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令和8年2月12日(水曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
平田郁美教育長、日置英彰教育長職務代理者、小島秀薫委員、中澤由梨委員、宮坂あつこ委員、都丸千寿子委員
高橋正也教育次長、古市功教育次長(指導担当)、小林謙五総務課長、角田毅弘管理課長、酒井隆福利課長、角田義行学校人事課長、佐野美幸義務教育課長、高橋章高校教育課長、池田克弘特別支援教育課長、山田知利健康体育課長、鈴木智行総務課学びのイノベーション戦略室長、箱田陽子生涯学習課社会教育主監、川端良信総合教育センター副所長、砂盃香織生涯学習課次長、高井俊一総務課次長、代田英敏総務課補佐(行政係長)、高田和樹総務課主幹
午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は1名、取材者は3名であることを報告。
平田教育長が今回の会議の会議録署名人に宮坂委員を指名。
議案審議に先立ち、平田教育長から、第59号議案から第65号議案は議会に提出する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(平田教育長)
はじめに私から報告をする。
まず、令和8年度当初予算についてである。
2月3日に知事から来年度の当初予算案が発表され、県全体の予算総額は8,486億円となり、今年度比408億円の増加となっている。
このうち教育委員会の予算総額は、今年度に比べて1,221万円増の1,823億円である。
教育委員会の予算案については、本日の議案として審議をお願いする。
各所属の主要事業については、この後の議案審議において、事務局から説明がある。
次に、生徒の皆さんの活躍について報告する。
この間、いくつもの生徒の模範的な活躍があり、その立派な姿に大変うれしく思った。
まず、大泉高校についてである。
1月22日、大泉高校植物バイオ研究部と微生物バイオ研究部が、高校生の環境保全に関する取組を表彰する「第14回イオン・エコワングランプリ普及・啓発部門」において、最高賞となる内閣総理大臣賞を受賞し、その報告に来庁してくれた。
地元の方々や行政、企業と連携しながらエージェンシーを発揮し、優れた活動を行っており、自分の意見や感じたことを積極的に発表する姿が印象的であった。
次に、書道の分野における活躍である。
同じく1月22日、「第49回全国高等学校総合文化祭」書道部門で読売新聞社賞・奨励賞を受賞した前橋高校の天笠裕熙さん、また2年連続で特別賞を受賞した千葉ましろさん、さらに「第30回全日本高校・大学書道展」で大賞を受賞した高崎女子高校の安達野乃花さん、「第78回群馬県教育書道展覧会」で知事賞を受賞した前橋高校の田口慧さんが、受賞報告に来てくれた。
ふだん書道作品に触れる機会は多くないが、作品を拝見し、それぞれが作品に込めた意図、工夫、制作過程での苦労について、自分の言葉で丁寧に語ってくれたことが大変印象深かった。
真摯に創作に向き合う姿勢と、堂々と自分の考えを表現する姿に強く感銘を受けた。
次に、2月2日、「みらい育成アワード2025」でグランプリを受賞した伊勢崎高校が知事へ受賞報告を行い、私も同席した。
出席した代表生徒2名は、伊勢崎高校の探究活動の取組や学校の魅力について、自分の言葉で明確に説明しており、知事も大変感銘を受けていた。
生徒の発言の立派さに心から感動するとともに、日頃の指導に当たる教員の皆さんへの感謝の念を強く抱いた。
次に、全国中学校駅伝大会で優勝した前橋市立木瀬中学校の表敬についてである。
2月5日に、昨年12月に行われた「第33回全国中学校駅伝大会」男子の部で、初出場にして見事優勝を果たした同校男子駅伝部の皆さんが報告に来てくれた。
中学生の来庁は珍しいが、皆が明るく元気で、日頃から良好なチームワークを築いている様子がうかがえた。
生徒たちが部の中で果たす自分の役割だけでなく、仲間への感謝を忘れず語る姿が大変印象的であり、駅伝部のみならず、学校全体の良い雰囲気を感じ取ることができた。
以上、他にも多くの活躍があるが、本日は代表して4件を報告した。
それぞれの皆さんのさらなる活躍を期待している。
