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健康増進法の一部が改正され、受動喫煙防止対策が強化されました
改正された健康増進法が2020年4月1日に全面施行され、多くの人が利用する施設等は、原則として屋内禁煙となりました。
受動喫煙とは
「受動喫煙」とは、他人が喫煙するたばこから発生した煙にさらされることをいいます。
喫煙による煙には、ニコチンやタールなど多くの有害物質が含まれており、喫煙者が肺に直接吸い込む主流煙よりも、吸っていないときに立ちのぼる副流煙に、より多く含まれます。
受動喫煙による健康影響について
受動喫煙によってリスクが高まる病気として、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群(SIDS)があります。
年間約15,000人が、受動喫煙を受けなければ、これらの疾患で死亡せずに済んだと推計されています。
健康増進法の一部を改正する法律について
望まない受動喫煙の防止を図るため、2018年7月25日に「健康増進法の一部を改正する法律」が公布されました。
これにより、受動喫煙を防止するための取り組みが強化され、多くの人が利用する施設等の区分に応じ、その利用者に対し、一定の場所以外での喫煙を禁止するとともに、施設等の管理権限者が講ずべき措置等について定められました。
改正健康増進法は、施設の区分により、2020年4月1日まで段階的に施行され、違反した場合は、指導、勧告、命令等の対象となり、改善が見られない場合は、罰則(過料)が適用されることとなりました。
改正健康増進法の基本的な考え方(改正の趣旨)
改正健康増進法は、3つの基本的な考え方を趣旨とし、関係する権限を有する人々が講ずる措置を定めたものとなっています。
【基本的考え方 第1】 「望まない受動喫煙」をなくす
受動喫煙が他人に与える健康影響と、喫煙者が一定以上いる現状を踏まえ、屋内において、受動喫煙にさらされることを望まない者がそのような状況におかれることのないようにすることを基本に、「望まない受動喫煙」をなくします。
【基本的考え方 第2】 受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者の方に配慮
子どもなど20歳未満の方、患者の方は受動喫煙による健康影響が大きいことを考慮し、こうした方々が主たる利用者となる施設や、屋外について、受動喫煙対策を一層徹底します。
【基本的考え方 第3】 施設の類型・場所ごとに対策を実施
「望まない受動喫煙」をなくすという観点から、施設の類型・場所ごとに、主たる利用者の違いや、受動喫煙が他人に与える健康影響の程度に応じ、禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、掲示の義務付けなどの対策を講じます。その際、既存の飲食店のうち、経営規模が小さい事業者が運営するものについては、事業継続に配慮し、必要な措置を講じます。
施行期日
段階的に施行が進められ、2020年4月1日に全面施行されました。
- 【施行スケジュールについて】<外部リンク>
- 2019年1月24日から一部施行され、喫煙する際の周囲の状況への配慮義務が施行となっています。
- 2019年7月1日には、更に一部施行され、学校・児童福祉施設・病院・行政機関等の施設において敷地内禁煙の規定が施行となりました。
- 2020年4月1日から、その他の全ての施設の屋内禁煙の規定が施行され、全面施行となりました。
施行スケジュール
改正のポイント
改正健康増進法では、多くの人が利用する施設等の区分に応じ、一定の場所以外での喫煙を禁止するとともに、施設等の管理権限者が講ずべき措置等について定められました。
喫煙を行うためには、施設の分類に沿った喫煙場所や喫煙室の設置が必要となります。
学校、病院、児童福祉施設、行政機関(第一種施設)
子どもや患者等が主たる利用者となる施設(第一種施設)は、2019年7月1日から敷地内禁煙となります。
【学校、病院、児童福祉施設、行政機関(第一種施設)】<外部リンク>
オフィス、事業所のみなさん(第二種施設)
多くの人が利用する全ての施設(第二種施設)は、2020年4月1日から原則屋内禁煙となります。
【オフィス、事業所のみなさん(第二種施設)】<外部リンク>
喫煙可能室設置施設について
経過措置として、次の3つの条件にあてはまる飲食店は、喫煙可能な場所である旨を掲示することにより、店内で喫煙が可能です。
なお、管轄する保健所へ届出が必要です。
- 2020年4月1日時点で、営業している店舗である。
- 資本金または出資の総額が5000万円以下である。
- 客室面積は100平方メートル以下である。
※20歳未満の方(お客様の他、従業員も含む)は、喫煙可能室への立ち入りが禁止されています。
- 喫煙可能室設置施設 届出書
