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令和8年7月教育委員会会議定例会の会議録

更新日:2026年8月20日 印刷ページ表示

1 期日

 令和8年7月22日(水曜日)

2 場所

 県庁24階 教育委員会会議室

3 出席者

 平田郁美教育長、日置英彰教育長職務代理者、小島秀薫委員、中澤由梨委員、宮坂あつこ委員、都丸千寿子委員

4 事務局出席者

 齊藤教育次長、古市教育次長(指導担当)、春田総合教育センター所長、酒井総務課長、角田管理課長、関根福利課長、角田学校人事課長、佐野義務教育課長、高橋高校教育課長、池田特別支援教育課長、長谷生涯学習課長、山藤健康体育課長、鈴木総務課学びのイノベーション戦略室長、須田高校教育課高校未来づくり室長、箱田生涯学習課社会教育主監、高井総務課次長、平田行政係長、高田総務課主幹

5 開会

 午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。

 傍聴人は1名、取材者は3名であることを報告。

6 会議録署名人の指名

 平田教育長が今回の会議の会議録署名人に宮坂委員を指名。

7 議案審議等の一部を非公開で行うことについて

 議案審議に先立ち、平田教育長から、第22号議案及び第23号議案は附属機関の委員の任命等に関する案件であるため、審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。

8 教育委員会の行事日程

 教育委員会の主要行事及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。

9 教育長事務報告

(平田教育長)

 はじめに私から一言申し上げる。

 まず、群馬県総合教育会議についてである。

 6月25日にインクルーシブ教育の実践研究を進めるモデル校のひとつである玉村町立上陽小学校において、群馬県総合教育会議が開催された。

 群馬県総合教育会議は、知事と教育長及び教育委員が構成員となり、相互の十分な意思疎通を図り、地域の教育課題や目指すべき教育の姿を共有することを目的として開催している。当日はご多用の中、委員の皆様に加え、石川玉村町長、鈴木敦子県議にも御参加いただいた。授業や学校内の視察、意見交換などが実施された。授業見学では、児童生徒が障害等の有無にかかわらず、共に学ぶ場面や、支援員の方々が温かく子どもたちに接する場面を拝見することができた。

 群馬県新総合計画では、「年齢や性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、すべての県民が誰一人取り残されることなく、自ら想い描く人生を生き、幸福を実現できる自立分散型の社会」を目標に掲げている。県教育委員会としても、その実現に向けて、次世代を担う子ども達が、多様な背景を持つ仲間達と共に学び、共に成長していくことのできる環境を整えていきたいと考えている。

 次に、第83回国民スポーツ大会及び第28回全国障害者スポーツ大会についてである。

 7月15日に日本スポーツ協会の理事会が東京都内で開催され、2029年に第83回国民スポーツ大会及び第28回全国障害者スポーツ大会「湯けむり国スポ・全スポぐんま2029」が本県で開催されることが正式に決定した。本県での開催は、1983年のあかぎ国体以来46年ぶりとなる。

 大会の開催期間は、国民スポーツ大会が2029年10月6日から16日までの11日間、全国障害者スポーツ大会はその終了直後から3日間を予定している。会場は県内全35市町村の70会場を予定している。今後も群馬県知事部局、群馬県スポーツ協会、市町村と協力し、県民に感動を与える大会となるよう、様々な視点から準備を進めていく。

 次に、その他の行事報告である。

 前回の定例会以降の主な行事として、7月10日には教育委員の皆様が、館林市立第十小学校及び県立大泉高等学校を視察された。第十小学校は、市内の小学校で初めて日本語学級を設置し、在籍する50名以上の外国籍児童に対して様々な支援を行っている。県立大泉高等学校は創立114年を迎える農業の伝統校であり、現在は生物生産科、グリーンサイエンス科、食品科学科、普通科の4学科を設置している。また、「里沼」の保全活動として、イオンエコワングランプリで内閣総理大臣表彰を受賞するなど、地域に根差した環境に関する取組なども行っている。

 さらに、7月16日から17日の2日間の日程で、香川県で開催された「令和8年度全国都道府県教育委員会連合会第1回総会」に、日置委員に御参加いただいた。遠方への参加に感謝申し上げる。

 私からは以上である。続いて、教育委員からの意見および報告があれば伺いたい。

(日置委員)

