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令和6年10月21日(月曜日)
県庁24階 教育委員会会議室
平田郁美教育長、河添和子教育長職務代理者、日置英彰委員、小島秀薫委員、中澤由梨委員、宮坂あつこ委員
高橋正也教育次長、栗本郁夫教育次長(指導担当)、古市功総合教育センター所長、小林謙五総務課長、高林和彦管理課長、酒井隆福利課長、西村琢巳学校人事課長、酒井暁彦義務教育課長、高橋章高校教育課長、近藤千香子特別支援教育課長、星野 貴俊生涯学習課長、橋憲市健康体育課長、角田毅弘総務課学びのイノベーション戦略室長、羽鳥正総務課次長、井澤悟志総務課補佐(行政係長)、丸山裕美総務課副主幹
午後1時00分、平田教育長、教育委員会会議の開会を宣す。
傍聴人は2名、取材者は3名であることを報告。
平田教育長が今回の会議の会議録署名人に小島委員を指名。
議案審議に先立ち、平田教育長から、第27号議案から第29号議案は教育委員会の表彰に関する案件であるため、第30号議案は審査請求の処理方針に関する案件であるため、第31号議案は人事に関する案件であるため審議は非公開で行いたい旨の発議があり、全員賛成で議決した。
教育委員会の主要行事日程及び次回定例会議の日程について、総務課長が説明。
(平田教育長)
初めに私から一言申し上げる。
本日は、新たな体制になり、初めての定例会議となる。この度、中澤由梨委員と宮坂あつこ委員を新たにお迎えすることになった。お二人は、9月30日に開催された県議会において同意いただき、10月2日に知事から辞令を交付され、4年間の任期に臨んでいただく。本県教育の未来を担う重要な役割をお引き受けいただき、本当に感謝を申し上げる。
また、10月2日付けで河添委員を教育長職務代理者として指名させていただいた。
委員の皆様方にはこれまで以上に活発なご議論をいただき、本県教育行政の推進のため、お力添えを賜るよう、よろしくお願い申し上げる。
次に、第3回前期定例県議会の一般質問等についてご報告する。
一般質問では、県立みらい共創中学校の現状と今後の課題についての質問があったほか、次世代産業に対応した人材教育、県立高校における学校業務のDX化、富岡製糸場と絹産業遺産群の活用にかかる小中学校の校外学習の推進、つなぐんオンラインサポート、群馬県の教育課題(教員不足、スクールサポートスタッフ配置など)の質問があった。
文教警察常任委員会においては、9月補正予算案の県立高校ICT教育加速についての質問があったほか、本県開催の国民スポーツ大会に向けた教育委員会としての取組、インクルーシブ教育の取組状況、郷土を愛する心の育成、不登校児童生徒への支援、教員採用試験や教員不足解消へ向けた取組、校長としての再任用制度、夏休みの小学校のプール活動、特別支援学級の1学級児童生徒数の上限、伊勢崎特別支援学校高等部校舎建設にかかる保護者からの要望などの質疑があった。
そのほか教育委員会が関連する特別委員会として、災害対応力強化、スポーツ文化の振興、次世代産業人材確保などの各特別委員会が10月7日に開催された。
なお、9月の教育委員会会議でご承認いただいた、教育委員会関係の補正予算と条例議案は原案のとおり可決された。
次に、9月18日に藤岡市学習センターで開催された、多野藤岡地区におけるいじめ防止フォーラムに小島委員にご出席いただいた。感謝申し上げる。
また、10月10日、11日にエテルナ高崎と県立前橋南高校で開催された「第6回OECD2030年の教育と技能の未来に向けたグローバルフォーラム」に河添委員と私が参加した。1日目はエテルナ高崎を会場として、栗本教育次長にもパネル講演にご登壇していただいた。2日目は、前橋南高校を会場として、授業参観や生徒によるSAH指定校の取組発表などが行われた。
1日目も2日目も、参加した生徒たちがすばらしく、まさにエージェンシーを発揮して、自律した学習者を体現していた様子を間近で見ることができた。
子どもたち、生徒たちが自分の意見を、日本語でも英語でも堂々と述べていて、ほかの人の話もしっかり聞きつつ、自分も議論に参加をしようという姿勢が本当にすばらしく、先生方の関わり方も非常によく、また、実に活発にご意見を出されていて、とても感動し、嬉しく思った。
