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平成29年11月13日(月曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
笠原寛教育長、小池啓一教育長職務代理者、藤原重紀委員、平田郁美委員、青木章子委員、武居朋子委員
北爪清教育次長、小笠原祐治教育次長(指導担当)、野村晃男総合教育センター所長、飯塚裕之総務課長、田谷昌也管理課長、津久井裕美福利課長、上原永次学校人事課長、鈴木佳子義務教育課長、村山義久高校教育課長、上原篤彦特別支援教育課長、船引忠雄生涯学習課長、古澤勝幸文化財保護課長、小林信二健康体育課長、阿部誠総務課次長、根岸政彦総務課行政係長、宇津木牧子総務課副主幹
午後1時00分、笠原教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は2名、取材者は1名であることを報告。
笠原教育長が今回の会議の会議録署名人に平田委員を指名。
議案審議に先立ち、笠原教育長から第38号議案は議会に提出すべき案件、第39号議案は知事部局での意思決定が必要な案件、第40号議案は教育委員会表彰に関する案件、第41号議案は教職員の人事に関する案件であることから、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(笠原教育長)
私から座間市での事件について一言申し上げたい。
すでに報道等でご存じのことと思うが、神奈川県座間市で9人のご遺体が発見された事件に関して、県立高校の生徒が被害に遭っていたことが判明した。これまでの間、無事を願ってきたが、このような結果になり非常に残念である。金曜日にも話したが、未来に限りない可能性を持った生徒の命が失われたことは痛恨の極みである。被害に遭われた生徒のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族をはじめ関係の皆様方に心よりお悔やみを申し上げる。今後はご遺族の気持ちに寄り添った対応を最優先にしたい。また、亡くなられた生徒が通っていた高校の生徒の心のダメージも大変なものである。そのケアについても全力を尽くしたいと考えている。今後、子どもたちの安全を守っていくためには、改めて考えないといけないことがあると思っている。委員からもこの事件を踏まえた意見をお願いする。
(小池委員)
今回、被害に遭われた高校1年生の女子生徒のご家族に対し、深く哀悼の意を示したい。
私の専門は生物学であるが、高等な動物にとって生存が一番難しい時期はいつかというと、生まれたときではなく、独り立ちするとき、親離れするときである。高校に入るという時期は、ある意味それに当たると思う。これから大人になっていく一人の存在を、家庭、学校、社会がどのように見守っていくのか。SNSに問題があるとも言われているが、それだけではない。確かに情報化社会の中で何を言っても仕方がない部分もあるが、人間の進化は技術革新に合うように起こるわけではない。学校というのは、半分は社会性を身につけることを目的としている場所である。人間本来の特性に配慮し、学校内だけでなく社会全体の環境も含めて、教育の在り方をもう一度考え直さなければならないと思っている。今後、このようなことが起こることがないように、我々も努力していきたい。
(藤原委員)
今回の事件では、犯人を憎む気持ちが更に強くなった。亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りし、ご家族の方にお悔やみを申し上げたい。
私は前職が警察である。被害に遭った生徒は違うが、いわゆる非行少年や家出少年の対応に当たってきた。交通課長をしていたとき、暴走族の少年が暴走族をやめるという時に、俺たちが街を走るところをパトカーで先導してくれ、そうしたら暴走族を抜けると言われたことがある。なぜそんなことを言うのか聞いたところ、自分は勉強はできないがバイクの運転はこんなに上手なんだということを世間に認めてほしいのだという答えだった。それが彼らなりの、自己アピールなんだろうと感じた。考えてみると、彼らだけでなく、子どもたちの居場所が、いろいろな場所からなくなってきていた。
教育の視点から考えると、道徳教育がしっかりなされれば、子どもたちの人間力を高めることができるのではないか。読み書きだけの世界ではなく、友達と共に体を動かすようなことも必要になってくる。それには、これまでも言われているが特別活動やスポーツが効果的ではないか。
