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群馬県病院局では、4つの県立病院(心臓血管センター、がんセンター、精神医療センター、小児医療センター)において、患者さんが安心して安全な医療を受けられるよう、医療の安全を確保するための取組を行っています。
さらに、医療の透明性を高め、医療や県立病院に対する県民との信頼関係を築くことを目的に、毎年度、県立病院におけるヒヤリ・ハット事例等の発生状況について公表を行っています。
県立4病院全体の報告件数は4,236件(前年度比91件増加)で、レベル0~3aのヒヤリ・ハット事例が4,218件(前年度比97件増加)、レベル3b~5の医療事故が18件(前年度比6件減少)でした。レベル別の割合は、ヒヤリ・ハットが全体の99.6%を占めており、医療事故は0.4%でした。
引き続き、職員には些細なこと、軽微なことでも積極的に報告することを求め、事故等の実態や潜在的なリスクの把握に役立てていきます。
区分 | レベル | 4病院合計 | 心臓血管センター | がんセンター | 精神医療センター | 小児医療センター | ||||||||||
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令和4年度 | 令和3年度 | 増減 | 令和4年度 | 令和3年度 | 増減 | 令和4年度 | 令和3年度 | 増減 | 令和4年度 | 令和3年度 | 増減 | 令和4年度 | 令和3年度 | 増減 | ||
ヒヤリ・ハット 事例 |
0 | 1,277 | 1,207 | 70 | 131 | 148 | -17 | 293 | 307 | -14 | 539 | 400 | 139 | 314 | 352 | -38 |
1 | 1,940 | 1,838 | 102 | 605 | 569 | 36 | 664 | 629 | 35 | 305 | 228 | 77 | 366 | 412 | -46 | |
2 | 888 | 982 | -94 | 258 | 261 | -3 | 421 | 509 | -88 | 116 | 107 | 9 | 93 | 105 | -12 | |
3a | 113 | 94 | 19 | 20 | 14 | 6 | 31 | 23 | 8 | 28 | 19 | 9 | 34 | 38 | -4 | |
小計 | 4,218 | 4,121 | 97 | 1,014 | 992 | 22 | 1,409 | 1,468 | -59 | 988 | 754 | 234 | 807 | 907 | -100 | |
医療事故 | 3b | 17 | 24 | -7 | 1 | 4 | -3 | 13 | 15 | -2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 4 | -3 |
4a | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
4b | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
5 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
小計 | 18 | 24 | -6 | 1 | 4 | -3 | 14 | 15 | -1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 4 | -3 | |
合計 | 4,236 | 4,145 | 91 | 1,015 | 996 | 19 | 1,423 | 1,483 | -60 | 990 | 755 | 235 | 808 | 911 | -103 |
日常の診療過程で患者に影響を及ぼすことはないもの又は軽度な影響にとどまるが、医療従事者がヒヤリとしたり、ハッとした事例
疾病そのものではなく、医療に関わる場所で、医療の過程において患者に影響を及ぼした事象
医療行為や管理上の過失の有無を問わず、下記に掲げる場合を含む
区分 | レベル | 継続性 | 程度 | 内容 | 公表基準 | |
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重大事案(※注) | 重大事案以外 | |||||
ヒヤリ・ハット事例 | 0 | エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者等には実施されなかった | 包括公表 | |||
1 | なし | 患者等への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない) | 包括公表 | |||
