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令和3年10月22日(金曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
平田郁美教育長、益田裕充教育長職務代理者、竹内健委員、代田秋子委員、沼田翔二朗委員、河添和子委員
加藤隆志教育次長、村山義久教育次長(指導担当)、内田善規総務課長、服部裕管理課長、鈴木佳子学校人事課長、天野正明高校教育課長、町田英之特別支援教育課長、侭田浩一生涯学習課長、吉澤隆雄総務課次長、齊藤克博総務課補佐(行政係長)、佐俣瑞穂総務課主幹
午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は1名、取材者は1名であることを報告。
平田教育長が今回の会議の会議録署名人に代田委員を指名。
議案審議に先立ち、平田教育長から、第33号議案は教育委員会表彰に関する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(平田教育長)
始めに私から一言申し上げる。
まず新型コロナウイルス感染症に関する学校の対応状況等について報告する。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、本県では8月20日から国の緊急事態宣言の実施区域とされていたが、9月30日をもって解除となった。本県独自の警戒度については、10月1日からも引き続き「4」が維持されたが、8日から「3」に、そして本日22日から「2」に引き下げられたところである。
これによる県立学校の対応についてであるが、警戒度が「3」に引き下げられたことを受け、10月1日以降は、感染防止対策を徹底し、全県で通常登校とした。
部活動については、10月1日から個人あるいは少人数での感染リスクの低い活動にとどめるとしていたが、8日からは感染防止対策を徹底した上で、通常の活動を実施することとした。なお、対外試合等は、感染防止対策を徹底した上で、本日から、県外も含め、宿泊を伴わないもののみ可とした。全国大会等については、県内外を問わず、参加及びそれに伴う宿泊を可としている。
市町村の教育委員会、私立学校に対しても、県の取組を周知したことを報告する。
次に、9月21日に開会した第3回前期定例県議会関係について報告する。一般質問では、第2期高校教育改革推進計画及び沼田高校と沼田女子高校の統合についての質疑をはじめ、GIGAスクール構想に係る現状と課題及び学校への支援体制や、通学路における危険箇所の合同点検、特別支援学校の福祉避難所への積極的な指定、県立学校における看護師の適切な配置について、また、新型コロナウイルス感染症により児童生徒等が受ける様々な影響に関して、分散登校やリモート授業における課題や修学旅行の実施についてなどの質疑があった。
また、10月4日に開催された文教警察常任委員会では、コロナ禍における就職の現状や、コロナ禍での部活動、公立高校入学者選抜制度、ICT端末を用いたいじめ、教職員の多忙化解消、特別支援学級の外国籍児童生徒の調査についてなどの質問があった。
さらに、教育委員会関連の特別委員会では、10月7日に開催されたデジタルトランスフォーメーションに関する特別委員会において、ネットリテラシー教育の推進についての質問があった。
次に、前回の教育委員会会議以降の主な行事についてであるが、10月15日の渋川女子高校創立百周年記念式典に、益田委員に出席いただいた。
続いて、教育委員から意見や報告をお願いする。
(益田委員)
県立渋川女子高等学校創立百周年記念式典に出席した。渋川女子高校は、大正9年に渋川町立実科高等女学校として創立され、卒業生は2万6千余名ということである。昨年百周年を迎え、今年、対面で記念式典を開催した。吉井校長先生、佐鳥前校長先生、実行委員長の高野様が中心となり、盛大に執り行われた。
その中で、こちらを紹介させていただきたい。配付された「渋女百年史」には、渋川女子高校が培ってきた伝統が凝縮されていると受けとめた。また、こちらも配付されたものであるが、10月10日付の新聞には、上から渋川女子高校を撮った「渋女100」という人文字が掲載されている。このように、渋川女子高校では百周年に向けて長い間準備されてきた。当日、式典の前後で、ギターマンドリン部やコーラス部、吹奏楽部による演奏もあり、大変盛大に行われたことを報告する。
