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本文

決算特別委員会議事録(その4) 平成28年10月31日(月曜日)

1.開催日時

平成28年10月31日(月曜日)10時00分開始 15時35分終了

2.開催場所

本会議場

3.出席委員

委員長:南波和憲、副委員長:岸善一郎
委員:関根圀男、委員:中沢丈一、委員:腰塚誠、委員:黒沢孝行、委員:松本耕司、委員:久保田順一郎、委員:須藤昭男、委員:織田沢俊幸、委員:狩野浩志、委員:新井雅博、委員:福重隆浩、委員:岩上憲司、委員:萩原渉、委員:星名建市、委員:伊藤祐司、委員:角倉邦良、委員:井田泉、委員:あべともよ、委員:水野俊雄、委員:後藤克己、委員:中島篤、委員:大手治之、委員:臂泰雄、委員:井下泰伸、委員:酒井宏明、委員:金井康夫、委員:原和隆、委員:金子渡、委員:安孫子哲、委員:清水真人、委員:藥丸潔、委員:小川晶、委員:高橋正、委員:金井秀樹、委員:本間惠治、委員:伊藤清、委員:山崎俊之、委員:荒木恵司、委員:大和勲、委員:川野辺達也、委員:本郷高明、委員:穂積昌信、委員:井田泰彦、委員:加賀谷富士子

4.欠席委員

なし

5.議事(その4)

再開(総括質疑)

南波委員長
 休憩前に引き続き、決算特別委員会を再開し、総括質疑を続行いたします。
 岩上憲司委員、質問者席へ。

岩上委員
 新星会の岩上憲司でございます。通告に従い、順次質問させていただきます。
 平成13年度に国から臨時財政対策債制度が送致されています。平成20年度末、臨財債の残高は1,871億円でありました。これについては、平成21年2月の定例県議会において知事に質問をしております。その時は、発行額が増えても今後の財政運営には支障は生じない仕組みになっている、という答弁でありました。
 発行額が増えると臨財債を返すためにまた臨財債を発行しなければならないのではないか。更には、交付税額とは別に臨財債の返済分を別枠で上乗せして返してもらう方が分かりやすいのではないか、という質問を、当時の稲山副知事にしました。臨財債の発行額がものすごく増えたら他の需要を食ってしまうのではないかということについては、地方交付税を含め地方税財源全体が将来にわたって安定的に確保されることが必要不可欠であると、答弁されました。更には平成25年10月の決算特別委員会でも、再度これについて質問しました。知事も臨財債の増額によって、新しい事業に着手する際に足かせになってしまう現状がある。更には基準財政需要額に占める臨財債の償還額の割合が高くなり、他の経費分に使える地方交付税が少なくなることが懸念されると、答弁されました。
 平成27年、臨財債残高は5,121億円に達しています。15年もの長きに渡り継続されているこの制度について、国に精通されている副知事はどのようにお考えか。本県を含め、地方自治体は臨財債を使い続けても、今後の財政運営に支障は生じないのか、お聞かせください。

村手副知事
 地方交付税の原資は所得税や法人税の33.1%など、国税5税の一定割合とされています。この法定率による地方交付税の原資となる額だけでは、自治体が標準的な行政サービスを確保するために必要な歳出総額と、地方税などの歳入総額との差を埋められないことから、この差を埋める臨時的な措置として平成13年度に、国と地方が折半して国負担分については交付税に加算し、地方負担分については臨財債として各団体が借り入れるという制度が創設されました。その後、数度の延長を経て、現在は28年度までの措置として法定されております。
 本来、法定率の引き上げなど、交付税によって措置されるべきと我々も考えております。この臨財債制度が早期に廃止され地方交付税の総括で対応すべきと考えており、知事会等を通じて強く国に要望しているところであります。
 個別の各償還時の地方の財政運営への影響だが、臨財債は制度上、その元利償還費相当額は地方交付税の基準財政需要額に全額算入されることになっており、財政運営には支障が生じない仕組みとなっております。

