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令和2年10月23日(金曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
笠原寛教育長、武居朋子委員、益田裕充委員、竹内健委員、平田郁美委員
加藤隆志教育次長、村山義久教育次長(指導担当)、服部裕管理課長、塩谷聡福利課長、鈴木佳子学校人事課長、栗本郁夫義務教育課長、小林智宏高校教育課長、町田英之特別支援教育課長、内田善規生涯学習課長、矢島貢健康体育課長、上原克之総務課長、長谷康夫総務課次長、齊藤克博総務課補佐(行政係長)、宇津木牧子総務課主幹
午後1時00分、笠原教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
笠原教育長が、代田秋子委員から欠席の届出があったことを報告。
笠原教育長が今回の会議の会議録署名人に武居委員を指名。
議案審議に先立ち、笠原教育長から、第34号議案は議会に提出する案件であるため、第35号議案は教育委員会の表彰に関する案件であるため、第36号議案から第38号議案までの3件は教職員の人事に関する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(笠原教育長)
最初に私から何点か報告する。
第3回前期定例県議会が9月18日に開会した。一般質問では、学校における働き方改革、特別支援学校の施設整備、県立図書館への電子書籍導入の取組、少人数学級、教員の定数増について質問があった。また、コロナ対策関連として、加配教員、学習指導員、スクール・サポート・スタッフの配置状況、公立学校におけるコロナ等対策、ICTを活用した教育のあり方、学校教育におけるICT環境整備後の活用などについて質問があった。
10月2日に開催された文教警察常任委員会では、新型コロナウイルス感染症に感染した場合の学校の休校措置について、学校における働き方改革、県立特別支援学校の勤務時間記録の改変事案、ICT教育推進研究校、中・高生の自転車事故件数全国ワーストからの脱却に向けた指導などの質疑が行われた。
次に、教育委員会関連の特別委員会では、総合計画に関する特別委員会の中で、教育のDX・教育イノベーションについて質疑が行われた。また、外国人との共生・共創に関する特別委員会では、高校の段階で日本語指導が必要な生徒への対応、夜間中学の取組の進捗状況などについて、それぞれ質疑があった。
次に、群馬県いじめ問題等対策委員会について、毎回、定例会で報告している県立高校生の自死事案について、現在、群馬県いじめ問題等対策委員会で調査審議が行われているところである。前回の教育委員会会議以降、第19回委員会が9月14日に、第20回目の委員会が10月12日に開催された。委員会では、今秋の最終報告書の取りまとめに向けて、引き続き事実関係の検証作業を行ったと報告を受けている。県教育委員会として、引き続き、委員会の調査審議が円滑に行われるよう、全面的に協力したい考えである。
最後に、前回定例会以降の行事について報告する。
9月10日に本県開催予定であった1都9県教育委員会委員協議会をweb会議で開催し、私と全委員が出席した。新しい取組であったが、議長を務めた平田委員のお力により、大変すばらしい会議とすることができた。今回、Web会議により開催したことが、他都県の取組の参考になればと考えている。
また、9月15日には、知事との総合教育会議が開催され、私と全委員が出席した。第2期群馬県教育大綱の策定に向け、基本方針及び施策の方向性に関して、知事と活発な意見交換を行うことができた。
10月6日には、教育委員の就退任あいさつ式を行った。退任された青木委員からご挨拶いただくと共に、新任の代田委員、再任された平田委員から、改めて職員に向けてご挨拶をいただいたところである。
私からの報告は以上である。委員から報告があれば発言をお願いしたい。
(武居委員)
総合教育会議に出席した。知事が私たちの話によく耳を傾けてくださった。総合計画ビジョンにある『始動人』という言葉が耳慣れなかったが、知事と話をする中で、始動人とは、未来を切り開く力を持った課題解決能力を持つ人材であることを確認した。多様性を受け入れることができる人材という話もいろいろなところにちりばめられていた。今まで、学校教育の中で重要視してきたことと重なっていると思った。子どもたちを指導する現場の教員にも、これから理解されていく部分だと思う。知事は、その上で、ICTを適切に、積極的に活用することを通して、誰一人として取り残すことなく進んでいく社会を目指しているのだと理解した。充実した話合いができた。
