についてどのような認識か、見解を伺います。

大澤知事
 臨時財政対策債は、地方交付税の原資の不足を補てんするための臨時的な措置として、平成13年度から始まった制度であり、地方交付税の代替として発行可能額が割り当てられているものであります。地方公共団体の標準的な行政サービスを提供していくためには、臨財債により財源を確保する必要があり、平成27年度は457億円を発行したところであります。
 臨財債の償還財源については、後年度に基準財政需要額に算入されることから、地方公共団体の財政運営に支障が生じない仕組みとなっているが、本県における臨財債の残高は平成27年度末時点で5,121億円となり、県債残高総額1兆1,969億円の約4割を占めている状況であります。臨財債以外の県債を縮減し、健全財政への努力をしていても、臨財債の増加により、結果として、このように県債残高総額が積み上がってしまうことは、新しい事業に着手する際の足かせにもなりかねない状況であります。
 臨財債は、国の厳しい財政状況の中、特別にとられている措置であり、本来は地方交付税の総額がしっかりと確保され、地方の安定的な財政運営に必要な額が、地方交付税として交付されるべきと考えております。

福重委員
 本来は地方交付税の総額をしっかり確保されるべきとの答弁であります。その意味においては、これは国の責任であると私は思っております。
 しかし先日ネットで、臨財債について検索していましたら、中央官庁だよりという記事を見つけました。それには財務省主計局幹部のコメントとして「自治体や臨財債は地方交付税で措置するはずの分を国が払えないから一時的に地方が肩代わりしてると考えている、との話を聞くが、我々にはそういう意識はないと断言する」とありました。また平成25年3月の衆議院総務委員会において、「臨財債は国と地方、どちらの借金か」という質問に対し、総務副大臣は「国は一般会計から地方交付税の特別加算を行い、地方は臨財債の発行を行い、国と地方で責任を分担している。従って臨財債は地方の借金であり、地方の負担により償還すべきもの」と答えております。国と地方との間では、私は大きな見解の相違があると思います。このような曖昧な状態のまま、臨財債が今後も増え続けることは、将来に大きな禍根を残すことになります。我々地方議員も、それぞれの正当なルートを通じてしっかりと訴えていくことはもちろんですが、先ずは地方自治体がひとつになって、国に対し臨財債を一日も早く廃止し、すべて交付税で措置をしてもらい、あわせて既存の元利返済分については償還財源を別枠で措置されるよう、強く求めるべきであると思っております。これまでも全国知事会等で訴えられているとは思いますが、今一度、知事の決意を伺います。

大澤知事
 臨財債は、あくまで臨時的、特例的な措置であり、地方交付税の法定率の引き上げを含めた抜本的な対策によって、早期に廃止されるべきであると思っております。また、臨財債の償還額が累増していることから、償還財源を確実に確保する必要があり、こうした問題点については、これまでも知事会等を通じて要望してきたが、先日、10月19日に開催された関東地方知事会議でも改めて議論がなされました。引き続き、あらゆる機会を通じ、国に対して改善を強く要望していきたいと考えております。

福重委員
 我々議員もしっかりと連携し、この問題に取り組みたいと思いますので、よろしくお願いします。
 積立基金について伺います。大澤知事が県政を担われてから約9年が経過しました。その間、東日本大震災のような自然災害や、リーマンショックのような大きな経済危機などもあり、その道のりは決して平坦なものではなかったと思います。しかしこのような厳しい環境下にあって、知事は果敢に県政の運営に努められ、その成果は着実に現れてきていると思います。県民所得は平成22年度は271万6千円であったが、直近のデータとなる25年度では305万4千円となり、30万円以上増加しております。また工業統計調査の出荷額は平成22年の7兆5,268億円から、26年は8兆3,635億円と、約8,000億円の増加となりました。これ以外にも農業産出額なども増加しており、県内経済は着実に成長しています。
 ただ、そのような中において、財政上、基金残高の減少が懸念されます。決算資料によると27年度の積立金は254億円とありますが、これは平成元年以降、最低であった21年の245億円に迫るものであり、過去最高であった平成4年の1千209億円と比較すると、実に955億円も減額しております。言うまでもなく、財政調整基金や減債基金は、当初の予測より税収が落ち込んだ時や、災害時の緊急財源に活用したりと、何が起こるか分からない県政運営においては、ある一定額を確保しておかなければならないと認識しております。
 そこで、積立基金の現状についての認識と、今後の財政運営についてどのように対応されるのかを伺います。

