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令和7年度花粉症に関する県民公開講座「いま知っておきたい!花粉症対策」を開催しました
各講師から、花粉症に関する様々な内容について実践的なアドバイスを交えて講演いただき、講演後の質疑応答では多くの質問が寄せられました。
日時
令和8年1月31日(土曜日)13時30分から15時30分
会場
群馬県庁2階ビジターセンター
内容
1.講演
【進行】
群馬大学 村上 正巳 名誉教授
群馬大学 村上 正巳 名誉教授
2.「群馬県の花粉対策最前線 ~発生源からのアプローチ~」
群馬県環境森林部林政課 森林整備係 中村 博一 係長
3.「鼻の役割から考える花粉症と生活への影響~鼻はにおいをかぐ、呼吸をするだけではありません~」
群馬大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 松山 敏之 講師
4.「どうなる?今年の花粉 〜春の天候は〜」
NHK前橋放送局 福田 歩実 気象予報士
2.質疑応答
当日会場から寄せられた質問と講師からの回答を掲載します。
都合により一部の質問と回答を省略させていただきますが、ご了承ください。
Q1
群馬県で様々な花粉発生源対策をされているとのことで、とても心強いです。関東一の森林県ということで他県より対策が大変かと思いますが、他県との情報共有や協力はしていますか。
A1
情報共有はしていますが、対策は各都府県で進めています。なお、苗木の確保については、天候の影響や需要と供給のバランスの崩れにより不足した場合、近隣の栃木県や茨城県から取り寄せるなど、民間同士で協力体制を整えています。
Q2
アレルゲン免疫療法は誰にでも効果がありますか。また、保険は適用されますか。
A2
アレルゲン免疫療法はすべての方に効果があるわけではありませんが、多くの方で症状の改善が期待できる治療です。ただし、治療開始後すぐに効果が現れるものではなく、一般的には3~5年程度継続することが推奨されています。臨床的には1~2年で改善を実感される方もいますが、体質を変えていく治療であるため、効果がすぐに出なくても、一定期間継続することが重要です。
保険適用については、日本では現在、スギ花粉症およびダニアレルギーに対する舌下免疫療法が保険適用となっています。治療を受けるためには、症状と検査結果が一致していることが必要です。
また、舌下免疫療法は原則として5歳未満の小児では適応がありません。妊娠中は新たに治療を開始することは推奨されていませんが、すでに治療を継続している場合は医師と相談のうえ継続できることもあります。
Q3
アレルギー性鼻炎になって55年ほど経ちますが、最近は薬が効かず、匂いが分からず味も感じなくなりました。
A3
嗅覚が低下している場合、アレルギー性鼻炎の影響で鼻づまりが強くなっている可能性もありますが、副鼻腔炎や鼻ポリープ、嗅覚障害など他の原因が関係していることもあります。長期間症状が続いている場合は、詳しい検査が必要になることがあります。大学病院や総合病院では嗅覚検査などの精密検査が可能ですので、専門医療機関への受診を検討されてもよいでしょう。現在は治療法や薬も進歩しており、原因に応じた治療が可能な場合があります。
また、味が分からないと感じる場合でも、実際には嗅覚低下によって食べ物の香りが感じにくくなり、風味が分かりにくくなっていることがあります。このように、嗅覚と味覚は密接に関係しています。
Q4
成熟したスギが多くあるとのことでしたが、それを活用して経済的に押し上げるような施策は検討されていますか。
A4
木材は住宅での活用が最も多いため一般住宅への活用を進めていますが、着工数の減少を踏まえ、公共施設など非住宅分野への利用拡大も推進し、需要の確保に取り組んでいます。木材も野菜と同じように、生産し過ぎると価格が下がるため、需要と供給のバランスが重要であり、県としてもさらなる需要拡大に取り組むとともに大型製材工場の誘致なども視野に入れながら検討していきたいと考えています。
また、林業は「木を切って売る」だけでなく、新たな森林の価値を創出するため、県では、昨年11月にぐんま森林・林業イノベーションプラットフォーム(愛称「もりビズぐんま」)を開設し、これまで林業の関係者と携わっていなかった企業がマッチングできる場を作ることで、新たな価値を見出しながら経済成長していければと考えています。
Q5(1)
花粉症の治療のうち、生物学的製剤は、既存治療で効果不十分な重症または最重症患者に限るとのことですが、適用される範囲は限定されますか。
A5(1)
生物学的製剤は比較的新しい治療であり、薬剤費が高額であることから、まずは抗アレルギー薬や点鼻薬、必要に応じて免疫療法などの標準的な治療を行ったうえで、それでも症状が十分に改善しない重症例に対して検討されます。
適用には、症状の重症度、治療歴、生活への影響などを総合的に評価し、医師が判断します。そのため、誰でもすぐに使用できる治療ではありませんが、適応となる患者さんには有効な治療選択肢の一つです。
Q5(2)
生物学的製剤と関連した話として、新たな治療法も進んでいると思いますが、2025年のノーベル生理学・医学賞は制御性T細胞に関する研究に授与されました。この制御性T細胞に関連する研究は、今後の新たな治療法の開発につながるのでしょうか。
A5(2)
