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花粉症に関する県民公開講座「花粉症について知ろう!~最新の対策と治療~」を開催しました

更新日:2025年4月14日 印刷ページ表示

多くの県民を悩ませ続けている花粉症に関して、最新の対策や治療方法を幅広く周知することを目的に、群馬県として初めて講演会を開催しました。
講座では、最新の対策や治療について実践的なアドバイスを交えて講演いただき、講演後の質疑応答では多くの質問が寄せられました。

日時

令和7年2月1日(土曜日)13時30分から15時30分

会場

群馬会館 2階ホール

内容

1.講演

【進行】
群馬大学 村上 正巳 名誉教授

1.「花粉症について~イントロダクション~」

群馬大学 村上 正巳 名誉教授

2.「群馬県における花粉発生源対策について」
群馬県環境森林部林政課 森林整備係 中村 博一 係長

3.「アレルギー性結膜炎の予防と治療方法について」
群馬大学医学部附属病院 眼科 戸所 大輔 准教授

4.「花粉症にさようなら!予防と治療の最新ガイド」
群馬大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 松山 敏之 講師

5.「子どもの花粉症と食物アレルギー最新対策!~口腔アレルギー症候群も含めた治療と予防のポイント~」
重田こども・アレルギークリニック 重田 誠 院長

2.質疑応答

当日会場から寄せられた質問と講師からの回答を掲載します。

都合により一部の質問と回答を省略させていただきますが、ご了承ください。

Q1 

群馬県での花粉対策植替えを進めているとのことだが、植替えは何%進んでいるか。また、他県ではどのような進み具合か。

A1  

 現在、スギの植替えが完了しているのは約3%です。群馬県では、平成21年から全量花粉の少ない苗木になっています。花粉の少ないスギへの植替えをより加速化させるよう努めていきます。なお、他県も群馬県と同様に花粉症発生源対策を行っていますが、進み具合は把握していません。

Q2  

花粉症に50年苦しんでいる。年をとって春の症状は落ち着いたが、秋の症状が強くなった。また、点鼻薬の使いすぎかと思うが、嗅覚が弱くなった。これらのことについて教えていただきたい。

A2  

 花粉症の原因はスギ花粉だけではなく、秋に症状が出る人もいます。代表的なものにブタクサやヨモギなどがあります。これらの草の花粉は樹木の花粉よりも粒子が大きく、遠くまで飛散しにくい特徴があります。特に川沿いに多く生息しているため、川沿いに住んでいる人は症状が強く出やすいと考えられます。対策として、飛散時期にできるだけ川沿いを避けることも有効でしょう。
 また、ハウスダストによるアレルギーは夏に多いと思われがちですが、実は夏の終わりの気温が下がり始める時期に増える傾向があります。これは、ハウスダストアレルギーの主な原因がダニの死骸であり、気温が低くなることでダニが死滅し、その死骸がアレルゲンとなって症状を引き起こしやすくなるためです。
 花粉症が原因で嗅覚障害を引き起こすことも少なくありません。鼻づまりによって発症することもあり、点鼻薬だけが原因とは考えにくいため、他の要因が関与している可能性もあります。症状が気になる場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。​

Q3

 3点伺いたい。1つ目、免疫の正常化には腸内環境が大事と言われるが、食生活の面での話を伺いたい。2つ目、カンボジアと日本の違いとして、手洗いうがいなど過剰な清潔志向が関係しているかと思うがどうか。3つ目、慢性上咽頭炎に対して、鼻うがいの効果はどれくらいか。

A3

<回答1>
1つ目:
腸内環境の重要性は、アレルギーに関するホットな話題の一つです。免疫を活性化させるためには、腸内環境を整えることが非常に重要です。
2つ目:
 手指消毒や手洗いは重要ですが、「衛生仮説」によると、ある程度の細菌やウイルスに曝露されることで、人の免疫が適切に維持されるとも考えられています。しかし、これは「手洗いうがいをしなくてもよい」という意味ではありません。手洗いは感染症予防の基本であり、適度に行うことが大切です。ただし、過剰に神経質になりすぎるのも良くないでしょう。
3つ目:
 鼻うがいで鼻の粘膜についた花粉を洗い流すことは有効ですが、注意点として生理食塩水を使用することが推奨されます。水道水には塩素が含まれており、鼻の粘膜を刺激する可能性があるためです。
また、慢性上咽頭炎は鼻の奥にある上咽頭が慢性的に炎症を起こす疾患ですが、鼻うがいを行うことで症状の改善が期待できます。私自身、慢性上咽頭炎の患者には鼻うがいを推奨しています。