1都9県教育委員会教育委員協議会では、初めてのWeb会議の取組であったが、平田委員が上手に各県の意見を取り上げてくれたことで、充実した会議になったと思う。その中で、コロナ禍におけるICTの活用について、各県とも、非常に多岐にわたる課題を抱えていた。それをどうにか乗り越えて、前に進もうとしていることを感じることができた。各都県がそれぞれ取り組んでいる工夫には、勉強になることが多かった。特に、コロナ禍での対面での学びや体験活動については、私も聞きたいと思っていたところだったが、この時期に子どもたちの心をどのように育てていけば良いのか、非常に心配しているところである。各都県とも具体的な意見はあまり出されなかった。これは、対面での学びや体験活動は、どの県の委員も必要だと言っていたが、感染症の状況が落ち着かない中では、なかなか踏み切れないというのが実情のようである。その中でも茨城県の「対面とオンラインを組み合わせた教育のハイブリッド化を研究すべき。」という意見は非常に興味深く感じた。
(益田委員)
総合教育会議では、2回目ということもあり、知事が考えていることや想いを大変よく知ることができた。今後は具体的にどう進めていくのか、同時に、学校や教員の現状を踏まえてどう進めていくのかということを、教育委員会として考えていかなければならないと感じた。
1都9県では、平田委員にご苦労いただいた。各都県の教育委員の中では、やはりICTの推進が大きなテーマになっていた。教育委員自身が大変興味を持っており、また、それぞれの想いを持って取り組んでいると感じた。
(竹内委員)
教育委員として、1都9県協議会のような大きい会議に出席するのは初めてだったので、議長はどう進めて、まとめていくのかと思っていた。各都県の委員からは、あまり具体的な発言はなかった。半抽象的な意見をよくまとめたなと思う。こういう会議というのは、あまり突っ込んだ会話はできないと学んだ。生意気なことを言うようだが、無難なところで止めてしまっては意味がないので、もっとやり合っても良かったと思う。我々はただ意見を言うだけではなく、それを実行する立場にある。ある程度、具体的に「これはこうしよう」と決めることがあっても良かったのではないか。各都県の話を聞いただけで終わるのは、もったいないと思った。
(平田委員)
1都9県協議会は、各都県持ち回りで開催する中、群馬県開催の年に、たまたま自分が職務代理者だったことから議長を務めることになった。当日に至るまでは、教育長、教育委員、事務局にも膨大な準備をしてもらった。おかげで当日の議事を上手く進めることができた。改めて感謝申し上げる。
まずはWeb会議で開催できて良かったというのが正直なところである。書面開催という方法もあったが、それでは本当に形だけの会議になってしまったと思う。Web会議で、時間を短く設定したことで、各都県の発言が簡潔に凝縮されていた。噛み合った議論ができたと思う。次回開催では、コンパクトに発言しなければいけないというWeb会議の良さが意識されると思う。その上で、もう少し長い会議時間を設定することができれば、竹内委員から指摘のあった、もっと深い議論に繋がるのではないか。是非、次期開催県に引き継いでほしい。
総合教育会議については、各委員から発言があったとおりである。2回目ということで、かなり議論が噛み合ってきた。「一人も取り残さない」というキーワードの下に、始動人、ICT教育、教育イノベーションという知事の考えがあるのだと、繋がりがよくわかった。あとは益田委員の言うように、どうやって実行するかが大変で、大切なところである。これを教育委員会が担うことはとても苦労がいることではあるが、未来は明るいと感じることができた。
(笠原教育長)
総合教育会議は、今後も開催する予定がある。
(竹内委員)
総合教育会議が終わった後、知事から会議の感想が寄せられるのか。
(総務課長)
前回の会議では自分が知事の近くにいた。終了後、大分満足された様子ではあったが、コメントは特になかった。
(Web開催のため、知事と教育委員は別室参加。)
(竹内委員)
好き勝手に話しをしてしまったので、「あの発言はなんだ。」と言われていないか心配になってしまった。問題があれば指摘してほしい。知事がどういう話合いを求めているのかわかれば、もっと答えようがある。自分たちの発言に対して、知事からフィードバックがあると、「ではこういう話合いをしよう。」という提案や準備ができる。なので、何かそういう話がきているかなと思って質問した。
(笠原教育長)
通常は、知事がどういう感想を持ったのかというところまでは、なかなか伝わってこない。
(竹内委員)
こちらから聞いてもいいと思う。
(笠原教育長)
3月の時(教育大綱に係る第1回の総合教育会議)に比べても、知事が教育委員としっかりとしたやりとりがしたいという意向であることは、事前の打ち合わせからも感じている。事務局が資料を用意したとおりに進めるような、型どおりのやりとりは望んでいない。
(竹内委員)
回数を重ねれば上手く噛み合うと思う。
(笠原教育長)
そういう方向で考えていただいていると我々も確信している。11月の総合教育会議の時には、引き続き自由に発言してほしい。
この後、各所属長から報告する。委員からの質問は、説明の後、一括して受けたい。
総務課長、県出資法人である(公財)群馬県育英会及び(公財)群馬県青少年育成事業団の経営状況を県議会に報告を行ったことについて説明。
