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平成30年10月23日(火曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
笠原寛教育長、藤原重紀教育長職務代理者、青木章子委員、武居朋子委員、益田裕充委員
北爪清教育次長、山口政夫教育次長(指導担当)、野村晃男総合教育センター所長、飯塚裕之総務課長、岩瀬春男管理課長、津久井裕美福利課長、上原永次学校人事課長、鈴木佳子義務教育課長、村山義久高校教育課長、上原篤彦特別支援教育課長、船引忠雄生涯学習課長、古澤勝幸文化財保護課長、小林信二健康体育課長、阿部誠総務課次長、根岸政彦総務課補佐(行政係長)、宇津木牧子総務課副主幹
午前10時00分、笠原教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は2名、取材者は1名であることを報告。
笠原教育長が、平田郁美委員から欠席の届出があったことを報告。
笠原教育長が今回の会議の会議録署名人に青木委員を指名
議案審議に先立ち、笠原教育長から、第27号議案から第28号議案は教育委員会の表彰に関する案件であることから、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明
(笠原教育長)
最初に私から報告する。
まず1点目だが、10月19日に県立高校の男子生徒が、自転車で通学中に、交通事故に遭い死亡するという、大変痛ましい事故が起きた。1月の前橋市内で女子高校生2人が被害に遭った事故に続き、通学途上における痛ましい事故が続いた。改めて子どもたちの通学における安全確保について、しっかりと取り組みを進めていく必要があると感じている。県内の各市町村教育委員会とも連携を図りながら、取り組みを進めていきたいと考えているので、委員や事務局にも御協力をいただきたい。
次に、第3回前期定例県議会について報告する。9月18日に開会した。一般質問では、ブロック塀の安全対策に関連した小中高校の通学路の安全確保、また、小中学校等でのキャリア教育、県立高校の再編整備やICT環境の整備、さらには小中高校での不登校対策や自殺防止対策、教職員の長時間勤務の是正など、教育分野に対し、さまざまな視点から質問があった。また10月1日に開催された文教警察常任委員会では、障害者雇用の問題、高校生LINE相談の実施状況、さらには、再来年に予定されている全国高校総合体育大会に関する質問がなされた。特別委員会では「弱者・高齢者対策」に関する特別委員会で、一人親家庭に対する教育の機会について、「ぐんま雇用戦略」に関する特別委員会では、障害者の社会参加や就労に向けた取組について、それぞれ教育委員会関係の質問があった。10月15日に開催された決算特別委員会分科会では、学校管理職の長時間労働の問題、青少年教育施設の運営状況、特別支援学校の卒業生の就労状況について質問がなされたところである。県議会の関係は以上である。
次に、前回の定例教育委員会会議以降の行事について報告する。教育委員の調査研究活動の一環である個別の学校訪問として、9月18日に武居委員が伊勢崎特別支援学校を、9月19日には青木委員が大泉高校をそれぞれ訪問した。
また、10月5日には、邑楽・館林地区のいじめ防止フォーラムに青木委員が出席した。
10月12日は、知事との総合教育会議が開催され、委員と私が出席してきた。この会議では障害のある児童生徒の就労支援とキャリア教育の2つを議題に、課題や今後の施策の方向性について意見交換を行ったところである。ちょうど今、予算要求をまとめているところでもあり、しっかりと生かしていきたいと考えている。
それでは、委員から出席いただいた行事について感想等をいただきたい。
(藤原委員)
総合教育会議について報告する。教育長から話があったように、障害のある児童生徒の就労支援とキャリア教育の2つのテーマで行った。知事との総合教育会議はこれまでも行ってきたが、この会議で示された課題に対し、知事が実行に移しているところが良いと思っている。3年前の会議では、特別支援学校高等部の未整備が課題として挙がったが、昨年には、沼田、富岡、藤岡、吾妻で整備が進み、今年度から受入れが始まっている。今年は障害のある児童生徒の就労支援がテーマであったが、私からは、一般就労と勤務条件の改善について話をした。このことが実行されることを祈っている。キャリア教育については、Gターンの観点から話をした。教育委員会だけでなく、労働政策課を始めとした関係課で協力して進めることになるだろう。こちらも実を結ぶことを期待している。