大澤知事
 積立基金のうち、予算編成において広く財源として活用可能な基金の主なものとして、財政調整基金と減債基金があります。財政調整基金は、景気変動に伴う県税収入の増減などに対応するため、年度間で財源の過不足を調整する役割を持つほか、突発的な災害や緊急を要する経費に備えるために設置しております。また、減債基金は、将来の県債償還に備えて必要な財源を確保し、健全な財政運営を行うために設置しているものであります。
 近年は、社会保障関係経費などの義務的経費の増加もあり、毎年の基金取崩額が増え、結果として、これらの基金残高が年々減少する状況が続いております。しかし、先ほど申し上げた基金の目的を踏まえると、事業の必要性を十分に見極めながら予算編成やその執行に取り組み、可能な限り、積立基金の残高を確保していく必要があると考えております。
 次に、今後の財政運営についてであるが、基金残高の減少などの厳しい財政状況のなかにあっても、第15次総合計画や群馬県版総合戦略に基づく様々な取組をしっかりと進める必要があると思っています。そのためにも、県民の視点に立って、事業の見直しを徹底し、限られた財源を重点的・効率的に配分して、本県の未来創生に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

福重委員
 国では先の見えない長い不況下にあって、ようやく大企業の業績や首都圏における景気回復の芽が出始めてきました。この循環を一日も早く、地方や中小零細企業の方に実感していただくためにも、今、成さなければならないことはしっかりと対応した上で、財政運営の舵取りを行っていただきたいと思います。
 国においては地方活性化の支援策として、平成27年4月から、国が持つビッグデータである地域経済分析システム、RESASの提供を開始しました。本県においても、昨年度、このRESASをいち早く新観光振興計画及び企業誘致戦略の策定に活用したとのことだが、それぞれの計画について伺います。
 まず観光施策についてだが、言うまでもなく観光産業は裾野が広く、地域活性化の大事な原動力であります。近年、本県の観光入り込み客は増加傾向にあるが、一方で観光消費については減少傾向が続いており、地域経済の発展のためには観光消費額を高めていくことが何よりも重要だと思います。27年度の観光施策の取り組み及び実績はどうであったか、伺います。

塚越観光局長
 ご指摘のとおり、人口減少・少子高齢化に直面する我が国の最重要課題である「地方創生」において、「観光」は地域を活性化させる原動力として期待されております。本県の「観光客数・消費額調査(推計)」によると、観光入込客数は平成24年が6,014万人、平成25年が6,151万人、平成26年が6,181万人と増加傾向にある一方、観光消費額は、平成24年が1,891億円、平成25年が1,854億円、平成26年が1,844億円と減少傾向にあります。
 観光消費額を増加させるためには、周遊観光や宿泊促進が重要です。27年度の具体的な取組として、ググっとぐんま観光キャンペーンを10月から12月にかけて、市町村、観光協会、JR東日本、経済団体、交通事業者などとともに「オール群馬」で実施したほか、富岡製糸場と絹産業遺産群を巡るモデルコースを設定した周遊促進に向けたガイドブックや、観光施設等で利用できる特典クーポンとスタンプラリーを掲載したパンフレットなどを発行しました。また、国の交付金を活用した「ぐんまプレミアム宿泊券」を発行したところ、47万3千枚が利用され、宿泊促進につながりました。こうした取組の結果、観光庁の「宿泊旅行統計調査」の速報値によると、「プレミアム宿泊券」の利用期間である27年7月から28年2月までの本県宿泊者数は、対前年2.6%増の伸びとなりました。
 27年度に策定した、新たな群馬県観光振興計画「はばたけ群馬観光プラン」では、RESASを活用した分析なども参考に、基本方針に「観光消費額の増加に向けた観光資源の魅力向上」、「世界遺産や温泉など本県の強みを生かした周遊観光の促進」を明記して、観光消費額の増加に取り組んでいくこととしています。

福重委員
 年々、宿泊者数が減少している中で、プレミアム宿泊券発行により期間中は2.6%増となったのは、非常に喜ばしい結果だと思います。宿泊者数が増えれば、消費額も増えるので、そこにポイントを絞って今後も計画を推進することはいいことだと思います。その上で、今後の具体的な施策について伺います。

塚越観光局長
 観光消費額の増加や周遊観光の促進のため、従来の勘や経験などに頼った観光から脱却し、各種データに基づいたマーケティングや多様な関係者を巻き込んだ具体的な商品開発や効果的なプロモーションの実施など、観光地域づくりの舵取り役であるDMOが求められております。
 今年度は新たな観光プランのスタートの年であり、観光による地域経済の発展がより確実なものとなるよう、本県においてもDMOの確立に向けて、群馬県観光物産国際協会を主体として始動し、本年7月にはマーケティングの専門人材を雇用したほか、9月には県と協会の共催で「DMOセミナー」を開催し、参加者にDMOについての理解を深めていただきました。県としては、新たな定番商品となる旅行商品造成のため、稜線トレイルや東国歴史文化について、観光資源の掘り起こしと磨き上げのための現地調査や情報収集活動を、市町村や関係団体と連携しながら進めているところであります。
 今後、県内各地域でDMOの取組が積極的に進められるよう、県域DMOの主体となる県観光物産国際協会や市町村、県内の各地域DMOなどと連携し、「地域にお金が落ちる仕組み」を定着させ、宿泊客及び観光消費額の増加を図りたいと考えております。