OECDの委員の皆様からも、群馬県の生徒や先生方が本当にすばらしいとお褒めいただいた。群馬県で開催されて、本当によかったと感じている。河添委員からも、是非ご感想等をお聞かせいただければ大変ありがたい。
私からは以上となる。
(河添委員)
私も、教育長からご報告のあった、OECDのグローバルフォーラム群馬コースに参加した。私は1日目だけの参加であったが、大変貴重な経験をさせていただいた。
今回のフォーラムの目的は、事務局からもご報告があると思うが、学習者のラーニングコンパスから広げ、教員のウェルビーイング等を含む、2030年のティーチングコンパスに向けて、日本ならではの教育を国際社会と共に再価値付けし、今後の課題も明らかにしながら、日本の提言を入れ込むことと聞いている。
本フォーラムには、山本知事をはじめ、平田教育長、県内の多くの高校生の皆様、OECDの関係者の皆様や、本当にすばらしいパネル講演をされた栗本教育次長、高橋教育次長、学びのイノベーション戦略室をはじめとする事務局の皆様、あわせて総勢113名が参加した。午前と午後、2つのディスカッションを含め、本当に大切な学びと気づきのひとときとなった。参加者の視点から2点報告をさせていただきたい。
1点目は、SAHの指定校・協力校から代表で参加していた高校生が、教育長さんもおっしゃっていたとおり、大変すばらしかった。学習者の視点で学校やクラス、学びをよりよいものにしていく意思を持って学校生活を送っている勢いを感じることができた。
その中の1人の高校生の発言が印象に残っている。その生徒は、自由にグループを組んで学びを始める機会が増えている中、なかなか自ら表現することが苦手な友達、自分からグループを組むことが苦手な友達にどう接すればよいのか悩んでいた。その友達は、「その授業の学習が実にならない時間になってしまうのではないか。」と、先生方が何気なく「グループで…」という中で、うまくいかない部分を本気で心配してくれていた。自らのエージェンシーを発揮し、自分の学びを進めているときに、友達のエージェンシーや、集団の大切な土台である心理的安全性にも目を向けることができていて、非常に感動した。実は、私も同様な視点から心配していたので、生徒自身が気づいてることを頼もしく感じた。きっと、よりよい次の1歩に進んでいく段階だと思っている。
2点目は、参加した皆様の発表の内容から概要を紹介したい。
まず、学習者の学びとともに、教員の役割もまた変化していく必要があるという内容についてである。教員とは、すべての生徒の希望に満ちた未来にとって重要な役割を担っているが、多くの国では教員不足が深刻な問題となっている。そのような中、世界中の教員が不断の努力を続けている。学習は指導や教科だけではなく、子どもたちともに構築する営み、教員と子どもたちが教えと学びの過程を協働して作っていくときに、「協働エージェンシー」が立ち現れるということであった。
今後の教員の役割は、マインドセットとスキルセットの変革を伴う対応が必要であり、特にAIにできないこと、一人一人の子どもたちの特性や置かれた状況、家庭状況等も含めて、すべてを踏まえての助言、一人一人の可能性を伸ばす学びの深め方や広げ方など、本当に多岐にわたる。その中で、特に印象に残ったことは、SELという、社会性と情動の学び、ソーシャル&エモーショナルラーニングの研究者が説明をしてくださった内容で、「教員のストレスが子どもたちに伝わる」という現象が研究により明らかになったというものだった。これは自分の肌感覚でも感じていることだが、研究で裏付けられたとのことである。先ほどお伝えしたように、教員には人間関係づくりや、個々の成長に向けたサポート、社会的情動的能力を育むため、幾重にも重なる業務がある。同時に、喜びとやりがいもそこにある。教員がそうした仕事に専念できるために、教員一人一人の負担を思い切って軽減し、教員のウェルビーイングに焦点を当て向上させることで、子どものウェルビーイングに与えるよい影響や関連性もとても大きいとのことであった。
学校の多忙化解消や教員のなり手不足等の問題にもきちんと目を向け、教員のウェルビーイング向上への取組の視点がしっかりと位置付けられたティーチングコンパスを作成していく方向性は、大変喜ばしいと感じた。そうでなければ、新たなティーチングコンパスが具体化へ結びつかず、もったいないと思う。
