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令和5年度第17回定例記者会見要旨(9月1日)

更新日:2023年9月1日 印刷ページ表示

■日時    令和5年9月1日(金曜日)午後2時04分~3時00分
■会場    記者会見室
■出席者  県:知事、副知事ほか
      記者:記者クラブ所属記者等17人
■記録作成 メディアプロモーション課(報道係)

 令和5年9月1日定例記者会見動画(You Tube)<外部リンク>

 モニター資料 (PDF:2.07MB)
 


会見項目

■知事冒頭発言
 1.はじめに
 2.探知犬の医学研究
  ・探知犬に関する質疑応答
 3.知事の韓国訪問
 4.県発注工事における偽装側溝の使用
 5.関東大震災について

■質疑応答

■知事メッセージ


知事冒頭発

1.はじめに

 それでは定例会見を始めたいと思います。昨晩、韓国から帰国いたしました。今回の韓国訪問も結果としては全く隙間のない、ぎちぎちのスケジュールになってしまいました。韓国からの最終便で日本に戻ったんですけれども、ブログにも書きましたが、群馬県の自宅に着いたのは午前0時半でした。毎回の海外出張は、すべて群馬県を発展させるための糧にするという覚悟で臨んでおります。本日からは通常の業務に戻りますので、よろしくお願いしたいと思います。これまでと同様に、今回の韓国訪問でも、県庁とは毎日連絡を取り合っておりました。何かあればすぐに知事に情報が入り、即座に指示を出せる連絡体制を敷いています。これはこれからの海外出張でも変わりません。加えて、実務の面では津久井副知事が指揮をとる体制も整えておりました。これによって、海外出張の間も県庁では普段どおりの業務が行われていましたので、その点は県民の皆さまにお伝えしておきたいと思います。韓国訪問の様子は後程詳しくご報告したいと思います。

 それでは会見の中身に移りたいと思います。スライドをご覧ください。今日の会見の主な項目です。まず、「探知犬の医学研究」について発表いたします。さらには、先ほど申し上げた「知事の韓国訪問」、それから「県の発注工事における偽装側溝の使用」についても発表させていただきたいと思っています。

 

2.探知犬の医学研究

 まずは「探知犬の医学研究」についてです。群馬県ではフィンランドを参考に人とペットがパートナーとして共生する「ペットとの共生社会」を目指しております。特に犬のすぐれた嗅覚に注目し、医学分野でペットが活躍するという取り組みを全国で初めて進めております。スライドをご覧ください。

 本日は、フィンランドで探知犬研究の第一線で活躍されているお2人にお越しいただきました。ヘルシンキ大学のアンナ・ヒーレム・ビョークマン客員教授、それから探知犬研究団体「Wise Nose(ワイズノーズ)」のヘリ・ニウロ会長です。

 ビョークマン教授は、大学で獣医学部に所属をされておられまして、犬の整形外科及び栄養学を専門にされております。コロナ探知犬やがん探知犬など、犬の嗅覚による診断手法を研究しており、フィンランドのみならず世界における探知犬研究の第一人者と言っていいと思います。

 また、ニウロ会長は、2014年にNPO法人の「Wise Nose」を立ち上げ、長年にわたって犬によるコロナやがん、そしてカビなどの探知に関する研究を行われております。探知犬の育成に関する知見は世界でもトップレベルといえる方です。

 今日は、お忙しいところお2人にご同席いただきました。感謝を申し上げます。2人とも群馬県においでいただきまして、ありがとうございます。探知犬というと、日本では空港などで入国者の手荷物から薬物などの危険物を嗅ぎ分ける場面、これを想像する方が多いと思います。この分野で、探知犬が活躍をしています。一方、フィンランドでは、嗅覚など犬の優れた能力を生かして医学分野でも活躍をしています。特にコロナ禍ではPCRなどの検査体制が十分ではない時期にスピーディーに、また正確に探知を行い、空港の水際対策で一定の成果を上げておりました。

 昨年9月にフィンランドを訪問して、探知犬研究の先進地であるヘルシンキ大学において探知犬の訓練施設を視察しました。その際にビョークマン教授とニウロ会長から詳しい説明を受けました。この視察で探知犬をはじめとするペットが活躍する姿を目の当たりにしました。この中で、群馬県が目指す「ペットとの共生社会」への思いを強くしたところです。そして、今回こうしてお2人を群馬県にお招きし、群馬県が進める探知犬の医学研究にご指導、ご助言をいただくことになりました。後程2人にも一言お話をいただきたいと思いますが、まずは私から群馬県が進めている探知犬の取組についてご説明をさせていただきます。