(喫煙可能室を設置した場合)
喫煙可能室設置施設 届出書様式(Wordファイル:23KB) - 喫煙可能室設置施設 届出書
(管理権原者の氏名・施設所在地等の事項を変更した場合)
喫煙可能室設置施設変更届出書様式(Wordファイル:23KB) - 喫煙可能室設置施設 廃止届出書
(客席面積が100平方メートルを超えたり、資本金の額又は出資の総額が5千万円を超えた場合等)
喫煙可能室設置施設廃止届出書様式(Wordファイル:23KB)
喫煙エリアの標識掲示
喫煙エリア(屋内、屋外を含めた全ての喫煙室、喫煙設備)を設置した場合、標識の掲示が義務づけられます。
標識は、厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」ホームページからダウンロードできます。
「なくそう!望まない受動喫煙。」ホームページの標識一覧<外部リンク>
20歳未満は立入禁止
- 20歳未満の方については、喫煙を目的としない場合であっても、従業員であっても、喫煙エリア(屋内、屋外を含めた全ての喫煙室、喫煙設備)への立ち入りが禁じられています。
- 施設管理者は、喫煙エリアに20歳未満の方を案内してはならないほか、20歳未満の従業員を喫煙エリアに立ち入らせて業務を行わせることはできません。
- 20歳未満と思われる方が喫煙エリアに立ち入ろうとしている場合は、声がけや年齢確認により、20歳未満の方を喫煙エリアに立ち入らせないようにすることが必要です。
- 20歳未満の方を喫煙エリアに立ち入らせた場合、施設管理者は罰則の対象となります。
リーフレット(外国語対応)
外国語表記のリーフレットにて、改正のポイントを説明しています。
ぜひ、ご利用ください。
- リーフレット(日本語)(PDFファイル:367KB)
- リーフレット(英語)(PDFファイル:353KB)
- リーフレット(中国語(繁体字))(PDFファイル:357KB)
- リーフレット(中国語(簡体字))(PDFファイル:345KB)
- リーフレット(ポルトガル語)(PDFファイル:383KB)
- リーフレット(スペイン語)(PDFファイル:337KB)
- リーフレット(ベトナム語)(PDFファイル:345KB)
配慮義務について
2019年1月24日から、喫煙をする場合の配慮義務が法律で定められました。
(1)屋外や家庭などで喫煙をする際の配慮義務
- たばこを吸う人は、望まない受動喫煙が生じないよう配慮する義務があります。
- できるだけ周囲に人がいない場所で、喫煙をするよう配慮しましょう。
- 子どもや病気の人がいる場所では、喫煙しないよう配慮しましょう。
(2)喫煙場所を設置する際の配慮義務
- 喫煙場所は、施設の出入口付近や利用者が多く集まるような場所には設置できません。
- 喫煙室を設けた場合のたばこの煙の排出先は、通行量や周辺状況に配慮しましょう。
義務違反時の指導、命令、罰則の適用について
改正法によって、違反者には、罰則(過料)が課せられることがあります。
- 改正法における過料とは、秩序罰としての過料であり、法律秩序を維持するために、法令違反者に制裁として科せられるものです。
- 過料の金額については、県知事または中核市の市長の通知に基づき、地方裁判所の裁判手続きにより決定されます。
(1)すべての人の義務
- 喫煙ができると決められた場所以外での喫煙は、禁止されています。
- 紛らわしい標識の掲示や標識の汚損等は、禁止されています。
(2)施設等の管理権限者及び管理者の義務
- 喫煙禁止場所に喫煙器具や設備(灰皿等)を使用できる状態で設置しないでください。
- 20歳未満の方(従業員を含む)を、喫煙ができる場所へ立ち入らせないでください。
義務対象 | 義務の内容 | 指導・助言 | 勧告・公表・命令 | 過料 |
---|---|---|---|---|
全ての者 | 喫煙禁止場所における喫煙禁止 | 発見時 | 命令に限る | 適用(30万円以下) |
全ての者 | 紛らわしい標識の掲示、標識の汚損等の禁止 | 適用 | なし | 適用(50万円以下) |
施設等の管理権限者、施設等の管理者 | 喫煙器具・設備等の撤去等 | 適用 | 適用 | 適用(50万円以下) |
施設等の管理権限者 | 喫煙室の基準適合 | 適用 | 適用 | 適用(50万円以下) |
施設等の管理権限者 | 施設要件の適合(喫煙目的施設に限る) | 適用 | 適用 | 適用(50万円以下) |
施設等の管理権限者 | 施設標識の掲示、施設標識の除去 | 適用 | なし | 適用(30万円以下) |
施設等の管理権限者 | 書類の保存(喫煙目的施設、既存特定飲食提供施設に限る) | 適用 | なし | 適用(20万円以下) |
施設等の管理権限者、施設等の管理者 | 立入検査への対応 | なし | なし | 適用(20万円以下) |
