平成30年度市町村普通会計決算概要(PDFファイル:278KB)
総論
※本資料は、現時点の集計状況を速報として取りまとめたものです。
決算のポイント
- 決算規模は、歳入歳出ともに3年連続の減となった。これは
- 制度融資の貸付金元金収入、預託金の減
- 基金からの繰入金、基金への積立金の減 等による。
なお、普通建設事業費、それに伴う地方債は増となった。
- 実質収支は、275億円の黒字で、県内35市町村の全てが黒字を維持した。
- 経常収支比率は、0.2ポイント改善して94.5%。実質公債費比率は、0.1ポイント改善して6.5%となった。
(1)歳入
歳入総額は8,526億円で、対前年度比-0.6%(-50億円)となり、3年連続の減となった。
諸収入や繰入金の減等によるもの。なお、地方税の増等により地方交付税は減となった。
- 地方税は、対前年度比+1.4%(+43億円)となった。(市町村民税のうち所得割及び法人税割の増等)
- 地方交付税は、対前年度比-3.1%(-36億円)となった。(地域経済・雇用対策費の減少等による基準財政需要額の減とともに、地方税の増等による基準財政収入額の増により、普通交付税が減となったこと等)
- 国庫支出金は、対前年度比-2.3%(-25億円)となった。(社会資本整備総合交付金や児童手当等交付金の減等)
- 繰入金は、対前年度比-10.0%(-40億円)となった。(財政調整基金繰入金の減等)
- 諸収入は、対前年度比-11.5%(-61億円)となった。(特別会計清算剰余金や貸付金元金収入の減等)
- 地方債は、対前年度比+10.9%(+77億円)となった。(旧市町村合併特例事業債や緊急防災・減災事業債の増等)
(2)歳出
歳出総額は8,190億円で、対前年度比-0.6%(-53億円)となり、3年連続の減となった。
積立金や貸付金の減等によるもの。なお、投資的経費である普通建設事業費は増となった。
- 人件費は、対前年度比-0.8%(-10億円)となった。(退職者数の減等)
- 扶助費は、対前年度比+0.1%(+1億円)となった。(生活保護費の増等)
- 投資的経費である普通建設事業費は、対前年度比+3.9%(+47億円)となった。(給食センター整備事業や新役場庁舎等整備事業の増等)
- 積立金は、対前年度比-38.9%(-73億円)となった。(その他特定目的基金積立金の減等)
- 貸付金は、対前年度比-14.4%(-44億円)となった。(制度融資預託金の減等)
(3)決算収支
- 実質収支は、275億円の黒字で、県内35市町村の全てが黒字を維持した。
(4)財政構造の弾力性
- 経常収支比率は、前年度から0.2ポイント改善して94.5%となった。(繰出金や扶助費等の増により分子となる経常経費充当一般財源等が増加したが、地方税や地方消費税交付金等の増により分母である経常一般財源収入額の増加が分子の増加を上回った)
- 実質公債費比率は、前年度から0.1ポイント改善して6.5%となった。(元利償還金(臨時財政対策債を除く。)の減等)
- 地方債残高は、前年度より61億円増加して7,546億円となった。
なお、臨時財政対策債を除いた地方債残高は4,037億円で、前年度に比べて+70億円となった。
【各論】1 決算規模等
(1)決算規模
(2)歳入
- 歳入総額は、8,526億円(対前年度比-0.6%、-50億円)となった。
(3)歳出
- 歳出総額は、8,190億円(対前年度比-0.6%、-53億円)となった。
(4)実質収支
- 実質収支は275億円の黒字であり、県内35市町村のすべてが黒字を維持した。
- 実質収支の黒字額は、前年度と比較して、+2億円となった。
決算規模及び決算収支の状況(単位:百万円、%)
| 項目 |
記号 |
平成30年度 |
平成29年度 |
増減額 |
増減率 |
| 歳入総額 |
A |
852,559 |
857,515 |
-4,956 |
-0.6 |
| 歳出総額 |
B |
819,046 |
824,376 |
-5,330 |
-0.6 |
| 形式収支(A-B) |
C |
33,513 |
33,139 |
374 |
1.1 |
| 翌年度に繰り越すべき財源 |
D |
5,992 |
5,824 |
168 |
2.9 |
| 実質収支(C-D) |
E |
27,521 |
27,315 |
206 |
0.8 |
| 単年度収支 |
F |
(※注)205 |
-248 |
453 |
182.7 |
| 財政調整基金積立金 |
G |
3,178 |
2,880 |
298 |
10.3 |
| 繰上償還金 |
H |
1,312 |
507 |
805 |
158.8 |
| 積立金取崩額 |
I |
17,886 |
26,173 |
-8,287 |
-31.7 |
実質単年度収支
(F+G+H-I) |
J |
-13,191 |
-23,034 |
9,843 |
42.7 |
(※注)過年度の誤集計を修正したため、「H30(E)-H29(E)」と一致しない。
歳入歳出の推移

2 歳入
歳入総額は8,526億円(対前年度比-0.6%、-50億円)
(1)地方税 3,116億円(対前年度比+1.4%、+43億円)
- 市町村民税が+3.5%、+47億円(所得割及び法人税割の増等)
- 固定資産税が-0.3%、-4億円(家屋分の減等)
- 市町村たばこ税が-2.7%、-4億円の減