(青木委員)
まず、大泉高校への学校訪問について報告する。大泉高校は、普通科と農業関係の3科(生物生産科、グリーンサイエンス科、食品科学科)がある。創立から106年目を迎えた歴史のある学校である。教育の特徴は、主体的で実践的な学習が多い点であると思う。個々の生徒に合わせた学習を行っており、公立高校では珍しい少人数クラスがある。邑楽郡は造園業が盛んな地域であることから、ガーデニングや植物バイオテクノロジーなど、将来を見据えた授業も選択できる。生産から加工まで、地域の6次産業化を支える人材育成を目指した教育を行っている。このため、地元への就職率が高く、地域や地元企業のトップに大泉高校の卒業生も多いと聞いた。地元愛の強い学校で、実習で作った野菜を、生徒がリアカーを引いて販売するなどしており、訪問した日も、栗畑で収穫した栗を販売していたそうである。地元の農業祭でも生徒が育てたシクラメンや漬け物、お菓子などが好評とのことである。こうした販売の売り上げは実習の際の消耗品の購入などに充てられているそうである。また、育てた花を近くの特別支援学校の生徒と一緒に寄せ植えを作る活動もしていると聞いた。こうした地域に密着した活動は、学校に対する地域社会の信頼がなければ、学校に生徒は集まらないという考えが基になっていた。
次に生徒の指導について話を聞いた。大泉高校では、担任の先生と生徒が3年間持ち上がりでクラス替えがない。そのため生徒と先生の間に深いつながりがある。また、全学年で指導方針が一貫しているため、違う学年でも連携が取りやすく、ささいなトラブルや生徒の変化も見逃さず、生徒が悩みを先生に相談しやすい体制が取れているとのことだった。数年前からこうした手厚い指導を行うようになり、いじめや不登校生徒のいない学校づくりにつながってきた。しかし一方で新たな課題も起きており、中学校から「不登校から再起させてくれる学校」とイメージを持たれることで、中学時代から不登校など、より手厚い指導が必要な生徒が入学するケースが多くなってきたそうである。学校は、大泉高校が目指す本来の指導が十分に出来なくなる可能性があることを心配していた。説明の後、5時限目の授業を視察したが、農業関係の学科ではグループ授業を主としており、生徒それぞれの役割があるのか、会話がなければできないことが多く、自然とコミュニケーション能力が身に付く環境にあると感じた。全体的な雰囲気は、以前、秋田県を視察した際の探求型授業に似ていた。どのクラスの生徒もとても明るく、楽しそうに授業を受けており、教えてもらうのではなく、自ら学んでいるという姿勢に感銘を受けた。
今回、大泉高校を訪問したきっかけは、卒業式に出席した際に、当時のPTA会長らから、「生徒は学校が楽しい、学校を休みたくないと言っている。保護者も最初は学校に関心がなくても、我が子が3年生になる頃には自分も一緒に学校を卒業するような気持ちになっている。」という話を聞いたからである。実際に生徒の様子を見て、生徒一人一人の笑顔と、とても美しく輝いた瞳に、学校の素晴らしさを感じ取ることができた。群馬県に生徒から「学校が楽しい」「学校に休まず通いたい」という声がたくさん出る学校が増えることを期待したい。
次に、いじめ防止フォーラムについて報告する。今回のいじめ防止フォーラムは、人間関係づくりを学ぶプログラムがとても良かった。ゲートキーパーによる体験ワークなど、参加者は実用的な学びを得ることができたと思う。自分がイライラしているとき、どう感情をコントロールするか、また、相手がイライラしているときどう声を掛けるかなど、子どもにも分かりやすく丁寧な指導で、楽しく学ぶことができた。このフォーラムは是非養護の先生にも参加していただきたい。生徒や先生、保護者の生の声を直に聞いて欲しいと思う。また、今回、全校参加ではないようだったので、是非全ての学校が参加できるようにしてほしい。いじめは絶対にあってはならないことだが、残念ながら「いじめ」という言葉を聞かない日はない。全ての子どもたちにいじめについて考えてほしいと思う。
