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【9月10日】東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する廃棄物処理法に基づく調査結果及び関係者に対する行政処分について(廃棄物・リサイクル課、環境保全課)

更新日:2020年9月10日 印刷ページ表示

 東邦亜鉛株式会社(東京都千代田区丸の内一丁目8番2号。以下「東邦亜鉛」という。)の安中製錬所(以下「安中製錬所」という。)の亜鉛の生産・製造工程において発生する非鉄スラグ(以下「非鉄スラグ」という。)が、路盤材原料として出荷され、建設資材として使用されたことについて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づき調査を行ってきたところ、その結果は次のとおりです。
 また、調査の結果に基づき、関係者に対する行政処分を行いました。

1 調査等の経過

(1)立入検査(廃棄物処理法第19条第1項)

 平成30年5月10日 東邦亜鉛
 平成30年5月10日 有限会社岡田興業(群馬県高崎市箕郷町松之沢32番地の1。以下「岡田興業」という。)
 平成30年5月10日 株式会社岡田工務店(群馬県高崎市箕郷町矢原1062番地79。以下「岡田工務店」という。)
 平成30年6月29日 株式会社大野工業(群馬県前橋市横沢町906番地7。以下「大野工業」という。)
 平成30年7月24日 石井商事株式会社(埼玉県八潮市鶴ヶ曽根943番地。以下「石井商事」という。)

(2)報告の徴収(廃棄物処理法第18条第1項)

 平成30年11月5日 東邦亜鉛、石井商事、岡田工務店

(3)行政指導

 平成30年10月17日 東邦亜鉛に対し、非鉄スラグを路盤材及び敷砂利として使用しないよう指示
 平成31年 1月 4日 県建設業協会及び県再生骨材協会に対し、有害物質を含有する建設資材が工事に使用されることがないよう周知を依頼
 令和 元年 5月31日 東邦亜鉛に対し、非鉄スラグのリスクについての注意喚起とともに、住民等からの問い合わせ窓口を設置し、速やかにその旨を周知広報することを指示
 令和 元年10月 1日 東邦亜鉛に対し、「調査の加速化」「使用箇所への対応措置の早急な実施」「周知広報の徹底」を改めて指示
 令和 2年 2月 5日 東邦亜鉛に対し、令和元年10月の指示内容を重ねて指示

2 廃棄物該当性の調査結果(別紙1参照)

 非鉄スラグは、路盤材など土壌と接する方法で使用した場合、鉛や砒素による土壌汚染の可能性があり、また、関係者の間で逆有償取引が行われていた。
 物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すると、平成26年6月から平成28年3月(以下「認定期間」という。)において、東邦亜鉛が石井商事又は岡田興業に安中製錬所で引き渡した時点における路盤材原料向け非鉄スラグは、廃棄物と認められる。

3 産業廃棄物処理業者に対する行政処分等(別紙2参照)

 2の調査結果に基づき、群馬県知事が産業廃棄物処理業等を許可した東邦亜鉛、石井商事及び岡田工務店に対して、別紙2のとおり、行政処分を行った。
 また、東邦亜鉛から路盤材原料向け非鉄スラグを受け入れた岡田興業及び大野工業を所管する高崎市長及び前橋市長、鉄源・建材用原料(遮音材)向け非鉄スラグを受け入れている石井商事を所管する埼玉県知事に対して、2の調査結果等について情報提供するとともに、行政処分の結果を通知した。

4 非鉄スラグの使用箇所の解明及び対応措置等の状況(別紙3参照)

(1)安中製錬所から搬出された非鉄スラグの使用が確認された箇所は、別紙3のとおり公共工事で1箇所、民間工事で103箇所である。
(2)これまでの調査の結果では、使用箇所における建設資材から土壌環境基準又は土壌汚染対策法の指定基準(以下「土壌環境基準等」という。)に相当する値を超過する有害物質が検出された箇所はあるが、土壌汚染は確認されていない。
(3)県では、東邦亜鉛に対して、引き続き使用箇所の全容解明に当たるとともに、判明した使用箇所における環境調査の加速化と結果の報告、及び生活環境の保全上支障が生じないよう必要な措置を指示した。
(4)これを受けて、東邦亜鉛は別紙3のとおり、非鉄スラグの使用が確認された104箇所全てにおいて対応措置を講じているところである。

5 今後の対応

  1. 今後とも非鉄スラグの使用箇所の解明を進め、新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
  2. 判明した使用箇所は全て県がリスト化し、今後も継続して、地下水概況調査の中で、環境への影響について監視を行っていく。
  3. 東邦亜鉛に対しては、使用箇所における必要な措置を早期に完了させるよう引き続き指導を行う。

別紙1 廃棄物該当性の調査結果

1 非鉄スラグの取扱い

  1. 非鉄スラグは、東邦亜鉛が安中製錬所にロータリーキルンを導入した昭和56年以降、亜鉛の生産・製造工程において副産物として発生している。
  2. 東邦亜鉛は、非鉄スラグを、鉄源・建材用原料、路盤材原料等として出荷する一方、セメント原料として廃棄物処理していた。

