平成29年度普通会計決算の概要(その1)総括・決算規模等・歳入・歳出(PDFファイル:483KB)
総論
※本資料は、現時点の集計状況を速報として取りまとめたものです。
決算のポイント
- 決算規模は、地方交付税、普通建設事業費の減等により、歳入歳出ともに2年連続の減となった。
- 実質収支は、273億円の黒字で、県内35市町村の全てが黒字を維持した。
- 経常収支比率は、1.6ポイント悪化して94.7%。実質公債費比率は、0.2ポイント改善して、6.6%となった。
(1)歳入
- 歳入総額は8,575億円で、対前年度比-0.1%(7億円)の減となり、2年連続の減となった。
- 地方税(市町村税)は、対前年度比-0.3%(10億円)の減となった。(市町村民税のうち法人税割の減等)
- 各種交付金は、対前年度比10.1%(39億円)の増となった。(地方消費税交付金の増等)
- 地方交付税は、対前年度比-6.0%(73億円)の減となり、5年連続の減となった。(普通交付税が、地域経済・雇用対策費の減少等による基準財政需要額の減とともに、固定資産税の増等による基準財政収入額の増により、減となったこと等)
- 国庫支出金は、対前年度比-0.1%(1億円)の減となった。(臨時福祉給付金の減等)
- 県支出金は、対前年度比8.0%(43億円)の増となった。(児童保護費等負担金や普通建設事業費支出金の増等)
- 地方債は、対前年度比-1.4%(10億円)の減となった。(合併特例事業債や緊急防災・減災事業債の減等)
(2)歳出
- 歳出総額は8,244億円で、対前年度比-0.0%(0.2億円)の減となり、2年連続の減となった。
- 人件費は、対前年度比-0.7%(9億円)の減となった。(退職者数及び職員数の減等)
- 扶助費は、対前年度比0.9%(14億円)の増となった。(子ども子育て支援新制度に伴う施設型給付費の増等)
- 投資的経費である普通建設事業費は、対前年度比-0.9%(11億円)の減となり、2年連続の減となった。(高崎市の高崎アリーナ建設事業や太田市の新市民会館建設事業の減等)
- 補助費等は、対前年度比1.4%(10億円)の増となった。(ふるさと納税関連事業の増等)
(3)決算収支
- 実質収支は、273億円の黒字で、県内35市町村の全てが黒字を維持した。
(4)財政構造の弾力性
- 経常収支比率は、前年度から1.6ポイント悪化して94.7%となった。(扶助費や物件費の増により分子となる経常経費充当一般財源等の増加、地方交付税の減等により分母である経常一般財源収入額の減少)
- 実質公債費比率は、前年度から0.2ポイント改善して6.6%となった。(既発債の償還終了に伴う元利償還金の減(臨時財政対策債を除く。)等)
- 地方債残高は、前年度より-7億円減少して7,485億円となった。なお、臨時財政対策債を除いた地方債残高は3,967億円で、前年度に比べて-20億円の減となった。
【各論】1 決算規模等
(1)決算規模
(2)歳入
- 歳入総額は、8,575億円(対前年度比-0.1%、7億円の減)となった。
(3)歳出
- 歳出総額は、8,244億円(対前年度比-0.0%、0.2億円の減)となった。
(4)実質収支
- 実質収支は273億円の黒字であり、県内35市町村のすべてが黒字を維持した。
- 実質収支の黒字額は、前年度と比較して、-3億円の減となった。
決算規模及び決算収支の状況(単位:百万円、%)
| 項目 |
記号 |
平成29年度 |
平成28年度 |
増減額 |
増減率 |
| 歳入総額 |
A |
857,515 |
858,223 |
-708 |
-0.1 |
| 歳出総額 |
B |
824,376 |
824,397 |
-21 |
-0.0 |
| 形式収支(A-B) |
C |
33,139 |
33,826 |
-687 |
-2.0 |
| 翌年度に繰り越すべき財源 |
D |
5,824 |
6,247 |
-423 |
-6.8 |
| 実質収支(C-D) |
E |
27,315 |
27,579 |
-264 |
-1.0 |
| 単年度収支 |
F |
※-248 |
-5,134 |
4,886 |
95.2 |
| 財政調整基金積立金 |
G |
2,880 |
3,763 |
-883 |
-23.5 |
| 繰上償還金 |
H |
507 |
193 |
314 |
162.7 |
| 積立金取崩額 |
I |
26,173 |
21,233 |
4,940 |
23.3 |
実質単年度収支
(F+G+H-I) |
J |
-23,034 |
-22,411 |
-623 |
-2.8 |
※過年度の誤集計を修正したため、「H29(E)-H28(E)」と一致しない。
歳入歳出の推移

2 歳入
歳入総額は8,575億円(対前年度比-0.1%、7億円の減)
(1)地方税 3,073億円(対前年度比-0.3%、10億円の減)
- 市町村民税が-2.7%、37億円の減(法人税割の減)
- 固定資産税が2.3%、31億円の増(家屋、償却資産の増)
- 市町村たばこ税が-5.7%、8億円の減
(2)地方消費税交付金 366億円(対前年度比5.6%、20億円の増)
- 前年度の大幅減※の反動増(※輸入に係る消費税の減による地方消費税貨物割の減)
(3)地方交付税 1,150億円(対前年度比-6.0%、73億円の減、5年連続の減)