岩上委員
 臨時財政といいながらも臨時ではなくなっている状況であり、いつ支障が出るか分からない心配があるので質問をしております。このような問題点があることを、ぜひ国に要望していただきたいと思います。
 多くの県民が、この臨財債の発行残高が雪だるま式に増えていくのでは、という懸念が払拭できないわけですが、地方税財源が安定的に確保できる見通しが立たないまま、臨財債の残高が年々増大しております。臨財債の元利償還金措置額は、毎年の地方交付税の基準財政需要額に全額算入されているので、償還は心配ないとのことです。臨時財政対策債の元利償還額が地方交付税として全額補填されているか、また各地方自治体は確認できる仕組みになっているのか、伺います。

村手副知事
 地方交付税の額の算定方法については、「地方交付税法」及び「普通交付税に関する省令」に規定されており、臨財債の元利償還費相当額も、省令に規定された算定方法に基づき、各地方自治体が算定を行い、総務省と数値の確認を行う仕組みとなっております。

岩上委員
 この制度上、地方交付税の基準財政需要額に算入されて全額戻ってくるわけですが、国は理論算入、理論償還で行っております。県は実額償還で行っていますから、そこで少し差が出てくるような気がします。
 現在、300億円ほど違いがあるような話も聞きます。国が示す計算では、その数字は合うのだと思いますが、そこに係数があって色んな計算が成されているのだと思いますが、我々はどうしてその計算になるのかは分からないわけで、そういったことが全部表に出てもいいのではないか。特に臨財債については、地方交付税の中で返すのではなく、借金として返す実質償還がいいのではないかと私は考えております。そう考えた時に、計算方式や係数をオープンにした方がいいのではないかという思いで質問をしております。それについてひと言お願いします。

村手副知事
 理論償還方式ではなく実額償還方式にすべきではないかということです。臨財債の基準財政需要額の算定方法ですが、全国の各地方自治体の実際の地方債の借入れについては、様々な方式がとられているため、償還条件は個々の団体によって様々異なっているのが現実です。また一方で、地方交付税の算定の簡素化の要請もある中、全国の平均的な償還条件に基づいた理論的な元利償還額が用いられているところであり、一定の合理性はあるものと考えております。

岩上委員
 群馬県の場合は市場公募債や金融機関から借り入れているということで、各自治体まちまちなんでしょうが、みんなが大丈夫かと心配している中で、出来るだけ分かりやすく明朗会計な制度の中でやっていただかなくてはなりませんし、またこれが廃止となっても約30年間償還が残りますので、返済方法については国によく伝えてもらえると有りがたいと思います。
 今後、負の遺産を子や孫に出来るだけ残さないようにする責任が我々にはあると思います。5,210億円に達する臨財債の残高を、来年度の予算編成に向けてどう取り組むべきか、また臨財債はどの程度活用すべきなのか、副知事の所感を伺います。

村手副知事
 県としては、臨財債については早期に廃止されるべきと考えております。財源不足対策については交付税の法定率引き上げ措置など、強く働きかけたいと考えております。
 しかし国において巨額の財源不足を抱える中で、地方における標準的な行政水準を確保するための措置として、引き続き臨財債が措置されるような場合については、我が県だけ臨財債を活用しないとなると、本県の福祉や教育など標準的な行政サービスの維持確保に支障が生じることになりかねないので、その場合には行政サービスの水準の維持のためにも、臨財債は可能な限り活用せざるを得ないものと考えております。

岩上委員
 今の答弁では、予算を使わないと、福祉関係の政策が出来ないということで、使うべきだとのことです。だからこそ我々が安心して、また県債として残らない形で使うことが一番であるし、法律上、県債になっているのは事実なので、それらも踏まえ、村手副知事のパイプを使って国に要望をしていただきたいと思います。
 心臓血管センターとがんセンターの病院事業について伺います。県立4病院それぞれ努力していただいて、各地域で県民に信頼され、更には大切にされていることは十分承知しております。
 平成27年3月に策定された、第三次県立病院改革プランの計画策定の趣旨、「県立病院には、経営の安定化とともに、医療提供体制の維持や医療の高度・専門化などの課題に的確に対応し、県民にとって安全で安心な高度・専門医療を継続して提供していく使命がある」とあります。一見読むと、ちょっと役割が変わったのかともとれますが、改めて県立病院の役割を伺います。

青木病院局長
 第三次県立病院改革プランの基本方針で記載しているとおり、「県立病院の果たすべき役割は、地域において必要とされる医療のうち、採算性等の面から他の医療機関による提供が困難な医療を継続して提供することである」と考えており、県立病院の役割は変わっておりません。