2 非鉄スラグの性状

  1. 非鉄スラグには、亜鉛鉱石に由来する鉛や砒素が含まれている。
  2. 東邦亜鉛は、平成27年9月まで、非鉄スラグに含まれる有害物質が土壌環境基準等に相当する値を超過するかどうかについて、計量証明事業者による試験を行っていなかった。
  3. 同年10月以降、計量証明事業者に依頼して実施した試験では、鉛や砒素の溶出量・含有量が土壌環境基準等に相当する値を超過することがあった。
  4. 県が、安中製錬所の非鉄スラグを検査した結果、鉛の溶出量・含有量や砒素の溶出量が、土壌環境基準等に相当する値を超過していた。
  5. 路盤材原料向け非鉄スラグが使用された複数の箇所で採取した試料についても、鉛や砒素の溶出量・含有量が、土壌環境基準等に相当する値を超過していることが確認されている。
  6. 以上から、鉛や砒素が土壌環境基準等に相当する値を超過する性状である非鉄スラグは、路盤材など土壌と接する方法で使用した場合、鉛や砒素による土壌汚染の可能性があり、土壌汚染対策法の規制にかかるおそれや生活環境の保全上支障が生ずるおそれがある。

3 非鉄スラグの取引

  1. 東邦亜鉛は、平成18年6月、岡田興業及び大野工業と路盤材原料向け非鉄スラグの取引について契約を締結し、岡田興業に対しては平成28年3月まで、大野工業に対しては平成27年12月まで出荷していた。なお、平成28年4月以降、路盤材原料向け非鉄スラグの出荷は行われていない。
  2. 東邦亜鉛は、平成18年6月、石井商事と路盤材原料向け非鉄スラグの運搬について契約を締結し、安中製錬所から岡田興業構内及び大野工業構内への運搬は石井商事が行っていた。なお、平成27年7月から同年10月までの間は、岡田興業が自社の構内まで運搬した。
  3. 路盤材原料向け非鉄スラグは、岡田興業及び大野工業に運ばれた後、敷砂利等の建設資材として使用された。
  4. 東邦亜鉛は、平成9年3月、石井商事と鉄源・建材用原料向け非鉄スラグの取引について契約を締結し、鉄源・建材用原料向け非鉄スラグは、現在も石井商事の八潮工場に出荷され、鉄源や建材用原料として使用されている。
  5. また、安中製錬所から石井商事の八潮工場までの鉄源・建材用原料向け非鉄スラグの運搬は、石井商事が行っている。

4 非鉄スラグの取引に係る金銭の流れ(図1及び図2参照)

  1. 路盤材原料向け非鉄スラグの代金は、取引量1トン当たり500円(消費税抜き。以下同じ。)であるが、岡田興業及び大野工業は、取引量1トン当たり1,000円の販売促進費を石井商事から受け取っていた。
  2. 石井商事から岡田興業に支払われた販売促進費は、岡田工務店を経由しており、岡田工務店は取引量1トン当たり100円を受け取っていた。
  3. 一方、鉄源・建材用原料向け非鉄スラグの代金は、取引量1トン当たり300円又は600円であるが、東邦亜鉛は、運賃補助として、取引量1トン当たり4,400円又は6,400円を石井商事に支払っていた。
  4. 東邦亜鉛は、岡田興業、大野工業及び石井商事から非鉄スラグの代金を受け取る一方、これを上回る運賃補助等を石井商事に支払っており、路盤材原料向け非鉄スラグ及び鉄源・建材用原料向け非鉄スラグに係る一連の取引は、いわゆる逆有償取引であった。

5 認定期間及び取引量

  1. 今回の調査において非鉄スラグの取引量やその代金等が関係資料等により確認できた期間は、平成26年6月から平成28年3月までであり、この期間における路盤材原料向け非鉄スラグ及び鉄源・建材用原料向け非鉄スラグの取引量は次のとおりである。
認定期間及び取引量
用途 出荷先 期間 取引量
路盤材原料向け 岡田興業 平成26年9月~
平成28年3月
16,323トン
大野工業 平成26年6月~
平成27年12月
7,351トン
小計 23,674トン
鉄源・建材用原料向け 石井商事 平成26年6月~
平成28年3月
47,172トン
合計 70,846トン

図1東邦亜鉛と岡田興業との取引(平成26年9月~平成28年3月)
図2東邦亜鉛と岡野工業との取引(平成26年6月~平成27年12月)

別紙2 産業廃棄物処理業者に対する行政処分

処分対象者1

処分対象者1
事業者の名称
及び所在
東邦亜鉛株式会社 代表取締役 丸崎 公康
東京都千代田区丸の内一丁目8番2号
許可の番号 第01020007220号
第01070007220号
群馬県第282-1号
群馬県第359-0号
処分の年月日 令和2年9月10日
処分の内容 産業廃棄物処分業の停止90日間
特別管理産業廃棄物処分業の停止90日間
産業廃棄物処理施設(焼却施設、最終処分場)の使用停止90日間
(停止期間:令和2年9月11日から同年12月9日まで)
処分理由 東邦亜鉛は、廃棄物処理法第12条第5項及び同条第6項の規定に違反して産業廃棄物の運搬及び処分を委託した。
この行為は、廃棄物処理法第14条の3第1号、第14条の6及び第15条の2の7第3号に該当する。