 6月25日は、私も総合教育会議に出席した。先ほど教育長から報告があったとおり、まずインクルーシブ教育モデル校である玉村町立上陽小学校の授業を視察し、その後、山本知事、教育長、教育委員で群馬ならではのインクルーシブ教育の展開について意見交換を行った。

 上陽小学校の視察は昨年11月に続いて2回目である。同校では、高い専門性を有する教員集団が形成されており、子ども達の発達段階に応じて周到に準備された教材の数々が非常に印象的であった。例えば、文字を書くことが苦手な子どもに対し、細かなビーズを用いた作品づくりを通して手先を訓練することで、書字につなげていく取組について時系列で説明を受けた。また、3Dプリンターによる立体的な上毛かるたの作成や、レーザー彫刻機を活用した教材づくりなど、デジタル機器も積極的に活用されていた。

 伊勢崎特別支援学校との共同作業においては、同校の児童が同じ空間で活動するだけでなく、「みんなで作った粘土を重ねてみよう」といった交流が自然な働きかけで行われており、単なる場の共有にとどまらない実質的な交流が行われていた。

 その後の総合教育会議では、視察を踏まえて意見を述べた。次期学習指導要領では、多様性の包摂と深い学びの両立が掲げられている。国はその実現に向けて、ICTの活用と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成の2本柱を打ち出している。今回の視察を通して、上陽小学校はその次期学習指導要領の全面実施に先駆けて具現化されていると感じた。

 一方で、同校はモデル校として、スクールサポートスタッフや支援員、コラボレーターなど、様々な人的支援によって支えられている面もある。今後、上陽小学校の実践を「群馬モデル」として県内に広げていくためには、こうした人的体制をどのように整備していくかが重要な検討課題になると考える。

 また、「群馬ならでは」という観点では、「誰でも使える、学ぶ場所はどこでもよい」というコンセプトで設置されているYUMEルームを、UniPath(ユニパス)の子どもたちの学びの場として積極的に活用することも有効ではないかと考える。教室復帰を最重要目標としないYUMEルームのコンセプトは、ユニパスの考え方とも重なる。全国的にはユニパスの子ども達を対象とした学びの多様化学校の設置が急速に進んでいるが、2026年4月時点では全国で84校、将来的には300校の設置が目標とされている。このように子ども達を切り分けるのではなく、YUMEルームに準じた機能を多くの学校に設置し、インクルーシブ教育の枠組みの中に位置付けることができれば、他県にはない群馬独自のモデルになり得るのではないかと考える。

 7月10日には、教育委員の皆様とともに館林市立第十小学校及び県立大泉高等学校を視察した。

 第十小学校は、館林市で最初に日本語学級が設置された学校であり、現在も外国籍児童が全校児童の1割を超えて在籍している。日本語教室での取り出し指導と、在籍学級での入り込み指導の両方を視察したが、音声教科書の活用など、きめ細かく組織的な指導が行われていると感じた。こうした支援を継続するためには人的配置が大きな課題であるとの説明も受けた。

 館林市では今年4月から日本語学習のプレクラスを設置し、まず30日程度集中的に学習した上で在籍校へ通う仕組みを開始した。しかし、市内全域から通学するため、特に小学生については送迎が必要なことも有り、通学が課題とのことだった。今後、外国籍児童生徒の増加も見込まれることから、ICT機器を活用した遠隔指導を検討するなど、限られた人的資源で効率的かつ効果的な支援体制を構築していく必要があると感じた。

 続いて視察した大泉高等学校は、創立114年を迎える伝統ある農業系高校である。特に探究活動に力を入れており、教育長の報告にもあったようにイオンエコワングランプリで最高賞を受賞するなど、多くの成果を挙げている。

 視察では、生徒による課題研究や総合的な探究の時間の様子を見学した。卵や牛乳を使用せず、代わりに豆腐を活用したマドレーヌの開発や、学校のマスコットキャラクター制作など、それぞれのテーマに主体的に取り組む姿が印象的であった。何より、生徒たちが自らの研究について自信を持って熱意ある説明をしてくれたことが強く心に残った。

 7月16日、17日は、全国都道府県教育委員会連合会総会に出席した。文部科学省から2件の行政説明、総会、分科会、教育施設視察が行われた。

 行政説明の一つは、公立高校の魅力向上についてであった。デジタル化を含む社会が急速に変化する中、2007年に生れた子どもが107歳まで生きる確率は50%という。そこでわずか十数年勉強するだけで生きていく従来の「学ぶ・働く・引退する」という3ステージ型の人生モデルから、「学ぶ・働く」そのうえで社会の変化に対応して、「学ぶ・働く」を繰り返すマルチステージ型の人生へ移行していくことを前提に教育を考える必要があるとの説明があった。

