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ヒメギフチョウは本州中部から東北、北海道に生息するアゲハチョウの仲間です。春に成虫が発生し交尾産卵を行い、孵化した幼虫は1カ月半ほどで蛹になります。その後、翌春までおよそ9か月間を蛹の状態で過ごします。
本種は関東では赤城山西北面の一部だけに生息しています。このため県の天然記念物に指定されており、群馬県の絶滅のおそれがある野生動物(群馬県レッドデータブック)2022年改訂版動物編では絶滅危惧1B類に分類されています。
近年、生息環境の悪化等によって幼虫の食草であるウスバサイシンが減少し、本種の生息数も減少傾向にあります。昨年確認された産卵数は93個にまで減少しました。このままでは絶滅する可能性が極めて高いことから、県文化財保護課の許可を受けて急遽すべての卵を回収し、渋川市と県立ぐんま昆虫の森で幼虫を飼育して49個体が蛹になりました。
今年になって成虫が41個体羽化し、249卵を得ることができました。また採卵後には成虫を生息地に放し、野外での産卵も確認されていますが、安定的な生息に十分な個体数でないことから、生息域外保全として今年も渋川市と県立ぐんま昆虫の森で幼虫の飼育をすることになりました。
県立ぐんま昆虫の森で飼育している幼虫の一部については、蛹になるまでの期間に限定して、食草・育成温室内のチョウ飼育室の展示コーナーで展示を行っています。蛹になるまでの期間は短いので、お早めにお越しください。
群馬県立ぐんま昆虫の森(桐生市新里町鶴ヶ谷460-1)
4月~10月 9時30分~16時30分(最終入園16時00分)
11月~3月 9時30分~16時00分(最終入園15時30分)
※休園日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)、
メンテナンス休園あり(公式ホームページ群馬県立ぐんま昆虫の森 でご確認ください)
一般410円、大学・高校生200円、中学生以下 無料