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令和4年7月22日(金曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
平田郁美教育長、益田裕充教育長職務代理者、竹内健委員、代田秋子委員、沼田翔二朗委員、河添和子委員
新井徹教育次長、鈴木佳子教育次長(指導担当)、黒澤英樹総合教育センター所長、柿沼輝信総務課長、高林和彦管理課長、小林謙五福利課長、栗本郁夫学校人事課長、春田晋義務教育課長、天野正明高校教育課長、町田英之特別支援教育課長、鯉登基生涯学習課長、橋憲市健康体育課長、清水義博総務課デジタル教育推進室長、角田毅弘総務課次長、齊藤克博総務課補佐(行政係長)、佐俣瑞穂総務課主幹
午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は1名、取材者は1名であることを報告。
平田教育長が今回の会議の会議録署名人に竹内委員を指名。
議案審議に先立ち、平田教育長から、第16号議案は個人情報を含む案件であるため、第17号議案は教職員の人事に関する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(平田教育長)
始めに私から一言申し上げる。
まず、新型コロナウイルス感染症に係る学校の対応状況について報告する。
新規感染者の増加を受け、7月21日に県の「新型コロナウイルス感染症対策本部会議」が開催され、警戒レベル等についての検討が行われた。その結果、本日7月22日から8月5日まで、全県において県のガイドラインに基づく警戒レベルを「1」から「2」に引き上げることとなった。これに伴う県立学校の対応については、学校が夏季休業に入るため、生徒の接触機会が限られるようになることなどから、現状の対応を継続することとしたことを報告する。
続いて、前回の教育委員会会議以降の主な行事について、順次報告する。
まず、6月24日に令和4年度群馬県総合教育会議が吉岡町立明治小学校で開催され、全委員と私が出席した。当日は、会議に先立ち、明治小の1人1台PCを活用した授業を視察し、その後、「群馬県教育イノベーションプロジェクト及び1人1台PCを活用した教育DXの推進について」を議題として、意見交換がなされた。
次に、7月4日に桐生市立黒保根学園と桐生高校への学校訪問に全委員と私が出席した。黒保根学園は県内2例目、桐生市では初となる義務教育学校であり、桐生高校は昨年度に桐生高校と桐生女子高校が統合した新高校である。当日は学校概要の説明を受けた後、授業の様子等を視察し、学校関係者と意見交換を行った。
3つ目は、教育委員による個別学校訪問である。7月6日に益田委員、代田委員及び河添委員に、前橋高校及び前橋女子高校への学校訪問に出席いただいた。
4つ目は、令和4年度全国都道府県教育委員会連合会第1回総会が7月11日にオンラインで開催され、職務代理者である益田委員と私が出席した。会議では「令和5年度国の施策並びに予算に関する要望(案)」に関する議案審議等がなされ、いずれの議案も原案どおりに決定された。
最後になるが、7月12日にいじめ防止フォーラム(安中地区)が安中総合学園高校を会場として開催され、竹内委員に出席いただいた。
私からは以上である。続いて、教育委員から意見や報告をお願いする。
(益田委員)
私は、多くの行事に出席をさせていただいた。最初に6月24日の総合教育会議について報告する。吉岡町立明治小学校では、ICTを活用した幅広い取組をたくさん披瀝いただいた。知事もおっしゃっていたが、今後こういった取組が多くの学校に浸透し、さらに活用されていくことを期待したい。
続いて、7月4日に教育委員の学校訪問で、黒保根学園と桐生高等学校を訪問した。黒保根学園の印象としては、小中のカリキュラムが一体的に機能していて、まさに義務教育を貫く指導が行われていると実感した。今後も注目できる取組が行われていくと思う。桐生高等学校は、伝統を受け継ぎながら、見事に新しい出発を切った学校であると感じた。
また、7月6日には、個別の学校訪問で、前橋女子高等学校と前橋高等学校を希望し、訪問させていただいた。学期末の大変御多用の中対応してくださった。いずれの学校も「探究」を前面に押し出しながら、生徒全員が、現行学習指導要領が求めている課題にしっかりと向き合い、教育を展開している様子が実感できた。