 また、公立高校の全日制、定時制が大幅に減少し、公立通信制高校も全国で87校、各県で2校程度にとどまっている。それと比較し、私立の広域性通信制学校は、ここ20年で8校から131校と15倍になっている。今後、通信制高校のニーズが高まる中、私立の広域通信制では教育の質の保証がなされていない学校もあることから、公立の通信制高校について真正面から取り組むべきとの話があった。

 さらに人材育成の観点では、今後は人材需給のアンバランスが指摘されているが、AX(AIトランスフォーメーション)時代にはロボットを活用する人材や現場人材が600万人ほど不足する一方で、事務系人材は440万人が余剰となることが予測されている。地域的アンバランスも顕著となり、首都圏では事務職を中心に人材が余り、地方では専門職や現場人材が不足することが見込まれる。そういった中で、高校から大学・大学院までを見据えた人材育成システムの大きな改革が必要とされている。その先導的なモデルとしてN-E.X.T.ハイスクール構想が位置付けられているとのことであった。

 この構想については、第1回から第3回までの申請に対しての採択があった。全国からの179件の応募に対して採択は75件であり、採択率は40%に留まった。その中で群馬県は4件の申請のうち3件が採択され、75%という採択率であった。これからの将来を見据えた先導的な学校教育を理解し、申請したのではないかと感じた。短期間の準備にもかかわらず、関係者の皆様が制度の趣旨を的確に理解し、質の高い計画を作成し申請してくださった結果であると感謝している。

 また、学習指導要領改定の議論についても話があった。キーワードは「情報活用能力の抜本的向上」であり、情報に関する学習領域が大幅に拡充されることなどの説明があった。ただし、この点については文部科学省の教育課程部会の報告書が公開されているため、ここでは詳細を省略する。

 また、財源確保の観点から、企業との連携についての話もあった。企業版ふるさと納税を地元自治体にも寄付できるよう制度を見直せないかといった検討が進められているようだ。これまでのように企業が学校を支援するという一方向の関係ではなく、今後は互いにメリットのあるWin-Winの関係を築きながら連携できるよう、制度面からもしっかりと支えていきたいとの話があった。

 もう1つの行政説明は、教員の働き方改革のさらなる推進についてであった。給特法の改正や働き方改革に対する調査結果などは、教師の業務負担が特に大きい学校への支援スタッフの重点配置に加え、副校長や教頭の勤務実態が教諭以上に厳しい状況にあることから、「副校長・教頭マネジメント支援員」の充実を図りたいとの説明があった。支援員については、学校管理職経験者だけでなく、教頭の事務処理負担の大きさを踏まえ、事務処理能力に優れた人材を配置することも効果的であるとの話があった。

 従来は教員が担ってきたユニパスの児童生徒への対応についても、民生委員や児童委員など地域の方々に参加してもらうことが必要であるとの考えが示された。令和9年度は、このような支援スタッフの充実を中心に、いわゆる「チーム学校」としての機能強化を図りたいとのことであった。

 続いて2日目の分科会では、「公立高校の魅力向上」と「デジタル技術の活用」、特に生成AIの利活用について意見交換が行われた。

 まず、公立高校の魅力向上についてである。私立高校の授業料無償化が進む中、公立高校をどのように魅力化していくかが議論の中心となった。魅力向上のためには、N-E.X.T.ハイスクール構想のような先導的なパイロット校を設置する取組も重要であるが、その一方で、トイレの改修や体育館・特別教室への空調整備といったエッセンシャルな施設整備が依然として遅れているため、まずはそうした環境整備を早急に進めるべきであるという意見が多く出された。

 また、私立高校には普通科が多い一方で、専門高校は少ない。今後の産業構造の変化を考えると、専門高校の役割はますます重要になるため、公立高校の強みとして専門高校の充実を図ることが大切であるとの意見もあった。

 これまで中学生には、「将来の進路をまだ特定したくない」、「進路の選択肢を広げるために、とりあえず普通科へ進学する」という考え方が比較的多く見られた。しかし、文部科学省からの説明にもあったように、人生100年時代においては、学び、働き、さらに社会の変化に応じて再び新たに学び直して働くという「マルチステージ」の生き方が一般的になっていく。そのため、今後は専門高校への進学希望者も増えていくのではないか、そのためには中学校段階までのキャリア教育も変化していく必要があるのではないかという意見が出された。

