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「Bridging Gaps in Social and Emotional Skills: The Essential Contribution of School Psychologists」
10歳から15歳にかけて、社会情動的スキル、特に信頼、活発さ、楽観主義、創造性、好奇心において著しい低下が見られることが報告されています。スキル低下の主な要因としては、教員からのフィードバックの減少やスキル発達機会の減少、生徒と教員の関係性の希薄化があると報告されています。
年齢が上がるにつれて、学校関係者のSELに対する責任の認識が低下していると報告されています。これは、生徒の成長に伴い、主体性が増すことへの期待の表れである可能性がある一方で、15歳児はアイデンティティ形成という重要な発達上の課題に直面している時期であるため、社会情動的スキルの成長に向けた支援が必要であることが報告されています。
学校関係者は、幼少期から青年期かけてのSELの育成において、家庭の関与が重要であるということを世界共通で認識していると報告されています。
学級担任が支援を必要とする生徒は特定できても、生徒のニーズが教員の専門性の範疇を超える場合があります。そのような学級担任が教室での対応に困難を感じる場合、生徒のメンタルヘルスなど専門的なサポートが必要な分野において、専門家による支援を提供できると報告されています。
帰属意識及び教員と生徒の良好な関係によって特徴付けられる肯定的な学校環境が、より高い社会情動的スキルに関係していることが報告されています。スクールサイコロジストは、肯定的な学校風土を構築し、学校コミュニティ全体にとって有益な、安全で生徒の成長につながる環境の確立と維持に貢献することができると報告されています。
スクールサイコロジストはSELの取組の計画・実践をリードする中心的な役割を担い、根拠に基づいた柔軟な支援体制を構築することができると報告されています。さらに専門知識を活かして、教員を指導し、日常的な関わりの中で、生徒の社会情動的発達を支援する力を養うことができると報告されています。
ショートレポートでは、日本の学校では、生徒に対するメンタルヘルス支援が多くの学校で行われているが、調査時点における群馬(日本)の学校職員が、これらの活動をSELの視点では捉えていないことから、SELにおけるスクールサイコロジストの役割と認識しているとする回答は0%であり、教師の関与があるという回答も非常に少なく(10%)、主に保護者の責任である(64%)と考えていることが報告されています。
以上