- 臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税額は-4.6%(67億円)減の1,413億円
(4)国庫支出金 1,084億円(対前年度比-0.1%、0.6億円の減)
(5)県支出金 582億円(対前年度比8.0%、43億円の増)
(6)繰入金 396億円(対前年度比17.8%、60億円の増)
(7)地方債 708億円(対前年度比-1.4%、10億円の減)
- 一般廃棄物処理事業債の増
- 合併特例事業債、緊急防災・減災事業債の減
- 臨時財政対策債を除くと、-3.3%(15億円)の減
科目別歳入の状況(単位:百万円、%)
| 項目 |
平成29年度 |
平成28年度 |
増減額 |
増減率 |
| 地方税 |
307,293 |
308,253 |
-960 |
-0.3 |
| 地方譲与税 |
8,174 |
8,171 |
3 |
0.0 |
| 各種交付金 |
42,922 |
38,976 |
3,946 |
10.1 |
| 各種交付金のうち地方消費税交付金 |
36,648 |
34,689 |
1,959 |
5.6 |
| 地方特例交付金 |
1,353 |
1,247 |
106 |
8.5 |
| 地方交付税 |
114,981 |
122,264 |
-7,283 |
-6.0 |
| 国庫支出金 |
108,506 |
108,569 |
-63 |
-0.1 |
| 県支出金 |
58,193 |
53,900 |
4,293 |
8.0 |
| 繰入金 |
39,583 |
33,610 |
5,973 |
17.8 |
| 地方債 |
70,764 |
71,757 |
-993 |
-1.4 |
| 地方債のうち臨時財政対策債 |
26,305 |
25,760 |
545 |
2.1 |
| その他 |
105,746 |
111,476 |
-5,730 |
-5.1 |
| 歳入合計 |
857,515 |
858,223 |
-708 |
-0.1 |
| 歳入合計のうち一般財源 |
474,723 |
478,911 |
-4,188 |
-0.9 |
※一般財源とは地方税、地方譲与税、各種交付金、地方特例交付金等及び地方交付税を合計したもの。
3 歳出
歳出総額は8,244億円(対前年度比-0.0%、0.2億円の減)
性質別歳出
(1)義務的経費 3,711億円(対前年度比0.3%、13億円の増)
- 人件費が-0.7%(9億円)の減(退職者数及び職員数の減等)
- 扶助費が0.9%(14億円)の増(子ども子育て支援新制度に伴う施設型給付費の増等)
- 公債費が0.9%(7億円)の増(臨時財政対策債元利償還金の増等)
(2)投資的経費 1,213億円(対前年度比-1.0%、12億円の減)
- 2年連続の減となった。ピークである平成5年度の50%程度の水準となっている。
- 普通建設事業費は、補助事業費が25.6%(114億円)の増(清掃施設整備(前橋市)、文化施設建設(高崎市)の増等)、単独事業費が-17.1%(128億円)の減(体育館建設事業(高崎市)の減等)
(3)その他の経費 3,320億円(対前年度比-0.0%、0.5億円の減)
- 補助費等が1.4%(10億円)の増(ふるさと納税関連事業の増等)
- 積立金が8.1%(14億円)の増(その他特定目的基金積立金の増等)
- 貸付金が-5.8%(18億円)の減(制度融資預託金の減等)
性質別歳出の状況(単位:百万円、%)
| 項目 |
平成29年度 |
平成28年度 |
増減額 |
増減率 |
| 義務的経費 |
371,124 |
369,861 |
1,263 |
0.3 |
| 人件費 |
124,176 |
125,049 |
-873 |
-0.7 |
| うち職員給 |
81,405 |
81,682 |
-277 |
-0.3 |
| うち退職金 |
11,211 |
12,376 |
-1,165 |
-9.4 |
| 扶助費 |
169,352 |
167,910 |
1,442 |
0.9 |
| 公債費 |
77,597 |
76,902 |
695 |
0.9 |
| 投資的経費 |
121,288 |
122,521 |
-1,233 |
-1.0 |
| 普通建設事業費 |
121,031 |
122,154 |
-1,123 |
-0.9 |
| 普通建設事業費のうち補助事業費 |
55,847 |
44,451 |
11,396 |
25.6 |
| 普通建設事業費のうち単独事業費 |
62,081 |
74,897 |
-12,816 |
-17.1 |
| その他の経費 |
331,964 |
332,015 |
-51 |
-0.0 |
| その他の経費のうち物件費 |
116,453 |
116,181 |
272 |
0.2 |
| その他の経費のうち補助費等 |
78,055 |
77,006 |
1,049 |
1.4 |
| その他の経費のうち積立金 |
18,894 |
17,470 |
1,424 |
8.2 |
| その他の経費のうち貸付金 |
30,116 |
31,961 |
-1,845 |
-5.8 |
| 歳出合計 |
824,376 |
824,397 |
-21 |
-0.0 |
※表示単位未満四捨五入のため、計が合わない場合があります。
目的別歳出
(1)総務費 1,055億円(対前年度比0.9%、9億円の増)
