ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 林業試験場 研究報告 > 研究報告 第23号(2019年5月)

本文

研究報告 第23号(2019年5月)

更新日:2019年8月29日 印刷ページ表示

研究論文

鉱塩を利用したニホンジカの長期定点捕獲法の確立

 Establishment of the long-term fixed point capture method for shika deer using sodium mineral baites site

 ニホンジカをくくりわなで効率的に捕獲する方法を研究した。

  1. 鉱塩を中心に円状に2~3台のくくりわなを設置することで、従来の捕獲効率の約30倍の高率で捕獲できることを確認した。
  2. 鉱塩を獣道を外して配置することで、ニホンジカのみを誘引し選択的に捕獲できることを確認した。
  3. 捕りもらしの少ないくくりわなを使用し、設置方法を工夫することで繰り返し捕獲が可能な方法(長期定点捕獲法)を確立した。

ヤマビルの生息分布と薬剤感受性

 Distribution cヘクタールnge of leech in Gunma Prefecture and chemical susceptibility

 群馬県内のヤマビルの分布変化と薬剤感受性について研究した。

  1. 2009年と2016年の分布を比較すると、その生息域は1.3倍に拡大していた。
  2. 人への付着防止には、30%濃度のディート(N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド)を含む虫除けスプレーが高い有効性を示した。
  3. 農薬(殺虫剤)による殺ヒル効果が複数の薬剤で確認された。
  4. 薬剤駆除した場所では、1~2年を経過後でもその密度は駆除前の0~0.1頭/平方メートルであった。

ヒノキ実生コンテナ苗の植栽適期に関する研究

 Studies on Planting periods of containerized seedlings of  Cヘクタールmaecyparis obtusa

 月別に植栽したヒノキコンテナ苗と裸苗の3成長期間の成長量を比較したところ、以下のこ とがわかった。

  1. コンテナ苗の生存率、健全度は、すべての植栽期間を通して裸苗と同等で高かった。
  2. コンテナ苗の根元径の成長量は、「春植え」及び「秋植え」で良好であった。
  3. コンテナ苗の樹高の成長量は、「夏植え」で少ない傾向があった。

初期成長のよい苗木を用いた省力造林に関する調査研究

 Research about the labor reduction in saving afforestation using seedlings of rapid growth at early stage

 -スギ少花粉ミニチュア採種園から生産された種苗の性能評価-

 The performance of the seed and sapling produced from Cryptomeria japonica miniature seed orcヘクタールrd

 親情報のない一般造林地及び苗畑で育成したスギ実生個体について、個体のDNA分析から得られた遺伝子型を基に親クローンの推定を実施し、推定した親情報を利用した成長形質の系統評価を行った。一般造林地と実生による次代検定林の樹高成長データを統合して解析し、育種価を予測した結果、多賀14や南那須2及び河沼1が異なる場所に植栽しても良好な初期成長を示すことが分かった。苗畑における個体の親の構成割合は年ごとに大きく変動していた。苗畑における個体サイズの系統評価値と一般造林地及び実生による次代検定林における樹高の評価値には弱い正の相関が認められた。

森林公園さくらの里におけるサクラの衰退評価

 Evaluation of decline in cherry trees in Forest Park Sakuranosato

 群馬県甘楽郡下仁田町にある森林公園「さくらの里」で、サクラの衰退評価を行った。サクラ43種類2,090本の評価を行ったところ、2009年と比較して全体的に衰退が進行していることが明らかになった。また、サクラを栽培品種と野生種に分けて考えると、野生種の方がより健全度が低かったが、これは野生種の中で多く植えられている特定の種(オオヤマザクラ、カスミザクラ)で衰退が激しいことによるものと考えられた。その原因として、これらの野生種にさくらの里の生育環境が合っていないことが考えられた。

「ぐんま緑の県民税」の間伐効果検証 -スギ人工林及びヒノキ人工林における間伐後4年間の下層植生及び林床被覆率の推移-

 Effect of thinning on Gunma green prefectural tax
 -Transition of understories and forest floor cover percentage within 4 years after thinning in Cryptomeria japonica plantations and Cヘクタールmaecyparis obtusa plantations-

 「ぐんま緑の県民税」における間伐事業地を対象とし、林内相対照度、植被率、林床被覆率、植生高、植物種について、間伐効果を検証した。

  1. 林内相対照度が間伐前より改善されたことにより、植被率及び林床被覆率が改善された林分が見られた。
  2. 下層植生の平均植生高が高くなり、下層植生の充実した林分が見られた。
  3. 水土保全機能の高い森林に誘導するためには、引き続き間伐が必要であると考えられた。