(2)地方交付税 1,114億円(対前年度比-3.1%、-36億円)
- 臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税額は-3.0%(-42億円)の1,371億円
(3)国庫支出金1,059億円(対前年度比-2.3%、-25億円)
(4)繰入金 356億円(対前年度比-10.0%、-40億円)
(5)諸収入466億円(対前年度比-11.5%、-61億円)
- ガス事業清算特別会計の清算剰余金(富岡市)や貸付金元金収入(高崎市等)の減等
(6)地方債 785億円(対前年度比+10.9%、+77億円)
- 旧市町村合併特例事業債、緊急防災・減災事業債の増等
- 臨時財政対策債を除くと、+18.6%(+83億円)
科目別歳入の状況(単位:百万円、%)
| 項目 |
平成30年度 |
平成29年度 |
増減額 |
増減率 |
| 地方税 |
311,557 |
307,293 |
4,264 |
1.4 |
| 地方譲与税 |
8,256 |
8,174 |
82 |
1.0 |
| 各種交付金 |
44,205 |
42,922 |
1,283 |
3.0 |
| 各種交付金のうち地方消費税交付金 |
38,641 |
36,648 |
1,993 |
5.4 |
| 地方特例交付金 |
1,575 |
1,353 |
222 |
16.4 |
| 地方交付税 |
111,361 |
114,981 |
-3,620 |
-3.1 |
| 国庫支出金 |
106,045 |
108,506 |
-2,461 |
-2.3 |
| 県支出金 |
59,408 |
58,193 |
1,215 |
2.1 |
| 繰入金 |
35,626 |
39,583 |
-3,957 |
-10.0 |
| 地方債 |
78,461 |
70,764 |
7,697 |
10.9 |
| 地方債のうち臨時財政対策債 |
25,725 |
26,305 |
-580 |
-2.2 |
| その他 |
96,065 |
105,746 |
-9,681 |
-9.2 |
| 歳入合計 |
852,559 |
857,515 |
-4,956 |
-0.6 |
| 歳入合計のうち一般財源 |
476,953 |
474,723 |
2,230 |
0.5 |
※一般財源とは地方税、地方譲与税、各種交付金、地方特例交付金等及び地方交付税を合計したもの。
※表示単位未満四捨五入のため、計が合わない場合があります。
3 歳出
歳出総額は8,190億円(対前年度比-0.6%、-53億円)
性質別歳出
(1)義務的経費 3,704億円(対前年度比-0.2%、-7億円)
- 人件費が-0.8%(-10億円)(退職者数の減等)
- 扶助費が+0.1%(+1億円)(生活保護費の増等)
- 公債費が+0.2%(+1億円)(元利償還金の繰上償還額の増等)
(2)投資的経費 1,261億円(対前年度比+3.9%、+48億円)
- ピークである平成5年度の52%程度の水準となっている。
- 普通建設事業費は、補助事業費が-3.4%(-19億円)(小中学校校舎等新増改築事業(前橋市)の減等)、単独事業費が+10.3%(+64億円)(給食センター整備事業(伊勢崎市)や新役場庁舎等整備事業(長野原町)の増等)
(3)その他の経費 3,226億円(対前年度比-2.8%、-94億円)
- 補助費等が+1.3%(+10億円)(法適用の公営事業会計に対する負担金の増等)
- 積立金が-38.9%(-73億円)(その他特定目的基金積立金の減等)
- 貸付金が-14.4%(-44億円)(制度融資預託金の減等)
性質別歳出の状況(単位:百万円、%)
| 項目 |
平成30年度 |
平成29年度 |
増減額 |
増減率 |
| 義務的経費 |
370,391 |
371,124 |
-733 |
-0.2 |
| 人件費 |
123,215 |
124,176 |
-961 |
-0.8 |
| うち職員給 |
80,967 |
81,405 |
-438 |
-0.5 |
| うち退職金 |
10,621 |
11,211 |
-590 |
-5.3 |
| 扶助費 |
169,451 |
169,352 |
99 |
0.1 |
| 公債費 |
77,725 |
77,597 |
128 |
0.2 |
| 投資的経費 |
126,069 |
121,287 |
4,782 |
3.9 |
| 普通建設事業費 |
125,745 |
121,031 |
4,714 |
3.9 |
| 普通建設事業費のうち補助事業費 |
53,935 |
55,847 |
-1,912 |
-3.4 |
| 普通建設事業費のうち単独事業費 |
68,452 |
62,081 |
6,371 |
10.3 |
| その他の経費 |
322,585 |
331,964 |
-9,379 |
-2.8 |
| その他の経費のうち物件費 |
116,930 |
116,453 |
477 |
0.4 |
| その他の経費のうち補助費等 |
79,072 |
78,055 |
1,017 |
1.3 |
| その他の経費のうち積立金 |
11,551 |
18,894 |
-7,343 |
-38.9 |
| その他の経費のうち貸付金 |
25,765 |
30,116 |
-4,351 |
-14.4 |
| 歳出合計 |
819,046 |
