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群労委令和7年(不)第1号有限会社さくらネット不当労働行為救済申立事件について命令書を交付しました(労働委員会事務局管理課)

更新日:2026年3月27日 印刷ページ表示

 群馬県労働委員会は、令和8年3月26日、標記事件に関する全部救済を内容とする命令書を当事者に交付しました。その概要は下記のとおりです。

1 当事者

(1) 申立人:全労連・全国一般群馬労働組合(前橋市本町)(以下「組合」という。)
(2) 被申立人:有限会社さくらネット(桐生市川内町)(以下「会社」という。)

2 事案の概要

 組合員A(以下「A」という。)が退職したと扱われたとして、組合は、令和7年3月27日付けでAの処遇等に係る事項を議題とする団体交渉を会社に申し入れました。しかし、会社は何ら回答をせず、団体交渉は開催されませんでした。
 そこで、当該団体交渉の拒否が労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、同年6月10日に組合から救済申立てがあったものです。
 なお、会社は、就労継続支援B型(※注)という障害福祉サービスを提供する事業所を運営しており、Aは、令和5年11月から同事業所を利用していました。
 審査において、組合は、Aは令和6年5月1日から会社と雇用関係にあったと主張し、会社は、Aは障害福祉サービスの利用者であり、雇用関係にはないと主張しました。
(※注)就労継続支援B型
 一般企業等での就労が困難な人に対して、雇用契約を締結しないで、就労の機会や「生産活動」の機会を提供するとともに、知識及び能力の向上のための必要な訓練を行うものです。「生産活動」に従事した利用者に対しては、事業所から「工賃」が支払われます。

3 判断の要旨

(1) Aは労組法上の労働者に該当し、組合は使用者が雇用する労働者の代表者に該当するか。
 令和6年5月以降について、Aを担当する相談支援専門員(※注)等が作成した書類には、Aは利用者兼短時間雇用と記載されていました。そして、二種の支払明細の交付、通勤費の支給、社会保険料等の控除やAの作業内容から、Aは、利用者とは異なる立場で会社に労務を提供して「工賃」以外の金銭を受領していたといえます。また、会社が雇用を打診したと考えられる時期やAの作業内容から、Aを労働力として確保する目的が会社にあったと推認されます。さらに、Aへの支払金額等の変動について交渉がもたれたなどとは認められないことから、労務提供の対価を会社が一方的に決定して変動させていたといわざるを得ません。加えて、Aが業務の依頼を拒否したなどの事情は認められず、Aは、定められた一定の時間においてサービス利用と労務の提供を会社で行っていたといえます。
 これらのことなどから、同月以降について、Aを純然たる障害福祉サービスの利用者であったと評価することはできず、Aは、労組法上の労働者にも該当します。そして、団体交渉申入れまでの経緯やその申入事項からも、組合は、使用者が雇用する労働者の代表者に該当します。
 (※注)相談支援専門員
 障害者の生活全般に関わる相談や情報の提供、障害福祉サービス利用のための計画の作成、関係機関との連絡・調整などの業務を行う専門職です。

(2) 会社が団体交渉に応じなかったことが労組法第7条第2号の不当労働行為に該当するか。
 会社は団体交渉に応じる義務があったにもかかわらず、理由も示さずにこれに応じませんでした。
 したがって、会社が団体交渉に応じなかったことに正当な理由があったとは認められず、会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当すると判断しました。

4 主文の内容(要旨)

 会社は、組合が申し入れた団体交渉に速やかに応じなければならない。

参考

1 不当労働行為とは

 不当労働行為救済制度は、憲法で保障された団結権等の実効性を確保するために、労組法に定められている制度です。労組法第7条では、使用者の労働組合や労働者に対する次のような行為を「不当労働行為」として禁止しています。
〔不当労働行為として禁止される行為〕
(1)組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止(第1号)
 ア 労働者が、

  • 労働組合の組合員であること
  • 労働組合に加入しようとしたこと
  • 労働組合を結成しようとしたこと
  • 労働組合の正当な行為をしたこと

 を理由に、労働者を解雇したり、その他の不利益な取扱いをすること。
 イ 労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること。
(2)正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止(第2号)
 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由なく拒むこと。
 ※使用者が形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(「不誠実団交」)も、これに含まれる。
(3)労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止(第3号)
 ア 労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配し、又はこれに介入すること。
 イ 労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること。
(4)労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱いの禁止(第4号)

2 再審査の申立て期間

 命令書が交付された日の翌日から起算して15日以内に中央労働委員会に再審査の申立てができます。

3 取消訴訟の出訴期間

(1)使用者の場合 …命令書が交付された日の翌日から起算して30日以内
(2)組合の場合…命令書が交付された日の翌日から起算して6か月以内
報道提供資料 (PDF:184KB)