続いて、前回の定例会以降、委員の皆さんや私が出席した主な行事について報告する。
1月26日と27日に東京都内で開催された「全国都道府県教育委員会連合会」の総会等に、日置委員とともに出席した。
詳細は後ほど日置委員から報告があると思われるので、私からの報告は行わない。
また、2月3日には、委員の皆さんとともに、赤城特別支援学校群馬病院内教室、勢多農林高校を訪問した。
こちらについても、後ほど委員の皆さんからご報告いただけるとありがたい。
さらに、2月7日には総合教育センターで行われた「ぐんま教育フェスタ」に委員の皆さんと参加した。
素晴らしい催しであり、関係者の皆さんに深く感謝する。
私からは以上である。
それでは、各教育委員から意見や報告をお願いする。
(日置委員)
先ほど教育長から紹介があったとおり、私は1月26日に全国都道府県教育委員会連合会総会に出席した。
今年4月から、高校の就学支援制度の拡充により、私立高校の授業料が実質無償化となる見込みである。その中で、公立高校の魅力低下が懸念されることから、今回の総会のテーマは「公立高等学校の魅力化向上」であり、これを中心に議論が行われた。
まず分科会での意見交換に先立ち、文部科学省の担当者から、公立高校の魅力化に関する国の施策について説明があった。前半は、これまでの施策として、スクールミッションの再提起、普通科の特色化、学校設定科目の導入、DXハイスクール事業など、既存事業の概要が説明された。
後半は、今後推進していく「N-E.X.T.ハイスクール構想」について説明があった。少子高齢化、地方の過疎化、労働力不足が深刻化する中、産業構造や社会システムの変化に対応できる人材をどう育てるかが焦点である。特に、地域経済を支えるエッセンシャルワーカー、ロボット・AI等の科学技術分野を担う理系人材、産業イノベーションを支える人材の不足、いわゆる「2040年問題」への対応が強調された。
今後は高校段階から、社会・産業の変化に対応する力を育成し、地域の将来を支える人材を計画的に育てていく方針である。
そのための具体策として、「高等学校教育改革促進基金」を設置し、都道府県が主体となって事業を実施する仕組みが示された。都道府県は、この基金を活用して理系人材やイノベーション人材育成のためのパイロットケースや先導的取組を創出し、それを県内の高校へ波及させていくことが求められる。
示された事業の3類型の一つは、アドバンスト・エッセンシャルワーカー育成ということで、探究的・実践的な学びを通して、新技術を活用し付加価値創出ができる人材の育成。
二つ目は、理系・デジタル人材育成:AI・ロボット等に対応する理数系人材の育成。
三つ目は、多様な学習ニーズへの対応として、地域資源活用し遠隔授業を行うなど、人口減少地域等であっても教育機会を確保するものである。
従来の「特色化」、「普通科改革」と比較すると、N-E.X.T.ハイスクール構想は、2040年を見据えた社会構造の変化に対応するため、より根本的な学習観や教育観の刷新を目指すものだと強く感じた。群馬県でも、今後この構想を踏まえた具体的な検討が進むものと思われる。
その後の分科会では、都道府県を2つのグループに分け、23府県が代表して意見交換を行ったため詳細には踏み込めなかったが、各県の高校魅力化の取組が紹介された。
特色ある学科の例として、宮大工を育成する伝統建築学科、漫画学科、半導体学科など、地域の特性や将来の産業人材を踏まえた学科を設置している県があった。また、アントレプレナーシップ教育、AI・DX教育、STEAM教育、不登校支援、高校生チャレンジアワード、専門高校の産業教育など、群馬県でも展開されているような取組を他県でも積極的に進めていることが確認できた。
印象的だった意見として、ある県では「普通科の卒業生は県外流出が多く、将来地域に戻る割合も低いが、専門高校の卒業生は地域で大きく活躍しているため、専門高校により力を入れていく」という話もあった。
以上が、連合会総会に関する報告である。
続いて、2月3日に教育長および教育委員の皆さんと実施した学校訪問について報告する。
1校目は、県立赤城特別支援学校群馬病院内教室である。