- 文化芸術施設建設等工事(高崎市)や新庁舎等整備事業(沼田市、長野原町)の増等
(2)民生費 2,746億円(対前年度比-0.2%、4億円の減)
(3)衛生費 653億円(対前年度比3.7%、24億円の増)
- 清掃施設の整備や設備改良事業(前橋市・安中市)や保健センター建設事業(甘楽町)の増等
(4)農林水産業費 228億円(対前年度比3.2%、7億円の増)
- 野菜振興事業(前橋市)や農林水産事業施設整備事業(長野原町・嬬恋村)の増等
(5)土木費 879億円(対前年度比4.9%、41億円の増)
- 公園整備事業(高崎市)や市街地再開発事業(太田市)の増等
(6)教育費 1,064億円(対前年度比-5.6%、63億円の減)
- 体育館(高崎市)や運動場(渋川市)、小中学校校舎(吉岡町・片品村)の整備の減等
目的別歳出の状況(単位:百万円、%)
|
項目
|
平成29年度
|
平成28年度
|
増減額
|
増減率
|
| 議会費 |
5,990 |
6,022 |
-32 |
-0.5 |
| 総務費 |
105,487 |
104,589 |
898 |
0.9 |
| 民生費 |
274,634 |
275,063 |
-429 |
-0.2 |
| 衛生費 |
65,256 |
62,904 |
2,352 |
3.7 |
| 労働費 |
1,659 |
1,732 |
-73 |
-4.2 |
| 農林水産業費 |
22,756 |
22,054 |
702 |
3.2 |
| 商工費 |
45,547 |
47,032 |
-1,485 |
-3.2 |
| 土木費 |
87,877 |
83,805 |
4,072 |
4.9 |
| 消防費 |
30,879 |
30,965 |
-86 |
-0.3 |
| 教育費 |
106,436 |
112,717 |
-6,281 |
-5.6 |
| 災害復旧費 |
256 |
367 |
-111 |
-30.2 |
| 公債費 |
77,597 |
76,903 |
694 |
0.9 |
| その他 |
1 |
243 |
-242 |
-99.6 |
| 歳出合計 |
824,376 |
824,397 |
-21 |
-0.0 |
※表示単位未満四捨五入のため、計が合わない場合があります。
(参考)用語解説
普通会計と公営事業会計
地方公共団体の会計は、大別して普通会計と公営事業会計に区分される。公営事業会計は、公営企業会計のほか、収益事業会計、国民健康保険事業会計、農業共済事業会計、介護保険事業会計、後期高齢者医療事業会計等の総称である。普通会計は、公営事業会計以外の会計を総合して一つの会計にまとめたものをいう。
実質収支
歳入歳出差引額から、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた、実質的な収入と支出との差額。
- 実質収支=(歳入総額-歳出総額)-翌年度へ繰り越すべき財源
単年度収支
実質収支の額から、前年度までの収支の累積である前年度の実質収支の額を差し引いた、当該一会計年度に係る収支の額。
実質単年度収支
単年度収支に含まれている黒字要素及び赤字要素を調整した収支の額。
- 実質単年度収支=単年度収支+財政調整基金積立額+地方債繰上償還額-財政調整基金取崩額
実質収支比率
標準財政規模に対する実質収支額の割合。
- 実質収支比率=実質収支÷標準財政規模×100(%)
経常収支比率
地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される財源のうち、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当されたものが占める割合。
- 経常収支比率={(人件費、扶助費、公債費等に充当した一般財源等)}÷{経常一般財源等(地方税+普通交付税等)+減収補てん債特例分+臨時財政対策債}×100(%)
実質公債費比率
地方公共団体の一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金等の標準財政規模に対する比率(過去3か年平均で算定)。
地方債協議制度の下で18%以上の団体は、地方債の発行に際し知事の許可が必要となる。
早期健全化基準…25%
財政再生基準…35%
実質公債費比率={(A+B)-(C+D)}÷(E-D)×100(%)の3か年度平均
- A:地方債の元利償還金(繰上償還等を除く。)
- B:地方債の元利償還金に準ずるもの(「準元利償還金」)
- C:元利償還金又は準元利償還金に充てられる特定財源
- D:地方債に係る元利償還に要する経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入された額(「算入公債費の額」)及び準元利償還金に要する経費として普通交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入された額(「算入準公債費の額」)
- E:標準財政規模
標準財政規模
地方団体が通常水準の行政を行ううえで必要な一般財源の額。
- 標準財政規模=標準税収入額等+普通交付税額+臨時財政対策債発行可能額
財政力指数
地方団体の財政力を判断するための理論上の指標。
- 財政力指数=基準財政収入額÷基準財政需要額の3か年度平均
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