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「(仮称)高崎市総合卸売市場周辺造成事業第2種事業 環境影響評価準備書」に対する意見について

更新日:2018年3月12日 印刷ページ表示

1 大気環境について

  1. 準備書6-252ページ及び要約版140ページのモンタージュ写真で示されている団地内における工場等の建物の配置や構造では、騒音や低周波音が発生する可能性が高いと考えられる。景観面からだけではなく、低周波音や騒音の発生を考慮した建物の配置や構造に配慮すること。
  2. 環境影響評価項目として、低周波音を「予測評価は行わないが現地調査を行う。」とした理由が、「供用後の事後調査のための現況把握を行う。」とあるが意味が不明である。工事前と供用後で測定値に大きな変化がないか監視する等、事後調査や供用後の団地の管理において、調査結果をどのように用いるのか具体的な方針を定めること。
  3. 産業団地の供用後において、都市計画に基づいた規制が不明瞭になっているために、施設の稼働による騒音、振動に関するトラブルが発生していると考えられる。
    施設や建物ができる前に、過去の事例からの推測や経験を基に予想できる事象に対して対策を準備すること。
  4. 大気質の予測について、県立高崎高等特別支援学校における、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質の将来予測濃度は、環境基準を下回っているものの、施設の稼働による寄与濃度が、5つある予測地点の中で最も高くなっている。施設の工事中又は稼働後において、実際の濃度が環境基準を下回っているか検証すること。

2 水環境について

  1. 事業実施区域の西側に位置する地域は倉賀野台地のふちにあたり、事業実施区域の西地区は同地域に存在する進雄神社で湧出している湧水の下流域となり、この湧水が、西地区内の自然環境に強い影響を与えていると考えられる。
    湧水がどのように流れているかを確認するとともに、湧水は、団地内から発生する工場等の排水と単一の排水路で処理せず、事業実施区域の自然環境の維持に活用すること。
  2. 事業実施区域の雨水排水は、専用の雨水放流管を用いて粕川に放流することとしているが、粕川との接続部の位置や構造については、関係機関と協議し、河川環境に影響を及ぼすことがないようにすること。
  3. 工事に伴い発生するおそれがある油類等が、公共用水域へ流出する水質汚濁事故の発生に十分注意するとともに、事故発生時等に備えた連絡体制を整備すること。
    また、下流域への影響を最小限にとどめるため、土のうやオイルマットを常備しておく等、万一の事故に備えること。

3 地盤環境について

  1. 本事業では、事業実施区域の東地区に設置される調整池の切土によって発生する建設発生土を、産業団地造成に使用する盛土材として、再利用することに努める計画としているが、再利用する土に産業廃棄物や有害物質が紛れ込まないようチェックできる体制を構築することとし、その旨を評価書に記述すること。

4 生物環境について

  1. 動物の予測結果で、動物の生息環境が事業の実施により改変されるものの、周辺に広く存在する同様の生息環境を利用するので、個体群への影響は少ないという趣旨の記述が繰り返しされているが、根拠が乏しく説得力がない。
    水田など動物の生息に適した環境は減っており、自治体が行う事業では、都市計画等を把握しやすいと考えられるので、可能な限り周辺の開発計画などの情報を収集し、それを踏まえて周辺も含めて生物環境が保全されるのか、また、どのように変化するのかを予測し、必要な環境保全措置を講じること。
  2. 植物の中で、保全措置をとることが望ましいと判断される注目すべき種5種(ミズマツバ、ウスゲチョウジタデ、ミゾコウジュ、ミズオオバコ、イトモ)の移植方法、場所について、「事業実施区域内に整備する低床公園兼用型の調整池の高水敷や近傍の公園等を検討する。」と準備書に記述されているが、調整池への移植は水位管理ができずかなり難しいと考えられる。
    これらの植物の移植場所としては、同様の環境を有する水田周辺が最も適しているので、近隣農家に対して移植の受入れを働きかけることや、事業実施区域周辺の農業用水路やそれらに隣接した公園への移植を検討すること。
  3. 動物において注目すべき種である、トウキョウダルマガエルの環境保全措置が「極力捕獲して、周辺の生息適地に移動する。」となっていることについて疑義がある。事業実施区域外の現況は田畑となっているが、将来にわたり現況のままであるかは不明であり、移動した先の生息適地が減少していくことも考えられるし、移動後の追跡も不可能であることから、事業実施区域内に生物が生息できる環境を造ることが必要と考える。環境保全型の水路や粕川と農業用水の合流部に魚道を作るなど、水生生物の生息環境に配慮すること。
  4. 事業実施区域に整備される公共緑地は、準備書6-252ページ及び要約版140ページのモンタージュ写真を見る限りでは単なる公園となっており、動植物の生息環境に適していないと思われる。動植物が生息できる環境となるように整備すること。
  5. 調査結果によると、事業実施区域周辺ではトウキョウダルマガエルが安定した個体数で生息していると考えられる。このような地域は珍しく、貴重な場所であるので、捕獲したカエルを周辺地域に放せば良いとするのではなく、貴重な生息環境を保全する観点で対策を講じること。
  6. ミズオオバコの保全措置内容を「表土撒きだし」としているが、ミズオオバコは保全措置内容が「移植」となっているイトモと同じ沈水植物であり、同一地に分布しているので、保全措置内容に「移植」を加えること。
  7. 国や県の絶滅危惧種には指定されていないが、事業実施区域内には近年県内で減少しているエビモ等が確認されているので、移植対象種にできないか検討すること。
  8. 事業実施の際の参考となるので、低床公園兼用型調整池がどのようなものか、既存の工業団地における事例を調査し、評価書に掲載すること。
  9. 事業実施区域周辺の生物調査の結果、「外来生物法」において特定外来生物に指定されているアレチウリ、オオキンケイギクの生育が確認されているので、整備後の公共緑地への侵入や事業地周辺への拡散を防ぐ適切な防除対策を実施すること。
    また、事業実施区域内で発見された特定外来生物を除く生態系被害防止外来種(植物種)についても、事業の実施により周辺に拡散しないよう、極力処分すること。
  10. 事業実施区域内で発見された外来種(特にアメリカザリガニ)については、本件事業の実施により周辺に生息域を広げないよう、極力処分すること。
  11. 植物の環境保全措置の一つとして「移植」を挙げているが、「移植」に当たっては、移植地の選定・移植方法等について専門家の意見を聴取すること。
    また、水生生物、動物の環境保全措置に当たっては、必要に応じて専門家の意見を聴取すること。
  12. 水生生物、植物、動物の事後調査について、実施方法及び結果について、必要に応じて専門家の意見を聴取し、効果的な調査に努めること。