ここでは、今年度から「院内教室」が設置され、入院中であっても義務教育と同様の学習時間が確保されるようになった。群馬病院に入院している子ども達の多くは、心に辛さを抱え、長期間学校に通えないケースが多いと伺っている。しかし入院中は、ほとんどの児童生徒が授業に出席し、非常に熱心に学習に取り組んでいた。
先生方の手厚いケアにより、子ども達は生活リズムを取り戻し、毎日の学習を通して心の安定も得られているのではないかと感じた。一方で、教員の負担やメンタルヘルス面の課題もあり、校長先生から人員確保についても心配だとの話もあった。
また、入院中は手厚い支援が提供されるものの、退院後に学校生活がうまくいかないケースもあるという。つなサポや教育支援センターなどの関係機関と連携を強化し、復学後の継続的な支援が極めて重要な課題であるとの話があった。
2校目は、勢多農林高校である。
同校は118年の伝統を有する農業高校であり、教頭先生から学校紹介を受けた後、生徒による課題研究の発表を拝聴した。3グループが発表したが、そのうち1つである「持続可能な養鶏」に関する研究を紹介する。
この研究では、卵の価格上昇を背景に、「高付加価値な卵の生産方法」や「持続可能な経営の実現」をテーマに、科学的・経営的・環境的な観点から多角的に分析していた。例えば、卵殻の色を改善するための飼料研究を科学的アプローチから研究したり、利益を出すための農業経済の理論、フードロス削減を踏まえた販路拡大、スマート農業技術の導入など、一つのテーマについて多方面に検討がなされ、高校生とは思えないレベルの高い研究であると感じた。
また、実習の場面も参観した。「まえばしバナナ」を使用した洋菓子、醤油の搾りかすを用いたプリン、校内のシンボルであるカヤに関連した菓子など、技術習得だけにとどまらず、生徒自身のアイデアやオリジナリティを活かした実習が印象的であった。
先ほど報告を行った連合会総会の、N-E.X.T.ハイスクール構想で述べていた「探究的・実践的な学びを通じて新技術を活用し、付加価値を高めることのできる人材の育成」が、まさにここで実践されていると感じた。2040年を見据えた教育のあり方として、非常に先進的だと強く印象に残った。
何より、生徒たちが自分の研究について目を輝かせて語っており、学びそのものを楽しんでいる様子が大変印象的であった。
最後に、2月7日には教育委員長、教育委員の皆さんとともに「ぐんま教育フェスタ」に参加した。
多くの研究が同時並行で発表されており全てを見ることはできなかったが、その中からAIを活用した「事務や授業の効率化」に関する発表を紹介する。
従来からICTを用いた業務効率化は進められているが、実際にAIを活用している教員は約2割にとどまり、日々の業務の多忙さやセキュリティへの不安から導入が進まないという実情が示された。
発表した研修員は、当初AIへの抵抗感があったものの、研修を通じて活用を始めた結果、今ではAIなしでは業務が成り立たないほど効率化の恩恵を感じていると話していた。一度使用すると便利さなどが分かるので、学校へ向けて広報を行い、徐々に利用率が上がってきたという。特に授業準備では、信頼できる学習指導要領や群馬教育ビジョンなどの資料をAIに読み込ませ、その上で授業案をAIと対話しながら授業計画などを作成することで、子供たちに十分な活動量を確保できているか、協働的な学びが偏ってないかなどの授業改善が図れるという。また、研修参加者の中には、授業準備時間が従来の3分の1になった例もあるといい、質の向上と時間短縮が同時に実現しているとのことであった。
質疑では「AIより優れていると感じる自身の強みは何か」という問いがあり、研修者は「AIを使う上で、教員の課題意識が不可欠である」と述べた。AIに丸投げしても授業は作れず、課題意識と授業観を持ち、AIを活用しながら磨くことで初めて良い授業が生まれるということであった。また、AIに与えるプロンプトの質が結果を大きく左右するため、その二つを使うことで、現場に適合したよい授業が出来るということである。
はばたけ群馬の指導プランにもICT活用版があるが、さらに「AI活用版」の授業モデルを各科目1つずつ示すことができれば、より多くの教員が安心してAIを使い始められるのではないかと感じた。成功体験を持つことでAI活用が一気に広がるということで、こういった研修の機会や実態例があると素晴らしいものになるのではないかと思った。
