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令和5年6月19日(月曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
平田郁美教育長、沼田翔二朗委員、河添和子委員、日置英彰委員、小島秀薫委員
柿沼輝信教育次長、栗本郁夫教育次長(指導担当)、古市功総合教育センター所長、田中俊行総務課長、高林和彦管理課長、下山裕子福利課長、西村琢巳学校人事課長、春田晋義務教育課長、天野正明高校教育課長、近藤千香子特別支援教育課長、松本佳祝生涯学習課長、橋憲市健康体育課長、角田毅弘総務課学びのイノベーション戦略室長、飯嶌幸義務教育課夜間中学準備室長、上原崇臣総務課次長、井澤悟志総務課行政係長、河内皐総務課主事
午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は2名、取材者は2名であることを報告。
平田教育長が、代田委員から欠席の届出があったことを報告。
平田教育長が今回の会議の会議録署名人に沼田委員を指名。
議案審議に先立ち、平田教育長から、第13号議案は事務局等職員の人事に関する案件であるため、第14号議案から第16号議案は附属機関の委員の任命等に関する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、教育次長が説明。
(平田教育長)
まず、私から一言申し上げる。
令和5年第2回定例県議会が5月17日から6月13日までの会期で開催された。
一般質問では、インクルーシブ教育に関する県の考え方、少子化の中での特色ある学校づくり、みらい共創中学校の整備の進捗状況、外国人児童生徒等のキャリア教育の取組などについて質問があった。
また、常任委員会では、令和5年度一般会計補正予算関係の給食食材費の高騰対策、通級指導における巡回指導のモデル構築事業のほか、生成AI普及に伴う現状と課題、フリースクール等支援事業費補助金の募集状況、教員の多忙化解消、国際バカロレア導入に向けた研究、タブレット導入に係る整備の現状などについての質疑がなされた。
なお、今議会において、特別委員会の設置及び廃止が行われ、新たに4つの特別委員会が設置された。教育委員会関係では、「少子化対策・Well-being」に義務教育課、高校教育課、特別支援教育課、健康体育課、生涯学習課が執行部として参加している。
次に前回の教育委員会会議以降の主な行事について、6月12日には、教育事務所長との意見交換会に、代田委員をはじめ全委員に出席いただいた。感謝申し上げる。
会議では「教職員の多忙化解消に向けた現状と課題について~提言R5を受けて~」をテーマに、教育事務所長から各管内の状況等の説明を受けた後、取組の現状や課題について意見交換を行った。
この他の事務報告につきましては、関係所属長から報告する。それでは、教育委員からご意見、ご報告があればお願いしたい。
(沼田委員)
私からは、6月12日の月曜日に開催された、教育事務所長との意見交換会についてご報告をしたい。
教育事務所長の皆さんと、「教職員の多忙化解消に向けた現状と課題について~提言R5を受けて~」というテーマで議論をさせていただいた。まず、昨年度に教育委員会事務局の皆さんが作っていただいた「提言R5」の内容について、各教育事務所長や市町村の学校長、教職員の皆さんがどういう反応をされているのか、また、提言によってどういったことが進んでいるのかということについて、意見交換をさせていただいた。提言R5の反応について、教育事務所長からお話をいただいたことについてご報告したい。
五人の教育事務所長の皆さんが口を揃えておっしゃっていたのは、提言R5それ自体はとてもありがたいし、反応がとてもあるということ。教職員の多忙化解消に向けて、前進をしている取組であるというお話があった。例えば、新任の校長になった先生方からすれば、提言R5の内容があることによって、ご自身の学校で意思決定をする際に、拠り所になるのではないかとのお話もあった。既存の管理職の皆さんだけではなく、新しく管理職となる先生にとっても拠り所になるような、重要な提言であるということではないだろうか。
次に、私が今回意見交換会に参加させていただき、重要だと思ったことが2点ある。
1点目は、多忙化解消についてである。業務削減や活動の削減をしていくときに、それぞれの活動が「そうはいっても、価値のある教育活動である」というような前提を、それぞれの先生方が認識するということ。そのうえで、「減らせるものは減らしていく」というような学校運営、学校経営のあり方が重要だということを私自身が学ばせていただいた。
2点目は、中部教育事務所長のお話である。中学校の教育課程は通常週29コマとしているが、週28コマにすることによって、毎週月曜日は4時間目までの授業とし、その後に職員会議をしたり、事務作業をしたりする時間に充てているという話が印象的であった。学校で学ぶべきカリキュラムが、そもそもオーバーカリキュラムになっていることが現状の問題としてはあるように思う。そのなかで週29コマを週28コマにすることで、先生たちはゆとりを持って仕事ができ、かつ子どもたちは学ぶべき内容をしっかりと学べる状態を作っている中学校が、中部教育事務所管内で2校あるというお話であった。この取組は非常に参考になるのではないかと思っている。多忙化解消や働き方改革において、週のコマ数を見直していくということも、これからさらに検討し、考えていくべき内容であると学ばせていただいた。
(河添委員)
私も12日の教育事務所長の皆様との意見交換会に参加した。
