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BSEは、伝達性海綿状脳症という、未だ十分に解明されていない伝達因子(病気を伝えるもの)と関係する病気のひとつで、牛の脳の組織にスポンジ状の変化を起こし、起立不能等の症状を示す遅発性かつ悪性の中枢神経系の疾病です。
BSEの原因は、十分に解明されていませんが、最近、最も受け入れられつつあるのは、プリオンという通常の細胞タンパクが異常化したものを原因とする考え方です。プリオンは、細菌やウイルスの感染に有効な薬剤であっても効果がないとされています。また、異常化したプリオンは、通常の加熱調理等では不活化されません。
BSE同様、脳にスポンジ状の変化を起こす病気として、ヒトについてはクールー、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、致死性家族性不眠症、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)が報告されています。
このうち、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)については、1996年3月20日に英国の海綿状脳症諮問委員会(SEAC)が10名の患者を確認しました。これらはすべて1994年又は1995年に発症したものでしたが、SEACによると、9名は過去10年間に牛肉を食べており、1名は91年以降、菜食主義者でした。
疫学的研究及び症例研究では、vCJDの症例間の共通な危険因子は確認されませんでしたが、SEACは、BSEとvCJDの間に直接的な科学的証拠はないが、確度の高い選択肢もなく、最も適当な説明としては、患者の発生は1989年の特定の内臓(Specified Bovine Offal)の使用禁止前にこれらを食べたことに関連があるとしました。
その後の動物実験などの結果においても、BSEがvCJDの原因であることを示唆する結果が示されていますが、直接的な確認はされていません。
BSEの感染源と考えられる牛由来の肉骨粉を、牛などの反すう動物を始め、全ての家畜用飼料として利用することを法律で禁止しています。これは牛でのBSE発生を防ぐために重要な対策です。(2001年10月から)
BSEプリオンが蓄積するSRMの除去の徹底は、人がvCJDに感染するリスクを低減するために重要な対策です。と畜場でのSRM除去を法律で義務付け、と畜検査員による監督のほか、定期的な実態調査を行う等、流通経路からSRMを排除する取組みを続けています。(2001年10月から)