 まず、探知犬の名前についてです。先月、探知犬として育成する2頭の子犬の名前を募集いたしました。261名という多くの皆さまからご応募いただきました。知事として改めて感謝を申し上げたいと思います。そして、この度2頭の名前を決定いたしましたのでご紹介いたします。まずは動画をご覧ください。どうぞ。

 

~動画視聴~

 

 短い動画ですけれども、改めて2頭の名前を紹介したいと思います。ただいまご覧になった動画のとおり、毛色が白いメスの名前は「にこ」、毛色が黒いオスの名前は「はる」に決定いたしました。名前の由来について応募された方が込めた思いをご紹介したいと思います。「にこ」は元気いっぱいの様子とか、明るくニコニコしている表情から名付けられたということです。また「はる」は心に不安がある人たちが、清々しい晴れた日のような気持ちになれるようにという思いから名前を考えていただいたということです。私としては、この2頭の探知犬の性格や特徴を反映したとってもいい名前を付けていただいたと思います。

 本日はこの2頭も県庁に呼びました。記者の皆さんには会見が終了した後、県民広場でお披露目したいと思いますので、ぜひおいでいただきたいと思います。かなり大きくなったんですけれど、とにかく犬は成長が早いので、2頭とも10キログラムずつぐらいあるんです。賢くて澄んだ目をした子犬です。

 また、この2頭の日常の様子を動画で配信する「ぐんま探知犬」アカウントをTikTokとインスタグラムに開設しました。この2頭の成長を発信し続けていきたいと思います。

 先ほどの名前発表動画もこちらで配信します。スライド記載のQRコードから、ぜひご覧いただきたいと思います。

 次に、「探知犬医学研究の公募結果」についてです。次のスライドをご覧ください。先月、探知犬医学研究の提案募集を行いました。その結果、2件の研究の研究者を優先交渉者として決定いたしました。

 1件目は、がん、特に「乳がんや膵臓がん、悪性リンパ腫」を対象とした研究で、症例の少ない希少がんとか、あるいは血液の腫瘍を犬が探知できるかを研究し、将来的にはスクリーニング検査へ応用を目指すというものです。

 2件目は、「がんの匂い物質の特定」を対象とした研究になります。これは、探知犬の反応と機器の分析によって、体液や呼気に含まれるがんの匂い物質を解明して、がんの早期発見、治療への応用を目指すものです。

 どちらも研究業務の委託に向けて、現在この提案者と調整をしており、素晴らしいチームを作っていただけるものと確信しています。

 本日お越しいただいた2人には、2頭の探知犬の育成と探知犬医学研究に対する助言指導をいただくことになっています。すでに昨日の31日に探知犬の訓練施設を2人にご視察いただきました。ご助言もいただいたところです。次のスライドをご覧ください。これはビョークマン教授、ニウロ会長による視察に関するスライドです。

 まず、お2人には探知犬の研究施設、「ドッグトレーニングAye’s(アイズ)」をご覧いただきました。その場で、今後の探知犬訓練に向けたアドバイスをいただくとともに、訓練士への指導を行っていただきました。その後、今回提案が採択された探知犬医学研究の研究者や犬の訓練士などと意見交換を行いました。詳細な研究計画や今後の進め方について率直な意見交換ができたと伺っています。私としては、今回の視察によって群馬県が探知犬の研究にしっかりと取り組む土台ができたと考えています。群馬県で引き続き、お2人にご助言をいただきながら「ペットとの共生社会」に向けた取り組みを着実に進めてまいりたいと考えています。

 それでは、2人からそれぞれ一言お話をいただければと思います。最初にビョークマン教授よろしくお願いいたします。

 

※ビョークマン教授及びニウロ会長の英語による発言については、通訳者による日本語訳を記載しています。

(ビョークマン教授)

 この度は、お招きいただきましてありがとうございます。ヘルシンキ大学とWise Noseを代表して皆さまにお礼申し上げます。この度、皆さまの前でお話できることをとてもうれしく思います。そして、この県の皆さまにも、また研究者の皆さま、訓練士の皆さまにも大変お世話になりました。素晴らしい滞在を実現してくださって本当にありがとうございます。

