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平成30年1月15日(月曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
笠原寛教育長、小池啓一教育長職務代理者、藤原重紀委員、平田郁美委員、青木章子委員、武居朋子委員
北爪清教育次長、野村晃男総合教育センター所長、飯塚裕之総務課長、田谷昌也管理課長、津久井裕美福利課長、上原永次学校人事課長、鈴木佳子義務教育課長、村山義久高校教育課長、上原篤彦特別支援教育課長、船引忠雄生涯学習課長、古澤勝幸文化財保護課長、小林信二健康体育課長、阿部誠総務課次長、宇津木牧子総務課副主幹
午後1時00分、笠原教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は2名、取材者1名であることを報告。
笠原教育長が今回の会議の会議録署名人に武居委員を指名。
議案審議に先立ち、笠原教育長から第54号議案は審議会への諮問内容を決定する案件、第55号議案は委員の委嘱に関する案件であることから、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(笠原教育長)
昨年、本県の高校生が命を落とすという、大変痛ましい事故があった。また大変残念なことに、高校の始業式の日に、前橋市内において高校生が巻き込まれる大きな交通事故があった。生徒の回復を祈っている。児童・生徒の安全確保により一層心がけていかなければならないと改めて感じたところである。注意喚起等にしっかりと取り組むよう、学校とも連携して進めていきたい。
暗い話もあったが、一方で1月8日に全国高校サッカー選手権において本県代表の前橋育英高校が念願の初優勝を果たした。私も埼玉スタジアムで応援したが、高校生の素晴らしい力を見せていただいた。本県の高校生の力を全国に発信するとともに、サッカーに打ち込む県内の小・中学生にとってもよい刺激になったと思う。
話が変わるが、平成30年度の政府予算案が閣議決定され、この後、国会で審議される予定である。文部科学省関係の予算は、全体で5兆3千億円余、文教関係では4兆405億円で、若干の減があるがほぼ昨年並みの予算規模である。義務教育費の国庫負担金も前年並みの1兆5,228億円となっている。予算の大半を占めるのは人件費であるが、教職員の定数については生徒数の減、学校の統廃合による自然減がある中で、全体的には1,945人の増となった。小学校における英語教育の早期化・教科化に伴う、英語の専科の指導教員の配置の充実に1,000人、これまで加配で対応していた通級指導や日本語指導、初任者研修分として385人が基礎定数化された。これは本県だけでなく、全国の教育委員会と足並みをそろえて文部科学省に要望していたことが、一部であるが認められたものである。今後、更なる教職員の配置の充実の足がかりになったと思う。また、この他にもスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡大や、スクールサポートスタッフの配置など、教職員の多忙化が大きな課題となる中、負担軽減に対する仕組みが予算化された。部活動の指導員についても一部がスタートすることになり、本県でも予算要求に取り組んでいるところである。制度を活用して教職員の多忙化あるいは生徒活動の充実に取り組んでいきたい。この他、道徳教育の関係でも予算増が盛り込まれていると聞いている。今後しっかりと情報収集し、国の制度を活用しながら子どもたちの教育の充実に対応していきたい。
続けて、前回の定例会以降の行事について報告する。
1月5日に県議会の新春交流会が開催され私が出席した。県議会の議員の皆様や市町村長が出席されており、情報交換を行った。
教育委員会の行事では12日に優良PTA群馬県教育委員会表彰の表彰式があり、青木委員、武居委員と私が出席してきた。学校、家庭、地域の連携に、今まで以上に取り組む必要がある中で、PTAの皆様の非常に熱心な日頃の活動について、表彰することができた。これをきっかけにそれぞれのPTA活動が活発になることを期待している。
表彰式に出席した委員から何かあれば報告願いたい。
(青木委員)