 さらに、公立高校も近年は広報活動に力を入れているものの、依然として私立高校に比べると発信力の面で課題があるのではないかという指摘もあった。そのため、生徒自身を巻き込み、SNSなどを活用して自校の魅力を発信することが効果的ではないかという意見があった。

 この点については、先に紹介した大泉高校の取組が参考になると感じた。例えば、生徒会が多言語で学校の魅力を発信したり、総合的な探究の時間を活用して生徒自らがマスコットキャラクターの開発に取り組んだりしている。こうした活動は、生徒の主体性を高めるだけでなく、学校の魅力向上にもつながるのではないかと感じた。

 次に、生成AIの利活用についてである。各都道府県では、AI活用事例集の活用や研修会の開催などを通して活用促進を図っているものの、実際には一部の教員が活用している段階にとどまり、学校全体への浸透には至っていないという課題が共有された。研修を実施しても、それをどのように現場全体へ広げていくかについては、どの都道府県も試行錯誤している状況であり、「どうすれば効果的に普及できるのか」が共通の課題となっていた。

 最後に、情報通信交流館の視察について簡単に報告したい。

 情報通信交流館は、高松駅に直結した利便性の高い場所に設置されている施設で、ICT教育と新規事業創出支援を行っている。群馬県で例えるなら、「NETSUGEN」と「tsukurun」を合わせたような施設である。

 その中で特に印象に残ったのは、アントレプレナーシップ養成講座が定期的に開催されていることであった。この講座には中高生の参加も多く、ビジョンやミッションの設定、アイデア創出、先輩起業家の体験談からの学び、さらにはビジネスモデルのブラッシュアップなどを実践的に学ぶことができる。具体的な事業アイデアを持って参加することも可能とのことであった。

 群馬県でも高校への出張授業という形で一部実施されているが、中高生が個人で参加できる常設型のアントレプレナーシップ講座があれば、大変意義深いのではないかと感じた。以上である。

(小島委員)

 それでは、簡潔に報告させていただく。

 まず、6月25日の総合教育会議についてである。私も参加し、インクルーシブ教育を実践している玉村町立上陽小学校を視察した。昨年に続いて2回目の訪問であったが、改めて感じたのは、学校外からの情報収集力や企業との連携の巧みさである。

 当日は株式会社ケアコムという企業も参加していた。あとで調べたところ、同社は玉村町に工場を持ち、主にナースコールを製造している企業であった。教育分野とは直接結び付きにくい印象もあるが、学校と連携し、教育活動に協力しているようである。このように、地域や企業とのつながりを積極的に築きながら教育活動に生かしている点は、非常に優れていると感じた。

 また、校内には触れて学ぶことができる「上毛かるた」が展示されていた。私は、たまたま7月に奈良で触れる仏像を制作している盲目の彫刻家・三輪途道氏の作品に触れる機会があった。かるた制作の財政支援は眼鏡メーカーのJINSから受けており、その盲目の彫刻家・三輪途道氏と眼鏡メーカーを結び付ける発想そのものに、インクルーシブな社会づくりのセンスや粋な計らいを感じた。

 こうした取組を実現するためには、幅広い情報を収集する力と、多様な企業や団体とのネットワークが欠かせない。そうした点も含めて、上陽小学校は非常に先進的で特色ある実践を行っている学校だというのが率直な感想である。

 次に、7月10日に視察した館林市立第十小学校と県立大泉高等学校について報告する。

 第十小学校は外国籍の児童が多く在籍している学校として訪問したが、視察して最も印象に残ったのは、外国籍の児童の存在を特別に意識させない自然な学校づくりであった。日本語指導はもちろん丁寧に行われているが、教室では子どもたちがごく自然に混ざり合い、共に学んでいた。外国籍であることが特別視されるのではなく、当たり前のこととして受け入れられている姿があった。

 さらに、学校運営においても、子どもたちの意見を聞きながら、みんなでより良い学校をつくろうとする姿勢が感じられた。外国籍児童への対応を学ぶつもりで訪問したが、それ以上に、多様な子どもたちが自然に共生している学校文化そのものに感銘を受けた。

