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日本語を学び始めたばかりの児童生徒も、学習内容を理解する上で継続的な支援が必要な児童生徒も、学校では多くの時間を在籍学級で過ごしています。
日本語指導を要する児童生徒が安心して学ぶことができるよう、ここでは、「学級づくり」と「授業づくり」の二つの面から、継続した日本語指導との連携を含め、在籍学級において担任や教科担任の先生ができる学習支援について、その要点を整理しています。
在籍学級の授業づくりを進める場合、大きく分けて、ポイントは以下の2点です。
日本語指導を行っている日本語教室等では、在籍学級の生活や学習活動につながるように、様々な工夫をして授業を展開しています。しかし、担任や教科担任が、そのことを知らなければ、その工夫も十分に効果を発揮できません。
そこで、日本語教室等で、どのような学びが展開され、児童生徒がどのような力を付けているか、担任や教科担任が主体性をもって情報を得ることが重要です。授業と授業の合間、放課後の少しの時間など、日本語指導担当者と会話をするとよいでしょう。
わずか5分程度でも、日本語教室を訪れて、児童生徒の姿を参観するだけでも、児童生徒に対して、「期待している」「大切に思っている」ことが伝わることでしょう。
日本語教室等で日本語の指導を受けているだけでは、十分な学力保障はできません。当然のことですが、在籍学級において、一斉指導の中で学習内容を理解することが求められます。
特に、在籍学級においては、学んだことを日本語でアウトプットする機会が豊富に提供されることで、学習内容の定着と、日本語能力の向上に結び付くとされています。
そのため、上記(1)で把握した児童生徒の力をどのような場面で発揮させるか、具体的な指導計画を立てておくとよいでしょう。
すべての児童生徒にとって「わかりやすい授業」をすることは、日本語指導を要する児童生徒にも有効です。特に、以下の3点について授業に取り入れてみましょう。
視覚化は、文字通り、目で見てわかるようにすることです。言い換えれば、直接支援を工夫するということです。日本語指導においては、わかりやすい表現に「言い換える」、具体的に「例示する」、「動作化する」「物語化」するといった工夫が考えられます。
焦点化は、ターゲットを絞り込むことで、学習内容をわかりやすくすることです。指示や発問の表現をわかりやすくすることが考えられます。日本語指導においては、教科と日本語の二つの目標を児童生徒にはっきりと示し、何を学ぶのか見通しを持たせることが特に重要です。
共有化は、学習内容を他の児童生徒と共有することで、気づきを生んだり、理解を助けたりすることです。日本語指導においては、日本語を用いて、学習内容を表現、発信することが考えられます。
〇参考資料「在籍学級における学習支援【基本編】」 (PDF:1.23MB)