教員の働き方改革に向けて、県が発出した提言R5について、各教育事務所から各市町村教育委員会の担当の皆様、各学校長や各関係団体、そして、校長から職員、保護者、地域等へどのように伝えられていったのか。まずはその部分が「チーム群馬」の働き方改革として、とても大切だと感じていたため、私にとって大変貴重な時間となった。
伝わり方という観点でご報告をさせていただく。中には紙面で全保護者に発出している学校もあるということであったので、私も個人で調べてみたところ、学校だよりや学校のホームページに提言R5のリンクを貼るなどしながら、周知している学校も見られた。私としては、本当に良いものができただけに、その伝わり方は心配していたことの1つであった。周知状況の一端を確認することができて、とても嬉しく思った。取組によっては伝わり方に多少濃淡があるようにも感じたので、ぜひこの提言R5の推進の風を大切に、やまないように願って、今できることをやっていきたいと思う。
また、紹介されたすべての取組の状況について、詳細まではわからない点があり、コロナ禍が収束していく中で、縮小されてきた行事や活動が元に戻りつつあるのではないかという心配があった。しかし、「そうはならない」という心強いお言葉を教育事務所長の皆様からいただくことができた。
この素晴らしい提言R5について、その振り返りが大切だというご意見は皆様お持ちであった。課題や解決策を掴み、また一歩進めていくための振り返りを、現場の負担にならない方法で支援していきたい。教育委員会事務局の皆様とともに、教育委員としてできることから動き出したいと強く思っている。
校長の皆様をはじめ、各教育事務所長の皆様と働き方改革推進に向け、情報共有をできたことはとても有意義な機会となった。お忙しい中、こうした機会をいただき、皆様に感謝を申し上げる。
県内の子どもたちの豊かな成長に向け、先生方がより良いコンディションで子どもたちに向き合える環境をいち早く築いていけるよう、自分としても力を尽くして参りたいと思う。
(日置委員)
私も教育事務所長との意見交換会に出席させていただいた。
まず一つは河添委員からもお話があったが、色々なところに提言R5が伝わっている中で、今の家庭はかなり学校に対する期待が大きいので、プールを廃止するとか、時間外の電話対応がなくなるとか言われた時に、保護者の方からどういう反応があるのかということがとても気になっていた。しかしながら、「そういった対応は困る」というような苦情は全くないということであった。保護者の方からも、一定の理解は得られているように思える。
それから、働き方改革ということで様々なことを削減しているところではあるが、一方で「やりがい」との関係という問題が出てくると思う。文部科学省で行っていた、教員の勤務状態実態調査の結果を見ても、授業や生徒指導といった業務はやりがいがあり、重要度が高いと考える教員が多いが、事務仕事や地域の対応などに対しては負担感が大きいと考える教員が多いようである。そういった、教員にとって負担を感じるような仕事について、学校運営協議会などと連携しながら、なかなかそういった人材も少ないかもしれないが、地域の方々の協力を仰いでいくということがとても大事だと感じた。
そういった中で、玉村町がこども家庭センターという施設を開設する予定であり、ヤングケアラーの問題など、なかなか教師では解決が難しい問題について、学校が福祉的な支援を受けやすくなり、現場の疲弊感の減少が期待できるという話が非常に印象的だった。
(小島委員)
私も12日の教育事務所長との意見交換会に出席をさせていただいた。
私は教育委員になってから、1都9県全委員協議会など、教師の働き方改革について議論する機会が多い。
例えば、民間の会社では、3月末に退職予定の職員の有給休暇が30日あるとすれば、仕事があろうとなかろうと、大体2月の半ばぐらいからその職員は会社に来なくなるというのが普通である。そういった事例について、経営者としては、そういう権利であるから、皆当然のことと思っている。
私は教育現場においても、そういった割り切りができないものかと考えている。例えば、夏休みであれば、教師が自分で決めて休んでしまえば良いのではないかと思っている。
しかし、先生方の話を聞いていると、受け持っている児童生徒たちの補習授業などをやらなくてはいけないと考えてしまうことも多いようである。そういう考え方自体は、私は親として、日本の教育の非常に素晴らしいところだと思う一方、教育委員として教師の待遇改善に関して考えると、なかなか大変な問題であると感じた。
つまり、いくら教育委員会側で業務削減に向けて段取りをしたとしても、先生方の良心によって、思うように進んでいかないということがあり得るということである。
ただ、教育委員会とすれば、休んで大丈夫だというような環境、風潮を率先して作り、そこから先については先生方の個人の判断に任せるということにせざるを得ないのかもしれない。そういったことを考えながら、意見交換を行ってきたところである。
(平田教育長)
教育事務所長との意見交換会について、4名の委員の皆様からご報告をいただいた。
それぞれの観点から、提言R5が新任の管理職にとっても拠り所となることや、削った教育活動が価値あるものであるという認識をしっかり持つということ。また、カリキュラムについて、週28コマにするというような仕組みや、提言R5の伝わり方についてのお話。さらに、やりがいと業務削減の関係性、外部人材の活用についてのお話。それから、民間では有給休暇等については、労働者の当然の権利であるという感覚や、先生方の良心、もっと子供のためにという考え方とのせめぎ合いもあって、休んで大丈夫という仕組みや環境を作っていく必要があるということをご報告いただいた。