先日、参加した総合文化祭では、高校生が友達と協力しながら、自己の位置を見つけていく姿勢が見られた。こうした活動の中で自分の得意分野を見つけて、それを伸ばすことができれば居場所を見つけられる。今回のような悲劇をなくすためにも、教育の在り方に付いてもう一度考える機会としたい。
(平田委員)
被害に遭われた生徒とその家族の想いを想像すると、本当に言葉がでない。残念でならない。心よりお悔やみを申し上げる。
私たち大人は、対面でのコミュニケーションを十分にとってから、SNSといった新しいコミュニケーションを学んできた。しかし、子どもたちは生まれたときからSNSがあった。対面での人間関係が社会の発展とともに希薄になっている中で、私たち大人が考えるSNSと、子どもから見たSNSは、コミュニケーションの在り方に乖離があるのだということを改めて感じた。
教育現場において子どもたちにSNSの闇の部分については指導しているが、子どもの目から見たSNSによるコミュニケーションについて私たち大人が知り、その危険性を学ぶ必要があると感じた。
(青木委員)
私も同年代の娘を持つ親である。この事件はとても近い場所で起きているということもあり、本当に居たたまれない気持ちである。
私はこの事件で納得できないと感じていることがある。それは、加害者が未成年であれば名前や顔写真は公表されないのに、なぜ被害者は未成年であっても名前、顔写真、年齢まで全て公表されてしまうのかということである。
また、藤原委員から、子どもに居場所がないという話があったが、それは今の子どもたちからも多く声が上がっているところである。話せる相手がいないということもよく聞く。「死ね」とか「死ぬ」とか簡単に言える世の中になってしまったことが、とても残念である。言葉の重みや発言に責任を持つ心が足りなくなっている。子どもたちに、そういうところをもっと勉強させてほしいと感じた。
(武居委員)
未来のある若者の尊い命が失われたことが、本当に残念でならない。私たち大人の責任として、子どもたちの細かいSOSや、小さな今までとの違いを見取って指導してやれることが大事だと思っている。どの年代の子に対しても同じと思うが、特に心の揺れ動きの大きい年代の子どもに対しては余計に気を配らないといけないと感じた。また、子どもたちが置かれている今の時代の環境を、我々大人世代がどこまで理解して付き合えるかというのは、非常に難しい問題だと思っている。子どもたちの置かれている状況を細かく理解して、子どもから危ないサインが出ていたら、そこで救いの手を差し伸べられるようにしたいと思う。
(笠原教育長)
本当に痛ましい今回の事件の中から、我々は児童生徒が犯罪に巻き込まれないようにするにはどうしていけばよいか、しっかりと学び、考えないといけない。学校現場の先生方とも一緒になって、学校の中で子どもたちに指導していく必要があると考えている。
委員の発言にもあったが、今回の事件は、SNSを通じた接触から巻き込まれたことが指摘されている。先日の総合教育会議においても、知事から教育委員会でも対応をしっかり考えてほしいという話があった。これについて、各学校、県立学校、市町村の教育委員会を通じて小中学校にも、SNSの危険性を子どもたちに改めて認識してもらう指導をしてもらうよう、注意喚起する通知を出す準備をしている。できれば今日中にも発送したい。
今回の被害に遭われた方それぞれに、いろいろな悩みがあったと思う。悩みを聞いてもらう相手、聞いてもらう場所は、SNSではなく、顔の見える人のところであればよかったと思うが、そこが今の子どもたちの意識の違いだろうか。相談機能は充実してきているが、なかなか子どもたちに感じてもらえていないことが課題としてある。顔が直接見えないところで、自分のつらい悩みを吐露するのではなく、顔の見える人間関係、友達関係、家庭、地域の中で話せるようにする必要がある。
しかし、子どもを取り巻く環境づくりは、学校や、教育委員会だけでできることではない。社会全体で、子どもたちの悩みを、顔の見える形で受け止めてあげる仕組みづくりを、関係各所とも議論しながら進めていく必要がある。改めてご冥福をお祈りする。
それでは次に各委員から、出席した行事等について報告をお願いする。
前回定例会から、多くの県立高校において創立記念式典が開催された。各委員には在校生に向けた言葉を頂いたことを改めて感謝する。その他、第2回教育事務所長との意見交換会や総合教育会議など、時間の都合上、逐一という訳にはいかないが、それぞれ報告をお願いする。
(小池委員)
私は、渋川工業高校と下仁田高校の創立記念式典に出席した。
