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群馬県学校保健審議会令和6年度開催結果について

更新日:2025年3月28日 印刷ページ表示

1 日時

令和7年3月7日(金曜日)14時00分~15時30分

2 場所

群馬県庁舎29階 第一特別会議室

3 出席者

(1)委員(16名中14名出席)

須藤 英仁 群馬県医師会会長

今泉 友一 群馬県医師会理事

長谷川 憲一 群馬県医師会(榛名病院院長)

村山 利之 群馬県歯科医師会会長

(黒田 真右 群馬県学校歯科医会副会長)…代理

田尻 耕太郎 群馬県薬剤師会会長

荒木 美枝子 群馬県PTA連合会常任理事

佐藤 雄一 群馬県高等学校PTA連合会副会長

西田 知子 群馬県小学校長会会員

塚原 正徳 群馬県中学校長会副会長

田島 正徳 群馬県高等学校長協会副会長

岡田 明子 群馬県特別支援学校長会副会長

新免 英子 群馬県学校保健主事会会長

橋本 美紀 群馬県養護教諭会会長

中島 和子 群馬県学校栄養士会会長

滝沢 琢己 群馬大学大学院医学系研究科教授

(石毛 崇 群馬大学大学院医学系研究科講師)…代理

※欠席委員

吉川 真由美 群馬県市町村教育委員会連絡協議会 代議員

(2)幹事

酒井 隆 福利課長

西村 琢巳 学校人事課長

酒井 暁彦 義務教育課長

高橋 章 高校教育課長

近藤 千香子 特別支援教育課長

武智 浩之 健康福祉部感染症・疾病対策課長

浅見 成志 健康福祉部食品・生活衛生課長

定方 久延 館林保健福祉事務所医監(群馬県保健所長会)

佐藤 浩司 こころの健康センター所長

橋 憲市 健康体育課長

(3)事務局

​健康体育課職員 7名

福利課職員 2名

4 配付資料

  • 次第
  • 座席表
  • 学校における感染症対策等について
  • 学校におけるアレルギー疾患対策について
  • 令和6年度熱中症発生状況について
  • 学校における心臓検診・腎臓検診について
  • 令和6年度学校保健統計調査の結果について
  • 薬物乱用防止教育及び性・エイズ教育の推進について
  • がん教育について
  • 教職員の精神保健等について
  • 群馬県学校保健審議会規則
  • 群馬県学校保健審議会委員・幹事名簿

5 報告事項

(1)事務局説明

1 学校における感染症対策について

 事務局説明

 新型コロナウイルス感染症については、昨年度5月8日に感染症法上の位置付けが5類感染症へ移行されたことに伴い、学校保健安全法施行規則に規定する諸用の改正が行われて以降、変更はない。

 令和6年度、学校保健審議会感染症対策専門委員会の開催はなく、学校における臨時休業の対応や治癒証明書の取り扱い等について変更はない。

 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザだけでなく、結核や麻しん風しん、食に係る感染症等も含めて、引き続き学校に対して注意喚起を行う。

2 学校におけるアレルギー疾患対策について

 事務局説明

 平成23年度からのアレルギー疾患調査によると、アレルギー疾患を有するものは年齢が進むにつれて増加傾向にあり、特にアレルギー性鼻炎及びアレルギー性結膜炎ではその傾向が顕著である。

 令和6年1月から12月までに県教育委員会に報告のあった食物アレルギーアナフィラキシー事例は33件で、そのうち15件は初発事例であった。

 昼食以降の発症が多く、昼食後の運動で発症した事例が15件あった。

 初発事例15件のうち、8件は運動に係るもので、受診後に「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」や「運動誘発アナフィラキシー」と診断されている。

 各学校における食物アレルギーの管理や発症時の対応が適切に行われるよう、県教委作成の「学校における食物アレルギー対応マニュアル(令和5年度改訂版)」の活用について引き続き指導していく。

