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特集「医療先進県ぐんまを目指して」 2

更新日:2018年6月5日 印刷ページ表示

救急・災害医療の取り組み

 本県の救急医療は、軽度の患者に対する初期救急医療から緊急を要する救命救急医療まで、患者の重症度などにより医療機関が連携して治療に当たる体制になっています。
 本県には、重篤な救急患者を24時間いつでも受け入れることができる救命救急センターが四つの病院に設置されています。そのうち前橋赤十字病院には、県内唯一の高度救命救急センターが設置されています。
 救命救急センターは、災害拠点病院としての機能も併せ持ち、災害時にDMATを派遣するなど、災害に備えて積極的な役割を果たすことが求められています。

「県内の災害拠点病院」

県内の災害拠点病院一覧
  区分 病院名
1 基幹災害拠点病院 前橋赤十字病院
2 地域災害拠点病院 群馬県済生会前橋病院
3 地域災害拠点病院 日高病院
4 地域災害拠点病院 公立藤岡総合病院
5 地域災害拠点病院 公立富岡総合病院
6 地域災害拠点病院 原町赤十字病院
7 地域災害拠点病院 桐生厚生総合病院
8 地域災害拠点病院 太田記念病院
9 地域災害拠点病院 国立病院機構沼田病院
10 地域災害拠点病院 利根中央病院
11 地域災害拠点病院 伊勢崎市民病院
12 地域災害拠点病院 伊勢崎佐波医師会病院
13 地域災害拠点病院 国立病院機構渋川医療センター
14 地域災害拠点病院 国立病院機構高崎総合医療センター
15 地域災害拠点病院 公立館林厚生病院
16 地域災害拠点病院 群馬中央病院
17 地域災害拠点病院 群馬大学医学部附属病院

県内の災害拠点病院地図画像

※災害拠点病院とは、災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための医療機関

 救急・災害医療について、県災害医療サブコーディネーターも務める前橋赤十字病院高度救命救急センターの中村センター長に伺いました

中村光伸さんの写真
中村光伸(なかむらみつのぶ)さん

救急・災害医療について

 「救急医療には、限られた時間の中で、患者さんに最善な治療をすることが求められます。当センターでは昨年度、救急搬送の患者約7千人の治療に当たりました。
 ドクターヘリは、現場に短時間で到着し治療を開始できるため、究極の往診システムとして現在の救急医療に欠かせない存在です。
 また災害医療では、救急医療の経験や知識が生かされます。1月に起きた本白根山の噴火ではDMATの出動が要請され、ドクターヘリを活用して西吾妻福祉病院へ医師を運んだり、負傷者を前橋市内の病院へ搬送したりしました。
 ドクターヘリの運航など、救急医療の仕組みがしっかりできているかどうかが、災害時の対応に大きく影響すると考えています」

災害拠点病院として

 「前橋赤十字病院は県の基幹災害拠点病院に指定され、災害時の医療連携体制を考えたり訓練を計画したりする役割を担っています。
 災害現場で必要な専門知識と技術は、研修と訓練で補っていく必要があります。一人でも多くの命を救うために、災害医療研修を県と一緒に積極的に行っていきたいですね」

DMAT(災害派遣医療チーム)

 DMATとは大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場で、急性期から活動できる機動性を持ち、専門的な訓練を受けた医療チームです。都道府県単位で組織され、医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職および事務職員)で構成します。
 災害拠点病院を中心にDMATを設置していて、現在県全体では最大55隊を組織できます。5年後には64隊まで増やすことを目標に研修や訓練を行っています。

本白根山噴火のため西吾妻福祉病院に参集したDMATの画像
本白根山噴火のため西吾妻福祉病院に参集したDMAT

災害医療研修

 県では、前橋赤十字病院をはじめとした各機関と協力し、災害医療に関するさまざまな研修を行っています。29年7月には、DMAT指定医療機関や消防職員を対象に、DMATを新規養成する研修を開催しました。
 また隊員の技能を向上させるため、昨年度は群馬大学付属病院や鉄道会社の訓練施設などとも協力して、参加対象や想定される災害の内容などが異なる5回の研修を行い、合計201人が受講しました。

県立病院の役割

 本県には専門分野(心疾患、がん、精神医療、周産期を含む小児医療)に特化した四つの県立病院があり、それぞれが県内の中核を担う専門病院として、高度な医療を提供しています。

心臓血管センター(前橋市)

 本県の心疾患医療の中核として、ハイブリッド手術室などを活用した高度・専門医療を行っています。
 また予防から治療、回復までを対象にした心臓リハビリテーションを実施しています。

がんセンター(太田市)

 地域がん診療連携拠点病院に指定され、東毛地域のがん診療の拠点として地域医療に貢献しています。
 今年3月に最新の3.0テスラのMRI(磁気共鳴診断装置)を導入し、より高画質な全身画像を一度の撮影で得られるようになりました。

精神医療センター(伊勢崎市)

 本県における精神医療の基幹病院として、入院治療から退院後の地域生活支援まで一貫した治療・支援体制を構築しています。
 15年からは全国に先駆けて精神科救急専門病棟を導入し、他の精神科医療機関と連携した精神科救急システムを支えています。

小児医療センター(渋川市)

 専門医と医療技術者によるチーム医療体制をはじめ、PICU(小児集中治療室)などの施設や高度医療機器を整備し、難病・重症患者を受け入れています。
 また併設している総合周産期母子医療センターは、県内の周産期医療の中核的機能を担う他、リスクが懸念される分娩にも対応しています。緊急時には、保育器などの設備を備えたNICU車(新生児専用搬送車)により、新生児を治療しながら搬送します。

 県立病院の高度・専門医療への取り組みについて、心臓血管センターの内藤院長に伺いました

内藤滋人さんの写真
内藤滋人(ないとうしげと)さん

高度・専門医療を追求

 「県立病院の使命は、地域において必要とされる医療のうち、高度な専門性や採算性などの面から、他の医療機関では提供が困難な医療を安定的かつ継続的に提供することです。
 当センターでは、24時間体制で専門の医師や医療スタッフが心疾患の救命救急に取り組んでいます。遠隔地からドクターヘリで搬送される救急患者も受け入れています。
 また27年に導入したハイブリッド手術室では、手術台と心血管エックス線撮影装置を併設し、カテーテルを使用した内科的治療と切開を伴う外科的治療を組み合わせた施術が行えるようになりました。
 カテーテル治療中に状況によって開胸手術に移行できるなど、医療安全の面からも優れた高度な医療の提供が可能になりました」

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