ただし、AIに依存しすぎず、教員としての授業観や教育観をしっかり持つことが前提であるという点も、改めて重要だと感じた。
以上である。
(平田教育長)
生成AIの件は、研修員の方に事務局へ来ていただき、発表していただく機会があれば、私たちも参考になると思う。
実際、業務でもAIをどの範囲で使ってよいのか迷うことがあると思うので、使用して問題ない例など明確になると大変ありがたいと感じる。センターいかがですか。
(総合教育センター副所長)
検討して参りたい。
(平田教育長)
私たちも、指導主事や各担当者が、現場でAIをどのように活用できるのかを理解しておいた方がよいと感じている。研修を通じて「今すぐ現場で使えるアイデア」をいただける機会があると、とても参考になる。
(日置委員)
体験コーナーも設けられており、先生方自身が実際にAIを使ってみて、「このように活用できるのか」と驚いている様子が印象的であった。私自身も、所見の書き方など、実際の使い方を学ぶことができ、大変勉強になった。
(小島委員)
私も2月3日の学校訪問に皆さんと同行した。
所用があったため、勢多農林高校については概要説明のみの参加で、校内の視察には加われなかったが、赤城特別支援学校については視察することができた。
これまでの学校訪問で、いくつかの特別支援学校に伺ってきたが、今回も改めて、特別支援学校において「小学校から社会に出るまで、継続的に伴走支援してくれる人の存在」の重要性を強く感じた。
教育委員会の所管を超える部分かもしれないが、卒業後に引きこもり状態となった場合の社会的損失と、伴走支援員を配置するための費用とを比べれば、明らかに後者のほうが社会的コストは低いように思う。
学校は小学校、中学校それぞれで最大限の支援を行っているが、卒業すると制度上「学校の支援対象」から外れてしまう。そのため、例えばAさんという個人に対して継続的に伴走できる仕組みが必要だと改めて感じた。
視察の際に病室にいた子どもから、「もう帰っちゃうの?」と言われた。その言葉を聞いて、その子どもにとって必要なのは医療行為や授業だけでなく、「そばにいてくれる誰か」、伴走者の存在なのではないかと強く感じた。
このような思いから、教育機関や医療機関とは別に、継続的に伴走できる人材配置の制度が必要ではないかと考えた。
介護におけるケアマネージャーのように、その人に寄り添う専門職がつく仕組みがあれば、本人のためにも社会にとっても利益が大きいのではないかと感じた。
また、今回の病院内教室は、院長先生のご挨拶などから開校当初の病院側と学校側の意思疎通の大変さが伝わってきた。
2月7日のぐんま教育フェスタにも参加した。
私が聴講したのは、「非認知能力の育成に焦点を当てた学校教育の改善」と、「長期社会体験研修」の2つである。
シンポジウムの進行が時間に正確で非常に素晴らしかった。
非認知能力の発表では、小学校と高校の教員が登壇していた。
小学校では運動会の開催までの過程を通して創意工夫を促し、非認知能力を育成する取組が紹介された。
高校の数学の発表では、公式を当てはめる学習ではなく、「なぜその公式が成り立つのか」を問い、思考過程を重視する授業が紹介された。
確率の問題では、インフルエンザの陽性率を調べる検査薬を題材とした例では、回答を導く方法を伝えず答えを出す授業で、PBL型授業の学習法やAARサイクルの授業展開など聞きなれない言葉があったが、非常に興味深い授業であった。
長期社会体験研修では、(株)ミツバと(株)ヤマダデンキに派遣された2名の教員が発表していた。
前橋工業高校と新田暁高校の先生である。
ヤマダデンキでは、商品を販売する際のコミュニケーションの重要性を学び、学校へ戻ってから「ボールペンをどう売るか」というロールプレイの授業を行ったという報告があった。
社会で学ぶことの意味は非常に大きい。しかし、年間2名の派遣だけでは少なく、期間を短縮してでも人数を増やすべきではないかと感じた。
コミュニケーション力については、非認知能力の発表でも話が出たが、企業の立場から見ると、認知能力と異なり、非認知能力は必ずしも全員が高めたほうがよいとは限らないのではないか。
例えば、協調性は総務的な職務には必須だが、現場ではむしろ独創性のほうが重要な場合もある。