カラマツ種苗の安定供給のための技術開発

 Technical development for stable supply of Larix kaempferi cultivated cuttings

 -コンテナ容器を用いたカラマツ苗の増殖-

 Breeding of the Larix kaempferi cultivated cuttings with the container

 播種後2年目のカラマツ幼苗を用いた、密閉環境におけるコンテナへのさし木増殖、施肥管理による採穂台木の成長促進及び発根後のさし木苗の育苗技術を検討したところ、以下のことが明らかとなった。

  1. 播種後2年目の若い実生苗木を活用した密閉環境によるさし木は、3か年において65~95%の発根率を得られたことから、有効な増殖方法であることがわかった。
  2. 発根率を高めるためには、さし床内の温度上昇を抑え、かん水を適切に行い湿度のバラツキを小さくする管理が重要であることがわかった。
  3. 採穂台木用として実生苗木を施肥管理することにより、通常のコンテナ実生苗木よりも約2倍のさし穂採取が可能となった。
  4. 発根後の育苗方法として、液肥や化成肥料を用いることが樹高成長に効果的であることがわかった。

高温セットが材の強度劣化に及ぼす影響

 Effects of a high-temperature setting method on the strength deterioration of wood

  1. 高温セット材の曲げ強度は、セット温度、セット時間による影響を受けていなかった。
  2. 無欠点小試験片によるせん断試験の結果、セット時間が長くなるほど、せん断強度の低下が認められた。
  3. 実大試験体によるせん断試験の結果、セット時間が長くなると内部割れが増大し、さらにその内部割れがせん断強度の低下に影響を及ぼしていることが認められた。

乾燥処理温度が丸棒加工丸太の薬剤注入に及ぼす影響

 The influence kiln drying temperature gives pressure injection of wood preservative

 高温乾燥、中温乾燥、低温乾燥、天然乾燥を行った丸棒加工丸太それぞれに、防腐薬剤を加圧注入して薬剤の注入量、浸潤度を比較した結果、以下のことが分かった。

  1. 高温セットを行った丸棒加工丸太は、薬剤注入量が他の乾燥条件に比べて少なかった。
  2. 薬剤注入前の乾燥処理温度が高いほど薬剤注入量が少ない上に浸潤度も低く、高温セットを行った材は浸潤度の基準を下回るものが多くを占めていた。
  3. 各温度スケジュールの丸棒加工丸太を屋外で暴露した結果、浸潤度が基準に満たない材は、土木用材としての耐用年数が大幅に低下する危険性が確認された。

マイタケ廃菌床を利用したマイタケ菌床栽培

 Grifola frondosa cultivation using waste substrate of Grifola frondosa

 マイタケ菌床栽培におけるマイタケ廃菌床の利用を検討し、その利用方法を明らかにした。

  1. 培地基材におけるマイタケ廃菌床の混合割合は、25%(乾重)まで広葉樹おが粉と置換できることが分かった。
  2. 再利用区及び再々利用区は、対照区と比較して収量に有意差は見られず、子実体の外観に明確な違いは見られなかった。
  3. マイタケ廃菌床をマイタケ菌床栽培に利用すると、コスト削減効果が認められた。

菌床シイタケ害虫に対する昆虫病原性微生物製剤の効果

 Effecacy of entomopathogenic microbiologic agent against Shiitak-peste insect of mycelial block cultivation

 菌床シイタケ栽培の害虫であるムラサキアツバ、セモンホソオオキノコムシ、コクガに対する バイオセーフとバシレックスの効果を検討したところ、以下のことが明らかになった。

  1. バシレックスは、菌床栽培のシイタケに害を与えない。
  2. ムラサキアツバ幼虫に対して、バイオセーフは殺虫効果が、バシレックスは殺虫及び発生前の散布も効果が認められる。
  3. セモンホソオオキノコムシ幼虫に対して、濃度10,000頭/ミリリットルのバイオセーフ懸濁液散布は、殺虫効果が認められる。
  4. コクガ幼虫に対する殺虫効果については、判然とした効果が認められない。

研究資料

館林市つつじが岡公園におけるツツジの着花調査について

 Flowering of Rhododendrons on Tsutsujigaoka Park in Tatebayashi City

里山の現状と管理に関する調査研究

 A Study on the actual coditions and management of Satoyama(Rural forests)

マダケの1m伐り及び刈払い適期の検証

 Cutting bamboo(Phyllostachys bambusoides)about 1m height from ground and suitable season of yearly cutting

マダケの竹切株注入法の薬剤注入時期及び簡素化に関する研究

 Appropriate season and simple methods for injecting weed-killer into bamboo stump in Phyllostachys bambusoides

群馬県におけるカシノナガキクイムシの生息調査

 The present distribution of the oak platypodid Platypus quercivorus in Gunma Prefecture

ムラサキアツバの有効積算温量に関する調査

 Survey on effective accumulative temperature of Diomea cremata

 

▲ 林業試験場のトップへ戻る