福重委員
 DMOについては、地域の稼ぐ力を引き出す舵取り役として、大いに期待をしております。積極的なる展開を進めていただきたいと思います。
 本県の高速道路網をみると、平成23年に北関東高速道路が全線開通、26年には圏央道が東名高速道に接続、高速道路をつかって太平洋や日本海へ容易に出掛けられるようになりました。物流の拠点としては最高の地理的条件が整っており、全国に胸を張れる状況にあると思います。本県の物流・バックアップ拠点としての認識と、平成27年度の取組及び実績について伺います。

塚越産業経済部長
 本県は、東京から100キロメートル圏に位置するとともに、高速交通網や7つの交通軸の整備を積極的に進め、また、地震などの自然災害も少ないことから、物流拠点・バックアップ拠点としての優位性は非常に高いと認識しています。特にものづくり立県としての本県製造業の競争力強化のためには、物流業の振興が不可欠であると考えております。このような観点から平成24年度には、群馬県企業立地推進方針に物流・流通業及びバックアップ機能の誘致を明記するとともに、企業立地推進補助金の交付対象に物流施設やデータセンターを加えたところであります。
 平成27年度の取組状況は、企業立地セミナーにおいて、物流業を含む参加企業に対して、知事が直接アピールしたほか、物流企業に対する企業訪問等の誘致活動も積極的に行ってきたところであります。また、RESASの分析により、個々の企業間取引に関する詳細な情報の取得が可能となったので、今後の誘致活動に活用していきたいと考えています。
 次に物流施設の立地実績であるが、平成26年は14件、平成27年は13件と堅調に推移しています。また、バックアップ機能の誘致については、統計的なものはないが、関西圏や中京圏から本県に立地する企業の多くは、バックアップ機能を持たせた東日本の拠点と位置づけるケースが多く、本県の立地の優位性を評価していただいているものと考えています。

福重委員
 先日、大手の物流倉庫を見学してきました。倉庫というと物が積み上がっているだけで人手はいらないと思いがちだが、そこは工場から数十万種類の品物が搬入され、それを機械と人が仕分けをして全国の店舗に出荷する。ある意味、仕分け工場の要素がありました。以前、知事が、ある食品工場を視察した時に、自動化されていて60メートルのラインの中に作業員が3人しか居らず、これではなかなか雇用が伸びない、と話されていました。私は、企業誘致の一番の目的は、雇用先の確保だと思っています。ただ漫然と企業誘致をするのではなく、RESASなどを活用し戦略的に物流拠点の誘致を進めるべきと思いますが、見解を伺います。

塚越産業経済部長
 近年の物流倉庫では、従来の「物」を保管するだけの倉庫業から、製品の組立加工、個別店舗向けの仕分け作業等、製造業のアウトソーシングの受け皿として、いわゆる「流通加工」を行う役割を担っており、雇用創出効果も高い業種であると認識おります。
 物流企業の誘致に向けては、継続的に実施している企業立地セミナーやきめ細かな企業訪問に加え、産業団地視察ツアーや企業立地優遇制度説明会の開催などの新たな取組を通じて、本県の優位性を積極的にアピールしていくところであります。また、物流企業等の立地の受け皿となる産業団地の造成に向けた市町村や庁内関係部局との調整を図るとともに、新規産業団地の候補地選定を着実に進めていくこととしております。さらに、物流業の重要な担い手であるトラックドライバー不足に対応するため、大型自動車免許の取得支援等を行う「物流人材育成・確保対策事業」を今年度スタートさせたところであります。
 今後も、物流拠点としての優位性を最大限活かせるよう、様々な観点から総合的な取組を進めて参りたいと考えております。

福重委員
 誘致には産業団地の造成が必要になります。時代のニーズを的確にとらえ、県民の雇用先確保のためにも、よろしくお願いします。
 27年度の予算に新たに外国人留学生の定着促進事業費が盛り込まれました。前年に行われた政策プレゼンを知事が高く評価し、予算がつけられたと聞いております。人口減少社会の到来により、本県でも経済活力の減退が懸念される中、本県産業の活性化に有用な外国人留学生の県内就職や定着を促進することは意義があると思います。県内外国人留学生の人数と国籍について、また今後の取り組みについて伺います。

向田企画部長
 平成27年12月現在、法務省のデータでは、留学資格で県内に1,697名が在留、中国をはじめとするアジア地域がほとんどです。留学生の活用については、平成27年度から県では外国人留学生の定着促進に取り組んでいるが、その中で企業見学のバスツアーや企業向けセミナーやシンポジウムを実施しました。群馬大学と協働による留学生の定着促進事業も進めているところです。
 人口減少社会とグローバル経済の中で外国人留学生は貴重な人材であるので、これを県内で受け入れ、本県経済の活性化に結びつけられるよう、今後も関係機関と連携し、効果的な事業を実施してまいりたいと考えております。

福重委員
 この問題については会派としても協力したいと思いますので、よろしくお願いします。

南波委員長
 以上で、福重委員の質問は終了いたしました。

休憩

南波委員長
 暫時休憩いたします。5分後に再開いたします。
(午後2時37分休憩)
(午後2時42分再開)

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