私もPTA活動に取り組んでいるところだが、表彰式には初めて出席した。表彰された団体の活動内容をみると、素晴らしいものがたくさんあった。こうした活動が他のPTA団体にも情報が流れていけば、全体の活動がもっとよりよいものになるのではないか。
(武居委員)
実践事例集を見ると、学校の教育課程に基づいて学校の力強い応援団として活動していたり、子どもたち主体で授業を企画し学校の協力を得て実践していたりと、活発な活動をしている。また、PTAの会員同士の交流をとても大切にし、親たちが楽しく参加できる活動を中心にしながらも、PTAとしての目的を達成していた。学校によっていろいろなアプローチの仕方があるということが分かった。非常に興味深く見せていただいた。
その中でどの学校にも共通していたのは、学校とPTAの意志疎通がすごくスムーズであること。また、役員だけの活動に留まらず大勢の会員が参加する活動になっていることである。
保護者は今、非常に忙しい。その現実の中でも活動の意義を感じられれば、たくさんの人が参加できるのだということがわかった。とても勉強になった。
これから社会総掛かりで教育を実現していく時代になると盛んに言われているが、それぞれの学校が風通しを良くして、PTAとがっちり手を組んでいくことが大事だと感じた。
(笠原教育長)
PTAの皆さんには、いろいろな面で御協力をいただかないと、様々な課題を乗り越えていけない。これまで以上にPTA活動が活発に行われることを期待したい。
次に各所属長から報告をお願いしたい。
義務教育課長、平成29年度いじめ防止ポスターコンクールの表彰式について、資料1により報告。
義務教育課長、邑楽町の公立幼稚園の廃止について、資料2により報告。
健康体育課長、小・中学校における生活習慣予防対策基本方針について、資料3により報告。
総合教育センター所長、第15回ぐんま教育賞表彰について、資料4により報告。
(笠原教育長)
委員から質問があれば発言してほしい。
(藤原委員)
いじめ防止ポスターコンクールだが、児童・生徒にポスターを描いてもらうことも、いじめ防止への意識付けに繋がることが期待できる。ポスターの応募は県内全ての学校で行っているのか。募集の方法などについてお聞きしたい。
(義務教育課長)
ポスターや標語、作文など、いろいろなコンクールがある。それらに対し全部の学校に応募を求めるような投げかけは行っていない。学校がそれぞれの地域の実態に応じて選んでいる。
いじめ防止ポスターについては、その中にあっても県内の小学校約300校のうち158校と約3分の1の学校から応募いただいている。中学校でも全体の3分の2には届かないが、多くの学校から応募いただいているところである。いろいろな機会を通じて参加を呼びかけたいが、悉皆での呼びかけは難しいと考えている。
(藤原委員)
全ての学校に参加してもらうのは難しいかもしれない。しかし、いじめ防止ポスターコンクールは、他のコンクールと比べるといじめ防止対策に直接繋がるものなので、なるべく多くの学校に参加してほしいと思う。昨年度いじめ防止フォーラムに全ての学校が取り組んだ実績もあるので、今後に期待したい。
(笠原教育長)
子どもの肥満の問題についてはいかがか。
(藤原委員)
平成27年度から検討をはじめ、実施は平成30年度からということだが、少し動きが遅いように思う。何か理由があるのか。
(健康体育課長)
資料3にあるとおり、群馬県で肥満の傾向があることは以前から指摘されてきた。肥満の解消に向け、保健教育の充実や、体力向上に基づく運動機会の確保、食の指導など、これまでも対策に取り組んできたところである。
今回の基本方針では、定期健康診断で肥満度が50%以上である高度肥満の子どもたちに受診勧告を出すなど、医療機関と連携した対策に取り組もうとするものである。医療との連携はこれまでも進めてきたところだが、なかなか改善が見られないことから、一歩踏み込むことでさらに充実させたい考えである。
(平田委員)
本県の児童の肥満傾向はなぜ高いのか。やはり車社会であることが影響しているのか。または、親世代も肥満傾向が高く、その食生活の影響を受けているのか。もし理由がわかっていればお聞きしたい。
(健康体育課長)
詳しい追跡調査を行っていないので断言できないが、防犯の関係から昔のように暗くなるまで外で遊ぶことが無くなったことが影響しているようである。学校としても遅くまで運動しろという指導はしづらいものがある。