(沼田委員)
コロナ対応について質問する。約1か月間、分散登校とリモート対応ということであったが、現場の先生方からは、当初、事務局がWi-Fi環境の拡充に取り組まれたことについて、非常に良かったという声があったことを報告する。
また、この1か月間の分散登校時の対応をどのように振り返ったらいいのかということについて、事務局の考えを教えていただきたい。
(高校教育課長)
学校では、授業を同時配信したり、課題をオンライン配信したりした。また、生活支援の面では、生徒と面談を行ったり、1人1台端末を活用して適切にできたと考えている。思っていた以上に学校がよく取り組んでくれた。今後も1人1台端末を使いながら、可能性を広げていけるのではないかと考えている。
(平田教育長)
最初の2日間はアクセスが集中し、授業の配信ができなくなり、学校にも生徒にも迷惑をかけてしまった。デジタル教育推進室や企業の方によくやってもらい、2日間でサーバの増強等をした。それだけアクセスが集中したということは、高校の先生方が本当によく準備してくれたからだと思う。ある授業に入らせてもらったが、家庭から参加している子も疎外感がないように、よく工夫してくれていた。また、休み時間に子ども同士が声を掛け合っているのを見て、分散登校であっても、先生方がオンライン授業の準備をやってくれたおかげで、子ども同士の関係性や、子どもと教員の関係性が切れずに済んだと思う。高校教育課長の発言と同じになるが、高校も生徒もよくやってくれた。
ICT教育について、壁が相当低くなったと思うので、これをきっかけにして、さらに教科の学び等の充実が図られていくことを願っている。
(沼田委員)
その通りだと思う。他県に比べても、群馬県が先進的に、インフラが整ったからできたということは素晴らしいことであるし、各学校の先生や生徒も、本当に尽力されたと感じている。
現場を見させていただいて感じたことが二つある。一つ目は、各教室で行っている授業を、そのまま自宅にいる生徒に配信するということは、現場の先生からすると、非常に負担が大きかったと思う。それができたことは素晴らしいが、子どもたちが学びの主役だと考えたときには、それ以上のものをこれからも追求していかなければならないと思う。コンテンツデリバリーのような知識伝達のところだけが学びではないと思うので、子どもたちがどう思考して、どうそれに臨んでいくのかということが次なる課題であると思う。ある教員は、Google Meetのアカウントを10個くらい作り、自宅にいる生徒と教室にいる生徒を2人ずつ1つのMeetに入って意見交換させるというような授業を実践していた。その教員が、子どもたちが参画していく学びを実現するために、Google Meetを使って、学びの形も追求したということをおっしゃっていたので、皆さんにも共有させてもらいたい。
二つ目は、子どもたちが、私たち大人以上にそういう学びを初めて経験しているからこそ、子どもたちからフィードバックを受けることも非常に重要だと思っている。例えば、生徒会が、この1か月の学びの状況を学校側や先生方にフィードバックする仕組みを持つということは、これからの学校がより良くなっていく材料になるのではないかと思う。
(平田教育長)
コロナ禍の中で学びを続けていくことについて、子どもたちが主体的に考えるきっかけにもなると思う。高校教育課長、何か工夫できることはあるか。
(高校教育課長)
おっしゃっていたことは生徒の主体性や自己有用感を高めるためによいと思うので、どういった形で実現できるか検討したい。
(代田委員)
特別支援学校の避難所について伺いたい。避難所として指定されても、学校に通っている子どもたちやOBがいつでも利用でき、その上で近隣の方も受け入れたいということか。
(特別支援教育課長)
指定避難所についての制度が改正された。今まではすべての方がいったん避難所に入った後、その中で障害のある方など特別な支援が必要な方については、指定避難所に移動していた。今後は、障害のある方や支援が必要な方は、どこに避難するかあらかじめ決められ、直接指定避難所に行けるようになる。対象者は、障害があり特別支援学校に通っている方、その家族、またはOBなどが特定された。
