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前橋市新清掃工場整備事業の環境影響評価準備書に係る公聴会における意見概要等

更新日:2012年3月13日 印刷ページ表示

1 日時

 平成24年2月25日(土曜日) 14時00分~15時45分

2 場所

 県庁294会議室

3 出席者の状況

  • 公述人 18名
  • 傍聴人 21名

4 環境保全の見地からの意見概要

※ 環境保全の見地からの意見のみを記載しています。
 同様な意見は集約して記載しています。

(1)大気環境

  • 準備書には、放射性物質に関する記載がない。これでは、放射性物質の危険性に対する周辺住民の納得が得られないだけでなく、不安が増すばかりである。したがって、焼却灰や飛灰に含まれる放射性物質が、環境に与える影響及び人体に与える影響についての十分な検証を行い、環境影響評価に加えるべきである。
  • 既存のバグフィルターでは、放射性物質の捕捉は十分ではなく、また、清掃工場を現在の3箇所体制から1箇所に集約されることにより放射性物質が集中し、危険性はより高まると考えられるため、放射性物質を除去して大気中に拡散させないような、新たな施設整備を検討すべきである。
  • 清掃工場内や焼却炉が一度放射性物質で汚染されれば、トラブル発生の際に修理などの対応が困難になる可能性が高いと考えられ、解決は大変困難となる。この問題に対する項目も解決策もないことは問題である。
  • 準備書において、大気汚染に関して予測した物質は、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及びダイオキシン類の4対象だけであり、しかも、その年間の排出総量を示していない。これでは、周辺住民が安全と判断することはできない。環境影響評価をするなら、少なくても9種類(硫黄酸化物、窒素酸化物、塩化水素、フッ素化合物、鉛化合物、カドミウム化合物、塩素、ばいじん量、ダイオキシン類)の年間排出総量を試算し、その物質が人や農作物にどのように影響を及ぼすのか化学的な根拠を示しながら、さらに詳細な評価を行うべきである。
  • 排ガスに含まれる重金属の影響評価が不十分である。重金属の排出による環境への影響評価を行わずに、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及びダイオキシン類の4物質のみの排出濃度が環境基準値よりも低いから心配のない安全な施設であると短絡的に断言していることが問題である。
  • 新清掃工場から約2キロメートルの範囲には、伊勢崎市の住宅地が密集しており、保育園、幼稚園、小・中学校、高等学校をはじめ、病院、養護老人ホーム、浄水場、商業施設などがある。排出ガス中に含まれる有害物質が環境基準値以下だとしても、有害物質が含まれることは明らかである。また、清掃施設を3箇所あったものを1箇所にまとめて大量のゴミを処理する訳であり、絶対量で考えれば相当量の有害物質が排出され、周囲の環境が悪化は避けられない。
  • 準備書では、清掃工場建設に伴う工事車両、収集車から排出される窒素酸化物、浮遊粒子状物質については、環境基準値以下であるため心配ないと評価しているが、疫学研究では道路沿いの学童の喘息発症率が非常に高くなっていることから、これらの物質が、収集車両等の走行ルート沿線住民及び計画地周辺住民の健康にどのように影響を及ぼすのか評価をしてほしい。
  • 計画地から約5キロメートルの範囲には、既に伊勢崎市と玉村町の2つの清掃工場が稼働しており、少なからず有害物質が降ってきているものと思われる。そこに前橋市全域のゴミ処理を行う新清掃工場が建設されると、さらなる負担を他市の施設によって強いられることになる。また、一つ一つの清掃工場の排出する有害物質が環境基準値以下だとしても、この3つの清掃工場に囲まれた地域の影響はどうなのか、一切考慮されていない。

(2)水環境

  • 準備書において地下水位の状況は、深度1.5~2.5メートル前後の浅い位置にあり、年間を通じての水位変動量も1メートル程度と安定していると説明しているが、1年間の調査のみで安定していて問題無いと断言できるのか。また、地表から1.5メートルのところまで、地下水があるところに新清掃工場を建設することは相応しくないと思う。
  • 新清掃工場は無放流式であるため、煙突やフィルター等の洗浄に使用した水が何度も再利用され続けるうちに、放射性物質が濃縮され汚染水となると考えられるが、その対策等が全く考慮されていない。

(3)地盤環境

  • 準備書には「大地震発生時にも大きな補修を行うことなく使用できることが可能な設計とする。」と記載しているが、絶対に安全という確信は持てない。したがって、液状化が心配される軟弱な広瀬川砂礫層の地盤の上に、新清掃工場を建設することは大きなリスクを負うことになるため、計画地の変更を検討すべきである。
  • 準備書では、液状化指数が5から10の危険性がやや高い地域に該当するとして、適切な液状化対策を行うとしているが、その対策が極めて弱いと思われる。リスクの高い場所に建てることに対しての認識が低く、環境への配慮を欠くものであり、大変見通しが甘いと言わざるを得ない。

(4)環境への負荷

  • 温暖化対策上の問題として、高効率発電施設を伴う廃棄物処理施設は、家庭ゴミに加えてプラスチック等の産業廃棄物を加えることが予想され、環境に優しい施設であるのか問題がある。

(5)その他

  • 浸水対策として3メートル程度の盛土造成を行うとしているが、これは大規模な変成であるため、一般家庭ならば場所の変更は必定である。したがって、計画地の変更を検討すべきである。
  • 準備書には「ごみピットへの浸水を防ぐため、プラットホームを2階に設置するなど、適切な高さを確保し、災害を防止する。」と記載しているが、防災計画との整合性が全くない。
  • 近年、地球温暖化の影響により世界的規模で集中豪雨が発生しており、想定外の大規模な被害を引き起こす危険性が増加している。したがって、新清掃工場をわざわざ浸水のリスクの高い場所に、費用を掛け浸水対策を講じて造ることは問題がある。
  • 前橋市の現存する3箇所の清掃工場を、災害の危険性の高い場所1箇所にまとめる今回の計画は、いわゆる広域化、集中化であり、リスク分散の面で非常に問題がある。また、計画地から約5キロメートルの範囲には、既に伊勢崎市と玉村町の清掃工場が稼働しているため、万が一の災害時には一度に被災してしまう可能性があり、県の防災上この計画地への建設は好ましくないと思われる。県全域でのバランスやリスク分散を真剣に考慮すべきである。