 先ほど知事からもお話をいただきましたが、本当にスケジュール満載の旅となっておりまして、施設も見学させていただきましたし、また県の皆さんや様々な研究者の皆さまとも意見交換をする機会を得ることができました。その中で、私たちの方でできることを何かしたいと思いましたし、これからも続けて皆さまのために何かお手伝いできることがありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。

 これは本当に新しい取り組みです。ですから、皆さんも本当にたくさんの点を潰していかなくてはいけない。そして、一つ一つ新しい分野に取り組んでいかなくてはいけない、つまずきの石もあるかもしれない、そういったところをぜひ乗り越えていただきたいと思います。

 フィンランドでは、私たちはこの検知犬ということについては、いろいろな取り組みを行っております。慢性疼痛の探知を行ったり、あるいはがんの探知を行ったり、コロナの探知を行うということも進めています。こういった検知犬をどんなふうにトレーニングしていくかということについては様々ですが、しかしこの「がんの分野」については、日本の皆さんと協力していくことができると信じております。例えば、お互いに知識を共有し合うであるとか、検体を共有し合うなどのやり方で互いに学んでいくことが十分に可能であると考えています。

 さらに、この犬との共生社会、社会に溶け込んでいる犬という存在、これにつきましても、日本とフィンランドの間には共通項があります。この分野についても、さらにいろいろな取り組みを進化させていきたいと思います。

 私からは以上です。皆さん本当にこの美しい国に私達をお迎えくださり、そして寛大な様々な取り組みを見せてくださったこと、心からお礼申し上げます。

 

(ニウロ会長)

 皆さんこんにちは、私は今回、実は初めての来日でしたが本当に美しい国だなという印象を持っています。何もかもが美しくて、とても素晴らしい滞在です。

 今回のこのがんのプロジェクトに関しまして、私たちもここで何らかのお手伝いができるということを大きな喜びと感じております。ぜひとも、これから先も何か貢献できることがありましたら、お知らせいただきたいと思います。実は昨日、この子犬に会わせていただきました。本当に可愛くて、びっくりするほど可愛かった。その2頭の犬のことを思います。そしてこの子たちが2頭ともに、本当にすばらしい探知犬になるということは疑いの余地もないと感じました。ありがとうございます。

 

(知事)

 はい、ありがとうございました。それではここでお2人とフォトセッションしたいと思います

 

~フォトセッション~

 

探知犬に関する質疑応答

(知事)

 ありがとうございます。定例会見の途中ですが、せっかくフィンランドからゲストにお越しいただいているので、探知犬に関する質問があれば受けさせていただきたいと思います。ご質問ある方いらっしゃいますか。

 

(記者)

 ビョークマン教授に質問させていただければと思うんですが、探知犬のフィンランドでの現在までの成果と今後の研究の方向性を伺えればと思います。また、日本でのがんの探知犬に対する期待と、その可能性について伺えればと思います。

 

(ビョークマン教授)

 ご質問ありがとうございました。現在、この7月ぐらいまでということでお話しますが、コロナ探知を中心に探知犬を使っております。2020年より前は、がん探知を中心に研究を進めていたんですが、いよいよ、またがん探知に戻っても良い時期が来たかなというところです。特にがんに関して申し上げますと、乳がんを中心に研究を進めてまいりました。メタボロミクスの研究として、乳がんの代謝物を使っての研究を進めてまいりました。

 日本でのこのプロジェクトについては、これは大きな成功を収めるであろうというふうに私は信じております。多くの人が関わり、しっかりと計画を策定しておられる。そして、そこに関わる研究者の方々の質も極めて高いと感じました。

 子犬については、とても可愛いのですが、まだ幼犬ですので、実際に結果を出すまでにはかなり長い時間がかかるであろうということです。

 

(記者)

 例えば、コロナでは何%の患者を発見できるとか、がんでは何%の患者を発見できるとか、そういう具体的な数字を言える状況にはあるんでしょうか。

 

(ビョークマン教授)

 今コロナについてご質問いただきましたが、成功率についてお話します。すべての試験、すべての犬ということでお答えをさせていただきたいと思うんですが、まず感度については92%、特異度については91%でありました。ただ、これは私たちの期待値よりはやや低いということで、なぜこのように低い数字になったんだろうかということを今検討しているところです。

 例えば人間のドクターにかかったとします。診断を仰いで試験をしました。そして、その際に感度・特異度90%を超えていれば通常はよしとするんではないかと思うんですが、犬はそうはいきません。犬の場合は、通常は感度・特異度ともに100%に近いのが普通ですので、なぜ90、91%という数字にとどまったんだろうかということを私たちは研究しました。