続いて、7月11日に全国都道府県教育委員会連合会第1回総会に出席させていただいた。私の参加した分科会では「段階的な地域移行に向けた部活動改革」をテーマに意見交換を行った。やはり各都道府県とも、多くの課題を抱えていることが明らかであった。スポーツ庁が言うように、学校教育で行われている部活動の機能を引き継ぐ形で、どの程度地域移行ができるのだろうか、そのようなことが多くの都道府県で課題として共有されていると感じた。また、「教員不足の解消に向けた人材確保と教師の資質能力の向上」というテーマでも話し合いがされた。本県と同じように、他県においても再任用の希望者が約半数くらいの状況であるとの報告があった。
(竹内委員)
桐生市立黒保根学園は自然に恵まれた中にあり、そこから英会話を中心として世界を見ていくという発想は素晴らしいと思った。都会の学校と提携し、このような形で世界に目を向けさせることができるのかと感心した。一年生から九年生までいるため、職員会議の時間がかかって大変だという話もあったが、生徒の成長過程が手に取るようにわかるという話もあり、なるほどと思った。それから、新入生を上級生が紹介するポスターがあり、愛情を持って迎え入れられていると感じた。また、あの環境の中で犯罪が起こらないのは素晴らしく、地元の方が学校を見守り支えることは学校にとって幸せなことだと思った。
桐生高校では新しい校舎を見学させてもらったが、群馬県の木材が非常に多く取り入れられており、コンクリートよりも親しみを持てる雰囲気になっていた。図書室は、本を探すというより、まず部屋に入ってみたいという感じを起こさせるような雰囲気があった。また、教室以外のところどころに、生徒が自主的に勉強したり話し合ったりするようなコーナーが設けられており、環境的に、自主性が出るような仕掛けが目を引いた。自ら学ぼうという基本的な姿勢を大いに助長する仕組みだと思った。それから、桐生高校の教職員の方のお辞儀の姿勢がきちんとしており、これを見てこの学校は心配ないと直感した。同行した事務局の皆さんには大変お世話になった。
続いて、7月12日に安中総合学園高等学校で行われた、いじめ防止フォーラムに参加した。最初に、体験型ウェブ教材を見て、その後、小学生、中学生、高校生が6~7人のグループを作り意見を出し合い、最後にそのグループ毎にスローガンを発表するという形であった。各学校の先生方は席で見守る形であったが、次第に生徒たちの席に近づいて発言内容や顔つきを伺うようになった。途中で、生徒たちが先生方の目を意識しないように、私も含めて別室に移動し、いじめに関する短編動画を見た。その後、再び会場に戻って各グループを見て回り、発表を聞いた。相手の意見や気持ちを汲み取り反応を見ながら、というようなコミュニケーションの心がけの仕方が主な発表内容であった。
私自身の所感であるが、いじめるということは、自分の存在感を出したい、そのために自分にとって、邪魔な存在と思われるものをはじく、無視する、貶める、傷つけるというような陰湿な行為であると思っている。背景には、子どもたちなりに不満やストレスを抱えており、これが他人への攻撃、ストレスのはけ口になっており、自己満足の一つなのだろうと思われる。きついことを言ったときに、相手の顔を見れば、今の言い方は良くなかったと気付くが、スマホあるいはパソコンを使うことにより、相手の顔を見ずに言いたいことが言える、一方的にどんどん大きくなっていく、そういう怖さがあると思う。こうした現象を事例毎に対策することが必要であるが、根本的には、少し言われたことで、自分で自分を傷つけるのではなく、「こんなことはたいしたことではない。」とか、「ちょっと言われたけどグッと我慢しよう。」とか、こういうことの精神的な鍛錬が今の子どもには少し欠けていると思う。私は、過保護は子どもの成長にマイナスだと思っている。スポーツ選手もそうだが、多少負荷をかけないと筋肉はつかない。そういう意味では、生徒が傷つかないような負荷のかけ方を勉強すべきであると思う。これは学校だけではなく、家庭でのしつけや考え方の違いにも大きな原因があると思う。その行為がやってはいけないことかどうかの基本は、幼稚園に行く前に家庭でしつけておくべきだと感じた。
(代田委員)
吉岡町立明治小学校の学校視察と総合教育会議に参加した。子どもたち一人ひとりが楽しそうに授業を受ける姿が印象的であった、また、子どもたちの健康管理が職員室内のモニターに映し出され、全職員が把握できることが、とても良いと思った。
桐生市立黒保根学園では、先輩から教わったものを低学年の子たちが継いでいくというようなコミュニケーションの取り方や、八年生(中学二年生)の職場体験を地域の事業所で受け入れるなど、学校と地域との繋がりが印象的であった。
桐生高等学校は、新校舎のデザインなどは卒業生が考えたということで、女子トイレなどいろいろな配慮がされており、男女ともに過ごしやすい学校になっていると感じた。