岩上委員
 変わっていないということは、基本的には不採算分野を行っていくと。民間の医療機関がやりづらい部分を担っていくのが県立病院の役割であるということでよろしいでしょうか。心臓血管センターとがんセンターでは、地域において必要とされる医療のうち、採算性等の面から他の医療機関による提供が困難な医療を継続して提供すること、この大義があって心臓血管センターやがんセンターについても一般会計から繰入金があるということだと思います。両センターの県立病院としての役割を具体的に伺います。

青木病院局長

 第三次県立病院改革プランの基本方針で記載しているとおり、「県立病院の果たすべき役割は、地域において必要とされる医療のうち、採算性等の面から他の医療機関による提供が困難な医療を継続して提供することである」と考えており、その使命は、他県で見られるような特定地域の医療を担う総合病院とは異なり、他の病院では実施することが困難な心疾患・がん・精神・周産期を含む小児医療の各分野における高度・専門医療を県民に対して実施していくことであります。
 一方、このような高度・専門医療を県民に、継続して提供していくためには、病院運営自体を安定させることが必要であります。そのため、繰入金の対象となる必要な経費については一般会計から負担していただき、その上で経営の安定化を図ろうとするものであり、県立病院の役割は変わっておりません。

岩上委員
 変わっていないということは、基本的には不採算分野を行う。他の民間の医療機関がやりづらい部分を担うのが県立病院の役割である、そういうことでよろしいですね。
 心臓血管センターとがんセンターについて、必要とされる医療のうち、採算性等の面から他の医療機関による提供が困難な医療を継続して提供すること。この大義があってがんセンターや心臓血管センターについても一般会計から繰入金が入っているのだと思います。両センターの県立病院としての役割とは具体的にどのような事か、伺います。また民間病院との違いもあわせて伺います。

青木病院局長
 心臓血管センターは、心疾患専門病院として、他の医療機関では対応困難な症例に対応するのが役割であります。具体的には、365日24時間、緊急手術を含む心疾患患者への救急対応、高齢者等手術の適応が難しい患者に実施する「経カテーテル的大動脈弁置換術」、重症心不全患者に対する「植込型補助人工心臓治療」などを行っております。また、不整脈患者に対するカテーテル心筋焼灼術は、全国1位か2位のトップクラスの治療実績を誇っております。
 一方、がんセンターは、がん専門病院として、高度・専門的かつがん患者の状態に応じた適切な治療を提供するのが役割であります。具体的には、手術、放射線治療、化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療の高いレベルでの提供、特に、線量を変化させ病巣部に放射線を集中させる治療(IMRT(強度変調放射線治療))、子宮頸がんに対する密封小線源治療、痛み緩和センターを併設した緩和ケア病棟での治療、さらに、治験等への積極的な取組による新たな治療への貢献など、採算面や医療スタッフ確保の面などから、民間病院では対応困難な取組を行っております。また、近隣のがん診療連携拠点病院からも多くの患者を受入れ、東毛地域におけるがん治療の中核としての役割を担っております。

岩上委員
 県立病院でやれるべきことを説明いただきました。県立病院も色々な時代背景のもと、役割も変わってきていると思います。特に心臓血管センター、がんについては、民間病院でも高レベルな医療を行っているのも事実です。そうなると必然的に、県が先進的にやってきたものを民間医療機関が取り入れるという循環があるわけだが、やるべきことが重なってきている状況にあるのではないか。採算のとれるものは民間で、採算のとれないもの、民間が手を出しづらい分野を県立病院が行うのが大義だと思いますので、それについては問題提起させていただきます。
 繰入金が、心臓血管センターで7億8,686万円、がんセンターで8億3,243万円が支出されています。これは民間医療機関等では限界のある高度専門医療に限定して交付されている県の負担金として理解してよいのか。また繰入金額の内訳を、もっと分かりやすく公表すべきと思うが、いかがか。