 そして、分かったのですが、実はこの数字がぐっと落ちたのが、この研究を行っている試験の最後の2日だったんです。この最後の2日について、どういうことが起こったのかデータを洗って、そして、いろいろなことを検討した結果分かったことは何かというと、変異株だったんです。コロナのもともとの野生株で、探知犬がトレーニングを行っていたわけで、それに十分慣れていたんですが、変異株には慣れていなかった。例えば、この場合で言いますとα株が出てきたところだったんですが、それで上手くできなくて、その結果、最終的に全体としての感度・特異度が落ちたのだということが分かりました。これは、他の場合でも同じことがいえるのであって、例えばPCR検査では出なかったけれども、犬ではうまくいったということもあります。

 他の疾患についてもこういったことがあるのではないかということで、私たちもしっかり見ていったんですが、例えばアトピー性皮膚炎であるとか、高血圧であるとか、糖尿病であるとか、そういった様々な疾患に関して、どんなリスク因子があるだろうかということを見据えてまいりました。例えば、年齢がリスクになるだろうかとか、あるいは検体を凍結したその検体凍結期間というのが問題となるだろうかとか、様々な視点からのリスク因子の解析を行った結果、結局のところ、一番大きな問題というのは、これはオッズ比12という非常に大きな数字ですが、やはりこの変異株と、バリアントであったということが分かりました。

 

(記者)

 変異株がない状態ではかなりの高確率で嗅ぎ分けられるということなんでしょうか。

 

(ビョークマン教授)

 そうです。

 

(記者)

 100%に近いという形ですか。

 

(ビョークマン教授)

 98%ぐらいですね。

 

(記者)

 高崎で訓練をする人や研究者にどんなアドバイスをしたのかと、フィンランドでは探知犬の研究は何年ごろから始まったのかを教えてください。

 

(ビョークマン教授)

 まず、最初のご質問からお答えいたします。2日間ということで時間も限られており、私たちが考えるいろいろなアドバイスを全部お伝えしようと思っても到底無理であったと言うことになりますが、基本的にはこんなところにミスを犯す可能性がありますよということをお伝えしたりとか、あるいはこんな場所に問題が潜んでいるかもしれませんという助言をさせていただきました。それとともに、これから先このプロジェクトを進めるにあたって、何か問題が起こった場合にはどうぞ私達の方にお知らせくださいということで、連絡先をお伝えしております。

 私たちとしては、このプログラムは絶対にうまくいくと思っています。というのは、訓練士の方々にお会いしたんですけれども、皆さん非常に能力が高く、10年、20年、30年といった経験をお持ちの人ばかりであったからです。

 人の疾患に関しての探知犬ということについては、2014年からですので9年目です。

 

(知事)

 ビョークマン教授、そしてニウロ会長、ありがとうございました。

 最初の話が少し長くなりましたが、これは県としても非常に力を入れておりますし、全国的にも注目されている挑戦なので、少し時間を取りましたが、ご容赦いただきたいと思います。

 ビョークマン教授は本当に世界的な権威で、例えばフィンランドが探知犬についてアラブの国からいろいろな要請を受けているんですけれども、政府間の交渉も全部彼女がやっているということで、今回我々の募集した研究チーム、多分日本最先端の素晴らしいチームになると思うんですけれども、なかなか新しい挑戦ですが、ビョークマン教授のチームともしっかり協力できるような関係ができると、この分野で、群馬県から最先端のいろいろな成果が出てくると思っています。冒頭皆さんお付き合いいただきありがとうございました。

 それでは、他の発表項目(について、)少し早く言うと手話の方に苦労をかけるので、抑えつつ、少しスピーディーにいきたいと思います。

 

3.知事の韓国訪問

 「知事の観光訪問」です。今週8月29日から31日まで、韓国を訪問しました。今回の韓国訪問は、私と宇留賀副知事、そして県議会からは自民党幹事長である井下県議、総務会長の金井県議にもご参加をいただきました。非常に中身の濃い調査ができたと思います。またリトリートの関連で、群馬県旅館ホテル生活衛生同業組合から森田理事長、それから田村女性部長、それから大坪前青年部長にもご参加いただきました。ご参加いただいた皆さんに対して、知事として感謝を申し上げたいと思います。それでは韓国訪問の概要です。スライドをご覧ください。