2 | (一過性) | 軽度 | 処置や治療は行わなかった(観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた) | 包括公表 | ||
3a | (一過性) | 軽度 | 軽微な(簡単な)処置や治療を要した(消毒、湿布、鎮痛剤の投与など) | 包括公表 | ||
医療事故 | 3b | (一過性) | 中等度~高度 | 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など) | 包括公表 | |
4a | (永続的) | 軽度~中等度 | 永続的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない | 包括公表 | ||
4b | (永続的) | 中等度~高度 | 永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う | 個別公表 | 包括公表 | |
5 | 死亡 | 死亡(原疾患の自然経過によるものを除く) | 個別公表 | 包括公表 |
(※注)明らかに誤った医療行為が原因となって発生した場合など
対象事例について、当該年度1年分を一括して翌年度に公表する。
対象事例について、群馬県立病院医療事故等公表基準により個別に公表する。
内容 | 具体的事例 |
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与薬(内服・外用) | 薬の飲み忘れ、薬剤アレルギーの発症等 |
検査 | 薬の内服や食事を控える指示を患者が忘れ検査が遅れた、検査を受けずに帰宅した等 |
ドレーン・チューブ類の使用・管理 | 患者が自分でチューブ類を抜いた、点滴治療の際に血管の外に薬が漏れた等 |
観察 | 皮膚の損傷・発赤・床ずれ等を発見した、患者の暴力行為や器物損壊があった等 |
県立4病院では、ゼネラルリスクマネージャーを中心に、院内医療安全管理委員会や下部組織の各種委員会において事例分析や対策の立案を行い、日々、医療安全対策を実施しています。令和4年度の活動事例は次のとおりです。
ナースステーションにあるモニタ画面には、常時入院患者30~40名の心電図波形が映し出されており、心電図波形に異常があるとモニタ画面から発するアラームで知らせる仕組みとなっている。患者の状態変化にいち早く気付き、迅速に対応するために心電図モニタの観察は重要であるため、心電図モニタアラームの観察の強化を目指し月に一度病棟の見回り(ラウンド)を行った。
ラウンドには看護師・放射線技師・薬剤師・理学療法士等多職種が参加し、チェックリスト項目に基づきモニタの見方やアラームの適切な対応ができているか確認した。結果はリスクマネジメント委員会で共有するとともに、各部署の代表であるリスクマネージャーが所属に持ち帰ることで、心電図モニタアラーム発生時の迅速な対応に繋げている。
年度末に職員を対象とした「医療安全キャンペーン」を開催した。各部署で起きたエラーに対する取組について掲示したところ、Team STEPPS(R)という手法を取り入れてコミュニケーションエラーの改善に取り組む部署が多かった。院内リスクマネジメント委員会におけるWG (ワーキンググループ)では、1年間の取組内容のほか、新たに作成した「誤薬時対応マニュアル」について報告した。あわせて、医療安全推進週間に使用した患者向け動画「患加型医療について」も放映した。
様々な部署で検討・工夫した改善策を情報共有することで、エラー防止だけでなく、安全文化の醸成にも役立てている。
KYT(危険予知トレーニング)とは、まだ発生していないが、状況に潜んでいる、目には見えていない危険を察知する能力(=リスク感性)を高めるための訓練である。KYTを展開することで、リスク感性を高め、現場において、危険を予測し対処することで医療安全活動に役立てている。
各部署で実際にKYTを展開して、まとめたものを院内リスク委員会メンバーで共有した後、11月の医療安全推進週間を利用して掲示した。
安全な環境づくりとチーム医療の推進を目指し、医療安全文化を醸成するため、連携・コミュニケーション力の強化を目的としたTeam STEPPS(R)という手法の導入に取り組んだ。
コミュニケーションの基盤を築くため、「言い合える環境づくりをしよう」をテーマに掲げ、各部署で振り返りやカンファレンスの際にチェックリストを用いてスタッフ同士で気づきなどを共有する場を設け、「デブリーフィング(情報共有とフィードバック)」を行った。何でも言い合える環境が整い連携・コミュニケーションが円滑に行われることは、ヒヤリ・ハット事象の削減にも繋がるため、今後は他職種間や患者家族も含めてTeam STEPPS(R)コミュニケーションツールを活用していく。
県立病院における「安全で安心な医療の継続的な提供」及び「医療の質向上を図る人材育成」のため、その基礎となる医療安全に資する情報収集と分析手法を学ぶことを目的に、4病院合同での事例分析研修を実施している。