(代田委員)
もう話が進んでいるのか。
(特別支援教育課長)
市町村が指定するものであるため、市町村から声かけがあった段階で準備が始まることになるが、現在、何校か市町村から話がきている。市町村から話があった場合には、学校にも積極的に対応してもらうようにしている。
(代田委員)
とてもよいと思う。早めに指定してもらえると、その家庭も安心すると思う。どこに避難したらよいか、近所の学校に避難したいが、そこでは子どもが少し落ち着かないなどの意見があるので、なるべく早く動いていただけるとありがたい。
(平田教育長)
それでは、各所属長から順次報告をお願いする。
総務課長、県出資法人である(公財)群馬県育英会及び(公財)群馬県青少年育成事業団の経営状況を県議会に報告を行ったことについて報告。
管理課長、(公財)群馬県育英会の経営状況について、資料1により報告。
生涯学習課長、(公財)群馬県青少年育成事業団の経営状況について、資料1により報告。
生涯学習課長、群馬県青少年会館の管理運営状況(令和2年度分)について、資料2により報告。
学校人事課長、令和4年度採用群馬県公立学校教員選考試験の実施状況及び合格者の状況について、資料3により報告。
高校教育課長、令和4年3月に県内の国公私立中学校及び特別支援学校中等部を卒業する見込みである者の進路希望調査結果(令和3年10月1日現在)について、資料4により報告。
高校教育課長、第27回群馬県高等学校総合文化祭の開催について、資料5により報告。
(平田教育長)
ただいまの報告について、委員から質問等があるか。
(益田委員)
資料3の公立学校教員選考試験について伺いたい。群馬県の場合、ある程度の倍率が出ていると思うが、他県では厳しさを増しており、教員として働くことの魅力を発信していくことが、より一層大切になっていくと思う。そのあたりの働きかけなど、どのように考えているのか伺いたい。
(学校人事課長)
今のところは一定の倍率を保っているが、倍率がより高ければ、より良い人材を採用することができると思っているので、倍率については一つの課題と考えている。例えば、来年度の採用試験までに、教員の魅力を伝えるプロモーションビデオを作り、サイトに上げる事も検討している。また、これまでも他県の近隣大学に周知しているが、ビデオがあれば、より周知しやすくなると思う。
(平田教育長)
非常に大切な意見をいただき、感謝する。魅力を伝えると同時に、現場の教員が生き生きとやりがいを持って働けるような職場づくりに今後とも努めていく必要があると考える。
(益田委員)
学校の教員は、長時間労働やブラックであるなど、若い学生はイメージで捉えているところがあり、教師としての職務、職業としての教師の魅力というものが、より一層伝わる場があるとよいと感じている。
2点目は、資料4の進路希望調査結果について伺いたい。再編を行った桐生高校の倍率が1.86倍、桐生清桜高校の倍率が1.42倍と高い倍率が出ていることについて、高校教育課長はどのように分析しているか。
(高校教育課長)
この2校は4月に開校し、それぞれの特色を持って進めているところであるが、地元に学校の教育内容や特色が良く伝わっていると思う。桐生清桜高校では、昨年度のこの時点では定員に満たなかったが、探究学習を中心とした特色を持った取組が中学生に受け入れられて、今回の倍率になったのではないかと分析している。
(益田委員)
校長先生をはじめとした先生方の努力によるところも大変大きいと感じた。
(平田教育長)
10月現在の結果であるため、これから変化があると思うが、普通科が昨年より倍率を上げた反面、専門科の工業科や商業科の倍率が若干下がっている。これについてはどうか。
(高校教育課長)
普通科の倍率は1.16倍と高く、これは14年ぶりの数値である。昨年度のこの時点では、工業科の倍率が一番高かった。現段階で明確な理由はわからないが、理由の一つに、8月から9月にかけての体験入学や学校説明会の中止があると考えられる。
10月から再開しているが、専門科については実習等を見学したり、中身を知った上で希望が出てくると思われるので、12月時点の調査結果では変わってくる可能性もある。