 大泉高等学校についても、先ほど日置委員から報告があったとおり、生徒一人一人がしっかりと自分を持ち、主体的に活動している姿が印象的であった。

 普通科高校は、将来の可能性を幅広く残している一方で、まだ進路や目標が定まっていない生徒も少なくない。しかし、専門高校の生徒たちは、自分なりの目的意識を持って学んでいるように感じる。その点が大きな強みであり、魅力でもあると思う。

 私自身、建設業に携わっているが、勢多農林高校の緑地土木科出身の社員が何人もいる。そうした人材を見ていると、高校時代から目的意識を持ち、自ら考えて行動する力や自立心が培われていることを実感する。今回、大泉高校の生徒たちを見ても同様の印象を受けた。

 専門高校で学ぶこと自体に大きな価値があり、生徒たちの主体性や自立性を育てる上で重要な役割を果たしていると改めて感じた視察であった。以上である。

(中澤委員)

 私も6月25日の総合教育会議と、7月10日の学校訪問に参加した。両方の視察を通して共通して感じたことがあったため、2点ほど報告したい。

 1つ目は、「巻き込む力」である。玉村町立上陽小学校、館林市立第十小学校、そして県立大泉高等学校のいずれにも共通していたのは、地域や企業、子どもたち自身を上手に巻き込みながら学校づくりを進めている点であった。

 先ほど小島委員からも話があったように、企業との連携一つをとっても、単なる協力依頼ではなく、継続的な関係づくりが行われていると感じた。また、第十小学校では、外国籍の児童が在籍していることを前提としながら、「どの子も輝き、生き生きと学んでほしい」という思いのもと、子どもたちが主体となる「夢プロジェクト」に取り組んでいた。

 こうした取組を見ていると、学校が一方的に何かを与えるのではなく、地域、企業、子ども達など様々な主体を巻き込みながら教育活動を進めていることが分かる。そこに大きな価値があると感じた。

 医療の分野では近年、「共同意思決定」という考え方が重視されている。治療方針を医師だけが決めるのではなく、患者本人も含めて共に考え、共に決定していくという考え方である。今回視察した学校の取組には、それと通じるものを感じた。学校が何かを決めて進めるのではなく、それぞれが役割を担いながら、一緒に学校や学びをつくっていくという姿勢である。

 上陽小学校でも、子どもたちや教職員が立場の違いを越えて、「この学校をどうしていくか」を共に考えている姿が非常に印象的であった。

 2つ目は、「違いがあることを前提に、合理的な調整を行っていること」である。

 この点については、総合教育会議の中で知事との意見交換の際にも話をさせていただいた。「合理的配慮」という言葉は、どちらかというと「配慮してあげる」という意味合いで受け取られがちである。しかし実際には、「合理的調整」という表現の方が実態に近いのではないかと感じている。

 例えば、「この活動は参加しにくい子がいるのであれば、こういうやり方にしてみよう」、「ここが難しいのであれば、みんなで工夫してみよう」といったように、それぞれの状況に応じて柔軟に調整しながら学びの場をつくっていく。その姿が上陽小学校でも、第十小学校でも見られた。

 発達支援の分野では、近年「ニューロダイバーシティ」の考え方が大前提になっている。発達特性の有無で人を分けるのではなく、一人一人が異なる特性を持つことを前提として社会や環境を考えていこうという考え方である。学習スタイルの違い、外国にルーツを持つこと、家庭環境や経済的背景の違いなど、子どもたちはそれぞれ異なる事情を抱えている。その違いを前提として、合理的に調整を行いながら学びを保障していく姿勢が、今回訪問した学校には共通して見られたように思う。

 また、大泉高等学校では、普通科と専門学科の連携についても話を伺った。普通科の生徒からも「専門学科ともっとつながりたい」という声があり、すでに学科の枠を超えた活動も進められているとのことであった。

 学校種や学科、立場、背景の違いを超えて人や組織をつなぎ、新たな学びを生み出していく姿が各校で見られたことは、大変示唆に富むものであり、非常に学びの多い視察であった。

(宮坂委員)

 私も、これまで皆さんがお話しされたこととほぼ同じ感想を持っている。

 総合教育会議での玉村町立上陽小学校の視察、そして館林市立第十小学校と県立大泉高等学校の視察を通して、多くの学びを得ることができた。

 個人的なことであるが、大泉町で生まれ育ったこともあり、自分の地元を皆さんに視察していただけたことを大変うれしく感じた。

 私は大泉町の小学校、中学校で学んだが、子どもの頃からクラスには外国籍の児童生徒が2、3人いることが当たり前の環境で育ってきた。その経験が現在の自分にどのような影響を与えているのかは自覚していないが、幼い頃から多様な人々と共に過ごしてきたことで、「違いがあること」が自然なものとして受け止められるようになったのではないかと思う。そして、違いがあることそのものに魅力や可能性を感じる感覚も、自分の中に育まれてきたのかもしれない。

