ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 報道提供資料 > 【2月27日】鴻池運輸株式会社不当労働行為救済申立事件(令和元年(不)第1号)命令書の交付について(労働委員会事務局)

本文

【2月27日】鴻池運輸株式会社不当労働行為救済申立事件(令和元年(不)第1号)命令書の交付について(労働委員会事務局)

更新日:2020年2月27日 印刷ページ表示

 群馬県労働委員会は、令和2年2月26日、標記事件に関する申立ての棄却を内容とする命令書を当事者に交付しました。その概要は以下のとおりです。

1 当事者

  1. 申立人:全労連・全国一般群馬労働組合(前橋市本町)(以下「組合」という。)
  2. 被申立人:鴻池運輸株式会社(大阪府大阪市中央区)(以下「会社」という。)

2 事案の概要

 会社の東北仙台営業所で勤務していたAは、会社を平成29年7月30日に退職した後、組合に加入しました。その後、組合は、Aが会社に在職していた当時の未払時間外手当やパワーハラスメントを交渉事項として、平成30年12月22日に会社に団体交渉申入れを行いましたが、会社は、「現に雇用関係にない労働者の労働条件に関する団体交渉には応じる義務はない」として、これに応じませんでした。
そこで、当該団体交渉の拒否が労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、令和元年5月15日に組合から救済申立てがあったものです。

3 判断の要旨

 労働組合法第7条第2号の「使用者が雇用する労働者」とは、原則として現に使用者に雇用されている労働者を意味しています。
 しかし、労使間に生じる問題は様々であることから、雇用関係終了後であっても、社会通念上合理的といえる期間内に団体交渉が申し入れられたという場合は、退職者を「使用者が雇用する労働者」と認める余地があります。
 一方で、Aが会社に対し適宜時間外手当に関する請求をしていなかったこと、Aがパワーハラスメントの行為者Bから既に反省文を受け取っていること、及び、Bが不起訴処分になっていたこと等からすると、本件団交申入れ時点においては、既に団体交渉で解決すべき紛争は存在せず、団体交渉に応じる必要がないと会社が認識していたとしてもやむを得ない客観的状況が存在していたといえます。
 以上から、仮に組合員Aが「使用者が雇用する労働者」に当たるとしても、本件団体交渉が現に雇用関係にない労働者の労働条件についてなされたことを理由に会社がこれを拒んだことには、正当な理由がなかったとはいえないので、労働組合法第7条第2号の不当労働行為には該当しないと判断しました。

4 主文の内容

 本件申立てを棄却します。

参考

1 不当労働行為とは

 不当労働行為救済制度は、憲法で保障された団結権等の実効性を確保するために、労働組合法に定められている制度です。労働組合法第7条では、使用者の労働組合や労働者に対する次のような行為を「不当労働行為」として禁止しています。

不当労働行為として禁止される行為

(1)組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(第1号)

労働者が、

  • 労働組合の組合員であること
  • 労働組合に加入しようとしたこと
  • 労働組合を結成しようとしたこと
  • 労働組合の正当な行為をしたこと

を理由に、労働者を解雇したり、その他の不利益な取扱いをすること。
労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること。

(2)正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止(第2号)

 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由なく拒むこと。
 使用者が形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(「不誠実団交」)も、これに含まれる。

(3)労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止(第3号)
  • 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配し、又はこれに介入すること。
  • 労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること。
(4)労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱いの禁止(第4号)

2 再審査の申立て期間

 命令書が交付された日の翌日から起算して15日以内に中央労働委員会に再審査の申立てができます。

3 取消訴訟の出訴期間

  1. 使用者の場合は、命令書が交付された日の翌日から起算して30日以内
  2. 組合の場合は、命令書が交付された日の翌日から起算して6か月以内