コミュニケーション力についても、商品説明の「話す技術」よりも「その製品をどれだけ愛し、誠実に向き合っているか」のほうが重要だと感じる。
つまりコミュニケーション力とは、単に話す技能ではなく、「自分が扱う物への誠実さや思い」や「相手にどう伝わるかを考える姿勢」といったものであると考える。
以上である。
(平田教育長)
コミュニケーション力について、小島委員のおっしゃるとおりだと思う。「上手に話す」だけでは狭いと感じる。相手に伝えたいおもいの強さや、相手がどんな思いで聞き、話しているかを汲むことも含めてコミュニケーション力と考える。
非認知能力をどう育てるかは非常に重要である。認知能力も、学校で身につけたことを社会で活用するだけではなく、必要なことを自らいかに学ぶかが重要になる。非認知能力も同様で、解決すべき課題や自分の特性に応じて、何を伸ばし、何を補うかを自ら考え、伸ばしていくことが本来望ましいと考える。
学びのイノベーション戦略室から何かあるか。
(学びのイノベーション戦略室長)
指導側としても、全ての非認知能力を均等に育てるのではなく、子どもたち一人一人の強みを伸ばすバランスが大切であると感じた。
(中澤委員)
私も、2月3日の学校訪問に参加した。
赤城特別支援学校群馬病院内教室の視察は、私にとっても大変貴重な機会であった。こうした教育現場を直接見ることはなかなか難しいため、丁寧に準備して迎えてくださった校長先生をはじめ、関係の皆さんに深く感謝申し上げたい。
入院している生徒の多くは、精神的な課題や困難な状況に直面しており、入院は人生の中でも大きな出来事だと思う。その中で、医療の専門家による支援は命や心の揺らぎに対して不可欠である。一方、それと同じくらい「教育」という視点がそこに存在することの重要性を強く感じた。
医療環境では「学び」が離れてしまいやすいが、この院内教室では限られたスペースの中で、個別面談場所やクールダウンの空間を工夫し、生徒一人ひとりの学びの場を確保しようとしてくださっている姿勢に深い敬意を抱いた。また、副校長先生が可能な限り周囲の職員のサポートに入るといった配慮もされており、非常に丁寧な体制で支援が行われていると感じた。
中学生の利用が多いとのことだが、中学生は思春期の葛藤が最も強く揺れやすい時期であり、その時期の特性を踏まえた支援体制が令和7年度から整備されたことは大変有意義だと感じた。教育現場としても緊張度の高い環境であるため、スクールカウンセラーとの連携や、先生方が身近でスーパーバイズを受けやすい体制、先生方の精神的なサポートを高める仕組みなど、教員支援にもさらなる工夫が必要ではないかと感じた。
勢多農林高校については、日置委員の報告のとおり、非常に充実した教育の場を見ることができた。
研究発表では、私が「時間があればもっとやりたかったことはありますか」と質問したところ、生徒がすぐに「こういうことを深めたかった」「先生には止められるかもしれないけれど、こんなことも挑戦してみたい」と話してくれた。
すでに次の「やってみたいこと」が明確にあり、学びに対して主体的で、意欲に満ちている姿がとても印象的だった。
続いて、教育フェスタについて報告する。
私が聴講したのは、「非認知能力の育成」に関して、小学校の先生による「心の力のばシート」というツールを用いた取り組みである。
6年生を対象に、運動会や修学旅行等の学校行事の際に、自分の気持ちや行動を振り返り、「心の力のばシート」に記載するものである。
このシートは「自分自身と向き合う視点」「友達や社会との関わりを振り返る視点」の2つに分けて記述するようになっている点が特徴的である。
私が特に感銘を受けたのは、児童が「良いことだけを書く」のではなく、「この場面はすごく大変だった」「恥ずかしいと思った」「ちょっとつらかった」といった気持ちをそのまま書いていたことである。
そのうえで「後からこう感じた」と、自分の心の動きを丁寧に振り返っており、自分の内側の感情を認識し、言語化する力が育っている様子がうかがえた。
さらに先生は、気持ちへの共感や気づきに対して、このシートにコメントを書き、成長の方向づけを丁寧に行っていた。
こうした「心の動きの共有」を通して、SELが深まり、教育の中で非認知能力が育まれるのだと実感した。
先生の教育の力のかけどころを見せていただいて、大変勉強になった。