制御性T細胞に関する研究は、免疫が過剰に働いてしまうのを抑える仕組みの理解を大きく進め、アレルギーや自己免疫疾患など多くの分野で重要な基盤になっています。近年は、免疫の仕組みを標的とした治療(生物学的製剤など)がアレルギー疾患だけでなく、がん治療を含む幅広い領域で活用されています。制御性T細胞の研究も、今後さらに発展し、新たな治療法の開発につながることが期待されます。
Q6
2025年の日照時間が多く花粉が増えたとのことですが、今後2026年や2027年にさらに日照時間が増えるようなことはあるのでしょうか。
A6
今の時点で長期的な見通しは明言できませんが、過去のデータを見ると2025年夏の日照時間が極端に多かったわけではないので、今後さらに日照時間が増えることはあると考えられます。それに伴って雄花の数が増え、花粉の飛散が多くなるというケースも想定されます。
Q7
一房に40万個の花粉が入っているとの話でしたが、県が進めている花粉の少ないスギはどれくらい花粉量が少なくなるのでしょうか。
A7
花粉の少ないスギ品種は、一般のスギに比べて花粉生産量は1%以下とされています。本県で生産している種子は自然交配のため、親木は1%以下でも、種子から育った苗木が全て1%以下という訳ではありません。それでも一般のスギに比べて花粉生産量は少なくなると考えています。
Q8
カンボジアでは花粉があってもアレルギーが少ないと聞きました。日本でも免疫環境を変えれば花粉症は減るのでしょうか。また、そのような治療はありますか。
A8
アレルギーの発症には、遺伝的要因に加えて生活環境や感染症への曝露などが関係していると考えられています。衛生環境の改善により感染症が減ったことが、アレルギー増加の一因ではないかという「衛生仮説」も提唱されていますが、アレルギーの発症は単純に感染症の有無だけで決まるものではなく、生活様式や環境の変化など複数の要因が関係しています。
カンボジアではアレルギーが少ない一方で、感染症など別の健康問題が存在しており、単純に免疫環境を再現すればよいというものではありません。衛生環境を保ちながらアレルギーを予防する方法については現在も研究が進められています。
例えば、アレルゲン免疫療法のように、少量のアレルゲンを用いて免疫の反応を調整する治療はすでに実用化されています。今後も免疫の働きを調整する新しい予防法や治療法の研究が進むことが期待されています。
Q9
花粉の少ないスギへの植え替えの取組について伺いたいです。
A9
県では、花粉の少ないスギ苗木を安定的に供給するとともに、伐採後の木材の活用方法も検討しています。「伐る」と「使う」の両輪で対策を進め、全てを伐採すればよいという訳ではなく、消費者の理解も得ながら、自然環境と林業の両立を考えつつ、植え替えを進めていきたいと考えています。
Q10(1)
長年花粉症で悩んでいます。花粉症が発症する前に薬を飲んだ方が良いとよく言われますが、薬の飲み始めと飲み終わりをいつにしたらよいのでしょうか。具体的には花粉が飛ぶどれくらい前から飲み始めるのがよいのでしょうか。薬を飲む期間を最短にしたいと考えています。
A10(1)
花粉が飛び始める前から薬を服用する「初期療法」は、症状を軽くする効果があることが知られており、一般的には飛散開始の1~2週間前から開始することが推奨されています。飛散開始時期は、気象情報などで発表される花粉予測を参考にするとよいでしょう。
飲み終わりの時期については、スギ花粉の飛散が終わる頃にヒノキ花粉の飛散が始まるなど、原因となる花粉の種類によって異なります。また、症状の程度にも個人差があります。症状が落ち着いていれば減量や中止を検討できますので、服薬期間については医師と相談しながら調整していくことが大切です。
Q10(2)
薬を飲み続けることによる弊害はないのでしょうか。スギ、ヒノキ、ブタクサなど複数の花粉症があり、1年のうち薬を飲まない時期が少ない状態です。
A10(2)
抗アレルギー薬の多くは比較的安全性が高く、長期間使用できる薬もありますが、眠気や口の渇きなどの副作用が出ることがあります。また、薬の種類によっては体質や生活状況に応じて注意が必要な場合もあります。
一方、内服のステロイド薬はアレルギー症状に対して強い効果がありますが、長期間の使用は副作用のリスクがあるため、花粉症に対して継続的な使用は推奨されません。
症状が長期間続く場合は、薬の種類の調整や他の治療法の検討が可能ですので、医師と相談しながら自分に合った治療を続けることが大切です。
Q10(3)
今年の天候では具体的にいつ頃から薬を飲み始めればよいでしょうか。
A10(3)
飛散開始は2月中旬からの予想となっていますが、2月初めから寒さが和らぐ日も出てきそうです。そのタイミングでわずかな量の花粉が飛ぶ可能性はあると思います。飛散開始が2月中旬とすると、その1~2週間前として、1月末~2月初めのタイミングで飲み始めるのが良いと思われます。
Q11
1月以降全く雨が降らず乾燥しており、県内でも山火事が発生していますが、この状態は異常気象と理解してよいでしょうか。
A11
はい。雨や雪が全く降らない無降水日数というものがありますが、1月末時点で前橋では30日程度連続しており、統計を開始してから最長の異常な状態です。過去の事例を調べると、冬場の県南部にまとまった雨や雪をもたらすのは南岸低気圧が要因であることがほとんどです。ただ、今年はその発生が少なくなっています。また、地域ごとの差が極端で、日本海側では降水量が平年の2倍以上の所もあります。温暖化が進むとこのような極端な現象が起こりやすくなると言われています。なお、この後2月も同様に雨や雪が少ない状態が続くと予想されています。