また、御指摘のとおり群馬は車社会である。車で送り迎えされての登下校も多く見られるようになった。車社会を前提とした生活様式の変化が肥満に繋がっていることも考えられる。
しかし、これは全国的にも同様の傾向が見られるため、多少の影響は受けていると思うが群馬県が特別ということではない。
(笠原教育長)
全国体力テストの結果をみても小学校では全国平均と比べて低いが、中学校に入ると部活動で運動する子どもが増え、逆に全国平均より高くなる。学校保健統計だけでなく、他の調査の結果もみて原因を考えないといけない。
(平田委員)
親世代の食事に問題があるのであれば、もしかしたら給食で改善できるかもしれない。原因が特定できると良い。
(笠原教育長)
食育や運動など、いろいろなものと兼ね併せて対策を考える必要がある。健康体育課が窓口となって分析を進めてほしい。
藤原委員から検討に時間が掛かりすぎではという話があった。基本方針の内部検討は早めに始めたが、高度肥満の子どもたちの対応をどうするか問題となっていた。家庭や学校だけでなく、医療が必要な子どもが現実にいる。その点について医師会でも問題意識を持っていた。医師会と県教育委員会との考え方の整合性をとるために、医師会の検討の場に県担当者も出席するなどして調整を進めていたため、基本方針としてまとめるまで時間を要してしまった。
(藤原委員)
資料5頁にある「小学校5年生の肥満児童に見られる傾向」を読んで驚いた。小学校5年生で1週間に朝食を食べない日が4~5日あると回答した児童の20%、夕食を一人で食べると回答した人の24%、寝る時間が0時台であると回答した児童の29%が肥満である。これは家庭環境に問題がある子が肥満傾向にあると読める。これは学校現場だけでは解決できない問題である。家庭にどうアプローチしていくかだが、こういう家庭は両親が共働きであるといった事情があるのだと思う。なかなか難しい問題である。
(青木委員)
ある県で、朝食が食べられない子どもが多いことから、学校で朝給食をはじめたところがある。学校の給食室を借りて、おにぎりとお味噌汁を出した。その学校では遅刻をする子どもが減ったり、進んで学校に行くようになったりといった、効果があったと聞いた。詳しい話は分からないがそういう取組もある。
それが良いか悪いかというのはまた別の話だと思うが、私も子ども食堂に関わっているので、この取組には思うところがある。両親共働きであると、食に関してなかなか手が回らない保護者が多い。子どもに与えるものも総菜などが多くなると、高カロリーで栄養バランスの悪い食事になってしまう。また、そもそも料理をしないという保護者も増えている。
学校では、給食は栄養バランスもしっかり考えられているし、体育などで運動もさせてくれる。もっと頑張らなければいけないのは家庭の方だと感じている。学校は保護者にもっと危機感を与えてもいいのではないか。
(健康体育課長)
健康な生活を送っていくには、学校だけで取り組むには限界があり、家庭との連携は非常に重要である。肥満等に対しても学校保健委員会でPTAを招き、子どもの肥満を予防するためにはどうしたら良いかということを研究している。結果は学校の全校集会で発表したり、学級通信を通じて地域にも報告したりしている。学校でも危機意識をもっていただけるように取組をしているところであるが、際だった改善までは至っていない。体力も肥満も、少しでも改善できるように、家庭、学校、地域等との連携を図りながら、粘り強く取り組んでいきたい。
(笠原教育長)
教育長事務報告は以上とする。
学校人事課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
ここで、笠原教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。
高校教育課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
生涯学習課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後1時47分、笠原教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。