施設等の管理権限者、施設等の管理者 | 20歳未満の者の喫煙室への立入禁止 | 適用 | なし | なし |
施設等の管理権限者、施設等の管理者 | 広告、宣伝(喫煙専用室以外の喫煙室設置施設等に限る) | 適用 | なし | なし |
事業者のみなさんへ(職場における受動喫煙対策、財政・税制支援等について)
【厚生労働省】職場における受動喫煙対策
厚生労働省では、事業者の方が受動喫煙対策に取り組むための「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」や財政・税制支援の整備が紹介されています。また、喫煙室の設置等に関する相談窓口や、測定器の貸出を行っています。
従業員への受動喫煙対策
職場における労働者の安全と健康の保護を目的として、2019年7月1日から「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」が策定されました。
職場における受動喫煙防止対策について(厚生労働省)<外部リンク>
【財政支援について】 受動喫煙防止対策助成金
厚生労働省では、事業所における受動喫煙防止対策を推進することを目的として、助成事業を行います。
中小企業事業主が受動喫煙防止対策を実施するために必要な経費のうち、一定の基準を満たす喫煙室等の設置などにかかる工費、設備費、備品費、機械装置費などの経費に対して助成を行う制度です。
詳しくは、厚生労働省ホームページを御覧ください。
また、申請に当たっての相談は、群馬労働局健康安全課(電話027-896-4736)へお問い合わせください。
- 厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金」<外部リンク>
- 群馬労働局「受動喫煙防止対策に関する支援事業」<外部リンク>
【財政支援について】生衛業受動喫煙防止対策助成金
厚生労働省では、労働災害補償保険による助成の対象外(いわゆる「一人親方」)となる生活衛生関係営業者の皆様による受動喫煙防止対策を推進することを目的として、助成事業を行います。
詳しくは、全国生活衛生営業指導センターホームページを御覧ください。
また、申請に当たっての相談は、群馬県生活衛生営業指導センター(電話027-224-1809)へお問合せください。
全国生活衛生営業指導センター「受動喫煙防止対策助成金」<外部リンク>
【税制措置について】特別償却または税額控除制度
2021年3月31日までに、認定経営革新等支援機関等(商工会議所等)による、経営改善に関する指導に基づいて、一定の要件を満たした経営改善設備の取得を行った場合に、取得価額の特別償却(30%)または税額控除(7%)の適用を認めます。
受動喫煙防止対策に関する相談支援
厚生労働省の委託事業として、労働衛生コンサルタント等の専門団体が喫煙室設置等に関する無料相談を行います。
厚生労働省委託先「一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会」<外部リンク>
受動喫煙防止対策に係るコールセンター
- 受動喫煙対策に係るコールセンター(厚生労働省)
- 電話番号 0120-251-262(受付時間9時30分~18時15分/土曜日日曜日・祝日は除く)
厚生労働省による受動喫煙対策に関するコールセンターです。
健康増進法の一部を改正する法律に関する質問を受け付けます。
特定の行政庁に判断が委ねられる個別事案等に関するお問い合わせについては、内容によりお答えできない場合もありますので、予めご承知おきください。
関係法令・通知
- (1)平成30年7月25日健康増進法の一部を改正する法律の公布について(健発0725第1号)(PDFファイル:121KB)
- (2)平成30年11月9日屋外分煙施設の技術的留意事項について(通知)(PDFファイル:104KB)
- (3)平成31年1月22日健康増進法の一部を改正する法律の一部の施行について(平成31年1月22日健発0122第1号)(PDFファイル:129KB)
- (4)平成31年2月22日健康増進法の一部を改正する法律の施行について(健発0222第1号)(PDFファイル:371KB)
- (5)平成31年4月26日健康増進法の一部を改正する法律の施行に関するQ&A(PDFファイル:804KB)
- (6)【参考】たばこ煙の流出防止措置の効果を確認するための測定方法の例(PDFファイル:90KB)
- (7)【参考】脱煙機能付き喫煙ブースの効果を確認するための測定方法の例(PDFファイル:285KB)
リンク集
- 「なくそう!望まない受動喫煙。」ホームページ<外部リンク>
厚生労働省による情報サイトが開設されました。
受動喫煙防止対策について、わかりやすく紹介されています。 - 受動喫煙対策(厚生労働省)<外部リンク>
厚生労働省による健康増進法の一部を改正する法律についての概要、政省令、通知、Q&Aが紹介されています。