3 令和6年度熱中症発生状況について

 事務局説明

 今年度も猛暑日が多くあり、気象庁から熱中症警戒アラートが14回出された。

 令和6年4月から令和7年1月の報告は113件で、昨年度より46件減少した。

 教職員や保護者の、熱中症に対する知識や意識が高まり、各学校における熱中症予防予防対策が徹底されてきた。

 また、運動会や体育大会の開催時期を変更し、暑い時期の実施を避ける学校も多くなったことも、発生件数の減少に繋がったのではないかと考える。

 各校の緊急体制が整備され、医療機関受診や救急搬送の対応が迅速に行われたことにより、死亡事故や重症の報告もなかった。

 今後も予防啓発をするとともに、各校の緊急体制の適切な整備について指導していく。

4 学校における心臓検診・腎臓検診について

 事務局説明

 児童生徒の健康診断については、関連法令及び群馬県で定めた「児童生徒健康管理対策実施要綱」に基づき実施している。

 今年度の腎臓検診は、二次検診・主治医検診とも昨年度より減少しており、学年が上がるにつれて受診率が下がっている。

 将来の重症化を防ぐためにも、適切な二次検診の受診について学校等での指導をお願いしている。

 心臓検診については、要医療機関となった者のうち約80%が医療機関を受診しているが、残り約20%は未受診であり、受診率100%を目指したい。

 本県では、平成25年度から県立学校の小学4年生に心臓検診の実施を始め、今年度から県内すべての市町村で実施することとなった。心筋症などの重症疾患が発見され、適切な治療に結びつけることができている。

5 令和6年度学校保健統計調査の結果について

 事務局説明

 文部科学省の抽出した県内の160園・校で実施した調査の結果である。

 肥満傾向児(肥満度+20%以上の者)は、全国と比較すると男女ともにほとんどの年齢で全国平均を上回る。

 痩身傾向児(肥満度-20%以下の者)は、男女とも12歳から15歳で出現率が高くなる傾向があるが、全国と比較すると男女ともに全国平均を下回る年齢の方が多い。

 平成29年より、「小・中学校における生活習慣病予防対策基本方針」に基づく取組を充実させるとともに、県内の医療機関と連携して高度肥満児の受診体制を整えている。

 今後も家庭・関係機関と連携し、健康的な生活習慣の定着に向けた学校の取組に対する支援を行っていく。

 裸眼視力1.0未満の者の割合は年齢が進むにつれて高くなり、全国も同様の傾向である。

 小学校段階では全国平均よりやや低いものの、中学校段階では全国平均を上回っている。

 文部科学省の調査によると、子供の目の健康を守るための対策としては、「外で活動する時間を多くすること、近くを見る時間を減らすことを推奨する」としている。

 現代的な健康課題の1つとして、文部科学省作成の資料をもとに、子供たちの目の健康を守ることについて、引き続き啓発していく。

 う歯のある者の割合は、全国平均と概ね同様であるが、減少傾向ではある。17歳の「歯肉に所見を有する者」の推移についても、年々減少傾向である。

 う歯予防や思春期の歯周疾患予防などの課題解決については、引き続き、学校歯科医や保健部局等と連携し、各学校の意欲を高めながら取組を充実させたい。

6 薬物乱用防止教育及び性・エイズ教育の推進について

 事務局説明

 文部科学省の方針として、薬物乱用防止教室の開催は「中学校・高校については年1回必ず」、「小学校においては開催に努める」こととしている。

 本県における開催率は、コロナ禍には下がっていたものの徐々に回復し、小学校・高等学校においては前年度を上回る結果となった。

 引き続き、薬剤師会や薬務課、県警や保健福祉事務所等関係機関と連携しながら、学校に対し、開催の依頼をしていく。

 性・エイズ講演会の開催率も、薬物乱用防止教室同様、コロナ禍を経て回復し今年度は前年度を上回る結果となった。

 高等学校では、講師謝金について予算措置もあることから高い開催率が維持されている。

 性に関する指導の一環として、児童生徒が命を大切にしたり、性情報を正しく理解し望ましい行動を選択したりできるよう、関係機関と連携しながら働きかけていく。

7 がん教育について

 事務局説明

 国の「がん対策推進基本計画」のもと、平成26年度より文部科学省が、がん教育を全国に展開するための取組として「外部講師を活用したがん教育等現代的な健康課題理解増進事業」(今年度より名称変更)を開始した。本県は本事業に手を挙げ、11年間継続で取り組んでいる。

 この事業により、がん教育に関する協議会及び検討委員会を設置し、がん教育の計画やその進め方について協議したり、小中高校の教職員並びに外部講師等指導者を対象とした研修会を開催したりした。

 また、今年度の実践推進校である安中市立安中小学校、第一中学校及び県立安中総合学園高等学校において、道徳や保健体育の保健分野での授業実践を行い、市内の教職員向けに広く公開した。