青木病院局長
 県立病院では、医療の性質上能率的な経営を行っても、なおその経営に伴う診療報酬などの収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費や、病院経営による収入をもって充てることが適当でない経費について、国が定める基準に従って一般会計からの繰入金をいただいております。繰入金の対象となる経費は、これら2病院では、「高度医療に要する経費」の他、「救急医療の確保に関する経費」、「行政機関の替わりに実施した保健衛生行政事務に要する経費」、「基礎年金拠出金にかかる公的負担に要する経費」、「児童手当に要する経費」等がございます。
 また、国が定める繰入金についての基準は、総務省のホームページでも公表されているが、県民にとってより分かりやすいものとなるよう、今後も努めて参りたいと考えております。

岩上委員
 高度専門医療をやるためにこれだけ足が出た、というような情報発信が出来れば県立病院の役割が果たせそうですので、公表を前向きに検討することを要望して終わります。

南波委員長
 以上で、岩上委員の質問は終了いたしました。

南波委員長
 次に、酒井宏明委員、質問者席へ。

酒井委員
 日本共産党の酒井宏明です。通告に従い、順次質問いたします。
 中学生の職場体験について、教育長に伺います。中学校の現場でキャリア教育の一環として、総合学習等の時間を利用して職場体験が実施されています。前橋では「キャリアスタートウィーク」といい、約千の事業所に協力依頼しているとのことです。高崎では「やるベンチャーウィーク」といって、5日間行っております。確かに、労働の価値や喜びを味わうことや、様々な職業の方とふれあいコミュニケーション能力を高めるということ自体は大切なことだと思います。保育現場や介護、福祉、医療の現場などを体験し、やり甲斐を感じていることも確かです。しかしどんな職業でもいいというわけではありません。中学生の職場体験の意義と課題についてどのような事があるか、伺います。

笠原教育長
 本県においては、全ての中学校で職場体験を実施しております。実施に当たっては、継続して体験ができるよう多くの学校が3日から5日間の体験期間を設定しております。中学校における職場体験は、生徒に働くことの喜びや厳しさを実感させたり、自らの将来について考えさせたりすることなどを目的として行われております。職場体験には、直接大人と触れ合ったり、働くことを体験したりすることにより、望ましい職業観や勤労観を育成するとともに、社会的なルールやマナーを学ぶことができるなど、様々な意義があると考えております。
 職場体験は、地域の商工業者や農業関係者、警察署、消防署、市町村役場などの官公庁で、多くの関係者の理解と協力をいただき実施されているが、課題としてあげるならば、3日から5日間の体験を受け入れていただける事業所等を確保することが難しいことがあげられます。体験先については、保護者の勤務先や地域の事業所などに、学校が直接協力を求めることが多いが、市町村によっては、商工会や農業団体等からなる職場体験の実施推進協議会を設置するなど、地域の支援を受けながら体験先を確保しております。
 今後とも、市町村や地域の商工会等の関係団体と連携をはかりながら、社会的・職業的自立を目指すキャリア教育の中核的な取組である職場体験の充実に努めて参りたいと考えております。

酒井委員
 現場の教員や、市の教育委員会にも話を聞いてきました。学校区内に職場がなく、保護者が車で送迎しなければならないなど、地域によっては大変困難な場所もあります。また都市部と農村部でも様相は違います。受入先関係者の方々には頭が下がる思いですが、受入先にしても、どこまで仕事をやらせていいのか。また、お客様扱いになってしまうところや、受け入れが大変で協力を辞退するところもあると聞いております。個々の職場における落差が大変大きい。このギャップをどう埋めるのか、大変難しい。危険な仕事や、個人情報の扱いなどの問題もあります。その職業の特殊性や危険性、子ども達の発達段階や知識の取得状況を踏まえたものに、果たしてなっているのか。教育上の効果を上げているのか、疑問が失当しません。教師が各科目についてきちんと理解して教えるのとは違います。現場任せではなく、メリット・デメリットを踏まえて、アウトラインをしっかりと示す時期にきているのではないでしょうか。認識を伺います。

笠原教育長
 県教育委員会としては、児童生徒の「キャリア教育推進事業」の中で、実践推進地域を設け、職場体験を実施する際の地域との連携の在り方や事前事後の指導を含めた実効性のある職場体験の在り方などのモデルを示していくための実践研究を進めているところであり、これらについては、今後多くの学校に周知していく予定でおります。