群馬県は教育ビジョンにもその視点の1つとして、働き方向上が位置付けられ、栗本教育次長の講演にも、とても重要な視点としての発言があった。
待ったなしの働き方改革をさらに前進させるため、教育委員として、皆様とともに歩みを進めて参りたいと、改めて思った次第である。貴重な機会をいただき、準備された皆様のご苦労をねぎらうとともに、参加できたことに心から感謝申し上げる。
英語で行われた発表については、間違った解釈もあるかもしれないので、今後、事務局で補足等していただけるとありがたい。以上である。
(小島委員)
私は9月18日のいじめ防止フォーラムに出席した。なかなかに有意義な時間で、企業にとってもプラスになりそうなことがあった。いじめと直接リンクするのかどうかはよくわからなかったが、リフレーミングという訓練をやっていたことである。「ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変えたらどうなるか」というディスカッションを班別で行っていた。例えば、「飽きっぽい」という単語に対して、ポジティブに言うとどうなるのかというと、「趣味が多い」と言ってみたり、「色々なことに興味を持っている」と言い換えてみたり、「怒りっぽい」という言葉は「熱心」と言い換えるなど、マイナスイメージを持っている言葉をプラスにするにはどうすればよいかという取組を全員で行っていた。
この視点は企業にとってもすごく大事なことで、おそらく社会に出ても一番大事なことのような気がする。常にマイナスな考え方をしない、「絶対に大丈夫だ」というような、ポジティブなものの考え方は、生きていく上で大切であり、企業を経営したり、企業の中で働いたりという中でも同様に大切だ。「駄目だ」と思った瞬間に、物事は駄目になるものである。そういう点では、こういった取組はいじめ防止フォーラムだけではなく、色々なところで行った方がよいと感じた。
その後は班ごとに意見を出し合っていたが、心のSOSを発しやすくするためにはどうしたらよいかという議論の中で、受け止めやすくするという視点で、小学校6年生と中学3年生の各学校の代表が非常に活発な意見を出していた。藤岡工業高校の生徒が出た意見を付箋に書いてボードに貼っていたが、山のように張り出されていて、どう整理するのかわからないくらい、あらゆる意見が出ていて、感心していた。
これだけ活発な議論を見ていると、いじめ防止フォーラムは地区の小・中学校の代表1人が出ているので、学校の中でもかなり優秀な児童生徒が参加しているように思える。その場で議論しているメンバーは、普段はいじめたり、いじめられたりという世界から最も遠いところにいるのかもしれないと思った。時間が限られていたため、議論した内容を自分の学校に持ち帰って、どう反映させるかというようなところまで議論ができると、それぞれの学校にとってさらにプラスになるという印象を持った。全体の感想としては非常に感激したというところである。
以上である。
(平田教育長)
貴重なご意見、ご報告である。義務教育課にお伺いしたい。
まず、リフレーミング訓練というのは、いじめ防止フォーラム以外でも行われているか。加えて、いじめ防止フォーラムで話し合われたことが、各学校でどの程度共有されているか。高校教育課や特別支援教育課も関係すると思うが、代表してお答えいただきたい。
(義務教育課長)
小島委員からお褒めの言葉をいただき、とても嬉しい。
本フォーラムは今年で12年目を迎えていて、いじめの問題はすべての子どもたちの問題であり、いじめを発見して解決できるのは子どもたちだという発想から始まっているもので、それが一番の狙いである。当然、そこで話し合われた内容の共有は、児童生徒が各学校に戻ってから必ず行っている。なお、県内35市町村全てで、子どもたちよるいじめ防止会議をもう一度開催している。これは、様々なテーマを決めて開催していただくよう、市町村教育委員会にお願いしている。