このことについては本当に根の深い問題ではあるが、先生方が子どもと向き合う時間、それぞれが教育について考える時間、さらに先生同士が支え合う時間を、今とにかく生み出さなくてはいけないところである。また教育委員の皆様にお知恵を拝借しながら、より先生方がやる気を持って、少し余裕を持って、力が発揮できるような環境を作っていきたいと思う。今後ともよろしくお願いしたい。
それでは、関係所属長から報告をお願いする。
学校人事課長、令和6年度採用 公立学校教員選考試験応募状況について、資料1により報告。
義務教育課長、令和5年度「いじめ防止フォーラム」の実施について、資料2により報告。
高校教育課長、令和5年度「ぐんま高校生オンライン相談」を実施することについて、資料3により報告。
(平田教育長)
ただいまの報告について、委員から質問等があるか。
(日置委員)
資料3のオンライン相談について、こういった取組は非常に重要だと思う。
目的のところに「実施結果の分析を通じて、教育相談体制の一層の充実を図る」と記載があるが、匿名の相談で、その後の追跡を行うことは非常に難しいと思うが、実施結果の分析というのはできるものなのか。
また、実施の効果について、どのように評価するのか教えていただきたい。
(高校教育課長)
おっしゃるとおり、実施結果の分析はなかなか難しいところだと思う。分析自体は業者に委託しており、例えば、こういう人がこういう時間体に相談が多かったなど、そういった観点で分析している。その結果に従い、また次の年の相談体制について検討するといった趣旨である。
効果については、その年によって、相談件数や相談内容は本当に様々であり、先ほども申し上げたとおり、群馬県には色々な相談のツールがある。その中でもこのオンライン相談は、ほかの相談とは少し違い、セーフティネットという役割を担っている。相談を行った生徒のコメント等を見ると、「この相談によって心が軽くなった」とか「学校へ行こうと思えた」など、前向きなものが多くなっているため、我々としては一定の効果があると考えている。
(河添委員)
資料1の公立学校教員の選考試験応募状況について、昨年よりも採用予定者数が多くなっているにもかかわらず、ある程度の倍率を維持できているということは、他県の様子はわからないが、良かったと思う。
その中で質問であるが、小学校の志願者が増え、中学校の志願者が減ったという傾向と、それから大学等推薦による志願者の人数が初めて出たということの二点について、その受け止め方や、何か分析などあれば教えていただきたい。
(学校人事課長)
大学等推薦については、かなり宣伝をしたので、110名の志願者が集まったということについては、広報の成果であると考える。
小・中学校の志願者については、定員を330名から350名に増やしているが、小学校の方が倍率は低く、受かりやすくなるのではないかという志願者の見立てから、ご指摘のような結果になったのではないかと考える。
いずれにしても、教員不足等で厳しい中で、これからも広報活動等に努めていきたいと思っている。
(平田教育長)
教員の志願者を増やすことは、働き方改革とセットであると思う。学校人事課も教員採用の広報をとても頑張っているが、働き方改革も同時に進めないと、せっかく教員採用試験に受かって、群馬県の教員になっていただいても、早期に辞めてしまうということになると、お互いにとって非常に良くないことである。
また、働き方改革がたとえすぐに効果の見えないものであっても、頑張るという姿勢、重要なものだという姿勢を見せ、少しでも前に進んでいくということがとても大事だと考える。
今後とも、広報等の努力を継続していくとともに、先生方の働く環境を整備し、やる気・やりがいも含めて大切にしていくことが、さらに多くの方に志願していただくことへと繋がっていく。
(河添委員)
教育長のおっしゃるとおりだと思う。
小学校の志願者が増え、中学校の志願者が減ったというのは最近の傾向であるか。今年から変わったのか。
(学校人事課長)
近年は中学校の方が苦戦している傾向にある。
(栗本教育次長)
大学全体において、今は小学校の教員免許状の方が取得しやすくなっており、取得する学生が増えている。そういった要因もあり、小学校の志願者が増えているということも考えられる。
(沼田委員)
資料1の応募状況について、志願者のうち群馬県内と県外の割合について、差し支えなければ教えていただきたい。
(学校人事課長)
群馬県に住所がある志願者の割合は、小・中学校が79.5%、養護教諭が77.2%、高校は78.9%、特別支援はかなり高く91.9%となっている。
(平田教育長)
他に何かあるか。なければ、以上で教育長事務報告を終了する。
高校教育課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
高校教育課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
生涯学習課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
生涯学習課長、原案について説明。
異議なく、原案のとおり承認。
健康体育課長、原案について説明。
異議なく、原案のとおり承認。
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後1時54分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。