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令和8年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち、一言申し上げます。
はじめに、先日記者会見で発表をさせていただきましたが、昨年10月の決算特別委員会における、湯けむりフォーラムに関する説明の中で、事実と異なる点があったことが判明しました。
このことについて、県議会議員の皆様、そして県民の皆様からの信頼を損なう結果となりましたことを、改めて深くお詫び申し上げます。信頼回復に向け、誠実に対応してまいります。
さて、去る2月4日から8日にかけて、知事になって初めてインドを訪問しました。また、今回の訪問では、群馬銀行をはじめ16社の県内企業にも同行していただきました。
インド滞在の初日には、インド政府の貿易交渉を担当する、ピユーシュ・ゴヤル商工大臣と会談を行い、群馬県とインドとの関係強化に関して意見を交わしました。
また、今後、群馬県が連携協定を目指すべき州や産業分野に関して、貴重な助言をいただくことができました。
ゴヤル大臣は大変有力な政治家で、日本の地方自治体の長と面談するのは非常に珍しく、インド政府の群馬県に対する期待の高さの表れだと思っています。
また、滞在2日目に、インド外務省のパビトラ・マルゲリータ副大臣と会談を行い、製造業やエンターテインメント分野における、今後の群馬県とインドとの連携の可能性などについて、議論しました。
最終日には、インド人民党のバイジャヤント・ジャイ・パンダ副総裁と会談を行い、日本とインドとの安定的な友好関係の重要性や、群馬県とインドの経済・人材交流の強化に向けた協力の呼びかけに対して、前向きな意見をいただきました。
今回の訪問では、インドの有力な政治家3人にお会いすることができました。また、現地に進出している日系企業や世界有数の現地大学などにも、大塚副知事と役割分担をして訪問するなど、大変有意義で成果のある渡航となりました。
引き続き、知事自らが先頭に立ち、独自の地域外交を通じて、群馬県の経済、教育、文化の活性化を図ってまいります。
それでは、令和8年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げます。
加えて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べたいと思います。
物価高騰や米国の関税政策の影響などにより、県民や県内事業者を取り巻く環境には、多くの課題やリスクが存在しています。
そうした課題やリスクに対して、適切な対応を取ることで、県民生活と県内経済を守るとともに、デジタル・クリエイティブ産業のエコシステム構築など全国に先駆けた、未来に向けた取組を進めていきます。
令和8年度当初予算は、こうした思いを込めて、『難局突破&先駆的未来投資予算』と命名させていただきました。
財政の健全性を意識しながら、様々な分野において非常に充実した取組を盛り込むことができたと考えています。
令和8年度の一般会計当初予算の総額は、8,486億円です。
令和7年度当初予算と比較して408億円の増加で、制度融資を特別会計に移管した平成20年度以降、最高の予算額です。
それでは、令和8年度当初予算の主な取組について、5つの重点施策に沿って御説明申し上げます。
まず、重点施策の一つ目は、「直面する課題への対応・当面のリスクへの備え」です。
現在の難局を乗り越えるためには、中小企業の賃上げや資金繰りを支援する取組、そして物価高騰の影響を受ける事業者や県民生活へのきめ細かな支援が不可欠です。
まず、賃上げ、米国関税対策についてです。
「ぐんま賃上げ促進支援金」では、物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現するため、令和8年度も引き続き、県内の中小企業等を支援します。
また、制度融資により、県内中小企業の経営安定や前向きな取り組みを資金面から支援します。
続いて、物価高騰対策です。
燃料や電気料金高騰の影響を受ける施設園芸生産者や、粗飼料価格高騰の影響を受ける酪農家に対する支援に取り組みます。
また、「交通運輸事業者物価高騰対策」では、デジタル技術を活用した業務効率化を行う交通運輸事業者を支援します。
全国で市街地における出没が相次いでいるクマ対策については、人身被害防止対策や、捕獲の担い手育成・確保を強化します。