小島委員の報告にあったように、子どもの「持ち味」を大切にする視点が大変重要だと考える。
皆の前で評価される行動だけが価値ではなく、例えば「私はこの行動はしたくなかった。だからやらなかった」といった記述も価値があり、その子にとって大切な自己理解である。そうした“その子らしさ”を認める関わりを積み重ねることで、「自分はこれでいいんだ」「自分にも良いところがある」という感覚が育つのだと感じた。大変学びの多い発表であった。
以上で報告とさせていただく。
(宮坂委員)
私からは、2月3日に皆さんと伺った学校訪問について報告する。
まずは、赤城特別支援学校群馬病院内教室である。
私自身の子どもも特別支援学校にお世話になっているが、学校内で教育を受ける環境と、病院内で療育や学習を行う環境が、これほどまでに異なるのかと強く感じた。
非常にシリアスな状況にある児童生徒も多いと思われるが、そこで学ぶ子どもたちの表情は、決して暗さを感じさせるものではなく、学びが子どもたちに自信を与えているのだと実感した。
特に印象的だったのは、小学校から長期間学校に通えていない子どもを、再び地域へ戻していくための支援である。
地域の学校の先生方が、そうした子どもたちの存在を知らないケースもあり、大きな課題だと感じた。私自身も知らなかった部分が多く、地域での理解やつながりがもっと構築されれば、より良い支援につながるのではないかと思った。
また、小島委員も指摘されたように、教育と医療に加えて、福祉も含めた「伴走支援」の視点が非常に重要であると感じた。
子どもたちが退院後の社会生活へスムーズに移行するためには、切れ目のない連携が必要であり、こうした場が地域の中にあることを、もっと広く伝えていくべきだと強く感じた。
勢多農林高校については、試験管で植物の培養をしている生徒と話す中で、「これかわいいですよね」と自然に声をかけてくれる姿が印象的だった。スーツ姿の大人が訪問すれば緊張するものだが、彼らは臆することなく会話をしてくれ、学びを楽しみながら自分の研究に誇りを持っていることが伝わってきた。
その姿に、地域でこれから活躍していく若者たちの芽吹きを感じ、非常に清々しい気持ちになった。
実業高校のモデルとも言えるような学校であり、地域に根ざしたコミュニティスクールとしての役割を、長年にわたり果たしてきたことがよく分かった。教育の場であると同時に、地域の拠点としても大切にされている学校なのだと実感した。
以上である。
(都丸委員)
私も、2月3日の学校訪問と、2月7日の教育フェスタに参加したので報告する。
赤城特別支援学校群馬病院内教室では、子どもたちが落ち着いて学習に取り組む様子が見られ、学びの場が確保されていることに安心した。
説明によれば、入院している子どもは半年程度のプログラムを終えると地域の学校へ戻ることになるが、実際に復学できるのは3分の1程度で、残りの子どもは再び不登校の状態になったり、再入院になってしまうケースが多いという。
退院後の受け入れ側の在り方について、家庭だけでなく、地域・学校・福祉が連携し、子ども一人ひとりをどのように支えていくか、より真剣に考える必要性を感じた。また、現在入院待ちが約50名、そのほか他病院にも入院している子どもがいるとのことで、精神的な困難を抱える子どもの多さを改めて実感した。これは子どもに限らず大人にも同じ傾向が見られる社会的課題であり、その背景について考えさせられた。
しかし、このような「学びの場」が病院内に存在することは、子どもにとっても保護者にとっても大きな支えである。今後、新校舎が整備され、より良い環境で学びが進むことを期待している。
勢多農林高校では、他の委員が触れていたように、生徒たちが非常に生き生きと学んでおり、地域と多くの連携を図っていることが印象に残った。
植物バイオの分野では、伝統野菜の苗を維持するため、病気が入らないよう純粋培養で継承しているとの説明があり、地域資源の保全に貢献している優れた取り組みだと感じた。研究室は本格的な設備を備えたラボであり、充実した実験環境が整っていた。
一方、農場の授業では、ビニールハウス脇の小屋で吹きさらしに近い環境で授業を行っており、冷暖房設備もないとのことで、厳しい環境下でも生徒が真剣に学んでいる姿が印象深かった。改善の余地があるのではないかと感じた部分でもある。
