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群馬県民会館(旧ベイシア文化ホール)について
群馬県民会館(以下、県民会館)は、令和7年6月に廃止されました。
今後は、新たな文化拠点の整備に向けた検討を進めていきます。
1 廃止に至った経緯
群馬県は、厳しい財政状況や社会情勢の変化を踏まえ、県有施設の必要性を改めて検討し、運営形態の見直しや廃止、縮小を含めて施設のあり方を見直すため、令和元年11月より、外部有識者による委員会を通して「県有施設のあり方見直し」に取り組んできました。
県民会館については、令和2年10月に公表された「中間報告」で「県有施設としては廃止を検討する」との方向性が示されました。しかしながら、県議会による決議や市民団体による署名活動などを受け、令和3年10月公表の「最終報告(改訂版)」では、「多大な費用をかけてまで、県有施設として将来にわたって維持する必要性は低い」としつつも、「当面の間、施設を存続させる」する方針としました。
この方針を受けて、県では、前橋市まちづくり公社の管理運営により3年間施設を存続しながら、利用状況の分析、県民アンケート、立地市町村である前橋市との意見交換、県文化審議会に対する意見聴取などを通じて、施設の必要性を慎重に検討してきました。
その結果、様々な要望を受けて施設を存続したものの、施設に対する県民のニーズが減少していること、施設の存続には多大な改修費が必要であることなどから、「最終報告(改訂版)」の方針を覆す要素は認められないと判断し、令和7年5月に施設の廃止方針を公表しました。
これを受け、令和7年第2回定例県議会において、施設を廃止する条例が賛成多数で可決され、令和7年6月20日に廃止されました。
経緯
昭和46年10月 県民会館開館
令和 2年10月 「県有施設のあり方見直し委員会 中間報告」公表
令和 2年12月 群馬県議会「県有施設のあり方見直し中間報告に関する決議」
令和 3年 1月 市民団体から「群馬県民会館の存続を求める署名」が提出(合計約2万筆)
令和 3年 3月 「県有施設のあり方見直し最終報告」公表。県民会館については、「多大な費用をかけてまで、県有施設として将来に渡って維持し続ける必要性は低い」との方針とした。
令和 3年10月 「県有施設のあり方見直し 最終報告(改訂版)」公表。「大ホール及び附帯施設のみの利用を縮小し、当面の間、施設を存続させる。」方針とした。
令和 4年 4月 前橋市まちづくり公社による管理運営開始(令和4~6年度の3年間)
令和 6年 4月 施設全体の老朽化が進んでいることから、利用者の安全を確保するため、令和7年4月より当面の間、施設の利用を停止する方針を発表
令和 6年 4月 群馬県議会総務企画常任委員会が群馬県民会館を視察
令和 7年 1月 県民アンケート調査の結果公表
令和 7年 1月 群馬県議会総務企画常任委員会が群馬県民会館を視察
令和 7年 3月 群馬県文化審議会に対して意見聴取
令和 7年 5月 施設の廃止方針・新たな文化拠点の整備方針を発表
令和 7年 6月 令和7年第2回定例県議会において、「群馬県民会館の設置及び管理に関する条例を廃止する条例」が、賛成多数で可決
令和 7年 6月 県民会館廃止
2 県民アンケート調査について
令和6年9月の定例県議会において、「多くの県民の意見をしっかりと聞くこと」との請願が「一部趣旨採択」されたことを受けて、県では、県民会館に対する意見を広く把握するための県民アンケートを実施しました。
調査概要
- 調査方法:Web調査
- 調査対象者:群馬県在住の方
- 回答数:合計996サンプル(群馬県の人口比にあわせて偏りがないよう回収)
- 実施期間:令和6年12月3日(火曜日)~16日(月曜日)
主な結果
アンケートの主な結果としては、「施設の認知度」については、回答者の約8割が県民会館を「知っている」と回答しました。
「直近の利用」については、回答者のうち約4割がそもそも県民会館を利用したことがないと回答しました。また、約7割の方が直近10年で施設を利用していないことがわかりました。
「施設の必要性」に対する認識について、大ホールの利用者数の推移や、改修や維持管理に要する費用に関する情報を知っていただいたうえでの回答は、約5割の方が「必要ではない」と回答しました。
また、中毛、西毛、東毛、北毛の地域別にクロス集計した場合、北毛地域では半数が「関心がない」と回答するなど、地域差が顕著にあらわれる結果となりました。
県民アンケートの主な結果(令和6年度第36回定例記者会見資料) (PDF:2.53MB)
3 廃止の理由
1.県民ニーズの減少
県民会館の大ホールの利用者数は、開館以降、平成元年度に年間約42万人とピークを迎えました。しかし、平成10年代以降は年間20万人台に減少し、ピーク時の半分程度となりました。その後、コロナ禍を経てさらに減少し、令和5年度以降は約10万人程度まで落ち込んでいます。
この背景には、音響上の課題や、バリアフリー未対応、駐車場不足といった施設固有の課題があります。また、高崎芸術劇場などの競合施設への利用分散も要因とされています。
利用内容にも変化が見られます。「県有施設のあり方見直し報告書」では、県民による音楽発表などの場としての利用が減少していることを指摘しており、この傾向は令和4年度以降も続き、コロナ前後で半減しています。
建設当時は同様のホールが県内にほとんどありませんでしたが、現在は県内の多くの市町村でホールが整備され、県民会館の役割は相対的に低下しています。
こういった状況を総合的に分析し、現在の県民会館に対する県民ニーズは、大きく減少していると結論づけました。
2.施設の存続には、多額の改修費が必要
県民会館については、平成29年から令和元年にかけて、施設の設計者である岡田新一設計事務所に委託し、1億円以上の費用をかけて、大規模改修を前提とした改修設計を実施しました。
これらの設計に基づく試算では、施設全体の安全性を担保するために必要な改修を行った場合、今後10年間で50億円以上の工事費が必要とされています。さらに、昨今の物価上昇などを踏まえると、費用は更に増加する可能性が高いと見込まれます。
以上のことを踏まえて、県としては、県民ニーズが大きく減少している県民会館について、多額の改修費を投じてまで存続させる必要性は低いと判断し、廃止方針を決定しました。
なお、上記の改修は、安全性の確保や機能の維持に主眼をおいた内容となっており、低下している県民ニーズを高めるためには、更なる費用が必要です。施設の廃止方針とともに発表した「新たな文化拠点」の整備検討にあたっては、新築と旧県民会館のリノベーション(既存の建物に大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して性能を向上させたり付加価値を与えること)の比較検討を通して、最適な整備手法を検討することとしています。








