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令和6年度全国学力・学習状況調査結果分析資料(義務教育課)

更新日:2024年7月29日 印刷ページ表示

1 調査対象(令和6年4月18日実施)

調査対象一覧
  対象学校数 児童生徒数
小学校(第6学年) 304校 約14,300人
中学校(第3学年) 157校 約14,700人

2 教科に関する調査

(1)平均正答率

平均正答率小学校
  平均正答率(%)
本年度 令和5年度 令和4年度 令和3年度
国語 本県 67 67 66 65
全国 67.7 67.2 65.6 64.7
算数 本県 62 61 62 69
全国 63.4 62.5 63.2 70.2
平均正答率中学校
  平均正答率(%)
本年度 令和5年度 令和4年度 令和3年度
国語 本県 59 71 70 66
全国 58.1 69.8 69.0 64.6
数学 本県 53 51 52 58
全国 52.5 51.0 51.4 57.2

※各年度の平均正答率は、文部科学省が公表した数値を示している。

(2)全体的な傾向

全体的な傾向小学校
国語  「読むこと」の領域における平均正答率は全国平均を上回った。文学的な文章の精査・解釈に関わる設問において成果が見られた。一方で、目的や意図に応じて、伝え合う内容を検討したり、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫したりすることに関わる設問で課題が見られた。
算数  実施対象となった4つの領域の平均正答率全てで全国平均を下回った。円柱の展開図の理解に関わる設問で全国平均と同程度であった。一方で、問題場面を式で表すための演算決定や速さの意味の理解など、知識・技能に関わる設問で課題が見られた。
全体的な傾向中学校
国語  「書くこと」と「読むこと」の領域における平均正答率は全国平均を上回った。物語を創作する場面において、自分の考えが伝わる文章になるように工夫することに関わる設問で成果が見られた。一方で、話合いの展開を捉えながら、他者の発言と結び付けて考えをまとめることに関わる設問で課題が見られた。

数学

 「図形領域」と「関数領域」の平均正答率で全国平均を上回った。回転移動したときに対応する点を見いだしたりグラフを事象に即して読み取ったりする設問などで成果が見られた。一方で、「統計領域」における用語への理解や問題解決の方法を数学的に説明することに課題が見られた。

 <その他>

 無回答率については、小中学校ともにほぼ全ての設問で全国平均より低くなっている。

(3)現中学校3年生の小学校6年生当時(令和3年度)の調査結果との比較

○国語は、全国平均を上回る領域が、小学校6年生当時は3つ中1つであったが、現中学校3年生になり3つ中2つに増加した。特に、「読むこと」の領域について、6年生当時では全国比-1.7であったが、現中学校3年生では+1.1となった。
○算数・数学は、小学校6年生当時は全ての領域で全国平均より下回っていたが、現中学校3年生になり4つ中2つの領域で全国平均を上回った。特に、「図形領域」について、6年生当時では全国比-1.9であったが、現中学校3年生では+0.2となった。

(4)全国の平均正答率との比較

○各教科で全国平均と比較し、上回った中の上位2項目、下回った中の下位2項目を表に記載する。

全国の平均正答率との比較小学校
教科 分類

正答率

(全国比較)

設問 出題の趣旨
国語 上位 75.5%(+2.9) 3三

・人物像や物語の全体像を具体的に想像したり、表現の効果を考えたりすることができる

64.2%(+1.9)

3一

・文の中における主語と述語との関係を捉えることができる
下位 54.2%(-2.4) 2二 ・目的や意図に応じて、事実と感想、意見とを区別して書くなど、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫することができる
61.2%(-2.6) 1三 ・目的や意図に応じて、集めた材料を分類したり関係付けたりして、伝え合う内容を検討することができる
算数 上位 71.3%(0.0) 3(2) ・直径の長さ、円周の長さ、円周率の関係について理解している
下位 58.3%(-3.8) 1(1) ・問題場面の数量の関係を捉え、式に表すことができる
49.7%(-4.4) 4(4) ・速さの意味について理解している
全国の平均正答率との比較中学校
教科 分類