渋川工業高校は、元は渋川市立の工業高校で、下仁田高校も元は下仁田町ほか八カ村の共同でできた下仁田高等家政女学校であった。両校とも県立ではなかったが、高度成長期に学校の規模がどんどん大きくなり県立に移管されて今の姿になった。それが今度は人口減少社会となり、両校とも規模を小さくしながら、地域の中心として頑張っていこうとしていた。
渋川工業高校は、北毛地域の工業系の高校として大きな地盤をもっている。一方の下仁田高校はなかなか厳しいところにあり、甘楽富岡地区にある4校の高校は、来年春の富岡の再編により3つになってしまう。富岡より奥にある唯一の高校で、これから先も無くてはならない高校であるが、この後の学校の在り方については大変なところにいる。県全体を考えてやっていくことでもあるが、この2校がこれからも発展して続いていくことを願っている。
(藤原委員)
私は沼田高校と太田高校、共に120周年記念式典に出席してきた。それぞれ歴史のある学校であることから、後援会の活動が充実していて、立派な記念式典であった。
沼田高校の後援会は、新聞にも出ていたが『桔梗館』という歴史をつなぐ良い資料を作っている。随分、力のある後援会だと感じた。
太田高校は知事の出身校であることから、知事も出席されていた。石原元内閣官房副長官も出席され御挨拶された。90歳とのことだが、かくしゃくとしていた。その姿を見て生徒達も感動したのではないかと思う。記念式典が生徒に与える影響には大きいものがあると感じた。
また、校長先生になれるのはいいなと感じることがあった。太田高校で歴代の校長先生が来賓として紹介されるが、この4月に異動された前校長が紹介されたとき、会場から割れんばかりの拍手があった。前校長の下で学んだ2年・3年の生徒からの拍手であった。本当に良い学校運営をされていたのだなと改めて感じた。
(平田委員)
文部科学省で行われた都道府県・政令指定都市教育委員研究協議会に出席してきた。
最初に、文部科学省の初等中等教育局から新学習指導要領の改訂のポイントや教職員の多忙化解消、いじめ・不登校対策について説明があった。今まで個々に聞いていたことだったが、関連付けて説明を聞くことで理解が深めることができた。
その後、分科会に別れたが、私は新学習指導要領で行われる小中高の外国語教育について意見交換する第2分科会に参加してきた。各都道府県の委員がそれぞれの自分の都道府県でどんなことに取り組んでいるか、どんな問題を抱えているかなどを発表し合った。都道府県でかなり意識が違い、地域差があるなという印象を受けた。しかしその中でも、多くの都道府県、本県もそうであるが小学校より中学校での改革の難しさを感じていた。中学校ではすでに英語教育が行われていることもあるが、内容の高度化やアクティブラーニングへの対応などが要因と思う。
また、県内での地域格差も話題になった。どこでも問題になっていることは同じなのだなと感じた。
記念式典については、桐生女子高校、前橋高校に伺ってきた。
桐生女子高校は4年後に桐生高校との統合を控えている。式典では素晴らしい110年の歴史に対する誇りと、統合後もそれを生かして行きたいという気概を感じた。同時に、統合に対する寂しさのようなものを卒業生の方や地域の方から感じた。
桐生の統合はまだ4年後のことであるが、以前、富岡高校に行ったときは1年後ということで、式典の中で富岡高校と富岡東高校の両生徒会の生徒たちが一緒にディスカッションしていた。桐生と桐生女子も、富岡と同じように両校の生徒が一緒に取り組んでいくことができたら良いと思う。
前橋高校は創立140周年を迎えた。県を代表する高校として、生徒たちからも、自分たちは将来のリーダーだという気迫を感じた。素晴らしい式典であった。
(青木委員)
桐生高校の創立100周年記念式典に参加してきた。
まず、アトラクションとして伝統的な応援団を見せていただいた。また、吹奏楽団も、桐生高校のオリジナル曲を演奏してくれた。すごく素晴らしかった。桐生高校も桐生女子高校との統合を控えている。生徒の宣誓では、はっきりと寂しいという言葉を使って思いを述べていた。来賓の挨拶からも、桐生高校の伝統や熱意を統合しても引き継いでほしいという熱い想いが込められているのを感じた。
(武居委員)
都道府県・指定都市教育委員研究協議会について報告したい。
先ほど平田委員からも報告があったとおり、午前中の行政説明では、学習指導要領の改訂、働き方改革、いじめ・不登校対策などについて、膨大な資料をもとに45分間に凝縮して説明いただいた。その感想として、これから来る予測困難な未来の変化に対して、子どもたちが受け身ではなく、主体的に対処できるような力を付ける、また、新しい社会を作っていくための課題を解決できる力を付ける、そのための新しい学習指導要領であるということが非常によく分かった。学校、地域、家庭で教育目標を共有していくことが大事だということも納得できた。