(平田教育長)
中学生にとっては専門科の学びがイメージしにくいこともあり、体験入学が非常に大きな役割を果たしているということである。
(沼田委員)
資料2の最終ページの管理運営状況の評価について伺いたい。総合評価Aというのは、青少年会館の自己評価なのか、外部評価なのか。
(生涯学習課長)
総合評価については、県が評価したものである。参考の欄に、自己評価及び外部評価の記載がある。
(沼田委員)
私の目線が厳しいのかもしれないが、コロナ禍で各種事業がほとんど中止、一部オンライン開催となったことに対して、Aという評価がなされていることに疑問を持っている。Aということは最上位の評価であるが、それ以上の選択肢やもっとできることが他にあったのではないか。
(生涯学習課長)
おっしゃるとおり事業の中止や、昨年4月から5月にかけて2か月弱閉館せざるを得なかったという客観的事実があるが、コロナ自体は団体の責任によるものではなく、やむを得ずそうなってしまったということを斟酌した。その間、団体では企画を見直したり、動画配信など手法を工夫したりしたということで、最大に評価をした。
(沼田委員)
私自身NPOを経営していて、理事会でこういう評価をくだされるときに、評価がAになると、それで満足してしまうこともあり、もっと他にあるのではないかというところの、さじ加減が重要なのではないかと思った。
また、コロナ禍で人が集うことが難しいと思うが、集合的施設の在り方というものは、アウトリーチ型に変えていかなければならない過渡期でもあると思うので、今年度の取組に注視したい。
(平田教育長)
待っているだけでは人を集めることができなくなっているので、アウトリーチ型への転換が必要になるという指摘である。
(生涯学習課長)
その通りである。電話やオンラインを通じた相談業務は今年度取り組み始めている。アウトリーチ型がどこまで展開できるかわからないが、引き続き新しい工夫をしていくように団体を指導していきたい。
(代田委員)
資料4の進路希望調査結果について伺いたい。学校別の倍率を見ると、全体的に同じような傾向であるが、しろがね特別支援学校が2.0倍とずば抜けて高い。これはどのような傾向であるのか。
(特別支援教育課長)
しろがね特別支援学校については、県立しろがね学園に入所している生徒が一定数いる。また、この地域は、前橋市と伊勢崎市の両方から希望されることもあり、希望者が多い状況が続いている。
(河添委員)
先程、学校人事課長もおっしゃっていたが、コロナ禍であることや、教員の多忙化も含めて、教員を志す若者がどのくらいいるのかということについて、非常に興味があった。もちろん定員が減っているということはあると思うが、全体で4.5倍というのは本当に素晴らしいことである。学校人事課長から今後プロモーションビデオを作成するという話もあったが、既に群馬県がやっていることや、キャリア教育をしてきている中で、良い点があるのではないかという感じを受けた。そういったところや、先生方が日頃頑張っている生の様子、業務改善を進めている状況に併せて、教員をやってみたいが尻込みしているというようなことがないように繋がっていけるとよい。群馬に誇りを感じ、愛情を持って子どもたちを育ててくれる、志を持った人たちが集まり続けていけるように、今の良い点を繋げていけたらよいと思う。
(学校人事課長)
おっしゃったように、学校がキャリア教育に力を入れていて、教員が良いモデルとなっている部分もあると思う。そういった良さを自覚して、子どもたちが将来群馬の先生を志していけるよう、うまく繋がっていけたらと思う。
(益田委員)
かなり前から教員資格の国家資格化及び採用試験の在り方についての話題を耳にしている。試験に合格した者が教員の免許を持ち、それとは別に採用試験があるという、そういったことにもアンテナを高くして情報を集めていくとよいと思う。
(平田教育長)
以上で教育長事務報告を終了する。
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後2時15分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。