さらに、水道事業の基盤強化のため、市町村に対して、老朽化・耐震化対策を支援するとともに、水道事業の広域化等を後押しして参ります。
続いて、重点施策の二つ目は、「子育て・教育・医療・福祉の充実」です。
まず、子育て支援の充実です。
高校授業料の無償化や公立小学校等の学校給食費の抜本的な負担軽減といった、「いわゆる教育の無償化」については、市町村等と協力し、着実に取り組みます。
また、困難な状況にある子ども・若者を支援する「子ども・若者総合相談センター」や、難聴児とそのご家族のための「難聴児早期支援センター」を新たに設置します。
次に、教育の充実です。
「県立高校の魅力化」や「教育環境の整備」に取り組むとともに、非認知能力の評価・育成やインクルーシブ教育の取り組みをさらに進めます。
また、外国人児童生徒のための母語支援員の配置等への支援を全市町村に広げ、地域差のない一貫した指導体制を構築します。
加えて、「UniPath支援」として、小中学校における校内教育支援センターの設置などの取り組みを進めて参ります。
続いて、医療提供体制の充実です。
「医師確保対策」として、医師不足が特に深刻な外科については、医師確保修学研修資金の貸与額を増額します。また、群馬大学病院の臨床研修医に対し、自己研鑽にかかる費用を新たに支援するなど、若手医師の確保に向けた取り組みを進めます。
「看護職確保対策」では、県内看護大学の卒業生の県内定着を図るため、奨学金返還費用の支援を新たに実施します。
「利根沼田地域の医療提供体制の確保」では、国立病院機構沼田病院の廃止を踏まえ、沼田病院の医療機能を引き継ぐ医療機関等に対する支援を行います。
続いて、「福祉の充実」です。
介護現場の生産性向上に向けた取組や、老人福祉施設の長寿命化のための改修等を支援するとともに、聴覚に障害のある方の情報取得や意思疎通をサポートするサービスを実施します。
重点施策の三つ目は、「新たな富の創出に向けた未来への投資」です。
まず、「デジタル・クリエイティブ産業のエコシステム構築」に向けた取組です。
「デジタルクリエイティブ人材の育成」については、「TUMO Gunma」と「tsukurun」の運営に加え、大学生世代以上を対象とした新たな人材育成機関の検討などを、引き続き行います。
また、Gメッセ群馬をさらなるクリエイティブの拠点とする取り組みを進めるとともに、クリエイティブ関連企業の誘致を強化します。
次に、「農林業の活性化」です。
県産木材の更なる利活用を促進するため、「ぐんまゼロ宣言住宅促進」では、補助金申請要件を緩和するとともに、子育て世帯に直接補助金を交付する制度を新たに創設します。
また、木造建築物の良さを広くPRするため、非住宅建築物における木造化・木質化のための補助制度を開始します。
「有機農業推進」については、引き続き、栽培技術の研究をはじめとした生産拡大や販売促進、そして消費拡大に一体的に取り組みます。
さらに、持続可能な蚕糸業の実現に向けて、県内まゆ生産者に対する支援や、生糸の適正価格販売に取り組む製糸工場への支援を行います。
続いて、「新産業の創出」に向けた取組です。
県内中小企業の稼ぐ力の向上と競争力強化を図るため、次世代自動車や医療・ヘルスケア、航空宇宙産業などにおける新技術・新製品開発を支援します。
また、後継者不在などにより廃業を検討している企業の事業承継を促進し、経営体質の強化を図る県内企業を支援します。
さらに、「全県リビングラボ構想の推進」にも引き続き取り組み、デジタル技術を活用した新たなビジネスが群馬県から次々と創出される環境を整備します。
このほか、リトリートの聖地に向けた取組や、「頭文字D」を活用したインバウンド誘客事業、「ぐんまちゃん」の知名度を生かしたIPの積極的な活用、NETSUGENの拡張など、新たな富の創出につなげる取組を進めます。
重点施策の四つ目は、「県民幸福度向上のための取組」です。
まず、「レジリエンスの強化」に向けた取組です。
激甚化・頻発化する災害から県民の命と財産を守るため、引き続き水害対策をはじめとした防災インフラの整備などに取り組みます。
また、いわゆる電気自動車の購入を補助することによって、脱炭素化に向けた県民の機運を醸成するとともに、災害時の電源確保を図ります。
次に、「県民の安全・安心の確保」の取組です。
通学路などの安全を確保するため、信号機や横断歩道などの交通安全施設を計画的に整備します。