管理課長、(公財)群馬県育英会の経営状況について、資料1により説明。
生涯学習課長、(公財)群馬県青少年育成事業団の経営状況について、資料1により説明。
管理課長、文部科学省が行った公立学校施設の空調(冷房)接尾の設置状況調査のうち本県の結果について、資料2により説明。
学校人事課長、令和3年度採用群馬県公立学校教員選考試験の実施状況及び合格者の状況について、資料3により説明。
義務教育課長、太田市から公立幼稚園の廃止について報告があったことを、資料4により説明。
義務教育課長、教科横断的な教育手法であるSTEAM教育を推進するためのプロジェクトの実施について、資料5により説明。
高校教育課長、令和3年3月に県内の国公私立中学校及び特別支援学校中等部を卒業する見込みである者の進路希望調査結果(令和2年10月1日現在)について、資料6により説明。
生涯学習課長、令和2年度群馬県読み聞かせボランティア顕彰の顕彰団体の決定について、資料7により説明。
生涯学習課長、群馬県青少年会館の管理運営状況(令和元年度分)について、資料8により説明。
(笠原教育長)
説明は以上である。委員から意見や質問等があるか。
(益田委員)
資料1のうち、上毛学舎について質問する。上毛学舎というのは、東京都にある学生寮のことかと思う。入寮希望者が多く、募集に対する倍率が大変高い。しっかりとした運営がされていて、比較的安価で利用できるためと思う。
上毛学舎を利用して大学を卒業した学生たちが、どのくらい群馬に戻ってきているか分かるか。
(管理課長)
調査しておらず、データはない。
(笠原教育長)
具体的なデータとしては把握していない。
(益田委員)
書類審査や面接により入寮者を決めてきたわけだが、県全体として若者が減っていく中で、今後はこういうデータを残していく必要があるのではないか。
(笠原教育長)
基本的に2年間しか居住できないため、就職活動をする3年、4年まで居住しているのはごく一部である。卒業前に退寮してしまうので、なかなか追い切れないという状況もある。産業経済部を中心に若者の県内定着の取組を進めていく中で、上毛学舎で企業説明会を行うなど、就職を考える寮生と県内企業とのマッチングを進める取組も始まっている。入寮者に条件を課すといったシステマチックな動きは、まだまだ難しいのが実情である。大学進学を機に、県内企業に関する情報が途切れるようなことがないよう、都内に進学した県内高校生に向けた県内企業の情報の発信については、県としても問題意識を持って取り組んでいるところである。産業経済部とも連携しながら、教育委員会としてどんな取り組みができるか、継続して検討すべき課題であると考えている。
(竹内委員)
資料6について質問する。高崎工業高校の情報技術学科の倍率が高いことは時代の趨勢として分かるのだが、勢多農林高校の動物科学学科応用動物コースの倍率が高いのは、どのような理由からか。ここではどのようなことを学ぶのか。
(高校教育課長)
家畜等の動物に関することが主であるが、いわゆるトリミングなどの動物を相手にした職業に関する技術の習得が内容に含まれている。
(竹内委員)
そういう職業が流行ってきているのか。
(高校教育課長)
近年流行っているというよりも、勢多農林高校の動物科学は例年から人気の高い学科である。
(竹内委員)
了解した。
(武居委員)
資料5について質問する。始動人の育成という話の中から、このSTEAM(スティーム)教育が出てきたと思う。総合教育会議に出るにあたって、いろいろな資料を見ているところだが、探究型学習を推進する教育であると言うことはなんとなく分かる。これから推進するとなると、何処に位置づけて、どのように取り組むのか。探究型学習だけでいいのか。コミュニティスクールも関わってくるのか。また、キャリア教育の中ではどのような位置づけになるのか。現場の先生は、この取組をどのように受け止めるのか。まだ、余所事の教育が入ってくるように思っているのではないか。これから推し進めていくのであれば、今まであった教育との整合性を付けるとか、現場がわかりやすい入り方をしていくのがよいのではないかと思う。パンフレットを見て、面白そうとは思うが、実際はこれだけで終わってしまうのではないかとも思ってしまう。これが現在の教育にどういう風につながっていくのか、イメージが持てるようなしっかりした位置付けがあるとよい。
(笠原教育長)
指摘のあった点について、義務教育課、高校教育課から何かあるか。
(義務教育課長)
従来、総合的な学習の時間を使って行ってきたことの発展系として『STEAM教育』という新しい名前が出てきたものである。今回は、学校外の活動として取り組んでいる。今後、学校教育とどのように融合させていくかなどの課題について検討し、来年度以降も継続したいと考えている。
(武居委員)
現在のSTEAM教育は、学校の中ではなく、学校外で行われるということか。
(義務教育課長)
将来的には学校での活動と融合させたい考えだが、今回始めるにあたっては、学校の教育課程の中に入れて実施することが難しい状況であったため、学校外の活動として実施している。これを基に、学校の総合的な学習の時間や、各教科との連携も含めて、検討を進めていきたい考えである。