 今回の視察を通して改めて感じたのは、違いこそが未来をつくっていくということである。

 また、上陽小学校、第十小学校、大泉高等学校に共通していたのは、教職員の皆さんがとても生き生きとしていたことである。子ども達を指導するというよりも、共に学び、共に学校生活を楽しんでいるような雰囲気があった。先生方が学校そのものを楽しみながら、子どもたちと同じ目線で日々を過ごしている様子がとても印象的であった。

 第十小学校で伺った「夢プロジェクト」も大変興味深かった。子ども達がやりたいことを自ら提案し、その意見を集約しながら一つの事業やイベントへと形にしていく取組である。

 提案内容も、運動系のイベントだけではなく、文化的な活動やカラオケ大会のような企画まで幅広く挙げられていた。いただいた資料には、子どもたち一人一人の意見が丁寧にまとめられており、普段は発言することが苦手な子どもの思いもきちんと反映されているのではないかと感じた。一人一人の声を大切にしながら、みんなで学校づくりを進めている姿勢が非常に素晴らしいと感じた。

 大泉高校については、農業や専門技術を学ぶ場であることはもちろんであるが、それ以上に、生徒たち自身が人として成長していることを実感している点が印象的であった。

 視察の際には、「高校に入ってから勉強が好きになった」、「学ぶことが楽しくなった」と話す生徒もいた。また、「就農者を増やしたい」と語る生徒もおり、自分自身が農業に従事するだけでなく、地域や社会全体のことまで見据えている姿に感心した。改めて、教育の持つ力や可能性を感じる視察となった。

(都丸委員)

 私も6月25日の総合教育会議、7月10日の学校訪問、そして7月7日に開催された利根沼田地区いじめ防止フォーラムに参加したので、その内容について報告したい。

 まず、玉村町立上陽小学校で開催された総合教育会議についてである。

 視察や意見交換を通して、先ほど委員の皆様がお話しされた内容に大変共感した。中澤委員からお話のあった「合理的な調整」という考え方や、宮坂委員の「違いが未来をつくる」という言葉は、まさに今回の視察を通して実感したことであり、自分自身にとっても学びの多い機会となった。

 交流授業を見学していて特に感じたのは、子ども達の姿の素晴らしさである。子どもたちは隣で活動している友達の様子を自然に見ながら、自分の活動に取り組んでいた。また、必要に応じて声を掛けたり手伝ったりしながら、お互いに関わり合っていた。小学4年生の子ども達が、自分で状況を判断しながら周囲と関係を築いている姿は非常に印象的であった。

 交流授業の意義は、単に一緒に活動することだけではないと思う。同じ学級の友達を知ることに加え、多様な背景や特性を持つ仲間と関わることで、「相手とどう関わればよいか」を子どもたち自身が学び取っている。そのことが、一緒に社会を生きていく仲間としての理解につながっているのだと感じた。

 また、現在の学校現場では、多様な個性や特性を持つ子どもたちが増えていることを実感している。文部科学省の調査結果でも外国にルーツを持つ子ども、家庭環境への配慮が必要な子ども、発達特性のある子どもなど、多様な背景を持つ子どもたちが6割という結果がある。そうした中で、インクルーシブな教育や多様性を認める教育の重要性はますます高まっていると感じる。

 今回の総合教育会議では、玉村町長にも御参加いただいたが、非常に熱意をもってお話しいただいたことが印象に残っている。また、館林市立第十小学校の視察では市教育長からもお話を伺った。こうした取組を進めるためには、学校だけの努力では限界があり、自治体や教育委員会によるリーダーシップが不可欠であると改めて感じた。人的配置や制度づくりなど、市町村としての支援体制が整うことで、多様な学びが実現していくのだと思う。

 さらに、上陽小学校の教頭先生からは、「決して簡単な取組ではない」というお話も伺った。校内では多くの話し合いが行われ、時には意見がぶつかることもあるという。そのような過程を経ながら、互いの考えを理解し、教職員が同じ方向を向いて歩んでいると聞き、学校全体で積み重ねてきた努力の大きさを感じた。

