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特集 大切な命を守るためにできること 2

更新日:2018年3月6日 印刷ページ表示

ゲートキーパーの役割~心のサインに気付いたら~

 ゲートキーパーとは、周りにいる人の悩みや困り事に気付き、声を掛け、話を聴いて、相談・医療機関など必要な支援につなぐ人のことです。一人でも多くの人がゲートキーパーとしての意識を持ち、それぞれの立場で行動を起こすことが自殺対策につながります。ゲートキーパーについて詳しくは、県こころの健康センター(電話 027-263-1166)にお問い合わせ下さい。

ゲートキーパーの役割の説明図画像

気付く

  • ポイントは「いつもと違うかどうか」…変化に気付くためには、普段からその人に関心を持ち、コミュニケーションを取ることが必要です

自殺の直前に発する主なサイン

発言
  • 「消えてしまいたい」
  • 「生きていくのが嫌になった」
  • 「もうこれ以上耐えられない」
  • 「自分は誰からも必要とされていない」 など
態度
  • 感情が不安定になる
  • 投げやりになる
  • 興味があったことに関心を示さなくなる
  • 身なりに構わなくなる など
行動
  • 仕事を休みがちになる
  • 不眠を訴える
  • 酒や薬物を大量に摂取する
  • 交際が減り、引きこもりがちになる
  • 極端に食欲がなくなり、体重が減少する など

声を掛ける・聴く

  • 体調のことを切り口にして、一声掛けます
  • 話をそらさず、相づちを打ちながら真剣に話を聴きます
  • 本人の気持ちを十分に受け止めた上で、可能であれば死なないことの約束を取り付けます

声を掛ける時は

  • まず、安心して話せる環境をつくります
  • 心配しているという気持ちを伝え、提案型のメッセージを送ります
     (例)「最近元気がないようだけど、何かあったの?私でよければ話を聴かせてくれない?」

話を聴く時は

 「死にたい」と打ち明けられた時は「後で相談しよう」などと後回しにせず、その場で話を聴きます。つらい気持ちを理解して、共感やねぎらい、感謝の気持ちを伝えます。安易な励ましや価値観を押し付けるメッセージは避けます。
 「誰にも言わないで」と言われたら「私はあなたの命を守りたい。一緒に相談に行こう」と伝えます。一人で抱え込まないことが大切です。

伝えたいメッセージ
  • 「一緒に考えよう」
  • 「私に話してくれてありがとう」
  • 「つらかったね」
  • 「泣いてもいいよ。弱音を言ってもいいよ」
避けたいメッセージ
  • 「死にたいなんて考えてはいけない」
  • 「明るく、ポジティブに考えよう」
  • 「大したことないよ、君ならできるよ」
  • 「みんなも耐えているんだ。踏ん張りどころだよ」
  • 「もっとこうした方がいいんじゃない」

つなぐ

  • 必要に応じて相談・医療機関につなぎます
  • 本人が相談・医療機関に行けない場合は、了解を得て代理で連絡します…話をしっかりと聴き、信頼関係が構築されると「つなぐ」ことがしやすくなります

見守る

  • あいさつなど普段通りのコミュニケーションを取りながら見守ります
  • 表情や会話での反応などに注意し、新たな気付きにつなげます

※参考文献:ゲートキーパー養成研修用テキスト(厚生労働省)、こころといのちのゲートキーパー「養成講座テキスト」(日本ゲートキーパー協会)

自己成長力を信じて味方になりきる

 民間団体の立場でゲートキーパーの養成と普及に取り組む、日本ゲートキーパー協会の大小原理事長に伺いました。

大小原利信さんの写真
大小原利信さん

 「人間は誰でも、良くなりたいという気持ちを持っていると思います。ゲートキーパーが丁寧に話を聴くことで、相談者は今まで気付かなかった自分の内面に目を向け、自分自身で問題を解決しようとします。
 ゲートキーパーは、相談者の自ら成長する力を信じて『味方になりきって』寄り添い続けることが大切です。
 私は今までたくさんの人の相談に応じてきました。その経験の中で、話を聴く時に感謝の気持ちを伝えることが大切だと気付きました。
 自殺を考えてしまうほど落ち込んでいる人が誰かに相談するのは、エネルギーが必要なことです。そのような状況の中で、つらい気持ちを話してくれたことに対して『ありがとう』と伝えることで、相談者は安心して話ができます。
 当協会で実施したゲートキーパー養成講座を受講した人が、身近な人の自殺を防ぐことができたという話をいくつも聞いています。中には、中学生が友達の自殺を防ぐことができた事例もあります。
 自殺の危機に直面している人に出会った時、声掛けの言葉や話を聴く態度などを正しく知っておくことで、誰でもゲートキーパーになれます。そして、ゲートキーパーとして何より大切なのは、その人を思う気持ちです」

気持ちに寄り添って~中学3年生女子生徒の体験談~

 「友達のAちゃんからLINE(ライン)で『友達にいじめられている。もう消えてしまいたい』とメッセージが送られてきました。
 私は、講座のことを思い出して『私に話してくれてありがとう。どんなことがあったのか詳しく教えて』と送りました。
 Aちゃんから詳しく話を聴いた後『みんなからの言葉で苦しくなっちゃったんだね。でも、私はAちゃんが大切です。また明日塾で会おうね』と送りました。
 するとAちゃんから『聴いてくれてありがとう』とメッセージが届き、塾で会うことができました。
 講座で習った『避けたいメッセージ』を使わないように、何度もメッセージを書き直してAちゃんの気持ちに寄り添いました。Aちゃんは、今も学校生活を続けることができています」

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