夕方には、教員の一人が木の剪定をしており、学校や環境に対する愛着が生徒だけでなく教員にも根付いている学校だと強く感じた。実践的な学びを重視する学校の価値を改めて認識した。
ぐんま教育フェスタでは、仕事の都合で途中までの参加となったが、幼児教育センターの発表を聴講した。
現在、幼稚園や保育園等の幼児教育施設から小学校へ入学する際の「学びの接続」が大きな課題となっている。県内だけでも保育所約400か所、私立こども園約120か所、公立幼稚園50か所以上があり、非常に多様な背景の子どもが一斉に小学校へ入学する構造にある。
幼児教育センターでは、この課題に対応するため「発達に基づいた環境構成モデル」を作成し、長期研修員の1年生授業に活用していた。授業は子どもたちの力を十分に引き出す内容であり、大変印象的であった。
また、指導主事が市町村に出向き、幼児教育と小学校教育の接続の重要性について丁寧に研修を行っているとの説明があり、熱意のある取り組みに胸を打たれた。
特別研修員による新しい記録方法として、人間関係を図式化する「相関図による記録」が紹介された。幼児教育には多様な記録方法があるが、この方法は初めて目にするものであり、大変参考になった。
今回の発表を通じて、どの研究も「もう一歩先」を目指したものであり、県内の多くの教師にもぜひ見てもらいたいと感じた。
以上で報告を終える。
(平田教育長)
丁寧にご覧いただき、ありがたく思う。
発表は同時並行のためすべてを見ることはできなかったが、すでにオンラインに掲載されており、すべての研究発表を閲覧できるとのことである。県内の教員も視聴可能とのことなので、ぜひ多くの教員に見てもらいたい。
幼児教育センターをはじめ、各担当の先生方が常に一歩先を見据えて取り組んでおり、群馬県の教育の中心として大きな役割を担っていると感じる。今回の教育フェスタについても、各委員が述べていたように非常に充実した内容であり、関係された皆様に心より感謝を申し上げる。
続いて、関係所属長から報告をお願いする。
質問はすべての報告が終了した後、一括して行う。
総務課学びのイノベーション戦略室長、資料1 (PDF:473KB)により報告。
義務教育課長、資料2 (PDF:56KB)により報告。
高校教育課長、資料3 (PDF:141KB)により報告。
高校教育課長・特別支援教育課長、資料4 (PDF:173KB)により報告。
高校教育課長、資料5 (PDF:1.25MB)により報告。
高校教育課長、資料6 (PDF:5.07MB)により報告。
生涯学習長、資料7 (PDF:395KB)により報告。
健康体育課長、資料8 (PDF:505KB)により報告。
(平田教育長)
ただいまの報告について、委員から意見や質問があるか。
ご質問やご意見が特になければ、教育長事務報告を以上とする。
学校人事課長、第58号原案 (PDF:70KB)について説明
異議なく、原案のとおり決定
ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。
総務課長、第59号議案原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
総務課長、第60号議案原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
管理課長、第61号議案原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
学校人事課長、第62号議案原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
学校人事課長、第63号議案原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
学校人事課長、第64号議案原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
生涯学習課次長、第65号議案原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後3時00分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。