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国の文化審議会(会長 佐藤 信(さとう まこと))は、令和2年3月19日(木曜日)に開催される同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに133件の建造物を登録するよう文部科学大臣に答申を行いました。
この133件の中には、本県所在の下記の建造物1件が含まれています。
この結果、後日の官報告示を経て、全国の登録有形文化財(建造物)は、12,692件、本県の登録有形文化財(建造物)は337件(130箇所)となる予定です。
1件(1箇所)
旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)(きゅうぐんなんむらやくばちょうしゃ(たかさきしれきしみんぞくしりょうかん))
1棟(高崎市上滝町1058)
名称 | 員数 | 構造、形式及び大きさ | 建築年代 | 登録基準 |
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旧群南村役場庁舎 (高崎市歴史民俗資料館) |
1棟 | 木造2階建。寄棟造。桟瓦葺。建築面積452平方メートル | 昭和33年(1958)築/昭和43年(1968)増築/昭和53年(1978)改修 | (1) |
※登録有形文化財(建造物)登録基準
(平成8年8月30日文部省告示第152号、改正 平成17年3月28日文部科学省告示第44号)
建築物、土木構造物及びその他の工作物(重要文化財及び文化財保護法第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)のうち、原則として建設後50年を経過し、かつ、次の各号の一に該当するもの。
高崎市(高崎市高松町35-1)
高崎市上滝町1058
(高崎市歴史民俗資料館 電話:027-352-1261)
旧群南村役場庁舎(高崎市歴史民俗資料館)は、高崎市東部の利根川と井野川に挟まれた平野部に位置し、現在の関越自動車道と北関東自動車道のジャンクションの西側に所在する。
群南村は、群馬郡に所在した自治体で、昭和31年(1956)に京ヶ島村と滝川村が合併して誕生した。その後、昭和40(1965)年に高崎市と合併し、市の一部となった。
当初の群南村役場は旧京ヶ島村役場(現高崎市島野町)を使用していたが、昭和33年(1958)に現在の高崎市上滝町に庁舎(今回登録対象)を新築し、高崎市と合併した昭和40年まで役場庁舎として使用された。建物は、高崎市と合併してから高崎市群南支所及び公民館として使用され、昭和53年(1978)からは高崎市歴史民俗資料館となり、現在に至る。
旧群南村役場庁舎の建築は工事請負契約書によると、昭和33年(1958)4月5日に着工し、同年6月23日に竣工した。施工は地元高崎市の信澤工業株式会社で、設計も同社の深沢春雄である。昭和43年(1968)に1階北東部の張出の一部を増築し、昭和53年(1978)に一部を除いて木製の窓枠をアルミサッシに替えている。
当建造物は、東西に長い木造の総2階建であり、北東部に平屋が張り出している。建築面積は451.65平方メートル(1階床面積451.65平方メートル、2階床面積324.38平方メートル 延べ床面積776.03平方メートル)である。南面のやや東寄りに玄関が付く。外壁はモルタル塗りリシン仕上げであり、玄関ポーチの壁はレンガ積みとなっている。また、屋根は寄棟であり、桟瓦葺きである。これら外観は建築当初の仕様を保っている。
現在の館内は1階に事務室や展示室、体験室などがあり、2階はすべて展示室となっている。役場庁舎時代は、1階が事務室や村長室など、2階が議場など村議会関連の部屋として使われていた。床や壁、天井などの内装は、役場庁舎時代の仕上げが多く残されており、アルミサッシを除くと外観も含めて残りがよい。
当建造物は、鉄筋コンクリート造の役場庁舎や学校建物が建てられ始めた時期にもかかわらず、木造で建築されている。現在では、木造の庁舎で現存するものは県内でも少なく、改修の少ないことも含めて貴重な存在であり、木造役場庁舎の様相を伝える好例として、今回、登録有形文化財(建造物)に登録となる見込である。
旧群南村役場庁舎 外観
旧群南村役場庁舎 1階廊下・階段
旧群南村役場庁舎 1階展示室(いろりの部屋)
旧群南村役場庁舎 2階廊下
旧群南村役場庁舎 2階展示室(音の教室)
旧群南村役場庁舎 2階展示室(高崎城甍の間)