<回答2>
1つ目:
 ヨーグルト等で善玉菌を増やすことは免疫を高め、花粉症に対してある程度効果があると言われていますが、その効果は通常の治療に置き換えられるほどではありません。
2つ目:
 1つの説明として「衛生仮説」があります。これは都会の人と農家で牛や馬と暮らしている人とを比較をすると、都会の人の方がアレルギーが多く、農家の人の方が少なかった研究から提唱されました。体の中の免疫機能は、細菌感染の系列とアレルギーの系列があり、幼い時期に細菌感染に曝されているとアレルギー反応が起こりにくい、という仮説です。ただ人間の免疫は単純ではなく、色々なことが起こっているので、これですべての説明はできません。​

Q4  

舌下免疫療法は、大人(60代)でもアレルギーを抑える有効な手段となるのか。

A4

​<回答1>
 年齢による効果の差はあまりありません、ただ高齢者になると免疫力が落ちるため効果が弱くなるとされています。子どもについて言えば、非常にアレルギーが強いと口腔内の違和感や痒みなどにより治療が継続できない場合も稀にありますが、多くの子どもでは非常に効果的です。ただ治療に3年以上を要して非常に長いので、治療のモチベーションを保てるかも大事です。​

​<回答2>
 成人にも舌下免疫療法は非常に効果が期待できるため、スギ花粉症でお困りであれば、有効な選択肢の一つと言えます。ただし、スギ花粉の飛散時期が始まると治療を開始できないため、治療を始めるタイミングはスギ花粉の飛散時期が終わってからとなります。また、治療の効果はすぐに現れるわけではなく、継続が重要です。根気よく続けることで効果が期待できるため、試す価値は十分にあると思います。

Q5  

免疫療法で治療してスギ花粉が治り、症状が出なくなった後に、他のアレルギーが出てくることはあるのか。

A5  

 スギの免疫療法は、スギの症状を抑える治療なので、それで他の花粉症が出やすくなることはありません。ただ、通年性のアレルギーの人は、スギによる症状が改善すると、他のアレルギー症状が前より強く感じる事はあります。基本的に治療によって別のアレルギーが新たに出ることはありません。

Q6

鼻うがいで嗅覚が弱くなると言う新聞記事を見たが、本当にあることなのか。

A6

 水道水に含まれる塩素が刺激となるため、その影響で一時的に嗅覚が低下する可能性は考えられます。しかし、適切な方法で鼻うがいを行えば、基本的に嗅覚への影響を心配する必要はありません。

Q7 

セルフケアの話が出たが、カップ型の洗眼液の効果はどうか。

A7  

 眼科医の中でも考えが分かれると思うが、個人としてはあまり推奨しません。点眼薬タイプがいいかと思います。花粉は目の表面だけではなく、まつげや目の周辺の皮膚に付いていて、カップ型の場合はそうしたものをかえって目に入れてしまう恐れがあります。​

Q8 

15年以上花粉症で悩み、最近では、スキーゴーグルで目を守るなどしている。対処法を教えていただきたい。また、鼻をかんで皮がむけることもあるが、限度があるか。

A8  

 抗アレルギーの点眼薬で、特に抗ヒスタミン成分が入っているものを、外出の15分前くらいなど花粉に曝露される前に差すと、1番効果があると言われています。また、花粉が多い日には、点眼薬タイプの洗眼薬を持ち歩いて時々差すのが、対策として良いかと思います。

 鼻をかみすぎて出血するほどであれば、負担が大きくなっている可能性があります。現在では、免疫療法や注射治療など、重症の花粉症に対する治療法が充実しているため、そうした選択肢を検討するのも一つの方法です。

Q9

 花粉症ではないが卵アレルギーについて伺いたい。卵黄の開始時期が早まってから卵アレルギーの子どもが増えているか、減っているかどう感じているか。卵をクリアするために、先生の病院でどのように食事を指導されているかお聞きしたい。

A9

 以前は血液検査でアレルギーの値が高いことが分かると除去していましたが、現在では検査値だけでは除去はしません。人間は免疫のシステムがあるため、異物が入ってくると反応します。卵や牛乳は全くの異物なので反応するのが当たり前です。皮膚から入るとアレルギーを起こしますが、口から入った場合には免疫的に大丈夫というシステムがあり(経口免疫寛容)、それで食べられるようになります。そのため、アナフィラキシーを起こすような子でなければ、徐々に食べた方が早く改善します。

 別の話として、卵黄のアレルギーは増えています。卵白のアレルギーでは皮膚に蕁麻疹などの症状が出るのが一般的ですが、卵黄のアレルギーは、消化管アレルギーといって嘔吐などの症状が出現することが多いです。以前は、消化管アレルギーは乳が原因であることが多かったのですが、最近は卵黄が原因のケースが増加しています。卵黄を早期に摂取していることも要因である可能性はありますが、原因はまだ不明です。

講演の様子1の写真

講演の様子2の写真

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