 事業開始から11年目となるが、がん教育に関する教材の活用や外部講師の活用などには課題がある。今後も、国の動向を踏まえながら引き続き取り組んでいく。

8 教職員の精神保健について

 事務局説明

 精神疾患による病気休職者数は、平成26年度から令和2年度までは40人から50人で推移していたが、令和3年度から70人台に増加している。

 全国に比べると低い数値ではある。

 職種別に見ると、全国平均では、特別支援学校に在籍している教職員の休職者割合が高い。

 本県でも特別支援学校の割合が最も高く、小学校、中学校、高等学校と続き、全国の状況と同様である。

 年代別の休職者数の状況では、ここ数年は若年層の休職者数が増加傾向である。

 教員経験の浅い教職員や人事異動後の職場不適応による病気休職者の割合が増加傾向にあることから、管理監督者だけでなく同僚も含めた「ラインケア」の強化を目指したい。

 精神疾患による1か月以上の長期病気休職者等に対して、年6回、必要時、臨時の審査を開催し、復職及び職場復帰訓練の適否等について審議している。

 復職審査のときには、学校での職場復帰訓練の様子を校長先生から報告いただき、そのことが直接審議に反映できるようになっている。

 審議会では、職場復帰にあたって各職場で配慮すべき事項や病気の特徴、体調を確認する際の視点などの具体的なアドバイスもいただくことができ、これらを活用して再燃防止にも努めている。

 令和5年度の審査実人数は107人、延べ件数は279件である。令和6年度は、実人数99人、延べ件数249件の見込みである。

 職場復帰訓練に当たっては、校長先生はじめ周囲の方々の支援をいただいており、また福利課では、訓練中と復職3か月後の2回、保健師による訪問を行っている。

 復職割合は若干ながら右肩上がりではあるが、今後も復職後の支援体制充実に向けた取組を行っていきたい。

(2)補足説明

委員発言

 感染症対策では、「学校等欠席者感染症情報システム」を活用した情報収集が大いに役立っている。

 インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症における「療養報告書」も定着し、大きな問題なく定着してきていると認識している。

 アレルギー疾患については、「食後に運動したことによってアナフィラキシーが起きる」ことについて話題になる。学校における運動の機会を推奨する大切さは理解しながらも、運動のタイミングについては、なるべく食後を避けるなど慎重に検討することも必要である。また初発の発生報告も多く、学校では常にアナフィラキシーの可能性があることを忘れずに対応しなければならない。

 誤配・誤食によるアレルギー発症は避けるべき状況であり、学校においては引き続き、細心の注意を払って対応願いたい。

 腎臓検診は、二次検診の受診率が下がっていることが問題である。特に糖検診では、糖尿病の見逃しにつながりかねない。対象者には、受診の大切さを周知してほしい。

 心臓検診についても同様である。2割程度いる二次検診の未受診者に対し、安心してすごすためにしっかりと受診するよう指導してほしいと考える。

 肥満児対策については、なかなか課題解決に至らず悩ましい問題である。学校では、地道にしっかりと取組を行っていると報告を受けているが、「食事と運動」について、未だ課題があると考えている。

 肥満度50%以上の児童生徒には受診勧告を行い、医療につなげる体制としているが、受診しない家庭が一定数いる状況である。腎臓、心臓検診と同様、肥満にも何かしらの病気が隠れていることがあり、さらには小児からの肥満が将来の生活習慣病につながることは明確なことである。きちんと受診をして肥満の原因となっている要因を知り、対策を行うこと必要であると改めて周知することも必要であると考えている。

 がん教育では、実践推進校において、丁寧な取組が行われている。すべての学校で同様の取組を行うことは難しいが、どの学校にもいる学校医が学校に出向き、外部講師としてがん教育に携わることは考えられる。そのような体制づくりもしなければならないと考えている。

(3)意見交換

委員発言

「初発のアレルギー発症」が学校で起こるという現状だが、どのような対応が必要か。

委員発言

 「学校生活管理指導表」が提出されていない児童生徒でも、アレルギー発症の可能性を常に念頭におかなければならない。

 通知やマニュアルについて、各学校にしっかりと周知徹底しておき、正しく対応してもらうよう伝える必要がある。

委員発言

 教職員の精神保健について、精神疾患の診断名は、かつては「うつ病」が一番多かったが最近は「適応障害」が多くなっている。教職員が職場でいろいろな出会いをする中でうまく適応できず、結果として休職となる方が多い。

