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野生動物による農林業被害の金額は減少傾向にありますが、依然として深刻な状況が続いています。また野生動物の生息域が拡大しているため、山から市街地まで広範囲で対策を進める必要があります。私たちはどんなことに気を付けたらよいのでしょうか。それぞれができることから取り組んでみませんか。
収穫後のキャベツ畑に出没したニホンジカの群れ(嬬恋村)
シカに食べられたキャベツ(嬬恋村)
金山公園に生息するイノシシの親子(太田市)
畑の野菜を荒らすサル(みなかみ町)
野生動物による農林作物への被害は、収穫前の農作物が食べられたり、木の樹皮が剥がされ幹が傷付けられたりするなどさまざまです。
県では22年4月に設置した「鳥獣被害対策支援センター」を中心に、「捕る」「守る」「知る」の三つの対策を一体的に推進してきました。
その結果、24年度に12億2千万円であった農林業被害額は、29年度には5億6千万円と半分以下に減少しましたが、被害は依然深刻な状況です。
野生動物の生息数や生息域の拡大を防ぐために、特に行動範囲が広いシカやイノシシは、国や県、市町村などが連携して計画的・効率的な捕獲などの対策をさらに進めることが必要です。
近年、野生動物が人間の生活環境にも頻繁に出没し、通学途中の児童が襲われたり、市街地に出てきた動物が不慣れな環境で自動車と接触する事故が発生したりしています。
特にイノシシは対応を間違えると重大な事故につながる危険性があり、見掛けた場合には注意が必要です。
野生動物は、山林一帯に群れで現れることもあれば、市街地に1頭で出没する場合もあります。
県では、日本獣医生命科学大学などと連携して奥山から市街地まで切れ目のない対策を行っています。
「捕る」対策としては、シカなどの生息状況を調査し捕獲を推進する他、捕獲の担い手の確保・育成に取り組んでいます。
「守る」対策では、鳥獣害に強い集落づくりを支援している他、侵入防止柵・樹木の保護ネットの設置などを進めています。
「知る」対策では、被害対策に精通した人材を育成するための研修を行う他、市街地に出没する野生動物についての注意喚起を行っています。
また農林業の将来の担い手が実践的な知識を身に付けるため、農林大学校の1年生全員が鳥獣被害対策の講義を受けています。
野生動物による被害はどうしたら減らせるのでしょうか。被害を防ぐための取り組みや、日常生活における心構えを紹介します。