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農業技術センター研究報告第15号

小麦「さとのそら」における穀粒の硬さと強度の特徴

【要旨】

 新たな加工品開発による6次産業化支援につなげるために、小麦「さとのそら」の特性調査を行った。調査は穀粒の微細構造観察と物理特性について実施し、試験には3品種、「さとのそら」「農林61号」「きたほなみ」を供試した。その結果、「さとのそら」は、「農林61号」と比較して、外表皮の表面が柔らかく厚さも薄いことが明らかとなった。外表皮の厚さと破断応力との間には有意な正の相関が認められていることから、「さとのそら」は外表皮の厚さが薄いために、穀粒硬度が低くなっていると考えられた。また、「さとのそら」のもろさ応力は、「農林61号」よりも小さいことから、「農林61号」よりも崩れにくい性質であった。「さとのそら」の柔らかい穀粒は、押し麦のような圧ぺん加工に向いていると考えられた。

農産加工係 大澤 実

リンゴ新品種「紅鶴」の育成

【要旨】

 1991年に「陽光」を種子親に、「さんさ」を花粉親として交配し、得られた交雑実生から「紅鶴」(登録番号第25367号)を育成した。「紅鶴」は、満開後160日頃の10月上中旬に適熟となる中生品種で、適度な酸味があり甘味とのバランスが良く、食味に優れる。果皮は鮮やかな赤色で、無袋栽培で果面さびの発生はなく、外観に優れる。果実の大きさは330グラム程度で揃いが良い。S遺伝子型はS3S7であり、同じS遺伝子型を持つ「つがる」や「あかぎ」「あかぎ」とは交雑和合性が低い。蜜入りはなく、心かび病の発生や収穫前落果もない。

中山間地園芸研究センター 荒木 智哉

 

リン酸過剰の施設キュウリほ場(灰色低地土)における基肥リン酸無施肥が収量に及ぼす影響

【要旨】

 県内の施設キュウリ栽培(促成・抑制作型)ではリン酸過剰のほ場が多い。有機配合のリン酸減肥専用肥料の開発を受け、基肥リン酸を無施肥とした実証試験を灰色低地土のほ場で行った。慣行収量水準の施設ほ場において、前作栽培終了後に土壌分析を行い、可給態リン酸が300mグラム/100グラム 以上の場合は、基肥リン酸を無施肥とし追肥は慣行とすることで、慣行施肥と同等の収量が得られると考えられる。

東部地域研究センター 長浜 ゆり

草勢の低下がトマト果実の軟化に及ぼす影響[短報]

【緒言】

 群馬県利根沼田地域の夏秋トマト栽培では、果実が著しく軟らかい軟化玉と呼ばれる症状の発生が問題となっている。トマトの果実は成熟にしたがって軟化し、果肉の粘度が増大する1)が、現地では成熟、着色初期の果実においても軟らかい果実が散見されている。このため、軟化には成熟過程の要因のほか、構造による要因も絡んでいると思われる。
 トマトの花芽発育は、温度、照度、肥料分、水分等に影響される。そして、灌水量が少ない場合には、養水分の吸収が抑えられ、生育が悪く、花芽の各器官の分化、発育が悪くなると考えられている。そこで、本研究では、少灌水により草勢が低下した株において、開花、肥大した果実の構造(果皮の厚さ)と果実硬度の関係を検討したので報告する。

中山間地園芸研究センター 宮本 雅章

群馬県における水稲新品種「いなほっこり(仮称)」の特性[短報]

【緒言】

 近年、水稲作では、登熟期間の高温による外観品質の低下が問題となっている。この問題に対し本県では、晩生の「あさひの夢」、「ゆめまつり」を導入することで、登熟期間の高温を回避する対応をしてきた。しかし、これらの品種は、低温、寡照で経過する年では、収穫期までに十分に成熟しない懸念がある。また、これらの品種より成熟期が早い品種、「朝の光」は食味が劣り、「ゴロピカリ」は食味が良好であるが、登熟期間が高温となる年は、白未熟粒が生じて外観品質が不良となるなど、適当な品種がない状況にある。そこで、問題解決を図るため、水稲奨励品種決定調査において品種選定を重ねてきたところ、「いなほっこり(仮称)」が熟期、高温登熟性、食味など優れた特性を有していたことから、2017年に奨励(認定)品種として採用したので、その特性について報告する。
 なお、「いなほっこり(仮称)」は農研機構近畿中国四国農業研究センター(現:西日本農業研究センター)において、2005年に「中国186号」を母に、「中系2826」を父として交配され、育成された品種(旧系統名:中国209号)である。

東部地域研究センター 廣岡 政義

夏秋キャベツ栽培で発生するコナガに対する各種薬剤のローテーション防除[短報]

【緒言】

 群馬県の夏秋キャベツ産地である嬬恋村では、2013 年秋頃からコナガ(Plutella xylostella)によるキャベツの被害が問題となっている。その被害の発生要因については、吉澤らによりチョウ目害虫の基幹剤として使用されてきたジアミド系殺虫剤に対するコナガの薬剤感受性低下が指摘され、防除に有効な薬剤が示されている。しかし、実用場面ではコナガに対して有効な薬剤の系統が限られているため、同一系統薬剤を連用することによる更なる薬剤感受性低下を招きかねない。そこで、コナガの防除に有効な作用機構の異なる薬剤を用いたローテーション防除を検討したので報告する。

高冷地野菜研究センター  大河原一晶

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