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獣医師1(藤岡保健福祉事務所・隅田 光樹)
藤岡保健福祉事務所 隅田 光樹
掲載内容については、令和6年2月現在の情報です。
1 現在の仕事
飲食店をはじめとする食品関係施設や旅館、公衆浴場に関する衛生業務を担当しています。これら施設の営業許可申請があった際に、施設基準など法に基づく要件を満たしているか書類や実地検査により確認します。すでに営業している施設についても、食中毒などが発生しないよう定期的な監視指導を行っています。
また、直売所などを巡回し、原料原産地やアレルギーについて適切に表記されているか食品表示の調査を行っています。
そのほか、食品衛生責任者養成講習会など各種講習会で関係法令や食品衛生についての講義を行うこともあります。
2 職務経歴
年度 | 所属 | 説明 |
---|---|---|
令和3年度 | 食肉衛生検査所 | と畜・食鳥検査、精密検査(病理・細菌・理化学)、と畜場・食鳥処理場の衛生監視指導を行いました。 |
令和5年度 |
現所属 |
「1現在の仕事」のとおり |
3 県職員の仕事の魅力・やりがい
公衆衛生獣医師の仕事は食品衛生や動物愛護など多岐にわたります。また、民間の動物病院等とは異なり、薬剤師や栄養士など職種が異なる職員と仕事をする機会もあります。異動があると業務内容も大きく変わり、新たな知識を身につける必要がありますが、これまで関わることのなかった分野について知ることができるのは、県職員の大きな魅力だと思います。
4 これまでの仕事で印象に残った業務やエピソード等
(1)と畜検査(精密検査)
と畜検査を行うなかで、豚丹毒や牛伝染性リンパ腫などの疑いがあるものは食肉衛生検査所へ検体を搬入し各種精密検査を行います。私は主に病理検査を担当していました。教科書どおりの典型的症例ばかりではないので判断に苦慮することもありましたが、その都度、過去の症例・文献を調べたり、経験豊富な上司や先輩職員に相談することで業務を遂行することができました。
(2)調査研究発表
群馬県は全国の中でも豚のと畜検査数が多いことを活かし、過去10年間に遭遇した豚黒色腫について統計学的調査を行いました。と畜検査や食鳥検査を行いつつ研究を進めるのは大変でしたが、職場の手厚いサポートもあり発表することができました。
(3)食品衛生講習会
社会福祉法人や県立高校から依頼され、食中毒予防など食品衛生について講習会を行いました。近年発生した食中毒事例など時事的な話題を取り入れ、できるだけ専門用語を使わないようにするなど試行錯誤して資料を作成、講義をしました。講義後のアンケートで「勉強になった、分かりやすかった」という感想をいただけたときはとても嬉しかったです。
5 入庁前と入庁後の印象
入庁前は、衛生学の知識があれば業務をこなせるだろうと思っていましたが、想像以上に求められる知識や能力は多かったです。
食肉衛生検査所では解剖学や病理学、微生物学などに関する深い知識・技能が必要であり、藤岡保健福祉事務所では事業者の方に法令などをわかりやすく伝える能力が必要だと感じました。
6 今後の目標、これから挑戦したいこと
幅広い業務をこなせる公衆衛生獣医師になることが目標です。
新たな職場へ異動したばかりのときは勉強不足を痛感する日々でしたが、そうした経験が自身を成長させているという実感もありました。まだ未経験の分野が多いので、多くの職場・業務を経験し、守備範囲の広い職員になりたいです。
7 群馬県職員を志望した理由
獣医師として、一つのことを突き詰めるより、様々な業務を経験し、知見を広げたいと考え県職員を志望しました。また、群馬県は畜産業が盛んであることに加え、米国等へ牛肉を輸出する認定施設もあるので、より専門性を活かせると思いました。
8 受験時に心がけたこと
教養試験については、市販の対策本を購入し勉強しました。
面接については想定質問を考え、しっかりと根拠をもって説明できるよう練習を重ねました。また、約1分間の「自己PRタイム」がありますが、自分の強みをアピールできる時間なので、しっかり準備して臨みました。
9 未来の後輩へ
犬・猫を診療する小動物臨床などと比べると、公衆衛生獣医師の仕事は外から見えにくく、やや地味な印象があるかもしれません。しかし、獣医師という専門性を活かし、縁の下で県民の健康を守る責任とやりがいのある仕事です。
皆さんと一緒に働く日を心待ちにしています!
道の駅の直売所で食品表示の調査を行っています