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令和7年第3回前期定例県議会の開会に当たり、
提案説明に先立ち、一言申し上げます。
米国による我が国に対する相互関税については、8月7日から15%の税率が適用される形で日米政府間の合意が成立しました。また、自動車や自動車部品に対する関税については、9月16日から数量制限のない形で15%の税率が適用されました。
当初米国政府が提示した税率よりも低い水準で合意が得られたことは、赤澤大臣を始めとした日本国政府の粘り強い交渉の結果だと捉えています。しかしながら、今回合意した内容であっても、群馬県内の幅広い産業や県民の皆様に影響が生じることは避けられません。
言うまでもなく、自動車関連産業をはじめとした製造業を多く抱える群馬県にとって、米国関税への対策は極めて重要です。後ほどご説明させていただく補正予算案を含め、引き続き、群馬県経済への影響を注視し、必要な対策を適切なタイミングで実施して参ります。
さて、私は、去る9月7日から9日にかけて、都内で開催された日米中西部会およびインディアナ州主催のフレンズ・オブ・インディアナに参加し、知事として群馬県の魅力を最大限PRして参りました。
また、ネブラスカ州のピレン知事や、ミシガン州のホイットマー知事、カンザス州のトーランド副知事などと、日米の産業界の課題や今後の連携などについて意見交換を行いました。
さらに、インディアナ州主催のフレンズ・オブ・インディアナでは、インディアナ州の関係者との友好を深めました。
3日間の会議やレセプションを通じて、群馬県内の多くの企業が進出しているアメリカ中西部地域と友好関係を築くことが、群馬県の更なる発展につながることを、改めて確信しました。
今後も、知事自らが先頭に立ち、自治体独自の地域外交を進め、群馬県の取組を世界に発信し、群馬県の新たな飛躍につなげて参ります。
それでは、本日提出いたしました議案の大要について、御説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算関係5件、事件議案 17件の合計22件です。
はじめに、予算関係について御説明いたします。
現在、「こどもまんなか推進」や「新たな富の創出に向けた未来への投資」に向けた取組などを盛り込んだ当初予算や5月補正予算に計上した事業の効果的な執行に全力で取り組んでいます。
こうした中で、今回の補正予算案では、米国関税、物価高騰、猛暑といった、現在直面している課題に迅速に対応することといたしました。
また、県民の声に耳を傾け、災害への対応や子ども施策も充実させ、山本県政の原点である「県民幸福度の向上」についてもしっかり取り組んで参ります。
このような思いを込めて、今回の補正予算案は、「喫緊の課題に即応!米国関税+物価高騰+猛暑対策予算」といたしました。
一般会計の補正予算額は、73億1,778万円であり、現計予算額と合算いたしますと、補正後の予算額は8,169億8,155万円となります。
主な内容ですが、まず、「米国関税対策」として、米国関税の影響を受ける中小企業者等の資金繰りを支援するため、制度融資枠を300億円拡大するほか、新たな海外販路の開拓や輸出先の多角化を支援します。
次に、「物価高騰対策」として、私立の幼児教育・保育施設を対象に、光熱水費や食材料費等の高騰に対する支援を行います。また、イネカメムシへの対策や農業者の生産性向上を推進することで、米の安定生産・品質低下防止を図ります。
さらに、「猛暑対策」として、県立学校体育館への空調設備設置を前倒しして進めるほか、中央児童相談所、東部児童相談所の体育館における空調設備の設置を進めます。
また、「県民幸福度の向上」として、補助公共事業を増額し県土整備プランを着実に推進するほか、通学路の安全対策としての除草や道路区画線の塗り替え、河川の伐木を行い、県民の安全確保を図ります。
さらに、ヤングケアラーの実態調査や、こどもが自らの考えを整理し、意見を表明することを支援する「アドボカシー事業」の拡大により、こども・若者の権利擁護を推進していきます。
財政の健全化に向けては、令和6年度決算剰余金の一部である35億円を財政調整基金に積み立てます。
これにより、令和7年度の9月補正後の残高は424億円となりました。昨年の同時期と比較すると48億円増加したことになります。
山本県政では、限られた人的資源と財源を有効活用するため、ワイズスペンディングを心掛けてきました。民間リソース等の積極的な活用や、自ら「稼ぐ」施策、デジタル化による事務の効率化を強力に進めるなど、事業の見直しを行ってきました。
こうした取組の積み重ねが、基金残高の増加に繋がったものと考えています。
しかしながら、大規模災害対応などの際にも十分な対応ができるよう、一定規模の基金残高を確保する必要があることから、引き続き財政健全化を図って参ります。
なお、企業会計については、電気事業会計等において、所要の補正を行います。
次に、事件議案のうち、主なものについて申し上げます。
第133号議案は、群馬県グローバル人材育成基金を新たに設置しようとするものです。
第136号議案は、法人の県民税の税率に関する特例措置を5年間延長しようとするものです。
以上、提出議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますよう、お願い申し上げます。