5 人と自然とのふれあいについて

  1. 準備書2-24ページ及び要約版140ページに掲載されているモンタージュ写真は、住宅の2階から赤城山方面を撮影したという想定であるが、本写真では眺望がほとんど無くなっている。
    供用後の企業誘致においては、建物の高さ制限や壁面の位置の制限等を設定し、景観の保全を図ること。
  2. 景観の環境影響評価が、「地域になじむ樹種による植栽や建築物の高さ、色彩とすることにより、新たな都市景観が形成されると評価する。」とあり、事業により新たな都市景観が形成されることを良いことであると評価しているように受け取れる。評価書において、景観への影響をできる限り低減し負荷をかけない方向性であることがわかる記述にすること。

6 その他

  1. 準備書2-28ページ及び要約版11ページ「2.7 対象事業の背景及び経緯」において、事業実施区域について「自然環境にも恵まれ、そのうえ地震や風水害が少ないことなど、恵まれた立地条件を有している。」との記述があるが、事業実施区域周辺の台地の形成等の経緯を考えると、地質学的な観点からは、当該区域において、火山や地震といった災害リスクが低いとは言えない。自然環境に対する認識(例えば、より広範な時間スケールで捉える等)を変えて、評価書における記述を検討すること。
    また、「自然環境にも恵まれ」との記述は比較的安易に用いられるが、「恵まれている」とする具体的な内容の説明が乏しい。具体的に内容を説明できるよう日頃から関連する情報を収集すること。
  2. 準備書2-30ページ「2.10 対象事業実施に必要な許認可等」において、「農業振興地域農用地区域からの農地の除外(農業振興地域の整備に関する法律第13条)」が都市計画変更後に行われる手続であると読み取れる。
    同申請は、都市計画変更前に行うこととなっているので、評価書においては記述を修正して、適切な時期に手続を行うこと。
    なお、農業振興地域の変更は、区域区分の変更と同時に行うことにも留意すること。
  3. 過去の時間降水量、降雨強度や流出係数を加味した上で、雨水排水路や調整池の規模等を検討の上、事業実施区域内の雨水を県管理道路を含む周辺道路へ流出させないよう対策すること。
  4. 資材運搬車両が通行する県管理道路を含む周辺道路を汚損した場合の対応について、具体的な方法を評価書に記載すること。
  5. 一般県道元島名倉賀野線の拡幅については、道路管理者との協議結果を踏まえて、適宜立会い等を行い、事業者において責任を持って実施すること。
    また、当該道路は高崎健康福祉大学高崎高等学校や県立高崎東高等学校の生徒が登下校時に多く利用するので、工事期間中の安全対策についても配慮すること。
  6. 新設や、形状を変更する交差点については、道路管理者及び交通管理者と協議を行い、協議結果を反映させること。
  7. 本事業の実施にあたっては、事業実施区域に隣接している県立高崎高等特別支援学校に対して十分な説明を行い、事業実施区域の工事期間中における生徒の安全確保の徹底し、可能な限り学習活動への支障が生じないように配慮すること。

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