 特に20代の若い年代では、教職経験も浅く、戸惑うことが多いであろうが、その中でも特に「保護者との関係」に悩みを抱えている様子がある。

 職場の同僚や、周りの人たちの支えをいただきながら、若い先生がうまく成長していけるよう対策を講じる必要があると感じている。

委員発言

 コロナ禍以降「オンライン診療」も話題になっているが、教職員の精神疾患について、「オンライン診療」による診断書の提出はあるか。

委員発言

 オンライン診療であるかどうかは把握できていない。

 精神科のクリニックは、今では多くの方が受診されるようになり、初診であるとなかなかすぐに受診できない現状がある。受診を希望される方は「まさに今、困っている」状況だが、そこに対応できずに、予約が数か月になるということもある。「今、問題を抱えている」という方にも対応できる場所が不足している状況ではある。

委員発言

 学校現場でも「働き方改革」が進められているところだが、休職者と超過勤務等の関係はどうか。

委員発言

 勤務時間の超過については、随分改善されていると感じる。典型的な「働き過ぎ」の状況が負担になって休職するケースは、そう多くない。

 それよりも、対人関係に負担を感じて休職につながる方が多い印象である。

(4)意見聴取

委員発言

 学校現場の努力で、う歯のある児童生徒が減少傾向であると感じている一方で、歯列不正・咬合不正の児童生徒は多くなっている。

 原因については一様には言えないが、子供たちの「スクリーンタイム」については問題視している。

 スマホやタブレット等のモバイル端末は下を向いて作業することがほとんどで、下顎が前に出るような格好となるため、姿勢の悪化や口呼吸につながり、結果としてこれらの不正に関連している可能性がある。

 ただ、昔と比べて、本人や保護者の中の「治さなければならない」という意識は高くなっている。原因や関連について特定はできないが、何かしらの対策を講じるべきであると考えている。

委員発言

 最近では文部科学省から学校薬剤師に対して、「薬育」への積極的参画について指導がある。オーバードーズの低年齢化等も叫ばれ、問題視しているところである。

 なるべく低学年の段階から、「正しい薬の使い方」について授業で学ぶ機会が必要であると感じており、「正しい使い方」を知ることで「正しくない使い方」も理解させたい考えである。

 すでに学校に積極的に働きかけ、「薬育」に関する取組を行っている学校薬剤師も少なくない。「薬の専門家」である学校薬剤師と情報交換しながら、学校現場で大いに活用願いたい。

委員発言

 今後、「OTC医薬品(市販薬)」が増加することに伴い、若年者のオーバードーズが懸念され、非常に大きな問題になると考えている。

 身近なOTC医薬品の乱用が薬物依存の第一歩とならないよう、学校現場でもご指導願いたい。

委員発言

 学校における熱中症対応について、お願いがある。

 まだあまり暑くない時期や警戒アラート等の出る時期より前であっても、学校では熱中症を念頭に置いた対応をしていただきたい。

委員発言

 気温が高くなり始め、体が暑さに慣れない時期に熱中症が起きやすいため、1年のうちで熱中症による搬送件数が最も多いのは6月であるということは定説である。

 学校現場にも、改めて周知徹底願いたい。

委員発言

 事務局説明の「性・エイズ講演会」の開催率について、小・中・高校それぞれの段階で命の教育が多く行われている様子がわかる。

 PTA会長であり産婦人科医でもあるため、ある県立学校における性教育に携わっており、小・中学校からも依頼を受けて講話を行っている。

 内容を工夫したり簡単な言葉を選んで説明したりしながら、学校の実態や子供たちの発達段階に応じて正しい知識を教えていくために、「包括的性教育」の充実が大切であると感じている。

 性被害の認識や相談の仕方など、小学生の段階から学ぶ必要のあることは多い。保健師や看護師、助産師等とともに外部講師として携わることで学校と連携し、性に関する教育を充実させていきたい。

委員発言

 教職員の精神疾患については、同僚の支えが非常に大きいと感じる。

 初任者研修ではメンターチームを組んで取り組んでいるが、お互いに声をかけ合うことの大切さを研修を通じて学んでいる様子があり、同僚性を高める機会にもなっていると感じている。