(笠原教育長)
年度当初から考えていた事業ではなく、また、コロナの影響で学校も休みだった。こうした中で、学校の教育課程として、年間の教育計画に組み込んで実施することは難しい状況があった。このため、今回は日曜日に学校外で実施する形とした。今後、どうしていくかというところは、改めて考えていかなければならないと思っている。
(武居委員)
吾妻中央高校の授業がどう発展していくのか、大変興味深い。
(高校教育課長)
義務教育課の説明と重なる部分があるが、高校では、今年度から、総合的な探究の時間として動きだしている。STEAM教育は、これまでに全くなかった新しい考え方というわけではなく、すでにSTEM(ステム)教育として行ってきたものの発展系である。しかし、総合的な探究の時間として、いきなり教科横断的に実施することは難しい面がある。STEAM教育として表に出して取り組むことが、現場での教科横断的な学習を促していくことにつながると考えている。
(平田委員)
STEAMに関連して質問したい。武居委員の言うように、何をもってSTEAM教育というのか、その定義についてである。私の狭い理解では、文理融合型の人間が非常に少なくなってきている。例えば大学だと、多くの学生が文系に進学し、一部の理系に特化した学生だけが理系に進学している。そうではなくて、両方の素養をもった人材が必要だという、いわゆるSociety5.0から出てきたのが、最近言われるSTEAM教育だと私は理解している。ただ、県がそのSTEAMをどう位置づけているのか。文理融合型という理解でよければそれでよいが、そうでないならば、どういう位置付けになっているのか確認したい。
(義務教育課長)
正直にいうと、県としてのSTEAMの位置づけはまだ固まっていない状況である。国の考え方や一般的に言われているSTEAMを融合して考えている。県としてどういう方向にするか固めていかなければならない。
(平田委員)
今後の人材育成の話であることは確かである。現場の先生方がみて分かるように、もっとわかりやすいと良いと思う。
(益田委員)
かつてのSTEM教育には、A(アート)が入っていなかった。資料5の1ページ目の一番下に中央教育審議会の諮問として説明があるとおりだと思う。そこにAが入ったのでSTEAM教育になった。STEM教育は、もう20年くらい前から言われていたことである。教育課程の中に位置づけるのであれば、総合的な探究の時間などに絡めていくのだろうと思う。
別件で質問したい。資料6の志願倍率にも関係することだが、新設する桐生清桜高校で、どういう教育を行うのか、しっかり周知を図っていくことが大切なのではないか。
(高校教育課長)
先日、桐生清桜高校で学校説明会を行ったところである。コロナ感染症対策を講じた上での実施であったが、ここには、予想していた人数1,000人を越える参加があった。今後、受検倍率につながってくればよいと考えている。
(村山教育次長)
今回の調査は10月1日時点、説明会は10月18日に実施した。
(益田委員)
志願者が1,000人を越えるということか。
(高校教育課長)
保護者も含む人数である。
(益田委員)
なるほど。
(笠原教育長)
まだ細かい分析ができていないが、新桐生高校が1.77倍と非常に高い。合併したので高くなるのは当然ではあるのだが、桐生地区の中学3年生にとっては、新桐生高校と清桜高校なら、現時点では桐生高校という選択になっている。12月の調査までにどう動くかというところだと思う。12月の方が実体に近い結果になる。とはいえ、期間が限られているので、清桜高校の周知をしっかりと進めていかなければならないと考えている。
他にないようであれば、教育長事務報告は以上とする。
高校教育課長、原案について説明。
異議なく原案のとおり決定。
ここで、笠原教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があった。
総務課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
生涯学習課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
ここで、笠原教育長から、これからの審議は教職員人事に関する案件である旨の発言があり、関係課長以外の課長は退室した。
学校人事課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
学校人事課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
学校人事課長、原案について説明
異議なく原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後2時30分、笠原教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。