正答率

(全国比較)

設問 出題の趣旨
国語 上位 53.8%(+4.5) 3四 ・表現の効果を考えて描写するなど、自分の考えが伝わる文章になるように工夫することができる
71.8%(+3.0) 3三 ・文脈に即して漢字を正しく書くことができる
下位 62.6%(-0.6) 1一 ・必要に応じて質問しながら話の内容を捉えることができる

67.9%

(-0.6)

1二 ・資料を用いて、自分の考えが分かりやすく伝わるように話すことができる

44.0%

(-0.7)

1四 ・話合いの話題や展開を捉えながら、他者の発言と結び付けて自分の考えをまとめることができる
数学 上位 70.0%(+1.7) 3 ・回転移動について理解している
78.4%(+1.5) 8(3) ・グラフの傾きや交点の意味を事象に即して解釈することができる
下位 16.1%(-1.0) 8(2) ・事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明することができる
72.9%(-1.4) 7(1) ・与えられたデータから最頻値を求めることができる

3 質問紙による調査

(1)全体的な傾向

 全国的に課題である将来の夢や目標の有無、自己肯定感に対して、本県の多くの子どもたちは肯定的に回答している。また、ICT機器を活用しながら課題解決に向けて自ら考え、友達と意見交流し、学びを深める活動が多く行われている。一方で、教職員の学校外で行われる研修への参加状況に課題が見られる。

(2)児童生徒質問紙(全国平均と比較して特徴の見られるもの ※【  】全国比較

<小中学校共通>

  • 今までに受けた授業で、自分の考えを発表する機会では、自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫して発表した。【小+6.8、中+5.5】
  • 将来の夢や目標を持っている。【小+2.8、中+2.7】
  • 自分には、よいところがあると思う。【小+2.6、中+1.5】
  • 困りごとや不安がある時に、先生や学校にいる大人にいつでも相談できる。【小-1.5、中-6.0】
  • 学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たり2時間以上、勉強をしている。【小-4.0、中-0.7】

<小中学校共通 (ICT活用に関わる設問)>

 今までに受けた授業で、PC・タブレットなどのICT機器を、週3回以上使用している。【小+3.8、中+9.6】

<小学校>

  • 総合的な学習の時間では、自分で課題を立てて情報を集め整理して、調べたことを発表するなどの学習活動に取り組んでいる。【+3.2】
  • 健康にすごすために、授業で学習したことや保健室の先生などから教えられたことを、普段の生活に役立てている。【+2.9】
  • 自分と違う意見について考えるのは楽しいと思う。【+2.2】

<中学校>

  • 1、2年生のときに受けた授業では、スピーチやプレゼンテーションなど、まとまった内容を英語で発表する活動が行われていた。【+2.7】
  • 人が困っているときは、進んで助けている。【+1.0】

(3) 学校質問紙(全国平均と比較して特徴の見られるもの)※【  】全国比較

<小中学校共通>

  • 校内研修の計画立案・その他の研修に関する業務は、研修主事、研修主任、研究主任が担当している。【小+9.2、中+11.6】
  • 授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組むことができている。【小+1.9、中+5.2】
  • 授業において、自らの考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫して、発言や発表を行うことができている。【小+2.7、中+9.0】
  • 個々の教員が自らの専門性を高めるため、校外の各教科等の教育に関する研究会等に定期的・継続的に参加している。(オンラインでの参加を含む)【小-12.0、中-4.5】

<小中学校共通(ICT活用に関わる設問)>

  • 前年度までに、児童(生徒)一人一人に配備されたPC・タブレットなどのICT機器を、授業で週3回以上使用させた。【小+2.5、中+7.2】
  • 教職員と家庭との間で連絡を取り合う場面で、コンピュータなどのICT機器を活用している。【小+5.9、中+13.1】
  • 児童(生徒)一人一人に配備されたPC・タブレットなどの端末を、毎日持ち帰って、ほぼ毎日家庭で利用させている。【小+8.8、中+19.5】