 肥満傾向については、「運動量の個人差」がコロナ禍以降顕著になったと実感する。

 特に本県では、郊外であるほど移動手段に自動車を頼るため、運動量がなおさら少なくなっているのではないかと考える。

 本校では、体育の授業を大切にすることはもちろん、「休み時間にみんなで外遊びをしよう」と呼びかけて子供たちが体を動かす機会を意図的に増やすよう努めている。

 併せて、家庭の理解・協力をいただきながら「親子でお弁当(昼食)を作ろう」という活動を行っている。親子で食事について考えることで、子供たちの将来を見据えた健康づくりにつなげてほしいと願っている。

委員発言

 コロナ禍を経験し、教室の換気や二酸化炭素濃度の測定、咳エチケット等の感染症対策に関する意識の高まりを感じている。また、家庭内における健康観察も細かに行っていただけるようになった。その甲斐もあってか、今年度の本校における感染症は大きく流行することなく経過している。

 熱中症対応については、過去に起きた学校での事例における教訓等を生かし、適切に対応できるよう職員訓練を実施するとともに、生徒に対しても専門家による講演会を実施している。

 教職員の共通理解のもと、体育館に冷房を設置したり、熱中症警戒アラートが出された場合の部活動を禁止にしたりしながら、子供たちの命を守るということを強く意識して対応しているところである。

 教職員の精神保健については、研修指導員の支援体制のある初任の時期よりも、2年目以降、特に、初めての異動となる4年目にあたる先生たちの様子を注視する必要があると感じている。お互いに声をかけ合い、「何か心配な様子がある」と感じたときには管理職に報告するなど早めの気付きを大切にしながら、校内の支援体制を充実させたい。

委員発言

 若者の心の健康問題について懸念がある。本校においても、生徒の日記等から人間関係の悩みが読み取れ、それが増加しているように感じている。

 教職員がそれらのサインをキャッチし、介入を図っているが、本来であれば生徒自身で問題を解決できる力を育てたい思いもある。

 特別な支援を必要とする生徒への対応も増えているため、スクールカウンセラーや医療等の関係機関との連携を大切にしている。

 教職員研修を充実させることで様々な生徒に対応するための教職員の資質向上を目指しつつ、多感な高校生に寄り添える取組を充実させたい。

委員発言

 教職員の精神保健で、職種別に見ると特別支援学校教職員の精神疾患が最も多いという点に関して考えると、個々の児童生徒の事情や個に応じた教育の難しさなどもひとつの原因であり、御本人の真面目さ等も加わって「一生懸命がんばりすぎてしまう」先生がいることは事実であると感じる。

 そういった観点からも、本校では「安全衛生委員会」を毎月1回開催し、各部の「気になる」ことや人について話題にして把握したり、産業医から助言をいただいたりしているところである。

 早めの気付きや声かけも大切にしているが、『大丈夫?』と声をかけられることを気にする教職員もおり、対応の難しさを感じる。

 子供たちに対しては、個々の障害種に応じた健康管理・健康づくりに取り組める力の育成を目指して指導に当たっている。性・エイズ教育について、特に高等部において大学生と連携した「ピア・エデュケーション」に取り組んでいる。子供たちが、自分自身のことを理解し、正しく管理できるよう、発達段階に応じた取組を工夫したい。

委員発言

 本校では、学校にうまく適応できずに欠席する児童が多い。適応指導教室に通っていても、学習面や友人関係に困難を抱え、通所を継続できなくなる児童もいる様子である。

 群馬県学校保健主事会でも、メンタルヘルスをテーマに「学校保健研究協議会」を開催して教職員への研修の機会を設定しているところであるが、いざ子供たちへの対応に生かそうと思ってもうまくいかないこともあり、難しさを感じている。

 熱中症対策については、暑さにかかわらず水筒を持参させ、授業の合間であっても水分補給の時間をとったり、校庭での活動前には必ず飲むこと徹底させたりすることが通年で行われるようになった。引き続き、学校における熱中症予防に努めたい。

 教職員の精神保健に関しては、コロナ禍に採用になった若い世代には、同期採用者等の仲間と会っておしゃべりをしたり仕事の悩みを相談し合ったりする機会が失われていたことから、気を許せる仲間が少ないこと感じる。校内支援体制を整え、若い世代の仲間づくりを広めたい。