 訪韓の初日。韓国の首都ソウルにおいて、ウォン・ヒリョン国土交通部長官と会談をいたしました。日本では国土交通大臣に当たります。ウォン長官は、私の国会議員時代の若手議員交流の中でお目にかかった旧知の間柄です。ソウル大学を主席で卒業した、済州島出身なんですけれど、済州島の天才と言われてまして、司法試験もトップで合格したということで、将来の大統領候補の1人と言われています。知名度も抜群で、韓国滞在中も、全国テレビの放送で、毎日のように取りあげられているということで、かなり苦労しておられるようですが、大変活躍をされています。今回忙しい中、ウォン長官に貴重なお時間をいただきました。ウォン長官とは群馬県と韓国が今それぞれ取り組んでいるスマートシティ。これセジョンという地域で韓国がやっているんですよね。あるいはMaaSなどについて意見を交わしました。この分野における群馬県との今後の連携についても話し合いました。すでに県庁の担当課と韓国の国土交通部がコンタクトを開始しております。早急に連携して、群馬県の取り組みにもつなげていきたいと思います。

 続いて、イ・サンミン行政安全部長官とも会談をいたしました。行政安全部長官というと、日本の総務大臣ですよね。加えて、国家公安委員長と防災担当大臣を兼ねているということで、かなり実は重責です。ユン・ソンニョル大統領の高校と大学の後輩にあたるということで、最側近の一人と言われている方です。イ長官にも大変お忙しい中、会談の時間をいただきました。韓国では今、ソウルの一極集中と少子化、これも皆さんご存知のとおり、韓国の少子化がものすごく深刻で、日本よりもずっと大変なんですよね。イ長官は、地方消滅という言葉で、強い危機感を示していました。韓国で今、地方消滅という言葉が流行っているんですけれども、日本の地方創生の取り組みを大いに参考したいという意向があって、議論が大変弾みました。予定時間を超えての会談となりました。近いうちに来日を検討されているということなので、私から日本にお越しの際はぜひ群馬県を視察いただきたいということをお伝えいたしました。

 次のスライドです。2日目は韓国で最大規模の映像制作インフラを備えた「CJ ENMスタジオセンター」、韓国で知らない人いないんですけれど、ここを訪問いたしました。この施設は、韓国のコンテンツ大手であるスタジオ・ドラゴンの親会社のCJ ENMが運営していて、13棟の大きなスタジオを備えています。圧巻なのはですね、壁面360度と天井すべてに、解像度32K(のLED)、これ世界一の解像度なんですよね。(解像度32KのLEDを)敷き詰めたバーチャル・プロダクション・スタジオというのがあって、これは結構びっくりしましたね。スライドには、私が写った写真をお見せしているんですけれども、このLEDの高さが7メートルを超えているということで、ちょっと現実との見分けがつかないバーチャル・プロダクションの技術は本当に感銘を受けました。これ、実際の没入感というのは、記者の皆さんにも行っていただいたら分かると思います。コンテンツ産業の分野で、日本のはるか先を行く韓国の最先端の技術には、正直言って圧倒をされたということです。

 さらに、ソウル映像委員会を訪問いたしました。皆さん映画通の方はご存知か分かりませんが、韓国では知らない人がいない、有名な映画監督イ・ジャンホさんという方がいるんですけれど、この方は今ソウル映像委員会の委員長をなさっているんですよね。この方も70年代から80年代の韓国映画を牽引した韓国映画界の至宝のような存在です。この委員長と、映画産業の振興戦略とか、今後の連携の可能性などについて、意見交換をさせていただきました。この委員会は、韓国のコンテンツ産業では中心的な役割を担う機関で、英語ではソウル・フィルムコミッションと呼ばれています。日本のフィルムコミッションとは大きく異なってまして、何が違うかというと、映画撮影の誘致だけではなくて、10年20年という中長期の時間をかけて、人材育成を行っているという点です。実際に、監督や脚本家、制作プロダクションなどの各層に対して、人材育成を担っている施設の視察も行いました。(ここでは、)群馬県が目指すクリエイティブの発信源に向けて、様々な施策のヒントをいただいたなと思っています。