また、デジタル技術を悪用した事件への対応やDXによる捜査の効率化・高度化を進めるとともに、老朽化している吾妻警察署と高崎警察署の新築整備を進め、警察機能を強化します。
続いて、「公共交通の利便性向上・維持確保」の取組です。
「GunMaaS」の高度化を図るほか、中小私鉄や地方バス・市町村乗合バスの運行支援に取り組みます。加えて、中小私鉄3社に対して保線作業の生産性向上を支援するとともに、路線バスへの交通系ICカード導入を支援します。
次に、「文化・芸術推進」についてです。
温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けて、引き続き、群馬県の温泉文化の魅力や価値を世界へ発信するとともに、全国の都道府県と連携した登録推進活動を実施します。
また、第50回目の節目を迎える「県民芸術祭」では、過去の取組を評価・継承し、未来へとつなげていく記念事業を実施します。
そして、「スポーツ推進」についてです。
「湯けむり国スポ・全スポぐんま」開催に向けて、競技会場の施設整備や広報・機運醸成など、本格的な準備を進めて参ります。
競技力向上対策では、国スポに向けて選手強化策をさらに拡充するとともに、未来に繋がる選手強化の仕組みづくりに取り組みます。
重点施策の最後は、「財政の健全性の確保」です。
令和8年度の予算案には、それぞれの重点施策において、充実した内容を盛り込むことができたと思います。一方で、知事就任以来重視してきた「財政の健全化」にも十分に留意いたしました。
令和8年度当初予算では、「基金残高の確保」、「県債発行額の抑制」、「県債残高の縮減」の3点について、前年度からさらに改善することができました。
まず財政調整基金の残高については、前年度を上回る277億円を確保しました。これは、平成10年度以降で最高額となっています。かつては、緊急事態への備えが不十分だったと言わざるを得ない状況でしたが、令和8年度当初予算においては、さらに改善することができました。
県債の新規発行額については、462億円に抑えました。令和4年度以降、5年連続での減少となります。
これにより、県債残高は、令和7年度決算見込みと比べて、433億円減少させることができました。
これまで山本県政では、県有施設のあり方や様々な事業についての見直し作業を積み重ねてきたほか、ワイズスペンディングを実践してきました。そして知事によるトップセールスでも、県の取組を政府に後押ししてもらえるよう、働きかけるとともに、ふるさと納税など新たな財源確保にも力を入れて参りました。
令和8年度当初予算編成においても、こうした取り組みを進めることで、県債残高を減少させながらも、前年度を上回る基金を確保することができたと考えています。
今後も引き続き、財政の健全性確保に努めながら、群馬県の未来のために必要事業についてはしっかり取り組んで参ります。
続いて、特別会計についてですが、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については、流域下水道事業会計など7件を提出しております。
事件議案は、37件を提出しております。
第14号議案は、いわゆる「ヤード」における再生資源物の保管等による生活環境保全上の支障の発生を未然に防止するため、群馬県再生資源物の屋外保管等の規制に関する条例を制定しようとするものです。
第15号議案は、公契約の公正かつ適正な運用を図るため、群馬県公契約条例を制定しようとするものです。
続いて、令和7年度関係について、予算関係で15件を提出しています。
このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴い、防災・減災をはじめとした公共事業の増額などを行うものです。
事件議案としては、高校教育改革を先導するパイロットケースを創出し、取組成果を域内の公立高校に普及するための「群馬県高等学校等教育改革促進基金」の新設など24件を提出しております。
以上、重点的な施策について申し上げました。
県民の命と財産を守り、暮らしを豊かにするためには、直面する課題や起こりうるリスクへの備えにしっかりとした対策を行うとともに、未来に向けた、可能性を広げる取り組みが必要不可欠です。
これからも、山本県政の最大の目標である「県民幸福度の向上」に繋がるよう、全力を尽くしてまいります。
そのためには、引き続き、県議会をはじめ県民皆様方の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。