 第十小学校では、日本語指導の様子も見学した。県の教育センターで提供されている教材なども効果的に活用されており、大変充実した指導が行われていた。一方で、51人の児童生徒に対して担当教員が7人という状況について伺ったところ、「人員は十分ではない」との率直なお話もあった。やはり人的配置は大きな課題であると感じた。

 大泉高等学校については、皆様のお話にもあったとおり、生徒たちが非常に生き生きと学んでいる姿が印象的であった。

 私が話を聞いた食品科学科の生徒は、バナナやブドウ、ニンジン、リンゴなどから酵母を採取し、その酵母を利用してパンの発酵に関する研究を行っていた。高校生としては非常に高度な内容であったが、生徒自身が楽しみながら主体的に研究している様子が伝わってきた。学びに向かう意欲と探究心にあふれた姿を見て、大変頼もしく感じた。

 最後に、利根沼田地区いじめ防止フォーラムについて報告する。

 フォーラムは「みんなで作る 笑顔のピース」をテーマに開催され、利根沼田地区の小学校12校、中学校12校、高等学校4校、特別支援学校1校から代表児童生徒が参加した。また、保護者の皆様にも参加いただいた。

 当日は5グループに分かれ、「みんなの笑顔を作るために」をテーマに話し合いが行われた。ブレーンストーミングやKJ法を活用しながら、子どもたち自身が主体的に意見を出し合っていた。

 特に印象的だったのは、運営の中心となった沼田高等学校の生徒たちの姿である。受付から会議開始までの待ち時間には、参加した子どもたちが楽しめるようにBGMを流し、和やかな雰囲気をつくっていた。会議が始まると、アイスブレイクを取り入れて場を温め、自然に話し合いへと導いていた。さらに、話し合いにくじ引きを取り入れるなど、楽しみながら参加できる工夫も見られた。

 各グループでは多くの意見が出され、それぞれ創意工夫を凝らしたまとめ方が行われていた。発表の場面では、小学生から高校生まで、全員が前に出て自分の考えを発表していたことが非常に印象的であった。

 高校生が小中学生にとって良いモデルとなり、多様な年代の子どもたちが協力しながら活動している姿を見て、大変心強く感じた。会場全体には、互いを尊重し合う温かい雰囲気があり、いじめとは最も遠いところにある空気が流れていたように思う。

 参加した子どもたちが、それぞれの学校に学びを持ち帰り、その輪が広がっていくことで、利根沼田地区からいじめのない学校づくりがさらに進んでいくことを願っている。

 最後に、その思いを沼田高校の生徒たちへ直接伝えることができたことも、大変意義深く、私自身が大変感動し、多くの学びと希望を感じながら会場を後にした。以上である。

(平田教育長)

 続いて、関係所属長から報告をお願いする。

 質問はすべての報告が終了した後、一括して行う。

(1)令和8年度文書館の逸品2「戦時下の女学校」─昭和15年の学級日誌が伝える女学生の日常─について

 総務課長、資料1 (PDF:3.23MB)により報告。

(2)「地域とともにある学校づくり推進フォーラム2026群馬」について

 義務教育課長、資料2 (PDF:1.26MB)により報告。

(3)産業イノベーション人材育成に資する高等学校等教育改革促進事業(N-E.X.T.ハイスクール構想パイロット事業)における改革先導拠点の採択について

 高校未来づくり室長、資料3 (PDF:136KB)により報告。

(4)ぐんま天文台夏休みイベントの実施について

 生涯学習課長、資料4 (PDF:3.8MB)により報告。

(5)ぐんま昆虫の森第23回企画展「あなたの知らない昆虫標本の世界」について

 生涯学習課長、資料5 (PDF:1.31MB)により報告。

(6)生涯学習センター夏とくイベントの実施について

 生涯学習課長、資料6 (PDF:1.11MB)により報告。

(平田教育長)

 ただいまの関係所属長からの報告について、意見や質問があればお願いしたい。

 資料1、4、5、6については、いずれも社会教育機関が実施する夏季の各種事業・イベントである。子どもたちはもちろん、大人の方々にも参加していただけるよう、それぞれ工夫を凝らした内容となっている。委員の皆様におかれても、お時間が許せばぜひ足を運んでいただければと思う。

 また、資料2「学校づくり推進フォーラム」についても、委員の皆様にも見ていただくことは可能か。

(義務教育課長)

 可能である。

(平田教育長)