 次のスライドをご覧ください。最終日は済州島に移動して、オ・ヨンフン知事と会談を行いました。州知事ですね、アメリカでいう。この会談では、済州島を韓国随一のリゾート地に発展させてきた観光戦略、あるいは観光客に長期滞在してもらうための取り組みについて、意見交換を行わせていただきました。オ知事も大変穏やかな方で、最近の済州島の観光事情とか観光振興策をお聞きいたしました。ブログにもちょっと書いたんですが、済州島というと、かつてはカジノ、ゴルフなどが有名でした。ちょうど韓流ドラマの初期の作品で、イ・ビョンホンの「オールイン」は結構流行りましたけれども。現在では、トレッキングを軸とした長期滞在とか、データマーケティングに基づいた質の高い観光に姿を変えてきているということで、こういった流れにも非常に群馬県として参考にできる点が多いと感じました。さらに、済州島の伝統家屋をイメージして設計された、富裕層向けの長期滞在宿泊施設の「PODO HOTEL」というのがあるんですよね。ブドウみたいな形をしたホテルなんですけれど、ここを訪問いたしました。ここ、世界レベルの観光拠点における長期滞在、高付加価値に向けた取り組みというものもですね、しっかり調査をさせていただきました。以上が韓国訪問の概要です。

 詳細は割愛いたしますが、食事の時間を割いて、ブログにも書きましたが、韓国の著名な経済人、起業家と会談をいたしました。いつものとおりですけれど、無駄な時間は1分もないと。今度行く時は、少し休む時間を取らないといけないと。宇留賀副知事じゃなかったら、絶対についてこれないと思います。やはり(副知事が)宇留賀副知事でよかったと思います。とにかく宇留賀副知事には私が寝た後も、いろいろな方との交渉でお酒を飲みに行っていただいたりしたので。私飲めないものですから。本当に濃密なスケジュールをこなしてまいりました。とても意味のある出張だと思います。

 私としては、韓国政府要人との会談とか、クリエイティブやリトリートに関連する施設の視察もできたということで、2泊3日でしたけれども、もう1回言いますが、いつも通りですけれど、中身の詰まった出張だったと感じております。海外出張中のあらゆる会合や視察も、先ほど申し上げましたけれど、群馬県を発展させるための糧にすると。すべては、群馬県庁、群馬県政に繋がっていくという感覚で、今回も覚悟を持って臨ませていただきました。訪問の結果をふまえて、群馬県が掲げる「クリエイティブの発信源」「リトリートの聖地」、こういった構想の実現に向けた具体的な取り組みを早速検討させていただきます。今後も、知事自らが先頭に立ち、群馬県のさらなる活性化に向けて、自治体独自の地域外交、これも皆さんに何度かこの会見で申し上げましたけれど、これも群馬モデルですので、ぜひメディアの皆さんにはご注目をいただきたいと思います。

 

4.県発注工事における偽装側溝の使用

 続いて、「県発注工事における偽装側溝の使用」についても、ご報告をしたいと思います。安中市の建材メーカー「磯貝建材株式会社」が製造した道路排水用の側溝について、県が定める規格を満たしていないことが判明いたしました。このことについて、これまでの経緯や群馬県の対応についてご説明をさせていただきます。スライドをご覧ください。

 今年の2月、県の発注工事において、低品質の側溝が使用されていることが確認されました。これを調査したところ、磯貝建材社製の側溝に県が定める規格と異なる鉄筋が使用されているということが判明いたしました。今年3月から本格的な調査を実施した結果、鉄筋の偽装を確認いたしました。これは、不適切な側溝であるということが分かったんです。その後、群馬県では、過去5年間の県発注の工事のうち、磯貝建材社製の側溝が施工された34件の工事について、引き続き調査を実施いたしました。その結果、32件の工事で、鉄筋が偽装された、不適正な側溝が施工されていたということが判明いたしました。磯貝建材社製の側溝は、鉄筋の太さや本数が足りず、強度が不足しています。万一破損した場合、道路が陥没し、通行者などに被害が及ぶ恐れもあります。このため、本日、磯貝建材社製の側溝を使用して、工事を実施した元請業者に対して、契約の約款に基づいて、手直し工事を依頼したいと思います。群馬県としては、今年2月に今回の事案が発覚して以降、これまで慎重に調査を進めてまいりました。その結果、磯貝建材が県の規格を満たしていないことを理解した上で、あたかも規格を満たしている製品であるかのように偽装していたと判断いたしました。今回の行為は、極めて悪質だと思っています。この磯貝建材については、これまで高品質な製品製造を行うメーカーとして、群馬県が承認していましたが、この承認は本日付で取り消したいと考えています。また、今回の事案については、重大な違背行為でもあり、そういうことを踏まえて、この知事会見で発表させていただきました。公共工事の適性を維持するという観点からも、また県民の安心安全を守るという観点からも、まずは手直し工事などによって、道路の安全性の確保に県として万全を尽くしてまいります。そして、今後二度とこのようなことが起きないよう、厳正に対処してまいりたいと思います。