それから、個別の学校訪問に益田委員と一緒に参加させていただいた。私自身、探究というものがよくわかっていなかったが、先生方が丁寧に説明をしてくださり、徐々にわかるようになった。また、生徒が主体となるように、生徒が困ったところは先生がサポートすること、それで生徒が自ら授業に参加し、追究していくというところに先生のサポートがあって、とても良いと思った。
(沼田委員)
私は、総合教育会議と学校訪問に参加させていただいた。その中で学校訪問について報告する。
黒保根学園は、県内2例目の義務教育学校ということであるが、これからの時代、人口減少社会の中で、あのような小規模校は都市部ではない地域にますます増えていくと思う。そういう意味では、今の黒保根学園が取り組んでいることは、これからの時代を作っていく学校教育において、非常に重要な知見を確立しているという目線で見させていただいた。
一年生は一年生、二年生は二年生と年齢で分けるだけではなく、先輩後輩の関係を斜めの関係として作りながら、9年間を育てていくような学校運営をしていることに素晴らしさを感じた。子どもたちの発達段階で考えると、年齢で分けていくという環境が、子どもたちにとって成長する環境としていちばんいいのかと言われると、おそらくそうではない。いろいろな異年齢の人たちと関わっていくことこそに、子どもたちが成長していく本質があるのではないかと感じた。
桐生高等学校に関しては他の委員から様々な話があったが、私が着目したのは、学校のパンフレットを開いた最初のページに、学校のグランドデザインが明確に示されていたということである。今日的な課題として、学校の先生たちは、うちの学校はこれから何を目指さなければならないのか、目指していくのかということの指針となるものを見出せないまま、学校運営や学校経営をしている現状があると思う。桐生高等学校が、そのパンフレットの中に学校の経営方針や指針を示していることは、子どもたちにとっても保護者にとっても、そして教職員の皆さんにとっても、スローガンにもなっているとおり、まさにワンチームで学校をより良くしていこうという動きに繋がるというところが印象に残った。
(平田教育長)
グランドデザインを共有して、パンフレットに載せるというところは、やはり新高校ならではだと思う。
(河添委員)
私からは、7月4日、6日の学校訪問について報告する。
黒保根学園、桐生高校の視察だが、桐生に住まう私にとっても大変興味のある有意義な示唆をいただいた。黒保根小は、教頭時代に3年間勤めた学校であり、特色ある西町インターナショナルスクールとの交流、それから地元愛を生かした学校運営、英語教育充実に向けて、西町インターナショナルスクールとの交流が必然性を持たせている英語の学習を進める上での学校の強みを生かして、自然豊かな環境の中で取り組んでいる先生方に本当に頭が下がる思いであった。今回もその一端を説明していただいたが、一年、二年経った頃にどんなふうに工夫してくるのが良かったのかなど事後も聞いてみたいと思い、とても楽しみな学校だと思った。
桐生高等学校は、桐女卒の私にとっての現在の母校で、新校舎の素晴らしさとともに、地域や事務局、先生方、保護者の皆さんの熱心な準備と取組の上に、男子校と女子校のよりよい融合があったと思う。校章の話もあったが、とても配慮の行き届いた、そして子どもたちの思いに寄り添った取組をしているという印象を持った。この後、沼田高校と沼田女子高校がよりよい融合をした新高校に向けて、自分として何ができるだろうかと考えた。
また、7月6日の前橋女子高校と前橋高校の視察に私も参加させていただいた。特にSSHに関わる両校の取組は、理科を専門としている私にとって、とても興味があった。両校ともにそれぞれ特色や良さがたくさんあった。特に自校の中で何度も練り直しながら取り組んでいる姿勢や、他校も含めた取組の良さを発信し合って、交流を通してよりよいものにしていこうとする先生方の熱い思いと実践力に頭が下がり、深く感動した。
その中でも、前女のとことん生徒の思考やつまずきに寄り添った、そして、その時間をより価値のある時間にしていこうとする先生方の練り上げ、200班以上あるテーマへの対応、失敗も価値あるものとしてPDCAサイクルを何度もまわしていくという経験は、始動人の育成そのものだと思った。また、評価でも工夫を始めている姿勢に敬服した。課題としては、持続可能な取組となるために、先生方が異動しても続けることでき、また、働き方改革に向けても効率化できるように考えていることも大切な視点だと思った。