(武居委員)
伊勢崎特別支援学校への個別の学校訪問について報告する。
伊勢崎特別支援学校は、昭和33年に県内最初の養護学校として開校した学校である。伊勢崎市立であったが、平成24年4月に県立に移管された。今回は、県立となって6年が経過したことから、県立移管により学校の状況や子どもたちの指導に変化があったか、また、卒業後の進路などについて話を聞きたいと思い訪問した。変化について、人事の面で幅が出たことにより、以前より知識や技術を持つ教職員が増え、結果として子どもたちの指導も充実してきたとのことであった。それまでは、どちらかといえば前年度踏襲型の教育活動が多く、学年単位の一斉学習も多かったが、現在は、子どもたちの実態をベースとした小集団による学習も可能になってきたため、指導方法の転換を図っている途中とのことだった。
施設内の視察では、校庭で運動会の予行練習の様子を見た。まだ夏のように暑い日だったが、児童生徒が一生懸命に走ったり、応援したりする元気な姿があった。また、教職員が一人一人の障害特性に応じて支援する姿もあった。
その後、教室で4時限目の授業をみたが、先ほどまで外で身体を動かしていた子どもたちとは思えないほど落ち着いていたことに驚いた。校舎内は涼しかったが、運動の後は身体も疲れ、子どもたちが落ち着くまでに時間がかかるだろうと予想していたが、小学部も中学部も、しっかりと学習に取り組んでいた。場面の転換や環境の変化に敏感な子どももたくさんいると思うが、特に不適応を起こしている児童生徒は見当たらなかった。普段からきめ細かく行き届いた指導が行われている、その一端を見た気がした。特に、小学部の低学年では、学級としてのまとまりを感じながらも、一人一人の学習に集中できるよう机の配置が工夫されており、それぞれの学習に取り組む子どもたちの姿が印象的であった。
次に、卒業後の進路について伊勢崎高等特別支援学校の先生から話を聞くことができた。毎年、高等部に進学する生徒がほぼ全員とのことで、先生からは、高等部との連携を強化し、より生徒の適性にあった進路が選択できるよう指導していきたいと話があった。保護者会でも、先輩の保護者を招き将来の話を聞くことで、保護者が将来の見通しを持てるようにしているそうである。県立移管により、高等部とも人事交流が図られるようになったことは、進路指導の強化にもつながっていると感じた。
(笠原教育長)
委員が訪問した学校も含め、学校にはハード面を含めて多くの課題がある。報告のあった意見も参考に今後、議論していきたい。
それでは引き続き、所属長から関係の報告をお願いする。
総務課長、障害者雇用に関する調査結果のうち、教育委員会関係について、資料1により報告。
総務課長、「県出資法人の経営状況等調査報告書」について、資料2により報告。
管理課長、資料2のうち、(公財)群馬県育英会について報告。
生涯学習課長、資料2のうち、(公財)群馬県青少年育成事業団について報告。
学校人事課長、平成31年度採用群馬県公立学校教員選考試験合格者状況について、資料3により報告。
高校教育課長、平成30年度第1回中学校等卒業見込者進路希望調査結果について、資料4により報告。
高校教育課長、第24回群馬県高等学校総合文化祭の開催について、資料5により報告。
高校教育課長、第25回群馬県産業教育フェアについて、資料6により報告。
高校教育課長、「ぐんま高校生LINE相談」の実施結果について、資料7により報告。
生涯学習課長、平成30年度群馬県読み聞かせボランティア顕彰について、資料8により報告。
生涯学習課長、指定管理者による公の施設(群馬県青少年会館)の管理運営状況(平成29年度分)について、資料9により報告。
総合教育センター所長、平成30年度「群馬県教育フェスタ」開催要項について、資料10により報告。
(笠原教育長)
以上の報告について、委員から質問があるか。
(藤原委員)
障害者雇用について、身体障害者手帳の所持を確認せずに、身体障害者とした人数に含めたのは、どういった理由からか。
(総務課長)
