ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 報道提供資料 > 【10月24日】群労委令和5年(不)第1号株式会社JR東日本運輸サービス不当労働行為救済申立事件について命令書を交付しました。(労働委員会事務局管理課)

本文

【10月24日】群労委令和5年(不)第1号株式会社JR東日本運輸サービス不当労働行為救済申立事件について命令書を交付しました。(労働委員会事務局管理課)

更新日:2023年10月24日 印刷ページ表示

 群馬県労働委員会は、令和5年10月23日、標記事件に関する申立ての棄却を内容とする命令書を当事者に交付しました。その概要は下記のとおりです。

1 当事者

(1)申立人:JR東労働組合(高崎市八島町)(以下「組合」という。)
(2)被申立人:株式会社JR東日本運輸サービス(東京都中央区)(以下「会社」という。)

2 事案の概要

 会社の従業員であったAは、令和4年9月に勤務中に死亡しました。組合は、同年11月21日付けの申入書によって、会社に対し、Aの勤務状況の説明等や会社従業員に対する安全配慮義務等を交渉事項とする団体交渉を申し入れました。これに対し、会社はAが組合員であったことの確認を求めましたが、組合はこれに応じず、団体交渉は行われませんでした。
 そこで、当該団体交渉の拒否が労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、令和5年1月6日に組合から救済申立てがあったものです。
 なお、組合は上記申入書にAを「当労組組合員」と記載するなどしていましたが、審査の過程において、Aが生前には組合に加入したことはなく、相続人の意向を踏まえてその死後に「事後加入」したという趣旨であることが判明しました。

3 判断の要旨

 労働組合法第7条第2号の「使用者が雇用する労働者の代表者」とは、原則として現に使用者に雇用されている労働者の代表者を意味します。Aは、死亡前に組合に加入したことがなく、また、会社従業員の中に組合員が存在しないこと等からすると、組合は、「使用者が雇用する労働者の代表者」には該当しません。
 また、団体交渉は、使用者とその雇用する労働者の属する労働組合との間で行われるものです。Aは生前、組合に加入したことを明らかにしていなかったという会社の主張は事実と認められ、また、会社従業員の中に組合員が存在しないことから、本件団交申入れ時点において、会社が組合に対して、Aが組合員であったことの確認を求めたのは合理的な対応であったといえます。
 以上から、組合は「使用者が雇用する労働者の代表者」に当たらず、また、会社が団体交渉を拒んだことには正当な理由があったといえるので、不当労働行為には該当しないと判断しました。

4 主文の内容

 本件申立てを棄却します。

参考

1 不当労働行為とは

 不当労働行為救済制度は、憲法で保障された団結権等の実効性を確保するために、労働組合法に定められている制度であり、労働組合法第7条では、使用者の労働組合や労働者に対する次のような行為を「不当労働行為」として禁止しています。

〔不当労働行為として禁止される行為〕
(1)組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(第1号)
 ア 労働者が、

  • 労働組合の組合員であること
  • 労働組合に加入しようとしたこと
  • 労働組合を結成しようとしたこと
  • 労働組合の正当な行為をしたこと

を理由に、労働者を解雇したり、その他の不利益な取扱いをすること。
 イ 労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること。
(2)正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止(第2号)
 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由なく拒むこと。
※ 使用者が形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(「不誠実団交」)も、これに含まれる。
(3)労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止(第3号)
 ア 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配し、又はこれに介入すること。
 イ 労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること。
(4)労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱いの禁止(第4号)

2 再審査の申立て期間

 命令書が交付された日の翌日から起算して15日以内に中央労働委員会に再審査の申立てができます。

3 取消訴訟の出訴期間

(1)使用者の場合…命令書が交付された日の翌日から起算して30日以内
(2)組合の場合…命令書が交付された日の翌日から起算して6か月以内

報道提供資料 (PDF:158KB)