リフレーミングについては、すでに学校教育でも特別活動や学級活動で使われている技法で、グループエンカウンターなどの事業でも使っている。自発的に本などを購入し、勉強している教員もいると聞いている。自分も勉強したことがあるが、とてもプラス思考になるので、有用な技法だと思う。
今回のフォーラムでは、おそらくアイスブレイクで使ったと思うが、効果的であったと感じる。
(中澤委員)
今のいじめ防止フォーラムの件で感じたことを少しお話ししたい。
リフレーミングのお話を聞いていて、私が初めてリフレーミングというものを知ったときのことを思い出した。リフレーミングとは人や出来事の見方はひとつではないということを知る、そういう視点を手に入れるということだと思った。いじめ防止フォーラムや、日頃の取組のことを聞いて、非常に大事なことを進めていただいてると感じた。
(宮坂委員)
中澤委員のお話と被せてしまい恐縮だが、私もアナウンサーという職業していて、話し方や伝え方をお伝えする機会というのがある。先ほどのリフレーミング、いわゆる言い換えは親にとっても本当に大切だと感じていて、お母さん方とお話をするときには、「どうしてそんなこともできないの。」というような言い方ではなく、少し視点を変えてみたらどうかという話をさせていただくこともある。それだけで、親としてのマインドも変わっていくのではないか。
そのような取組を子どものうちから始めるというのはすばらしいと思った。
(平田教育長)
ご専門の視点から貴重なご意見をいただき、大変ありがたい。OECDのフォーラムについては、この後、事務局からもご報告させていただく。
ほかに委員から意見等があるか。なければ、関係所属長から報告をお願いする。
総務課長、管理課長、生涯学習課長、資料1 (PDF:10.07MB)により報告。
生涯学習課長、資料2 (PDF:188KB)により報告。
総務課学びのイノベーション戦略室長、資料3 (PDF:2.09MB)により報告。
学校人事課長、資料4 (PDF:3.03MB)により報告。
高校教育課長、資料5 (PDF:79KB)により報告。
高校教育課長、資料6 (PDF:500KB)により報告。
(平田教育長)
ただいまの報告について、委員から意見・質問等はあるか。
(日置委員)
OECDでティーチングコンパスについて議論されたということについて、そこで話し合われた内容は、教育方法やカリキュラム、評価等について指針を示そうとするものなのか、教員のウェルビーイング等についてなのか、その方向性について教えていただきたい。
(総務課学びのイノベーション戦略室長)
このテーマについては、かなり幅広な内容である。一番のベースにあるのは、教員のウェルビーイングをどう充実させていくかという視点である。教員自身の取組や、教員を取り巻く環境、さらには教員のコンピテンシー及びエージェンシー、学びの変化に教員がどういった形で対応するのかといったことも関係する。
(日置委員)
具体的な取組というより、概念的なものに近い内容であったということで理解した。
(平田教育長)
このような会議が全世界で複数回行われ、その上で決まっていくということである。
ほかに質問等はあるか。なければ、教育長事務報告は以上とする。
高校教育課長、原案(第26号議案) (PDF:231KB)について説明
異議なく、原案のとおり決定
ここで、平田教育長から、これからの審議は非公開で行う旨の発言があり、傍聴人及び取材者は退室した。
総務課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
生涯学習課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
健康体育課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
ここで、平田教育長から、これからの審議は審査請求の処理方針に関する案件及び事務局等職員の人事に関する案件である旨の発言があり、関係課長以外の課長は退室した。
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり承認
学校人事課長、原案について説明
異議なく、原案のとおり決定
教育委員会記者会見資料について、総務課長が説明。
午後2時24分、平田教育長、教育委員会会議の閉会を宣す。