ただ、今後、学習内容が削減されることはない中で、新学習指導要領では外国語教育や情報活用能力の更なる充実が示されており、その他においても現代的諸課題に対応できるような教育課程の編成が期待されている。これからは、教員の指導力向上の面からも、教員研修の時間の確保、子ども自身が学ぶ時間の確保といった面からも、学校にとっては解決しなければならない課題が大きくなったと感じた。
行政説明の中で働き方改革の説明もあり、いろいろ進めているということは分かったが、今の実態で、先ほどの新しい方向性に向けて学校が歩みはじめることが果たしてできるのだろうか、と考えさせられた。いじめ・不登校対策についての説明もあったが、これも大きな課題であることに変わりはない。どれをとっても、国、県、市町村、地域、学校、家庭、それぞれがそれぞれの現場で知恵を働かせて工夫していかなければ、これからの予測困難な未来に対処することはできないのだなと、しみじみ感じたところである。
午後は教育委員を長く務められている3名の方の対談をお聞きした。レイマンコントロールにおける私たち教育委員の立場は、素人ではあるが、それぞれの専門性をもった素人として、一般人の考えを反映させていくことを自覚してほしいとする話と、未来を背負って立つ子どもを守るという立場で意見を発信する必要があるという話が印象に残った。
分科会は、「主体的・対話的で深い学び」をテーマとする第1分科会に参加した。参加した教育委員は皆、その学びが重要であるという共通認識を持っていたが、そのために何をするかというのが課題であった。実現するには、免許更新制を厳しくするべきという意見と、部活動は学校から切り離して教員の本分である授業に集中できる体制をつくらなければならないといった意見が出ていた。
いずれにしても、平田委員の言う地域での格差があるというのは同じ印象であった。
(笠原教育長)
私から追加で報告したい。
ひとつは、すでに周知のことだが、上野三碑のユネスコ「世界の記憶」への登録が正式に決まった。山上碑、多胡碑、金井沢碑の価値が改めて世界に認められた。教育委員会においては、文化財保護を担当する仕事を担っているので、知事部局とも協力しながら、上野三碑の保護や情報発信に取り組みたい。
その他、私が出席した行事について報告する。
11月6日に県の功労者表彰式が行われ、私が出席してきた。教育委員会の関係では、銃砲刀剣類登録審査委員の高津弘様、また、県文化財保護審議会の村田敬一様が受賞された。お二人には専門分野の経験を生かして、長きに渡りご指導をいただいていることに対して、改めて感謝申し上げる。
また、11月8日には、県市町村教育長協議会に35市町村の教育長にお集まりいただいた。この会議の中で、県教育委員会が行った新学習指導要領に基づく小学校の外国語教育に係る具体的な授業時数の見込み調査の結果を報告し、これからの具体的な事業の展開について、皆さんと協議した。
11月10日には、総合教育会議が開催され、知事と「特別支援教育について」を、特に発達障害児への支援や通級教室について議論した。また、「豊かな人間性について」では道徳教育やいじめ問題について、「確かな学力の育成について」では、学力向上に係る施策について、それぞれ議論をした。この総合教育会議での議論も踏まえた取組みを、今後、しっかりとしていく必要があると考えている。
次に各所属長から報告をお願いしたい。
(管理課長)
学生寮上毛学舎の平成30年度入寮者の募集について、資料1により報告。
(総合教育センター所長)
平成29年度「ぐんま教育フェスタ」開催要項について、資料2により報告。
(笠原教育長)
それでは、教育長事務報告は以上とする。
総務課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
ここで、笠原教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。
義務教育課長、原案について説明
異義なく原案のとおり決定
義務教育課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
生涯学習課長、原案について説明
異義なく原案のとおり決定
ここで、笠原教育長から、これからの審議は教職員の人事に関わる案件である旨の発言があり、関係者以外は退室した。
学校人事課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後2時2分、笠原教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。