総合的な学習・探究の時間の在り方や学びは、高校だけではなく、小中学校も繋がりを持った学びとなるとよいと思う。高校の交流はあるようだが、小中学校の先生方にも是非聞いていただきたいくらい素晴らしかった。ただ、機会を増やすことが負担になっては申し訳ないので、負担のない形で取組を共有できる機会があるとよいと感じた。
(平田教育長)
最後におっしゃった高校の取組を他校にも紹介するということはやっているが、小中学校にもという視点がなかったので、確かにそうだと思った。発達段階は違うが参考になるだろうと思う。貴重な意見をいただき感謝する。
それでは、関係所属長から報告をお願いする。
学校人事課長、8月下旬から校長経験のある退職者4名を学校経営アドバイザーとして配置することについて、資料1により報告。
学校人事課長、教員免許更新制の廃止後の教員免許状の取扱いについて、資料2により報告。
高校教育課長、沼田高校と沼田女子高校を統合し、設置する新高校の概要について、資料3により報告。
生涯学習課長、令和4年3月末に廃止した旧妙義青少年自然の家を活用する事業者をプロポーザル方式で募集することについて、資料4により報告。
健康体育課長、令和4年度第57回群馬県中学校総合体育大会の実施について、資料5により報告。
(平田教育長)
資料1について、県教育委員会として、先生方の多忙化解消は最優先で取り組むべき課題と考えている。学校経営アドバイザーは、学校が多様に抱える問題の解決に、校長先生を退職された方のお力をいただきたいというものである。本格的には来年度からであるが、とにかく喫緊の課題であるので、今年度二学期から開始しようと学校人事課が頑張ってくれた。
資料2については、いわゆる失効した免許を、いかに速やかに元に戻せるかということについて、様々な手続きをできる限り簡略化できる方法を、学校人事課で考えてくれたものである。
資料3の沼田・利根地区の新高校について、これは県教委として非常に優先度の高い事業である。このたび、校地その他について概要が決まったので報告させていただくものである。また、中体連はコロナが心配なところであるが、感染防止対策を取りながら安全に行えるように、中体連の先生方が本当に頑張っており、県教委としても力を合わせていきたいと考えている。
それでは、ただいまの報告について、委員から質問等があるか。
(益田委員)
学校経営アドバイザーモデル事業について、大変素晴らしい取組を考え、しかも年度途中から始めようとすることは、大変な努力だったと思う。退職した校長先生がお力のある中で、来てもらう学校は大変助かるのではないかという感想を持った。
2点目は、新高校の概要についてである。教育構想の(1)に「育てたい資質・能力」がある。一般的に大学ではアドミッション・ポリシーがあるが、大学教育においても、学力の3要素を意識している。そうすると、この「育てたい資質・能力」のアとイが、学力の3要素の「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体的に学習に取り組む態度」であり、そこにプラスして、ウの「社会を牽引する力」が加わったのだろうと見させていただいた。素晴らしいことだと思った。
(平田教育長)
これは、沼田高校、沼田女子高校の教職員が本当に時間をかけて、そして忌憚のない意見を出し合って、高校教育課の職員と一緒になって、何度も何度も練り上げて作ったものだと聞いている。
高校教育課長、何か補足があるか。
(高校教育課長)
これをしっかりと実現するように、サポートしていきたい。
(代田委員)
中体連に関して申し上げる。私も中体連の大会に出たことがあるが、子どもたちにとっては進路にも関係があるので、安全を図りながら大会が行えればと思う。
(平田教育長)
中体連の先生方、高体連もそうであるが、とにかく安全に、それでも全部行いたいと一生懸命考え、細かく準備をしてくれている。
(河添委員)
学校経営アドバイザーについて、本当に尽力いただいたと感じる取組である。これは義務校か、それとも高校か。
(学校人事課長)
義務校である。
(平田教育長)
他に何かあるか。なければ、以上で教育長事務報告を終了する。
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。
福利課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
ここで、平田教育長から、これからの審議は教職員の人事に関する案件である旨の発言があり、関係課長以外の課長は退室した。
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後2時00分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。