酒井委員
 子供たちと地域を結びつけて交流を深め、人格形成につなげるというのならば、事業所任せではなく、そこで何を学ばせたいか、どのような狙いでこんな体験をさせて欲しい、これはさせないで欲しい、というアウトラインをしっかり示すとともに、労働者の権利をあわせて学習させることが大切だと思います。その職業の危険性や秘密性、子供たちの発達段階等を踏まえた検討が必要になってきていると思います。現場が混乱しているとも聞きますし、それでも受け入れてもらっていることは大変な作業であると思います。学校の多忙化を更に進めることになりかねない、こうした職場体験は、量的・内容的に再検討すべきではないだろうか。
 こうした職場体験の理念から最も遠いのが、自衛隊における職場体験です。実際、どのような体験が行われているのか、パネルで示します。
 自衛隊の群馬地方協力本部のホームページですが、自衛官募集中とあるトップページの職場体験便りの中に、職場体験をした中学校名がずらっと掲げてあります。これは敢えて伏せてありますが、昨年度27校、今年9月段階で29校、高校も1校含まれてますが、実施済みです。実際はもっとあるかもしれません。行き先が相馬が原駐屯地、新町駐屯地、埼玉・東京の境にある朝霞駐屯地、陸上自衛隊広報センター、入間基地などとなっています。これは自衛隊の専用車両で送迎しているということです。数十キロ離れた所まで行っている。これはあくまでも校区内、自力で通える範囲というのが職場体験の基本ではないかと思うのですが、逸脱してます。
 さらに中身、学校名や生徒の顔が分からないように私の方で黒く塗りつぶしてありますが、実際にははっきり分かるように、ウェブ上で掲載されていました。見ると、高崎地域事務所の職場体験ナウというところで、5月23日から25日に行われたやるベンチャー特集。参加者は某中学の15名で、将来は○○○で決まりました、とあり、ここに当てはまる職業は?とあります。コメント欄にも、将来は自衛隊で決まり、人気の90式戦車の前で、対潜ヘリコプターの前で敬礼、追従訓練開始見ている方向にミサイルか、近距離ミサイルの操作要領を習っています、これで飛行機が墜とせるの、といったコメントが載っていますが、これらは子ども達の実際のコメントではなく、自衛隊の担当者が勝手につくったものであるということです。迷彩服を着て戦車の前での集合写真を見て、私は戦慄を覚えました。これは高崎の日本共産党市議団が市教育委員会を通じて申し入れ、今月中旬にはホームページから削除されたものです。教育関係者や保護者からも疑問の声が上がっています。教育長、これを見てどう思われるか、率直な感想をお願いします。

笠原教育長
 自衛隊駐屯地での職場体験は全国各地で行われており、本県でも実施している学校があることは、承知しております。県教育委員会としては、職場体験の目的が達成できるよう、地域の実情に応じ、地元の事業所と協力・連携して実施するよう市町村教育委員会に依頼しているところであります。自衛隊については、警察や消防と同様に、災害救助等での活躍ぶりを子どもたちもよく知っており、興味をもっている実態もあることから、体験先として否定する必要はないと考えております。
 なお議員が示されたホームページの内容は、事実関係など詳細確認が出来ておりませんので、コメントは差し控えさせていただきます。

酒井委員
 職業としての自衛隊を否定するものではありません。災害訓練や救命救急にあたっている自衛隊員に対しても敬意を表したいところですが、しかしそれは消防署や警察、病院の職場体験でも十分可能であります。自衛隊の第一の任務は国防、つまり戦場での戦闘行為であり、災害救助などは二次的な任務であります。安保法制によって世界中の地域で殺し殺される、こうした危険が格段に高まった自衛隊と、他の一般の職業を同列に扱うことは出来ないと考えます。
 高崎市のやるベンチャーの中学生体験のレポートでは、戦車の中に入った、狭かったです。戦車の使い方をちょっとだけ教えてもらった。射撃シミュレーターやヘリコプター模擬体験はとても楽しかった。戦車のゲームが楽しかった。このような感想がずらずらっと書いてあります。まさにゲーム感覚であります。各種の武器を触らせ、扱いを教える。これは明らかに職場体験の範囲を逸脱しているものと思います。義務教育としてそぐわないと考えますが、どのように認識しておられますか。