824,376 |
-5,330 |
-0.6 |
※表示単位未満四捨五入のため、計が合わない場合があります。
目的別歳出
(1)総務費1,034億円(対前年度比-2.0%、-21億円)
- 新庁舎建設工事(富岡市)や庁舎整備基金積立金(昭和村)の減等
(2)民生費2,737億円(対前年度比-0.4%、-10億円)
(3)衛生費678億円(対前年度比+3.8%、+25億円)
(4)商工費415億円(対前年度比-9.0%、-41億円)
- 短期サポート資金預託金(前橋市)や産業活性化支援資金預託金(高崎市)の減等
(5)土木費858億円(対前年度比-2.4%、-21億円)
- 市街地再開発事業補助金(太田市)や市営住宅建設事業(富岡市)の減等
(6)教育費1,050億円(対前年度比-1.3%、-14億円)
目的別歳出の状況(単位:百万円、%)
|
項目
|
平成30年度
|
平成29年度
|
増減額
|
増減率
|
| 議会費 |
5,927 |
5,990 |
-63 |
-1.1 |
| 総務費 |
103,374 |
105,487 |
-2,113 |
-2.0 |
| 民生費 |
273,662 |
274,634 |
-972 |
-0.4 |
| 衛生費 |
67,767 |
65,256 |
2,511 |
3.8 |
| 労働費 |
1,477 |
1,659 |
-182 |
-11.0 |
| 農林水産業費 |
22,702 |
22,756 |
-54 |
-0.2 |
| 商工費 |
41,465 |
45,547 |
-4,082 |
-9.0 |
| 土木費 |
85,761 |
87,877 |
-2,116 |
-2.4 |
| 消防費 |
33,830 |
30,879 |
2,951 |
9.6 |
| 教育費 |
105,020 |
106,436 |
-1,416 |
-1.3 |
| 災害復旧費 |
325 |
256 |
69 |
27.0 |
| 公債費 |
77,726 |
77,597 |
129 |
0.2 |
| その他 |
10 |
1 |
9 |
900.0 |
| 歳出合計 |
819,046 |
824,376 |
-5,330 |
-0.6 |
※表示単位未満四捨五入のため、計が合わない場合があります。
(参考)用語解説
普通会計と公営事業会計
地方公共団体の会計は、大別して普通会計と公営事業会計に区分される。公営事業会計は、公営企業会計のほか、収益事業会計、国民健康保険事業会計、農業共済事業会計、介護保険事業会計、後期高齢者医療事業会計等の総称である。普通会計は、公営事業会計以外の会計を総合して一つの会計にまとめたものをいう。
実質収支
歳入歳出差引額から、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた、実質的な収入と支出との差額。
- 実質収支=(歳入総額-歳出総額)-翌年度へ繰り越すべき財源
単年度収支
実質収支の額から、前年度までの収支の累積である前年度の実質収支の額を差し引いた、当該一会計年度に係る収支の額。
実質単年度収支
単年度収支に含まれている黒字要素及び赤字要素を調整した収支の額。
- 実質単年度収支=単年度収支+財政調整基金積立額+地方債繰上償還額-財政調整基金取崩額
実質収支比率
標準財政規模に対する実質収支額の割合。
- 実質収支比率=実質収支÷標準財政規模×100(%)
経常収支比率
地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される財源のうち、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当されたものが占める割合。
- 経常収支比率={(人件費、扶助費、公債費等に充当した一般財源等)}÷{経常一般財源等(地方税+普通交付税等)+減収補てん債特例分+臨時財政対策債}×100(%)
実質公債費比率
地方公共団体の一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金等の標準財政規模に対する比率(過去3か年平均で算定)。
地方債協議制度の下で18%以上の団体は、地方債の発行に際し知事の許可が必要となる。
早期健全化基準…25%
財政再生基準…35%
実質公債費比率={(A+B)-(C+D)}÷(E-D)×100(%)の3か年度平均
- A:地方債の元利償還金(繰上償還等を除く。)
- B:地方債の元利償還金に準ずるもの(「準元利償還金」)
- C:元利償還金又は準元利償還金に充てられる特定財源
- D:地方債に係る元利償還に要する経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入された額(「算入公債費の額」)及び準元利償還金に要する経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入された額(「算入準公債費の額」)
- E:標準財政規模
標準財政規模
地方団体が通常水準の行政を行ううえで必要な一般財源の額。
- 標準財政規模=標準税収入額等+普通交付税額+臨時財政対策債発行可能額
財政力指数
地方団体の財政力を判断するための理論上の指標。
- 財政力指数=基準財政収入額÷基準財政需要額の3か年度平均
「平成30年度普通会計決算の概要(その2)財政構造等」へ