 

5.関東大震災について

 最後に、「関東大震災」について触れたいと思います。本日9月1日は防災の日であると同時に、1923年に関東大震災が発生した日にも当たります。今年は発生からちょうど100年という節目の年となります。関東大震災では、東京、神奈川を中心に、死者・行方不明者10万5千人、全壊・全焼家屋が約29万棟と甚大な被害をもたらしました。群馬県内では亡くなった方はいなかったものの、家屋が全壊するなどの被害が発生したという記録も残っております。

 現在、首都直下地震の発生確率が今後30年以内に70%程度と、極めて高いとされています。いつ起きてもおかしくない状況だということです。こうした中、群馬県では、前橋赤十字病院が首都直下地震発生時の航空搬送拠点になると。これも過去の会見で発表したと思いますが、群馬県全体で災害レジリエンスの拠点に向けた取り組みを進めております。県民の皆さん、群馬県は比較的地震が少ないとされていますけれど、全く起きないというわけではありません。日頃から、家の中の家具の固定とか、水や食料の備蓄とか、地震への備えも万全にしていただくよう、改めて私の方からもお願いしたいと思います。

 私からは以上です。少し長くなりましたが、ここからは記者の皆さんからのご質問を受けたいと思います。

 

質疑応答

 

●知事の韓国訪問について

(記者)

 現地のスタジオなんかも取材して、ブログではGメッセのクリエイティブ拠点化について触れていらっしゃいます。Gメッセでどのような機能を付加していくかについて、お考えがあれば伺いたいと思います。

 

(知事)

 これまでも何度か申し上げているように、Gメッセをワン・オブ・ゼムの施設からオンリー・ワンにするためのいろいろな対策を講じてきました。例えば、日本最大のグリーンバックを整備したりとか、いろいろなことをやってきましたし、またこの間も少し会見でご報告いたしましたが、Gメッセについてのマーケティング調査ですよね。Netflixなどいろいろなところを調査した結果、相当期待が高いということなので、こういう流れも踏まえながら、これから群馬県に様々な大型な映画とかドラマのロケを誘致すると。さらに言うと、韓国みたいには簡単にはいかないんですけれども、まさに映像制作の拠点になるような、人材育成も含めた、そういう流れをしっかり作っていきたいと思っています。今回のスタジオを見て、Gメッセはこれからいろいろな展開があると思いますが、その中でどう生かしていけるかというのはこれからよく議論していきたいと思います。何かいろいろなことをやっていくためにも、もちろんしっかり県議会の承認をいただかなければいけないので、そういうことを踏まえて、いろいろな検討をしていきたいと思います。

 

●県発注工事における偽装側溝の使用について

(記者)

 磯貝建材製の製品は、他にも使われていたりするんでしょうか。

 

(知事)

 県土整備部長、どうぞ。県土整備部長の方からご説明させていただきます。

 

(県土整備部長)

 磯貝建材からもGPU(群馬県型落蓋式側溝)以外にも当然使っている製品はあるという中で、ただ今回についてはGPUに限定して調査の方はさせていただいています。

 

(記者)

 正直、こういう偽装するものが出てくる中で、他のものが安全かということに、少し疑問があるところなんですが、そこら辺についてはどうお考えでしょうか。

 

(県土整備部長)

 今のところ、そのGPU限定で手直し工事をお願いしているところですので、他の製品についても5年が過ぎているものであったり、なかなかその製品的に検査が難しいという状況もございますので、そこはケースバイケースで検討していきたいと考えています。

 

(記者)

 内部については設計図とかあったりもするとは思うので、そこら辺を調べたりする予定は。

 

(県土整備部長)

 設計図というよりも、これは外注で出した製品に関して、施工図というものを業者が出してきて、その施工図と実際の現地で納品された商品が違うということで、施工図上は何の問題がないということなので、その施工図を見てもなかなか分からないというような状況になっています。

 

(記者)

 現地で施工図をもとに作らなかったというような状況ですか。

 

(県土整備部長)

 二次製品ですので、工場で作ったものを納入してそれを布設するという形になるんですね。それを工場で作った時に、群馬県が指定して承認したものと違うもので鉄筋を細くしたりして作ってしまって、それが現地に納入されたので、外見上は全然施工会社の方も分からない。それを布設してしまったと。出てきた書類については、県の規格に合った書類が出てきているので、なかなか判別が難しかったという状況になります。