<小学校>

  • スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる教育相談に関して、児童が相談したい時に相談できる体制となっている。【+4.1】
  • 児童に対する理科の授業において、前年度までに、実生活における事象との関連を図った授業を行った。【+2.6】
  • 調査対象学年の児童は、学級やグループでの話合いなどの活動で、自分の考えを相手にしっかりと伝えることができている。【+2.0】

<中学校>

  • 前年度に、職場体験活動を1日以上行った。【+14.1】
  • 教員がコンピュータなどのICT機器の使い方を学ぶために必要な研修機会がある。【+6.7】
  • 前年度までに、各教科等で身に付けたことを、様々な課題の解決に生かすことができるような機会を設けた。【+6.1】

4 今後の取組

 以下の通り、市町村教育委員会、小中学校長会等と連携して、授業改善や生徒指導の充実に取り組んでいく。

<県教育委員会>

群馬県教育ビジョン(第4期群馬県教育振興基本計画)の具現化に向けた取組の推進

 令和5年度末に作成したリーフレット「エ―ジェンシーを発揮する「自律した学習者」へ」を周知・普及し、能動的で他者と協働した学びを推進する。また、「各教科等授業改善プロジェクト」の授業改善推進校(16校)において、エージェンシーを発揮して児童生徒が自律的に学ぶ中で各教科等の目標に迫る授業の具現化に向けた実践研究を行う。その周知に向けては、小中学校教員や教育行政関係者対象の公開授業を参集とオンラインのハイブリッドにより開催するとともに、授業のハイライト動画を作成し、配信する。

質問紙調査分析部会の設置

 分析委員会に質問紙調査分析部会を設置し、児童生徒質問紙及び学校質問紙調査における結果から、本県の成果・課題を捉え、今後の生徒指導に係る分析を行う。

「全国学力・学習状況調査を活用した授業改善説明会」のオンライン配信

 全国学力・学習状況調査の分析結果を各学校の改善・充実に生かすため、分析委員会の各部会で作成した結果分析に基づいて、「全国学力・学習状況調査を活用した授業改善説明会」を開催する。県内の教職員や教育行政関係者を対象に、9月9日(中学校)、10日(小学校)の15時40分~16時40分に開催予定。国語、算数・数学、質問紙の部会ごとに15~20分で、授業改善や学校運営に関するポイントを説明する。校内研修全体会や教科部会、自己研修等で活用できるような時間を設定した。なお、分析委員会で作成した資料を各学校で有効に活用し、今後の授業改善に向けた対応策を具体的に検討していくよう促す。(義務教育課HPに掲載予定)

小中学校長会との連携

 小学校長会、中学校長会理事研修会等で「全国学力・学習状況調査を活用した授業改善説明会」の周知や、調査結果等の課題を踏まえた取組の検討を依頼する。

総合教育センターにおける教員向け研修の一層の充実

 各市町村教育委員会や、小学校長会、中学校長会理事研修会等を通じて、現在、総合教育センターにおいて実施している教職員向け研修を有効活用するよう周知するとともに、今日的な教育課題に対応した研修内容及び研修方法の充実を図る。

<市町村教育委員会>

 国から送付された各市町村の結果を、国や県全体の結果と比較するなどして、各市町村教育委員会の課題を明確にし、教育施策の改善に取り組む。

<学校>

  • 「全国学力・学習状況調査を活用した授業改善説明会」での内容を基に、これまでの自校の取組を検証し、校内学力向上委員会を核に組織的・継続的に授業改善等の充実に向けて取り組む。
  • 自校の結果と国や県全体、市町村の結果との比較、課題のある設問の分析、正答数分布の分析など、様々な面から調査結果を分析することにより、自校の課題を明らかにする。
  • 児童生徒一人一人の結果を示した個人票等を活用し、個々の児童生徒の学力の状況を把握し、日々の指導に生かす。

報道提供資料 (PDF:359KB)