笠原教育長
 生徒の職場体験が、イベント参加のような形で終わってしまうことがあるとすれば、職場体験の目的からして課題があると思われるので、受入れ先の事業所と学校がよく話し合って、体験内容を趣旨に合致したものにしていく必要があるとは思っております。

酒井委員
 こうした職場体験は全国で実施されているが、中には格闘訓練やゴム製のナイフで護身術を学んだりということまで行われているケースもあります。
 東京都では2012年から2年間で小中学校99校531人が参加、2014年にも行われており、保護者や市民団体の申し入れで、昨年は練馬駐屯地での職場体験は行われていないということです。また東京都武蔵村山市では米軍の新兵訓練いわゆるブートキャンプが、中学校の恒例行事として行われていたということだが、米軍のホームページに、これは軍事教練であると明確に書いてあります。生徒の名前や顔まで掲載されたといいますが、これは抗議によって後に削除されました。
 また陸上自衛隊第12旅団のホームページのトップには、青少年キャンプ教室の写真を追加しました、との見出しで子ども達の顔が明らかに分かるような状態で掲載されています。自衛官募集PRの一環として職場体験を最大限に利用していることは明らかではないか。プライバシーの配慮がなさ過ぎると言わざるを得ません。
 近年、自衛隊の応募者が減っているというが、そうした中で、中学校生徒への働きかけが一層強まることが大変心配されます。職場体験に名を借りた自衛隊員勧誘ではないか。こうした意見もあります。教育委員会として、このようなことを許していいのか。明確なお答えをお願いします。

笠原教育長
 生徒の職場体験は、自らの進路や大人になった時の仕事、こういう夢を追うための、成長過程での非常に貴重な体験だと思っております。そうした意味で自衛隊での職場体験を否定する必要はないと思いますが、ただやはり、職場体験の趣旨を子ども達が感じ取れるような内容を取り組んでもらうことは必要だと思っております。

酒井委員
 一般の職場とは明らかに次元を異にしているわけです。日本も比準している子どもの権利条約の38条で「締約国は15歳未満の者が敵対行為に直接参加しないことを確保するための全ての実行可能な措置をとる」と書いてあります。または「15歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとする」、つまり戦争につながることは禁じられているわけです。それが更に国際法上発展し、少年兵の取扱いのルールが15歳未満から18歳未満に変更されました。これを受けて防衛省も自衛隊の少年工科学校を高等工科学校へと、また、階級の名称も変更したりしています。
 中学生がこうして自衛隊の武器を扱うこと、軍事訓練まがいのことを行っている。こうしたことが国際法に抵触する恐れがある、少なくとも国際的な合意が出来ていないことは明らかです。憲法や教育基本法の理念からみても逸脱していると言わざるを得ません。職場体験から自衛隊は除かれるべきと思いますが、明確にお答えください。

笠原教育長
 職場体験の意義をしっかりと踏まえ、子ども達には自衛隊であっても職場体験してもらいたいと考えております。

酒井委員
 教育長として、子ども達の未来に責任を負うという立場から、もっと突っ込んだ答弁をしていただきたいと思うのですが、戦車などの武器に触れることが子ども達の成長発達にどのような影響を与えるのか、国際法の観点からきちんと議論する必要があると思います。戦車や戦闘機のその先にあるもの、ミサイル小銃のその先にあるものを、想像する力こそが必要です。核兵器などの大量破壊兵器や、一切の武器が不要になる、そうした社会をつくるにはどうしたら良いのか。それを一緒に考えることこそが、今、教育に求められているのではないでしょうか。何よりも命の尊厳、平和の大切さについて、先の世界大戦の痛苦の教訓を踏まえた教育こそが求められています。一般の職業や職場とは次元を異にする自衛隊でのこうした職場体験は中止するよう強く求めたいと思います。
 最後に、安倍首相が「我が軍」と呼ぶこの自衛隊に息子さんがいる、県内に住むお母さんの声を紹介します。「自衛隊が海外で駆けつけ警護をすることになり息子が命を落とすような事にならないか、外国の罪のない子どもや女性を殺めるようなことにはならないか、心配です。どうして自衛隊に入ることに反対しなかったのか、後悔しています。自衛隊を辞めて他の仕事を見つけられないか、真剣に考えています」自衛隊員の家族がこのような悩んでいることをお伝えし、次の質問にうつります。
 福島第一原発事故後の放射線量の調査についてです。まず、野生鳥獣の放射性物質の検査体制と今後について伺います。二点目、放射線量の測定を強化するとともにその結果を分かりやすく公表すべきと思いますが、見解を伺います。