 

(記者)

 知事に伺いたいと思います。県民の安全にも関わるような話だと思います。徹底的な調査が必要なのかなと思いますが、いかがでしょうか。

 

(知事)

 先ほど言ったように、これは県民の安全にも関わることですし、今回の事例は非常に深刻に受け止めておりますので、これは断固とした対処をしていきたいと思いますし、二度とこういうことがないように、今日は県土整備部長も会見に来ていますが、しっかり対応してまいりたいと思います。

 

●ガソリン価格高騰に係る県の対応等について

(記者)

 レギュラーガソリンの価格に関してお伺いしたいんですけれども、一昨日、岸田首相が小売に関しては175円程度で抑えられるように、石油の元売各社に対しての補助金を拡充するという方針を示されましたけれども、県としてそういったことを踏まえて、改めて行おうと考えている対策等がありましたら教えてください。

 

(知事)

 これは前回の会見でもお話があったんですけれども、当然このガソリン価格の高騰というのは群馬県も非常に大きな関心を持って見ていますし、国の方のいろいろな方針が今出てきていますから、ここを踏まえて、どんな形で我々もサポートできるかということを考えていきたいと思います。これは非常に県民生活にも深刻な影響を与えるということなので。それと同時に、群馬県は、宇留賀副知事の方からもありましたが、これはある意味でいうと体質を変えていくきっかけにしたいと思っています。

 

●関東大震災での朝鮮人の虐殺について

(記者)

 関東大震災と韓国からの視察帰りということを絡めて質問させていただきたいんですが、関東大震災では群馬で朝鮮人の虐殺事件が発生しています。先ほどの知事のお話の中で、そのことについて特段の言及はなかったんですけれども、知事としてのお考えを聞かせていただけたらありがたいです。

 

(知事)

 知事として、今そのことについてどうコメントしたらいいかというのはあるんですけれども、事実は事実としてしっかり受け止めて、やはりきちんと対応していく必要があると思います。

 

 

知事メッセージ

 今日は、冒頭、ビョークマン教授とニウロ会長にも来ていただいて、探知犬のお話をさせていただきました。この会見、一応、記者クラブで主催していただいているということで、冒頭少し時間を取ってしまいましたが、これは県の政策についてのとても大事な話だったので、ご理解をいただいて、大変感謝を申し上げたいと思っています。先ほど申し上げたとおり、結構気さくなビョークマン教授なんですけれど、本当にこの(探知犬の)世界での第一人者ですし、ニウロ会長も、この犬の訓練という分野では、本当に第一人者ですので、こういう方々にしっかりとサポートしてもらいながら、初めてのプロジェクトになりますが、この挑戦をとにかく乗り越えて、ぜひ成功させていきたいと思っていますので、もちろんメディアの皆さんにもご注目いただきたいと思いますし、県民の皆さんにも、ぜひご理解ご協力を賜りたいと思っています。

 この2人は初めて日本に来たということなんですけれども、やはり日本に対して本当に良い印象を持っていただいていて、群馬県についても本当に美しいところであると、皆さん本当に人も親切ですし、こういうのはとても大事だと思うんですね。ここに来る前にも少し懇談をしていたんですが、(お二人は)伊香保温泉に泊まっているんですが、温泉を初めて経験して、本当に素晴らしかったと。さらに嬉しかったのが、サウナが併設されているということで、彼らに今日本ではサウナがとても人気があって、ブームになっていると話もしたら、さらに喜んでいました。こういう形で、やはり群馬県を訪れた人に、とてもいい感じを持ってもらうということが、実はこれからインバウンドを増やしていくためにもとても大事なので、今日はここでしっかり記者会見をさせていただいて、記者の皆さんからもご質問をしていただいたということはとても良かったと思います。その点も、知事として感謝を申し上げたいと思います。少し前半が長くなったので、心配していましたけれど、何とか1時間以内で収まりました。記者の皆さん、今日も最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。

 県民の皆さん、まだまだ暑い日が続きますが、お身体には十分気をつけていただきたいと思います。

 この探知犬のプロジェクト、いよいよ今日お披露目で、県庁広場の前にこの2頭をデビューさせますので、この「にこ」と「はる」。ぜひ(2頭の)成長も楽しみにしていただきたいと思います。以上で、会見を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

 

 

( 以上で終了 )
文章中の()内については、メディアプロモーション課において加筆したものです。