 それでは、ご興味があり、お時間があればぜひ足を運んでいただければありがたい。

 次に、N-E.X.T.ハイスクール事業についてである。

 今回、3件が採択されたが、これは本県としても全力を挙げて取り組んだ成果である。高校教育課、管理課、総務課の3課が中心となって進めたが、申請作業は大変なものであった。ゴールデンウィーク期間中も含め、関係職員が献身的に取り組み、長期間にわたって準備を重ねてくれた。

 申請に当たっては、文部科学省が目指す方向性を踏まえながらも、本県や各高校が実現したい教育を具体的な事業として構築する必要があった。単に外部連携を掲げるだけではなく、どのような組織体制で専門家の意見を取り入れるのか、どのようなカリキュラム改革を行うのか、さらにそれを実現するためにどのような施設や環境を整備するのかまで、具体的に示すことが求められた。

 また、多様な学びの実現も重要なテーマである。今後は、より多様な背景や特性を持つ生徒たちがそれぞれの力を発揮できる学びの仕組みが必要になる。通信制高校には大きな可能性があり、通信による学びと、全日制や定時制などの通学型の学びを組み合わせながら単位を取得し、高校卒業につなげる仕組みは、今後ますます重要になると考えている。

 さらに、従来の学校という枠組みにとらわれず、多様な場所で学ぶ仕組みもこれから重要になっていく。

 今回採択された高崎高校の事業については、高崎高校だけが輝くことを目指すものではない。高崎地区の県立高校全体における文理融合型教育や理数教育の拠点として、高崎地区全体の学びを牽引し、その成果を県内の他地域へ展開していくモデルとして位置付けている。

 また、勢多農林高校の事業についても、同校のみの取組ではない。県内の農業系の高校はそれぞれ特色や得意分野を持っている。その強みを生かしながら、これからの農業教育に必要な学びを県立農業高校全体で創り上げていくことを目指している。

 さらに、前橋清陵高校の事業は、学び方そのものを見直す挑戦である。学校の枠を超え、多様な学習スタイルを実現する先駆的な取組として大きな期待を寄せている。

 3課の職員をはじめ、各高校や協力校の皆様が力を合わせ、非常に質の高い提案を作り上げてくださったことを大変うれしく思っている。

 もっとも、採択はスタートラインに過ぎず、実践段階こそが極めて重要である。引き続き関係者が連携しながら取り組んでいくので、委員の皆様にもぜひお力添えをお願いしたい。

 なお、工業系分野についても現在申請を進めている案件がある。こちらについても採択につながるよう、学校と連携しながら関係課一丸となって取り組んでいくので、引き続き御支援、御協力をお願いする。

ほかに御意見、御質問はないか。

(日置委員)

 N-E.X.T.ハイスクール事業については、まさにこれからの高校教育改革を進めていく上での一つのモデルとなる取組であると考えている。

 現在、全国でも様々な特色ある取組が提案されているが、構想を具体的な教育改革として形にし、実現可能な計画として示すことは決して容易ではない。そのような中で、本県から3件が採択されたことは大変意義深く、関係者の努力の成果であると感じている。

 ただし、本当に重要なのはこれからである。採択された計画を着実に実行し、成果として示していくことが求められる。その成果が県内の他の高校へ広がり、さらには全国の高校教育改革にもつながっていくようなモデルとなれば、大きな価値を持つ取組になるので期待している。

(平田教育長)

 他にご質問やご意見がなければ、教育長事務報告を以上とする。

10 議案審議

第19号議案 事務委任の解除について

 総務課長、第19号議案原案 (PDF:199KB)について説明

 異議なく、原案のとおり決定

第20号議案 群馬県生涯学習センターの設置及び管理に関する条例施行規則等の一部を改正する規則について

 生涯学習課長、第20号議案原案 (PDF:264KB)について説明

 異議なく、原案のとおり決定

第21号議案 群馬県立青少年自然の家の設置及び管理に関する条例施行規則の一部を改正する規則について

 生涯学習課長、第21号議案原案 (PDF:261KB)について説明

 異議なく、原案のとおり決定

11 議案審議(非公開)

 ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。

第22号議案 群馬県社会教育委員の委嘱について

 社会教育主監、第22号議案原案について説明

 異議なく、原案のとおり決定

第23号議案 群馬県立図書館協議会委員の任命等について

 生涯学習課長、第23号議案原案について説明

 異議なく、原案のとおり決定

12 教育委員会記者会見資料について

 教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。

13 閉会

 午後2時16分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。


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