井田環境森林部長
 野生鳥獣の放射性物質の検査については、有害鳥獣等の個体を一部分提供を受け、農業技術センター等で行っており、結果についてはホームページ等で随時公開しております。また放射線量の監視の強化については、現在の監視体制は福島第一原発事故以後、今までになく強化されて実施されており、今後もこれを維持しながら監視を続けたいと考えております。また公表についても、国及び県のホームページで分かりやすく公表しているが、今後とも県民の皆さんに分かりやすい情報の伝達が出来るよう努めて参りたいと考えております。

酒井委員
 福島原発事故から5年半以上が経ちますが、依然として放射能の影響は群馬でも続いております。数値が下がってきたからといって安心は出来ません。モニタリング体制を縮小することなく、参加地も含めてきめ細かく測定し、公表していただきたいことを強く求めて、終わります。

南波委員長
 以上で、酒井委員の質問は終了いたしました。
 以上をもって総括質疑を終了いたします。

討論

南波委員長
 採決の前に、討論のある委員はいらっしゃいますか。
 (「なし」の声あり)
 討論はありませんので採決に入ります。

採決

南波委員長
 はじめに、平成27年度群馬県一般会計歳入歳出決算、及び、平成27年度群馬県県有模範林施設費、同用地先行取得、同収入証紙、同流域下水道事業費の各特別会計歳入歳出決算、並びに、平成27年度群馬県工業用水道事業、同水道事業、同団地造成事業の各公営企業会計決算の認定について採決いたします。
 これを原案のとおり認定することに賛成の委員の起立を求めます。
 (起立多数)
 起立多数であります。
 よって、本件は原案のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、ただ今採決しました各会計決算を除く決算認定案件、及び第171号から第174号の各議案について、これを原案のとおり認定及び可決することに賛成の委員の起立を求めます。
 (起立全員)
 起立全員であります。
 よって本件は原案のとおり認定及び可決することに決定いたしました。

審査の終了

南波委員長
 以上で、本委員会に付託された案件の審査はすべて終了いたしました。

その他

南波委員長
 委員長報告につきましては、正副委員長にご一任願うことでよろしいでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)
 それではさよう決定させていただきます。

あいさつ

南波委員長
 閉会にあたり一言ごあいさつを申し上げます。
 委員各位には、決算特別委員会が設置されてから本日に至るまで、各分科会において審査を熱心に行っていただきまして、厚く御礼を申し上げます。先の委員長就任あいさつの際にも申し上げましたが、決算特別委員会には、単に前年度における予算執行状況を審査することだけでなく、その結果を現年度の予算執行、また、来年度の予算編成にいかに活かしていくかを議論する場としての、大切な役割があります。こうした中で、本委員会に付託されました決算認定案件、及び各関係議案について、慎重な審査が行われ、本日の総括質疑、採決へと至ったところであります。
 群馬県においては、企業業績の改善などにより、税収も4年連続して増加するなど明るい兆しがある反面で、引き続き厳しい財政状況に置かれていることもまた事実であります。
 知事をはじめ執行部の皆さまには、こうした状況の中で、常に県民目線に立ち、効果的・効率的な予算の執行に努められ、県政のさらなる発展にご尽力をいただきますことをお願い申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。

知事あいさつ

南波委員長
 次に、執行部を代表いたしまして知事からごあいさつをいただきます。

大澤知事
 一言、御礼を申し上げます。
 南波委員長さん、岸副委員長さんをはじめ、委員の皆様方には、平成27年度の各会計の決算審査につきまして、慎重なご審議をいただき誠にありがとうございました。各会計決算について認定すべきものとご決定をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 本委員会の審査におけるご意見・ご要望を真剣に受け止めまして、今後の施策に反映させるとともに、より適正かつ効果的な予算執行に努めて参ります。
 今後とも、委員の皆様方のご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、御礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

散会

南波委員長
 ありがとうございました。
 以上をもって散会いたします。大変ご苦労さまでした。

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