処分対象者2

処分対象者2
事業者の名称
及び所在
石井商事株式会社 代表取締役 石井 正明
埼玉県八潮市鶴ヶ曽根943番地
許可の番号 第01000020703号
処分の年月日 令和2年9月10日
処分の内容 産業廃棄物収集運搬業の停止10日間
(停止期間:令和2年9月11日から同月20日まで)
処分理由 石井商事は、東邦亜鉛が違反行為(廃棄物処理法第12条第5項及び同条第6項違反)をすることを助けた。
この行為は、廃棄物処理法第14条の3第1号に該当する。

処分対象者3

処分対象者3
事業者の名称
及び所在
株式会社岡田工務店 代表取締役 岡田 光正
群馬県高崎市箕郷町矢原1062番地79
許可の番号 第01000017595号
処分の年月日 令和2年9月10日
処分の内容 産業廃棄物収集運搬業の停止10日間
(停止期間:令和2年9月11日から同月20日まで)
処分理由 岡田工務店は、東邦亜鉛が違反行為(廃棄物処理法第12条第5項及び同条第6項違反)をすることを助けた。
この行為は、廃棄物処理法第14条の3第1号に該当する。

別紙2-2 処分対象者の違反行為の概要

処分対象者の違反行為の概要
処分対象者 主な違反行為
東邦亜鉛 【廃棄物処理法第12条第5項】
1 無許可の岡田興業に運搬を委託した。
【廃棄物処理法第12条第6項】
2 石井商事に、法定記載事項を満たさない契約書で運搬を委託した。
3 事業の範囲に鉱さいを含まない岡田興業・大野工業に、処分を委託した。
石井商事 4 1に関し、東邦亜鉛から運賃を受け取り、岡田工務店を経由して岡田興業に支払うことで、東邦亜鉛の違反行為を助けた。
5 2に関し、東邦亜鉛から運賃を受け取り、岡田興業・大野工業まで運搬することで、東邦亜鉛の違反行為を助けた。
6 3に関し、処理費に相当する金銭(販売促進費)を、岡田興業・大野工業に支払うことで、東邦亜鉛の違反行為を助けた。
岡田工務店 7 1に関し、石井商事から運賃を受け取り、岡田興業に支払うことで、東邦亜鉛の違反行為を助けた。
8 3に関し、処理費に相当する金銭(販売促進費)を石井商事から受け取り、岡田興業に支払うことで、東邦亜鉛の違反行為を助けた。

別紙3 非鉄スラグの使用箇所の解明及び対応措置等の状況

令和2年7月末時点

1.使用箇所数

(1)公共工事

公共工事一覧
工事実施主体 使用箇所等の数  
うち環境調査
実施箇所数
 
うち土壌環境基準等の超過箇所数
令和2年4月
末時点
新規
判明
令和2年4月
末時点
今回 非鉄スラグ 土壌
令和2年4月
末時点
今回 令和2年4月
末時点
今回
榛東村 1箇所 1箇所 0 1箇所 1箇所 0       0 0 0
1箇所 1箇所 0 1箇所 1箇所 0       0 0 0

(注)本表は、令和2年7月末時点の工事実施主体からの報告を整理したものである。

(2)民間工事

民間工事一覧
工事実施主体 使用箇所等の数  
うち環境調査
実施箇所数
 
うち土壌環境基準等の超過箇所数
令和2年4月
末時点
新規
判明
令和2年4月
末時点
今回 非鉄スラグ 土壌
令和2年4月
末時点
今回 令和2年4月
末時点
今回
民間工事 103箇所 91箇所 12箇所 89箇所 82箇所 7箇所 82箇所 75箇所 7箇所 0 0 0

(注)本表は、令和2年7月末時点の東邦亜鉛からの報告を整理したものである。

2.対応措置等の状況

対応措置一覧
工事
実施主体
使用箇所等の数  
当初の状況 対応措置
露出 盛土・舗装 撤去 盛土・舗装 立入禁止 注意喚起
榛東村 1箇所 1箇所 0 1箇所 0 0 0
民間工事 103箇所 103箇所 0 73箇所 0 11箇所 19箇所
104箇所 104箇所 0 74箇所 0 11箇所 19箇所

(注1)「立入禁止」及び「注意喚起」を講じた使用箇所には、撤去工事中の箇所も含まれる。
(注2)「注意喚起」は、撤去が完了するまでの当面の措置として住宅等の所有者に対して行うよう、東邦亜鉛に指示した。

非鉄スラグに関する問い合わせ先

 廃棄物・リサイクル課 産業廃棄物係
 電話 027-226-2861
 メール sanpai@pref.gunma.lg.jp
 環境保全課 放射線・土壌環境係
 電話 027-226-2833
 メール kanhozen@pref.gunma.lg.jp