身体障害者雇用状況調査を行っており、その中に、身体障害者であるか否かの質問に対し自ら印を付ける欄がある。そこで障害があると申告があった者を数に含めていた。原因として、その方が手帳を持っているかの確認をしなかった点が一つ。もうひとつは、雇用状況調査は平成29年度から行っているもので、平成28年度以前については、過去にまとめた名簿に何らかの障害があると記載があった者について確認が済んでいるという認識で引継ぎ人数に含めてきた。今回、改めて調査したところ、障害者手帳を所持していない者がいることが判明したものである。
(藤原委員)
表現が適当でないかもしれないが、実質的な障害者という方が多いということでよいか。
(総務課長)
障害者雇用促進法のガイドラインにおいては、障害を有する者であっても、障害者雇用率に参入できるのは、身体障害者であれば手帳若しくは医師の診断書や意見書で確認できる者、精神障害であれば、精神障害者福祉手帳を所持するものと限られている。障害があっても手帳を所持していない可能性もあり、実際に障害を有していたとしても参入できない。その辺りの理解が不十分であった。
(武居委員)
高校生LINE相談について、アクセス集中のため43件に対応できず別の窓口を案内したと報告があったが、案内した別の窓口に相談があったかどうか、確認は取れているか。
(高校教育課長)
確認できていない。
(武居委員)
全体の相談対応数に対し、対応できなかった件数が占める割合が大きい。こうしたケースへの対策を講じた上で、来年度も実施できるとよい。この事業により安心して新学期を迎えられた生徒もいると思うので、検討してほしい。
(高校教育課長)
悩みがあって相談してきたことと思うので、できる限り対応できるようにしていきたい。
(益田委員)
中学校卒業見込み者進路希望調査結果についてお聞きしたい。学科別倍率上位5位までの学校が例年あまり変わらないということだが、どうしてそのような結果になるのか。
(高校教育課)
普通科では高崎市内の高校を希望する生徒が多い。専門高校では、学校の特色をはっきり打ち出しているところが高倍率になる傾向がある。昨年度、専門高校の1位はスポーツ科であったが、1学科のところは、年度により振り幅があり、変動が大きい。
(益田委員)
今回は10月1日現在の倍率がでているが、今後、変わっていくことと思う。県公立高校を希望しない場合、県内私立を希望するという話もあったが、県外の私立を受験する生徒はどのくらいいるか。昨年度の実績はどのような状況だったか。
(高校教育課)
県外への流出は大きな問題と考えている。ただし現状では、県外に進学する生徒が増える傾向にはなく、逆に、県外から群馬県に来る生徒もいる。手元にデータはないので正確な回答はできないが、基本調査などでは、県外進学は1,000人程度という状況である。
(笠原教育長)
東毛地区は流出の方が多い傾向が続いていたと思うがどうか。
(高校教育課長)
東毛地区は埼玉県や栃木県に近く、また、両県に大きな私立高校があることもあり流出傾向が強い。
(藤原委員)
学校別倍率の上位を高崎市内の学校が占めている。高崎経済大学附属と高崎北については、高崎高校への進学が難しい生徒が、大学進学をにらんで選択していると考えられるが、それとは別に何か高崎特有の特色があるのか。
(高校教育課長)
高崎経済大学附属については特徴的なコースが多くある。高崎北高校については単位制をとっており、進路に併せたきめ細かな対応が可能であるという特色がある。
(笠原教育長)
高崎は通学する上で交通の便がよい。鉄道もあり、いろいろな地域からアクセスしやすい。全県一区になったことで、各地域から流入しているのではないか。
それでは、教育長事務報告については以上とする。
ここで、笠原教育長から、これからの審議は教育委員会の表彰に関する案件であるため非公開で行う旨の発言があり、傍聴人は退室した。
総務課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
生涯学習課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
健康体育課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午前11時20分、笠原教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。