委員発言

 子供たちを取り巻く現代的な健康課題を踏まえて、群馬県養護教諭会では「時代の変化に対応し、豊かな心と健やかな体を育む健康教育」を研究テーマに掲げ、子供たちの心身の健康を守るための取組を行っている。

 本校では、歯科保健活動の充実や献血推進活動、ゲートキーパー養成講座等、外部講師と連携した健康教育の継続に力を入れている。

 さらに、教職員の職場環境の向上を目指し、月1回の安全衛生委員会を定期的に開催することで、職員同士が自由に意見交換できる場を大切にしているところである。

委員発言

 安全衛生委員会の構成メンバーはどうか。

委員発言

 校長、教頭、事務長、保健主事、養護教諭を中心として、協議内容に合わせて誰でも参加できるよう工夫している。

委員発言

 本校で食物アレルギー対応の必要な児童は全校の約3%であり、対応委員会で個別の対応を決定した後に職員会議で共通理解を図っている。

 卵の除去食対応を行っており、対象の児童に提供される際には、タブレット等を活用して全教職員が確認できるよう工夫している。

 給食以外で配慮の必要な場面や緊急時の対応、周囲の子供たちの理解を促す指導等について検討し、全教職員で研修を行うことで、事故なく対応できるよう努めている。

 肥満の予防・改善に関する取組としては、児童委員会活動を中心とした啓発活動の充実にむけて努力しているところである。自身の生活習慣を振り返り、健康な生活への意識を親子で高めていけるよう、家庭とも連携した取組を継続していきたい。

委員発言

 肥満の予防・改善については、家庭との連携が不可欠であり、学校での取組は難しいように感じる。目に見える効果があった取組は何か。

委員発言

 児童が自作した、外遊びを推奨する動画である。児童が興味関心を持ち、進んで外に遊びに行く姿が見られ、啓発の効果を感じている。

委員発言

 感染症、アレルギー疾患、熱中症対応について、今年度はICUに入室が必要になるような重症患者は多くはなく、学校において適切に対応できている成果であると感じている。

 近年、炎症性腸疾患等の慢性疾患が非常に増えており、20年間で患者数は約3倍になっている。

 そのうちの多くに成長障害が見られ、病院受診の数年前から身長の伸び率が鈍化していることが分かっている。

 身長の伸びについては成長曲線を活用することで評価することができ、学校検診によって成長率の鈍化を早い段階で把握できれば、疾患の早期診断にもつながる可能性がある。

 成長率の評価によって、消化管疾患だけでなく虐待等の発見にもつながる可能性があるため、学校においても大いに活用されることを期待したい。

委員発言

 クローン病等の炎症性腸疾患の早期発見に、成長曲線が手がかりになることは新たな知見である。

委員発言

 不登校の子供の多さについて危惧している。

 不登校であると、学校における健康診断を受ける機会を逃すこととなり、成長率の鈍化を始め病気の早期発見の機会を失うことにつながりかねない。

 体の不調となって現れないものは受診の機会がなく、学校における健康診断によって初めて病気が発見できることもある。

 実際に、健康診断を欠席した児童生徒は、どのように受診しているのか。学校外での健康診断であれば金銭的な負担もあるのではないか。

委員発言

 本校では、学校医との打合せにより承諾をいただいて、欠席した児童生徒が学校医の先生のクリニックを受診することで健康診断の項目を受けることができるようにしている。

委員発言

 健康診断を受けることのできなかった児童生徒への対応について検討が必要であろう。

幹事発言

 海外からの転入や、外国人の両親を保護者に持つ児童生徒も増えている中、家庭の貧困格差も心配される。

 外国籍の子供たちの健康づくりについても、今後の検討課題となるであろう。

委員発言

 子供たち中にも薬物乱用や性・エイズに関する問題、自傷行為等が入り込み、具体的に報告されている事例もあろうと察する。

 非行やいじめ、不登校や自殺との関連も心配される。

 高校生では、教科書で「精神疾患」を学ぶ時代となった。子供たちが、自身を取り巻く問題に直面したときに、うまく立ち向かい成長できるよう、成長の段階に合わせて支援することが必要であると感じる。

委員発言

 教職員の精神保健に関しては、学校現場の協力体制を整え、若手教員の支援を積み重ねて欲しい。

 また、「自分で判断できるたくましい生徒を育てる」という教育の大きな目標の実現に向けて、具体的な実践例や成果を期待する。


新型コロナウイルス感染症関連情報